お茶の時間 (2011 June)



  ☆ あぢさゐや 濯ぎ石より 流れ急        (高知 坂本 喜代子)










  ☆ ☆ 玉葱が 日に日に太る 五月晴れ 土佐の鰹の 藁焼きを買う        (福山市 武  暁)

















☆ 雨粒の 風のバランス 蓮浮葉        (高松 島谷 うた子)















☆ 大渦潮 発生の謎を 説き明かす ボランティアガイド 今日も忙し        (鳴門 新居 幸久)










  ☆ 少し揺れ つぎつぎ揺れて ポピー畑        (四国中央 山内 美恵子)










☆ 大根の 葉っぱと茎は 捨てていた 残さず食べる 避難所の鍋        (仙台市 池田 武)

















☆ 雨上がり 紅を増したる 七変化        (高知 高松 和永)















☆ 青虫の 残り物です 召し上がれ 庭のレタスは 有機栽培        (小豆島 藤井 哲夫)










  ☆ 母の手を 離さず歩む ほたる狩        (徳島県石井 後藤 賀子)










☆ はなやかな あやめの花影 被災地の はらからしのび 心痛めり        (高知 竹村 早苗)

















☆ 無人駅 時計はちゃんと 動いてる        (高知 篠原 富枝)















☆ 円応寺の 大震災の 募金箱 えんま十王 見守り居りぬ        (町田市 石井 澪子)










  ☆ 白南風や 双子のために ある乳房        (八幡市 小笠原 信)










☆ 青春の 断片のごとき 初夏の 雲を愛でおり 魚信無き間を        (舞鶴市 吉富 憲治)

















☆ 沙羅の花 優しきものの 胸にあり        (琴平 長尾 俊彦)















☆ 屋上に 津波が残しし 大船を 人ら見上げて ふた月たちぬ        (札幌市 橋本 とおる)










  ☆ 出航の 観潮船に 渦案内        (徳島県石井 阿部 聡子)










☆ ふるさとの 葛の葉茂る 葛巻きの 風力発電所 静かに回る        (三沢市 遠藤 知夫)

















☆ ひんやりと 花の手ざはり 白芍薬        (福岡市 松尾 康乃)















☆ かまどには 昔神様 おりまして いま原子炉に 神はいますか        (東京都 無京 水彦)










  ☆ パンジーの 中より蝶の 風に翔つ        (徳島県松茂 橋本 すみ子)










☆ 野には野に 相応しく咲く 犬陰嚢 スカイブルーの 花の星星        (愛媛県鬼北 大田黒 千鶴子)

















☆ がまずみの 実の小さきは つつしみか        (徳島県つるぎ 前田 宮子)















☆ 「つらいやろなー」 東北関東大震災を 讃岐ことばで 一人つぶやく        (香川県丸亀 大平 綾子)










  ☆ 奥蝦夷の 遅き春告げ 鼓草        (札幌市 前田 豊作)










☆ 若きらの おらぬひと日に 包丁を 研ぎてしづけし 刻のすぎゆく        (徳島県三好 喜多 昭子)

















☆ 山門を くぐり落花の 中にあり        (徳島県三好 山下 明俊)















☆ 漸くに イカ漁に出る 船ありて エンジン響く 朝の海より        (八戸市 山村 陽一)










  ☆ 大手毬 日々に白さの 勝りけり        (高知県高知 小島 哲雄)










☆ 亡くなりて 喜ばれる 人少なし ビンラディンの死に ボストンの沸く        (アメリカ 久下 朋子)