詩と写真のコラボレーション (2006 January)
☆ いらっしゃい お帰りなさい と言うような 駅名物の吊るし柿達 (群馬県 山口 ふみお)
☆ 大目玉剥きて 伊豆より金目鯛 (調布市 北野 池音)
☆ 朝昼晩 われは雪掻き人間か その時だけは 父と呼ばれて (金沢市 松本 彰司)
☆ 頬よりも長き 仏陀の冬の耳 (養父市 足立 威宏)
☆ 遠き日の 愛の音する 砂時計 逆さに置きて 憶いめぐらす (奈良県 高尾山 昭)
☆ 時ならぬ 雪を彩る 金閣寺 (旭川市 大原 武治)
☆ 青春はどれほど とおい過去ならん 父がしばりたる レコード百枚 (調布市 水上 芙季)
☆ 凍滝の巌頭 華をかざしたる (福津市 松崎 佐)
☆ 祖父われに 曾孫をきっと産むからと 孫娘言う 結婚の日に (朝霞市 金丸 茂春)
☆ 竜の玉 もらっていいかと 童たち (豊橋市 山本 浩司)
☆ 歌を詠み 髷物好む 二世われ 半日本人と 呼ばるるもよし (大阪府 金 忠亀)
☆ 植ゑてはや 花に命の 冬すみれ (刈谷市 石川 春子)
☆ おーい雲よ 暖かくって明るくて ぼんやりできる 岬はないか (いわき市 馬目 弘平)
☆ 編棒に 居眠り移りゆく 毛糸 (松阪市 濱口 秀村)
☆ 貧しからず 裕福ならず 夢抱かず のっぺらぼうに ネクタイを巻く (和泉市 長尾 幹也)
☆ 人知れず ここにも結ぶ 初氷 (宮崎市 飯島 忠雄)
☆ 旧友が ノックもせずに入り来て 笑っているような 冬の日射しよ (カナダ 堀 千賀)
☆ 鴨のみな 水に出てゐる 日和かな (横浜市 山本 幸子)
☆ 一瞬を 家翳らせて 怪鳥のごと 戦闘機飛ぶ市に 住んでおり (浜松市 松井 恵)
☆ 水仙に 妻も岬も 埋もれり (浜松市 北田 不息)
☆ 大根に こんにゃく 卵 ちくわ 蛸 主役なき劇 おでんは楽し (和泉市 長尾 幹也)
☆ 去年今年 国会議事堂に 餓鬼ども(チルドレン) (金子 兜太)
☆ わたくしの 置き場がなくて 訪ね来ぬ 当尾の里のわらい仏を (枚方市 鍵山 奈津江)
☆ 贈られて 手に溢れ抱く 冬の薔薇 (稲畑 汀子)
☆ 天気図に 雪だるまの絵が現れて 丸顔の友 思い出す朝 (箕面市 遠藤 玲奈)
☆ どんぐりの かたちに 夫生きており (群馬県 酒井 せつ子)
☆ 我と君 並んで歩いて よいことの証明をせよ サボテンの花 (加賀市 敷田 八千代)
☆ かまくらを 作れるほどの 雪よふれ (佐世保市 月原 明三郎)
☆ ぼた雪は根雪とならむ 薄墨の野に 百年の兵らの墓標 (青森市 斉藤 守)
☆ 神の灯も 御仏の灯も クリスマス (金沢市 明石 春潮子)
☆ これ以上ない 日曜日 君がいて赤ちゃんがいて 朝日が昇る (高槻市 有田 里絵)
◆ 四年前(2002/10)から始めた『詩と写真のコラボレーション』も 1070 回を数えることになりました。
歌や詩をお借りしているたくさんの方々と訪問してくださる皆様に深く感謝申し上げ、
新たな年が平和で実り多き年であるよう願っています。