お茶の時間 (2011 March)
☆ 十年後も あと十歳若ければと 思うだろう スカイツリー 伸びる        (横浜市 森 秀人)










  ☆ 初桜 いつも東の 崖の上        (東京都 坂田 誠太郎)










☆ ひさびさに 湯屋の湯船の 湯気のなか 風呂の修理は 遅れてもよし        (東京都 海老根 清)



















☆ 男根は 一本の神 葱坊主        (塩釜市 桜井 洋嘉)



















☆ 鹿児島へ 俺は帰りたい 海亀が 故郷の浜を 忘れぬように        (アメリカ 郷 隼人)










  ☆ 石見路の 波音高き 寒椿        (浜田市 田中 静龍)










☆ おるすばん ずっと降ってる ぼたん雪 ずっと読んでる 「アンの青春」        (富山市 松田 わこ)























☆ 人工の 全てが無力と 思い知る        (枚方市 原  隼)























☆ 手加減を 知らぬ自然の 恐ろしさ        (茅ヶ崎市 古田 哲弥)










  ☆ なんと言う事 なんと言う事        (北海道 藤原 康男)










☆ 大地揺れ 波が襲って 街消える        (調布市 武藤 昌平)






















☆ 雛の間と なりし仏間や 華やげる        (大村市 小谷 一夫)























☆ マグロ一本 三千万円の ニュース聞き 時給八百円の バイトを思う        (入間市 角貝 久雄)










  ☆ 秋よりも 彼方へ去りし 白の蔵王        (藤沢市 長谷川 礼而)










☆ 一日で 殺処分済まず 白鳥の 遊覧船の 浮かぶ湖         (山口市 平田 敬子)



















☆ 厠上に 杜甫の律詩や 春立ちぬ        (東京都 野上 卓)



















☆ 入口も 出口もなくて 鎮もれる 古墳の丘に 子らジャンプせり        (前橋市 荻原 葉月)










  ☆ 熟女とは いへど裸身の 白き葱        (羽村市 安元 ふみき)










☆ 学校に 行きたくないのは みぞれの日 体育がない日 ママといたい日        (富山市 松田 わこ)













◆ このたびの、東北地方・太平洋沖で発生した地震と津波で 被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。



















☆ 牙のごと したたってゐる 氷柱かな        (東京都府中市 天地 わたる)



















☆ 大好きな 鉄棒でぐるぐる 回ってる そういうおもちゃに なったみたいに        (富山市 松田 わこ)










  ☆ 白梅は 日を紅梅は 影まとふ        (高槻市 会田 仁子)










☆ 大風呂敷を ひろげたやうな 流氷は オホツク海を 覆いつくせり        (網走市 安田 達郎)



















☆ 火の山は 火を噴きつづけ 春立ちぬ        (東京都 大澤 都志子)



















☆ おほいなる 夢あるごとく しずしずと 豪華客船は 岸壁離る        (生駒市 辻岡 暎雄)










  ☆ 水音を 包んで滝の 凍てにけり        (昭島市 岩佐 晴子)










☆ 冬の夜 素足にて 君にからみつく 吾は熱帯の つる科の植物        (神戸市 野中 智永子)


















☆ 一月の 光の中の 新芽かな        (川崎市 山根 繁義)



















☆ 通学に すべる雪道 歩くのは、 スケート選手より 上手だよ        (新庄市 土田 喜子)










  ☆ 残照は 塔の九輪に わらび餅        (横浜市 猪狩 鳳保)










☆ また君に 秒針つきの 時計貸す センター試験 監督の朝        (横浜市 玄田 睦美)