詩と写真のコラボレーション (2006 September)






 ☆ 秋立つや 草の葉先の 揺れの中     (熊本市 戸田 善蔵)









☆ この日 この峠 通は我ひとり 道辺に添うて 赤き野薊     (相模原市 中村 健次)

















☆ 白萩の 一つ二つや 風の先     (立川市 越智 麦洲)

















☆ 熊の住む 山にしあれば 通らせていただきますと 鈴鳴らし行く     (東京都 志摩 華子)









 ☆ 芋の露 コロリ コロコロ どこへ行く     (いわき市 鈴木 昭光)









☆ 夕焼けに 川、橋、人がゆらめいて 吾もそこに居る ムンクの「叫び」     (東海市 杉浦 とき子)

















☆ 七草の 初めなりけり 萩の花      (神戸市 仲野 進)

















☆ 素麺を どこから饂飩 と呼ぶべきか そういうことか 「惑星」論議      (徳島市 荒津 憲夫)









 ☆ 竹林に もっとも強く 秋の風     (糸魚川市 西山 一生)









☆ 君の名を 呟く時に 光りつつ野の花に降る 八月の雨     (本庄市 福島 光良)

















☆ 炭に落つ 脂も旨し 秋刀魚焼く     (苫小牧市 桂 清久)

















☆ ろうそくのような形の 蒲の穂に 水辺感じて 花束を買う     (新座市 中村 偕子)









 ☆ かんかんと ミュールの音や 秋暑し     (横浜市 宮内 則雄)









☆ ガソリンは 又値上がりす 其れで猶 ペットボトルの水より 安い    (山形県 高橋 まさじ)





















☆ 約束の 空蝉もらひ 転校す       (岩沼市 佐藤 久子)





















☆ この亀は笑うのと 孫は五年生 五年世話せし自信 明るく      (四万十市 島村 宣搖)









 ☆ 休耕田 いつか花野に紛れゐし     (国東市 真城 蘭郷)









☆ 月に一度 人も狸も訪れて 唐黍熟らす 西風を待つ     (山形県 清野 弘也)

















☆ 新涼の風 山門の 一歩かな     (大牟田市 介弘 浩司)

















☆ 大花火なだれて 闇に消ゆるまで せつなのようで えいえんのようで     (夕張市 美原 凍子)









 ☆ 蜘蛛の巣の 地球覆ひて仕舞ひけり      (飯塚市 渡部 蜩硯)









☆ 夏祭り 跳び撥ね踊る 若きらの みんな出てゆくんだね この街     (夕張市 美原 凍子)

















☆ 朝顔の 寝る間も惜しみ 伸びつづく     (浜松市 斉藤 あきら)

















☆ 踊る輪の 人は影より踊りだす その影を踏む人も また影     (新潟市 岩田 桂)









 ☆ 無法松 気取りの 祭太鼓かな     (倉敷市 森川 忠信)









☆ 多摩川の この広大なる空間が 蝉一匹の 声に満たさる      (昭島市 奥山 公子)

















☆ 鳥兜 谷間に太古の 道の痕      (宮古市 小野 ゆたか)

















☆ 熊野への 世界遺産の道の辺に たつきの梅を 干す人の見ゆ     (田辺市 川口 修)









 ☆ 手花火の煙は 星に届きけり      (長岡市 石田 遊水)









☆ 短歌詠みて 老い耕すと言うわれに 妻黙しつつ 蓮根を切る     (台湾 黄 得龍)