詩と写真のコラボレーション (2008 February)
☆ 思案して おられるような 悴んでおられるような 冬の石仏 (宇治市 山本 明子)
☆ 木々冬芽 しづかに 園を歩きをり (東京都 大和 勲)
☆ 青木、黄楊、黐(モチ)、南天にピラカンサ 啄む順序あるらし 木の実 (蓮田市 斎藤 哲哉)
☆ これ位なら 冬凪と 船員は (久留米市 谷川 章子)
(ハワイ呆け 白河夜船 イージス艦)
☆ 課長なら 非常階段 踊り場の 灰皿立ての 前に居ります (新居浜市 紺屋 四郎)
☆ 大どんど 餅焼く竿の 入り乱れ (橋本市 岩橋 蘇風)
☆ 砂漠行く 駱駝に結ぶ 金銀の 亀の運命を 泣きし幼な日 (上田 由美子)
♪ 二つのカメ(甕)はそれぞれに、 紐で結んでありました ♪
☆ 蝋梅や 眠たき時は 眠るべし (枚方市 秋岡 実)
☆ 「好きだよ」と 彼に言ったら 全身の 勇気突き抜け 空がかがやく (中国 載 夢甜)
☆ 目白二羽 柘榴の殻を 覗きけり (大東市 谷口 東香)
☆ 幸せを 渡さるるには 小さすぎる窓より ジャンボ宝くじ 受く (さいたま市 吉田 俊治)
☆ 父の意地 通せし凧の 揚りけり (鹿児島市 青野 迦葉)
☆ 見目悪き魚は 味がよいと言う 男の話聞きつつ 化粧 (西海市 前田 一揆)
☆ みどり児の 乳首含みて 初笑い (嘉麻市 松井 春光)
☆ 一円玉 たくさん持って 老婆らは 羅漢ひとつひとつ 拝んで回る (鎌倉市 石渡 英夫)
☆ 女子ゴルフ 桃やさくらが 花ざかり (高倉町 川幡 準一)
☆ 酸性雨は 瑞穂の国を 侵しいて 野路の道祖神(クナド)の やせたまいけり (大和市 富澤 昴)
☆ 鳰(ニオ)潜り 傍の鴨も 潜りけり (宝塚市 塩出 眞一)
☆ 「みぎいせみち ひだりなら道」 伊賀越えの 鍵屋の辻に たつ道標 (名張市 山縣 みさを)
☆ 新聞に お詫び広告 見ぬ日ない (大和田町 元井 正男)
☆ 木がものを 言うことあると 君が言う 君が言うなら そうかと思う (本庄市 福島 光良)
☆ 偉そうに 白鳥に怒る お父さん (入間市 峠谷 清広)
☆ 北陸の 冬は嫌いと 言う母に 五十回目の 北陸の冬 (京都市 敷田 八千代)
☆ どんど爆ぜ 火の粉を散らし 人ちらし (香南市 梅澤 清見)
☆ どっと寄せ しばし騒いで さっと去る メジロは 小さなつむじ風です (蓮田市 斎藤 哲哉)
☆ いとけなき 乳の蕾の 初湯かな (厚木市 田中 啓介)
☆ ブランコが 取り払われて 子どもらが 遊んだ跡の 水溜りあり (浜松市 桑原 元義)
☆ 蝋梅の 香の大いなる 輪に入りぬ (神戸市 松岡 たけを)
☆ 凍原に 神の放ちし 丹頂の二羽が ま白き息 交しあう (夕張市 美原 凍子)