詩と写真のコラボレーション (2009 Augast)
☆ 無数なる 信徒に踏まれ 無数なる 信徒を励まし続ける オルガン (横浜市 飯島 幹也)
☆ 人に似た とうもろこしの 面妖さ (取手市 増山 山肌)
☆ 物言わぬ わけではないぞと 久しぶりの 投票用紙で 斬り込んで行く (広島市 小田 優子)
☆ 朝顔の 紺に新聞 忘れたり (東京都 金子 文衛)
☆ 現世より 少うし離れ 鳴く蝉の カナカナがふる カナカナとふる (福島市 美原 凍子)
☆ 小次郎のごと 背負うギターの 巴里祭 (福岡市 伊佐 利子)
☆ ANA機 どてっ腹さらして 降りてくる 羽田の沖に あさりとるとき (東京都 高須 敏士)
☆ 白桃や わが孫乳房 大きくて (いわき市 鈴木 昭光)
☆ 次はもう 別に暮らして いるだろう 子らを抱きしめ 日食を見る (高槻市 有田 里絵)
☆ 金魚掬ひ すくへなくとも 二匹かな (茅ヶ崎市 川村 敏夫)
☆ 塀越しに 凌霄花(ノウゼンカズラ)の 咲く里は どこ見ても夏 寝ていても夏 (茨城県 木野内 清太郎)
☆ 鼠など 捕らざる猫は 胡瓜食ふ (今治市 藤原 守幸)
☆ どうしよう、 どうしようって 言いながら もう決めている 君との未来 (京都市 敷田 八千代)
☆ 乱読の 本散らかして 梅雨ごもり (田原市 小林 禄郎)
☆ 七夕に 短歌一首の 降り来たり 若田光一 ブログに光る (枚方市 秦 順之)
☆ 炊かれざる 夏炉なれども よりどころ (熊本市 内藤 悦子)
☆ そのまんま むこうを向いた ままでいい その不機嫌な 横顔がいい (横浜市 井村 浩司)
☆ ハンディなし みんな裸で 泳ぐべし (大東市 谷口 東風)
☆ 好いちょうよ 聞いちょるとかね? 大好きっち 伝わらんって 耐えられんっちゃが (オランダ 岩永 直子)
☆ 線路内 ときどき 歩行許される (町田市 みわ みつる)
☆ くびれたる 臍にピアスを 光らせて 白く眩しい 夏がまた来ぬ (松山市 吉岡 健児)
☆ ごきぶりを 殺め 原始を冒しけり (福岡市 奥西 邦夫)
☆ 大屋根の 流れる線は 力あり 四方に跳ねて 青空の中へ (名古屋市 磯前 睦子)
☆ 水着つけ まづは鏡に 入りけり (海老名市 川上 益男)
☆ 春うらら 何かを ぶち壊したくて ラメ入りアイシャドー 引いてみる (横浜市 紅 征)
☆ 舞台裏より 仰ぎ見る 星涼し (奈良市 杉田 菜穂)
☆ 夜の風を 部屋に入れれば 練習の 祭囃子が 聞こえて 夏だ (東京都 白石 瑞紀)
☆ 吾が庭の 朝顔市は 客一人 (北本市 春日 重信)
☆ 去年まで しっかり生きて いた人の 声を夜明けの ラジオにて聞く (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 田一枚 白鷺一羽 我独り (習志野市 早川 高士)
☆ 浄智寺の 山門に見る あぢさいの 近勝りとも 遠勝りとも (横浜市 田口 二千陸)