詩と写真のコラボレーション (2005 June)
☆ すすり泣く あじさゐ寺の 迷子かな (町田市 高橋 うめ子)
☆ 水面に 小虫落つれば 一瞬に 地獄の鯉の 口現るる (埼玉県 内野 修)
☆ 紫陽花や 百歳の 茶髪ゐて (横浜市 原 徹)
☆ てのひらに 載せてみたいな 室生寺の 五重塔が 眼下に見える (高崎市 門倉 かさる)
☆ 見慣れたる 我が町 しばし 花浄土 (各務原市 河田 和代)
☆ 遠くより見る 白蓮が好きという あなたの中の 木が芽吹くころ (八王子市 武藤 オキ)
☆ 靴の紐 締むるひと待つ 麦の秋 (福津市 大庭 愛夫)
◆ 線路なき 空をのぼれる 銀色の三百トンの なかにわれあり (東京都 吉村 純)
☆ 少女美し 日本は嫌よ 夏来る (神戸市 豊原 清明)
☆ 母国語に 閉店までを 浸かりおり ニューヨーク街の 「ブックオフ」にて (アメリカ 西岡 徳江)
☆ 万緑へ 大きな鐘を 撞きにけり (立川市 越智 麦州)
☆ 道祖神 つぶさに視れば 此れはいかに 手を握るあり 抱き合うあり (相模原市 松並 善光)
☆ 新緑を恋ひ 新緑に 疲れけり (群馬県 山本 素竹)
☆ 阿蘇の野に わらび採る人 その向こうに 野に腹這いて りんどう撮る人 (熊本市 佐渡 京子)
☆ 観音の 薄目は永遠に 牡丹咲く (新潟市 佐々木 よう子)
☆ 上がり海女 濡身のままに 干す天草 日に輝きて ともに艶やか (志摩市 田島 もり)
☆ プール開きの 水の輝き 柏餅 (埼玉県 高井 元一)
☆ それぞれに 思い出があり 来る夏も 口遊むだろう 「はるかな尾瀬」と (静岡県 松井 恵)
☆ またの名を 流火草堂 鉄線花 (笠岡市 松田 行人)
☆ パパママと 呼び合う日にも 時々は 出会った頃の 二人でいよう (高槻市 有田 里絵)
☆ 葛城の 躑躅に浮きて 青き山 (生駒市 山村 修)
☆ あさぼらけ あけぼの あかつき あさまだき あくび はすべて 春の明け方 (八王子市 相原 法則)
☆ かきつばた 高からねども 水の音 (高知市 田村 七里)
☆ 同宿の 水族館の訓練生 鯱の不出来を 引き摺りており (埼玉県 柳田 主於美)
☆ 風薫る 蜂を一光体となし (調布市 浜崎 敬治)
☆ 「またいつか」 「いつ」 を尋ねることはせず 見送る君に 強く手を振る (東京都 井尻 貴子)
☆ 繚乱の薔薇 見し夜は 薔薇の夢 (大阪市 小玉ヒロ子)
☆ あたし 何やってんだろう 最低なヤツと 知りつつ 捨てられぬ恋 (船橋市 金光 理恵)
☆ 芍薬の 鋼鉄の球 挙げにけり (養父市 足立 威宏)
☆ 表現が粗末と 君は言うけれど ツツジはやっぱり 無茶苦茶に咲く (徳島市 荒津 憲夫)