My 俳句手帖(復刻版)    2016 July        トップへ   

                                        ⇒  一日一句鑑賞文(16-05)  (16-06)  (16-07)



【7月第4週  週末は席題で一句】
【席題】原孝之氏提供 @基本季語:夏の果
A傍題季語:夏果/夏終る/夏の限り/夏の別れ/夏の名残/逝(ゆ)く夏/夏惜しむ/暮の夏
B季語の本意:夏の終りである。果てる、終る、の語には物悲しい思いがつきまとう。
帰省や避暑などが終わり、去り行く夏が惜しまれる。


@ 悔しさを袋に詰めて夏終わる

今村 征一 敗退した球児の夏。頂きました。
原孝之 頂きます。高校野球ファンの北野さんならではの優しさに満ちた句ですね。
向瀬美音 頂きます。



A ヨーヨーで犬のお散歩夏惜しむ


B 思い出が胸締め付ける夏の果

清水 憲一 人は思い出の中に生きています。胸締め付ける思い出頂きます。




(7/31)

ライナーをガッチリ捕球夏の恋


山車に舞うおかめ火男剽軽に     


      山車回すエイヤーの声勇ましく


炎天下サイン合わせる指と首     

【岡田 耕治 一句鑑賞】  この猛暑の中、高校野球から目が離せない日が続いています。
特にバッテリーは、一球も気を抜くことができません。
キャッチャーが指でサインを送り、ピッチャーが首を縦に振って、いよいよボールが動き出します。
漠然と全体を捉えるのではなく、このように細部を描くことによって、
より選手たちの真摯さが伝わってきます。
和さんの大きなホームランを見るようです。

北野 和良 岡田先生、選んで頂き有難うございます。とても励みになります。
清水 憲一 北野さん おめでとうございます。高校野球の青春のサイン良いですね。生涯の友達ですね。
今村 征一 北野さん一句鑑賞おめでとう御座います。もうすぐ甲子園大会ですね。
江守 治雄 北野さん、ホームランおめでとうございます。
大関博美 北野さんおめでとうございます。
野球のこと分かってないと出来ないお句ですね。すごーい。
野島 正則 北野さん、この句は爽やかな句ですね。一句鑑賞おめでとうございます。
桑本 栄太郎 北野さん・・・岡田先生の一句鑑賞、大変おめでとうございます!!。
良く観察のうえ、さらりと表現されていて感嘆致しましました。
「ナボナはお菓子のホームラン王です」・・こんなキャッチフレーズありましたね!!。
虹色 夢 北野さん、ナイスキャッチ(^-^)vおめでとうございます\(^-^)/
田中 由美子 北野さん、一句鑑賞おめでとうございます!(^o^)日々の真摯な努力のホームランですね?
足立 光隆 北野さん、おめでとうございます。野球は子規が日本にもたらしたんですよね?俳句によくなじんでますね♪
河野 俊文 北野さん、おめでとうございます。球児たちの真剣さが伝わります。
Sachiko Hayashi 和良様 遅くなりましたが岡田先生の一句鑑賞おめでとうございます
ピッチャーとキャッチャーの阿吽の呼吸が炎天下にピタッっ嵌りますね!
北島 和弘 動きや緊張感があって面白いね〜(。・ω・。)
北野 和良 お祝いを頂いた皆さま、本当に有難うございます。
岡田先生に選んで頂き光栄です。また皆さまのお言葉がとても励みになります。
これからも精進致します。
岡田 耕治 和良さん、いい俳句を書かれましたね。
高校野球というと、この「指と首」の句を思い出すと思います





(7/30)

      日盛やフレーフレーとチアガール


テンポよく打者を追い込み風涼し


夏空へ恋の打球はまっしぐら


風鈴売風と音とを担ぎゆく

今村征一選 「風と音を担ぎゆく」素晴らしい写生力を感じました。
北野 和良 今村さん、ご選句有難うございます。嬉しいです。



チャルメラの音引いて行く夜鳴き蕎麦  (冬)




(7/29)

決め球は低めのシュート日の盛り


日雷快音残しスタンドへ


打ち終えし花火師仰ぐ夏の星     




(7/28)

      虎の尾草甘いボールは逃さない


土用波役所仕事の不手際さ     


揚げ終わり煙の消えて天の川




(7/27)

      青柿やこいつもいつか恋を知る


温泉に桃の葉浮かぶ土用入

(昔からあせも対策の入浴剤として、夏の土用(立秋前の18日間)の日に桃湯に入る習慣があります。
桃の葉にはタンニンなど消炎・解熱に有効な成分が含まれるうえに、収れん作用があるため、
強い紫外線による日焼けや、あせも・しっしん・虫さされなど、夏のお肌のトラブルに効果的です)




ドローンの編隊のごと翔ぶ花火


幽霊の文読むにつれ消えてゆき




(7/26)

皿数ふ声途切れなき夏の井戸

北野 和良 清水さん、「幽霊」はいずれ季語になるんでしょうか?
清水 憲一 幽霊は夏の季語ですよ('-'*)
清水 憲一 幽霊・お化け屋敷・水芸・夏芝居・土用芝居・百物語何も立派な夏の季語ですよ??
北野 和良 私の角川俳句大歳時記には出ていなかったので、違うと思っていました。
清水 憲一 角川に載っていない季語も結構あります。
歳時記は十年前に俳句甲子園用に10種類ぐらい買いましたがどれも一長一短あります。
個人でも5種類ぐらいは必要でしょうね。??
清水 憲一 新日本大歳時記が一番良いですね。殆どの季語が網羅されています。
アマゾンで今見たら僅か一万六千円ほどで売っていました。残り四冊ですけども。??
向瀬美音 四谷怪談のことですか?
向瀬美音 一枚、二枚?田宮家のことですか?
北野 和良 番町皿屋敷、青山播磨守の奸計にはまった奥女中のお菊さんが、
皿を一枚〜二枚〜と数えます。姫路城に伝わる怪談話で、播磨(播州)を番町に置き換えて芝居になりました。
佐藤 直路 これは 姫路城 播州皿屋敷^^
Guzumi Yamasaki お菊神社のこともお忘れなく・・・・ヒツコイ、か m(__)m  ぐずみ俳
Guzumi Yamasaki 「なる」か「ならない」かの視点と同時に、創作する限りは、
「にする」か「にしない」という、自己の立場の確認が必要、では?!
北野 和良 ぐずみさん、「にする」を目指して名句を作ればいいんですね。
Guzumi Yamasaki 更に付け足すと、いいか悪いかも、自己が決めると同時に読み手が判断する、
・・・・・ちと、五月蠅いですね、もうすぐ文月、・・・ではこのへんで  ぐずみ拝
佐藤 直路 「する」にしろ「なる」にしろ、俳句界を指導するお歴々が認める名句を作ることに尽きるのでしょね^^
Guzumi Yamasaki お歴々が<指導>する文藝って?????夏休みの宿題?
佐藤 直路 私もいわゆるお歴々の頑なな季語判定に満足しているわけではありません。
それを、認めるか認めないかは自由です。ご自分が季語だと言えば季語になるというのであれば、それもよろしいかと^^



幽霊の皿を数ふや夏の井戸     




蚊いぶしを腰に吊るして杣道へ


幽霊の軸風無きに揺れ動き

(7/26は幽霊の日、四谷怪談が初めて上演された)




(7/25)

言わば言え駄馬にも駄馬の夜の秋


打ち上げのアンパンマンの大笑い


      初見への花火カモメの飛ぶやふに




(7/24)

◆ 7月第4週   週末は席題で一句 【風鈴】傍題季語は、【風鈴売】

@ 風鈴やソプラノ歌ふ南部っ娘

A 風鈴や虹の煌めく江戸切子

B ビル街へ風担ぎゆく風鈴売

今村 征一 「席題で一句」に頂きます。風を担いで行くの措辞が素晴らしい。
北野 和良 今村さん、有難うございます。下五字余りになりましたが、工夫が浮かびませんでした。
今村 征一 かまわないのではないでしょうか。お便り有難う御座います。
大関博美 席題で一句に頂きます。ビル街へ風担ぎ行く の発見が素晴らしいと思います。
風鈴売を上の句にすると良いかもと思いました。
北野 和良 大関さん、有難うございます。上五を字余りにする方法もありましたね。
大関博美 字余りは、上の句に、と良く教わります。





夏帽子つばの向うに奥穂高     


風鈴の涼音に鐘の木霊して




(7/23)


 好きな音めいめい選ぶ夜店かな

小酒井 あゆみ 音を選ぶのは、なに屋さんだろう…? 楽しい御句ですね♪
ぱそ 夢 風鈴やさ〜ん??(^○^)
小酒井 あゆみ ぱそ 夢さんあっ、そっか!!食べ物屋さんばかり、想像してました(^O^;)(^O^;)
北野 和良 ふうりんと言わずに風鈴を詠むのに挑戦しました。
田中 由美子  なるほど!(^o^)/



 風鈴の玻璃の音色や夜想曲


凌霄花の宙を目指して駆け昇り     


青林檎ここは女の秘密基地


秋近し季語入り交じる汽水域




(7/22)

絵手紙に大きなかぼちゃ健とのみ


暑中見舞いかつい文字と丸い字と


暑中見舞四角い文字や丸い文字




(7/21)

いつからか電脳世界に端居して


      笑栗や人に語れぬ身の不幸


巨星落つ昭和は遥か夏念仏




(7/20)

【 第八回俳句の広場ラ・セゾン句会】(海)

海釣りや供はいつもの夏帽子    (2点)

潮もよし連なる鯵をごぼう抜き   (1点)

日焼止め君のうなじに一目惚れ   (1点)

白鱚の魚信待つ手は耳となり

海開き「サメに注意」の幟旗




五千回ブログ日記の蟻地獄

(2012年から書き始めたブログ日記が5000回となった。
最初は兼好法師の徒然草(412段?)を超えれば良いと思っていたが、
いつの間にか5000回。虚仮の一念とでも言うべきか)

原孝之選  北野さん、五千回ブログ更新おめでとうございます。 
こういうめでたい俳句は採るのが主義です。俳句は挨拶やお祝いにもいいですね。
ところで、私のブログは、現在5726記事となっております。
今年の目標は、大晦日にアコンカグア山の高さ6959mと同じ数まで記事を積み上げることです。
北野さんに追いかけられるのを楽しみにしております。
北野 和良 え〜 上には上があるものですね! 採って頂き有難うございます。
それから、九月の熊本句会に出席させていただこうと、飛行機とホテルの予約を済ませました。
向瀬美音さんと一緒にです。
原孝之 こんばんは。私のブログはご覧になられたかもしれません。
有難うございます。今後も競争は続きますね。
熊本句会に美音さんといらっしゃるとのこと。
永田先生も喜ばれると思います。再会を楽しみにしております。
北野 和良 以前に、熊本句会では雑詠と兼題とがあると聞いたのですが、9月も同じでしょうか?
 兼題があるとすれば提示はいつでしょうか?
原孝之 8月の句会が27日にあります。その前がいいですよね?永田先生に聞いてみます。
北野 和良 私たちは9月10日と聞いて、その日で動いています。間違いでしょうか?
原孝之 間違いありません。8月の句会がお盆の関係で遅くなっています。
永田先生から、8月31日までではいけませんか?とのことですが、
もう少し早くと仰るのならば頼んでみますので、コメント下さい。
北野 和良 9/10まで10日間もあれば十分です。決まったら兼題が決まったら教えて下さい。
原孝之 直ぐにお知らせします。よろしくお願い致します。
北野 和良 有難うございます。8月句会の盛況をお祈りします。東京は8月はお休みです。




熊襲討つ倭建命や山背風     

(くまそうつやまとたけるややませかぜ)
(景行天皇の皇子オウスは、天皇の命令で熊襲成敗に出かけ、クマソタケル兄弟を女装で欺き殺す。
弟のクマソタケルは、死ぬ間際にヤマトタケルの名前を献上した)




目蓋縫ふ百物語はじまりぬ




(7/19)

山百合の我も我もは悪い癖


土用波なぜか気になる都知事選


夏帽子陰に隠れて初キッス




【7月後期  【埋字で一句】(@とりあへず、A○には○○の○、Bはじまりぬ)】

@ 友来る手には明石の焼きアナゴ

向瀬美音 頂きます。
北野 和良 美音さん、ご選句有難うございます。
励みになります。先日明石の親戚から焼きアナゴを送ってもらい感激でした。



A 目隠しの手にはコロンの匂う夏

永田 満徳 頂きます。いやあ、憎いですね。
北野 和良 永田 先生、ご選句有難うございます。励みになります。
永田 満徳 旧仮名は「匂ふ」ですね。
北野 和良 有難うございます。次回旧仮名にも挑戦します。



C とりあへず本命くんと夏の浜


B とりあへず夏の季語など捜しをり


D とりあへず読書感想文を書き

向瀬美音 頂きます。
北野 和良 美音さん、有難うございます。読書感想文は日課のようなものです。
清水 憲一 埋字で一句いただきます。読書感想文の審査をしたのを思い出しました。
北野 和良 清水さん、有難うございます。



E 夕暮れを待ち手花火のはじまりぬ

向瀬美音 頂きます。
北野 和良 美音さん、ご選句有難うございます。 励みになります。
原孝之 頂きます。いい雰囲気ですね。
渡辺 すすむ 頂きます!「夕暮れを待ち」がなんとも素敵ですね!「手花火」がまた良いです。
Aniko Papp 頂きます。花火の涼し気な雰囲気ですね。
北野 和良 渡辺さん、亜仁子さん、有難うございます。



F 遠花火ふたりの旅のはじまりぬ

Aniko Papp 頂きます。いい雰囲気ですね。
北野 和良 亜仁子さん、有難うございます。



G とりあへず今日も二句だけ夏の句を

Aniko Papp 頂きます。北野さんは頑張っていらっしゃいますね。
北野 和良 亜仁子さん、有難うございます。



H 枇杷の種口に転がしはじまりぬ


I とりあへず言わずにおこうソーダ水

永田 満徳 頂きます。季語が効いています。
北野 和良 永田 先生、ご選句有難うございます。
向瀬美音 頂きます。
北野 和良 美音さん、有難うございます 。
山野辺 茂 いただきます。
Aniko Papp 頂きます。季語がよく働いているんですね。
北野 和良 山野辺さん、亜仁子さん、有難うございます。



J 白南風や青きアカペラはじまりぬ




【席題で一句】(蝉(せみ) 晩夏)

@ 蝉時雨幼生の旅はじまりぬ

原孝之 「席題で一句」にいただきます。
北野 和良 原さん、有難うございます。励みになります。



A 朝まだき君の寝息と蝉の声

向瀬美音 頂きます。


B この星の未来にかける蝉時雨



(7/18)

      月下美人来たり句会は盛り上がり


うなじから肩へと流す日焼止め


海の日や釣り竿持って行ったきり


梅雨の開け沸き立つ雲に新境地




(7/17)

熟考の一夜の明けてより晩夏


初蝉や官能の果てて落つる




(7/16)

この次は 僕の部屋でと あめんぼう 和  2014-7-16

佐藤 直路 なんか・・・悪巧みしているような水馬 日田路



君だったのか逆光の夏帽子

ぶせふ選 【一日一句互選】 こんな風に恋を詠める作者の若さに脱帽です。
喜びにあふれている。素晴らしいと思う。
八鍬浩一 浩一選「気まぐれの似合う女性の影を感じました。個人的感想。」
十河 トモ子 「一日一句互選」十河智選とさせていただきます。
足立 光隆 北野さん 良いなぁ♪恋歌の一種ですよね。
北野 和良 ご想像に任せます〜
足立 光隆 想像しまくりですw お元気だな〜
広川 雅人 逆光の夏帽子。 この発想を先に思い付きたかった! 修行の糧とさせていただきたく。
北野 和良 広川さん、どうぞ変化技にお使い下さい。

十河 トモ子 十河智選  皆さんお採りになっていらっしゃるので、同じくなのですが、
「君だったのか」の驚きが、ふと惹かれて目を付けた美人が、やはり君だった、
という安堵の気持ちと誇らしい気持、それにも増して後ろめたい気持、
いろいろごちゃごちゃないまぜのものをひっくるめていて、面白い表現だと思った。
そこにスパッと、逆光の夏帽子と言い切る、洒脱である。
何もかも忘れさせ、君に突っ走る様子が見える。




浮き下が釣果の決めて鯵もまた




(7/15)

烏賊釣りや糸を巻く手の忙しく


不可解なキリコの描くサングラス     


@ 都知事選候補出そろい熱帯夜


A 連呼する声の合間に蝉時雨




(7/14)

夕立にワイパーピュンピュン大はしゃぎ



@ 諸神の笑いどよめく木下闇

原孝之選 俳句には当然フィクションがあってよろしい。
掲句は、まさしくその部類。諸神のどよめく笑い声に俳句のおどろおどろしさが漂う。
木下闇にて何が起きたのだろう?

北野 和良 原さん、素晴らしい鑑賞をして頂き有難うございます。励みになります。




A 手力男天岩戸で牛角力

(たじからおあまのいわとでうしずもう   牛角力:夏の季語)

(外の大騒ぎを聞き不思議に思った天照が岩戸をそっと開け覗こうとした瞬間に
手力男命が怪力で岩を動かし、天照は外に出てこられて高天原に陽が戻った)





(7/13)

秋近し知る人のまた一人逝き

(合掌  ザ・ピーナッツ伊藤ユミさん、永六輔さんなど)



      @ 炎昼に天宇受売の乱舞かな

清一選  ご存知のように天宇受売〈アメノウズメ〉(アマノウズメ)は、日本神話に登場する神。
「岩戸隠れ」の伝説などに登場する芸能の女神であり、日本最古の踊り子と言える。
それが炎昼に乱舞する嘸かし妖艶な踊りであろう。何しろ古事記や日本書紀には
「槽伏(うけふ)せて踏み轟こし、神懸かりして胸乳かきいで裳緒(もひも)を陰(ほと=女陰)に押し垂れき。」
つまり、 アメノウズメがうつぶせにした槽(うけ 特殊な桶)の上に乗り、
背をそり胸乳をあらわにし、裳の紐を股に押したれて、女陰をあらわにして、
低く腰を落して足を踏みとどろかし(『日本書紀』では千草を巻いた矛、『古事記』では笹葉を振り)、
力強くエロティックな動作で踊って、八百万の神々を大笑いさせた。
その「笑ひえらぐ」様を不審に思い、戸を少し開けた天照大神に「あなたより尊い神が生まれた」
とウズメは言って、天手力雄神に引き出して貰って、再び世界に光が戻った。と書かれてある。
詠者は神話の世界の原点に戻り作句されたのだが、面白い光景と思い取らせて戴いた。



A 乳曝す下裳の舞やジキタリス

(困り果てた八百万の神の頼みで天宇受売命は、大きな盥の上に乗り、
乳を曝し下裳を揺らし陰部までもが見えたので、
高天原は大きな笑い声に包まれた)





(7/12)

@ 荒南風や天岩戸に雲隠れ     


A 風死して陽のかげりゆく高天原    (風死す:夏の季語)

(弟神の乱暴に驚いた天照は天岩戸に隠れ、たちまち辺りは真っ暗になってしまった)



蜘蛛の囲のレーダー頼りに恋の闇




(7/11)

屋根破り血の馬落とすはたた神


織女星慌てふためき陰(ホト)に梭(ヒ)を

(梭:横糸を通す道具。誓約に負けた須佐之男は、怒り狂い田の畦を壊し、神殿に脱糞。
また機織場の屋根に穴を開け皮を剥いだ血だらけの馬を投げ落とした。
中で仕事をしていた機織女は梭(ヒ)を陰に突き刺し死んでしまった)




      B 蓮の実や未来の記憶閉じ込めて




(7/10)

底紅や恋の未来の羅針盤     


@ 須佐之男の雷火伴い高天原

(須佐之男が姉神・天照大神の住む高天原に近づく時雷鳴が轟き、山も川も大地も揺らいだ)

A 男装に弓持ち迎う天照   (無季)

(国を奪いに来たと疑う天照は、男装し強弓を持って迎え須佐之男に理由を訊いた)

      B 子を産みて誓約(ウケイ)占うはたた神

(母のいる根の堅州国へ行きたいと言う須佐之男の願いを占うため誓約(ウケイ)をすることになった。
天照は須佐之男の剣を取り三つに折って噛み砕き口から吹いて三人の女神を生んだ。
須佐之男は天照の勾玉を噛み砕き五人の男神を生んだが、天照は私の持ち物から五人生まれたから私の勝ちだと言った)





(7/09)

【席題で一句】(蓮の花、白蓮、紅連、蓮華、蓮池)

@ 神代よりいま甦る蓮の花


A 白蓮に明治女の生きざまを

向瀬美音 互選に選ばせていただきます。
白蓮をこのように使っていいのかわからないが、美しさと女性の強さが伝わってきた。
北野 和良 美音さん、有難うございます。 柳原白蓮のこと分かって頂いて嬉しいです。
清水 憲一 北野さんどう見てもこの句の白蓮は柳原白蓮を想起しますね。
要は無季句ですが、これもありと思います。
因みに戦後息子を戦争で亡くした白蓮は平和運動に奔走します。
息子さんの香織さんと私の父は早稲田の政経で学友だったのです。
香織さんは陸軍に父は海軍に所属しました。父は白蓮の平和運動に協力したのですよ。
この様に二度と戦争しない日本を多くの人が築いて来たのに関わらず
安倍政権は、憲法を改正して戦争の出来る国にしようとしています。
非常に憂うべきことですね。
北野 和良 清水 憲一 さんはそんな身近におられたのですね。



B 紅連や夜明けにポンと咲くといふ




@ 走馬灯神代に始まる物語

A 伊邪那岐の目から生まれし天照   (無季)

B 黒南風や父に逆らう男神

(黄泉比良坂から戻った伊邪那岐神は川で身を清めた。
左の目を洗うと天照大神、右の目からは月読命、鼻から須佐之男命が生まれた。
天照は高天原で昼の世界、月読は夜の世界、須佐之男には海原を治めるように命じた。
須佐之男は荒々しい神で海原を治めず、
母のいる根の堅州国へ行きたいと言い、天照のいる高天原に向かった)

原孝之選 北野さんは、最近、古事記に由来する伝説を題材に句作されている。
たいへん興味深い作品となっている。掲句はその中でも一般受けする句といえよう。
掲句は、古事記にギリシア神話がミックスされている印象がする。
勉強不足でうまく論評出来ないが、父と子の葛藤を黒南風がうまく表しているように思えた。
北野 和良 原さん、素晴らしい鑑賞をして頂き有難うございます。
まだ古事記の物語を追うのに懸命ですが、さらにポエムに昇華する努力を続けてみたいと思っています。





(7/08)

限定の文字に釣られてブドウ水     


      天の川願いはひとつピーピーケー

(PPK:ピンピンコロリ)


明易しまぐはひて産む大八島

(イザナギ・イザナミはまぐわいの末に、淡路島、四国、隠岐島、筑紫島(九州)、壱岐島、対馬、佐渡島、大倭豊秋津島(本州)を産んだ)






(7/07)

ぶっかけにおろしを添えて小暑かな     

岩本 ひとみ 北野さん  ぶっかけにおろし。
これで充分ですよぅね??(*^^*)   暑ちぃ??よ??o(^_^)o
北野 和良 ひとみさん、うどんは何と言っても讃岐うどんです(笑)
今村 征一 おいしそうな打つ掛けうどん。
北野 和良 今村さん、讃岐では汁なしのうどんに醤油をかけて食べるのを
「ぶっかけ(うどん)」と云います。大根おろしや酢橘が脇役です。




女装して油断誘いし蠍哉

(景行天皇の皇子オウスの命はクマソタケルの成敗を命じられ、女装して近づき殺そうとする。
クマソタケルは刺されオウスに、これからはヤマトタケルと名乗りなさいと言って果てた。蠍:夏の季語)




兜虫勝つためならば騙し討ち

(ヤマトタケル命は出雲建(イズモタケル)の征伐のとき、見かけは立派な偽の太刀を作り、
立合の前に太刀を交換しようと持ちかけ、交換した出雲建の真剣で出雲建を斬り殺した。兜虫:夏の季語)

穗坂 俊一 結果オーライは、勝てば官軍?  世の常ですかね??(^∇^)



あの頃はリーチ麻雀夏の陣




◆ 【埋め句】(もう一度)(たったひとり)

@ 縁台で王手飛車取りもう一度

渡辺 すすむ 頂きます。昔の夏の路地の風景が浮かんでくるようですね!縁台の斡旋がいい雰囲気です。



A もう一度曲がればゴール夏の富士



B 夏座敷たったひとりの詰将棋

永田 満徳 選びました。昔はこの情景はよく有りました
今村 征一 頂きます。広い座敷で塾考している様子が見えます。





(7/06)

手のひらにそっと包みし夕蛍


      幼らの恋の後押し星祭り


蛍草帯解く音のせつなくて


もの言わぬ皇子に献じし鵠哉

(垂仁天皇と狭穂姫の子ホムチワケは、髪が胸元に垂れるほど成長しても口がきけなかった。
ある日、鵠(クグイ:白鳥の古語)の声を聞き片言をつぶやいたので、臣下は鵠を捕らえて献上した。
その後ホムチワケは口がきけるようになったが皇位は継げなかった。白鳥は冬の季語)





(7/05)

領巾(ヒレ)を振り蛇鎮ませし葦原色許男(アシハラシコオ)

(素盞鳴尊が葦原色許男(=大国主の命)を蛇の室に閉じ込めたが、
須勢理姫から渡された領巾を振ると蛇は鎮まった。蛇:夏の季語)



産屋にて星鮫を見し山幸彦

(兄の海幸彦から借りた釣針を失った山幸彦は海底のワタツミノ神の所へ探しに行き、トヨタマビメと結ばれる。
見つけた釣針と姫を伴って地上に戻り、姫が産屋で出産する姿を見てしまったが、そこにいたのは鰐鮫だった。
恥じた姫は海底へ戻ってしまい、子どもはウガヤフキアエズの命と名付けられた。鮫:冬の季語)

足立 光隆 ぶせふ選  【一日一句互選】 神話から取材されたお句である。
何とも美しく不思議な竜宮の記憶であろうか・・・
実は霊感に強い友人からお前は山幸だと言われましたが、調べたら、
神武天皇の祖父とか、烏滸がましいことこの上ない。鑑賞が脇へそれましたw
 作者の記紀への造詣の深さのうががえる一句である。
北野 和良 足立さん、過分なるご鑑賞、有難うございます。
遥かな古代に立ち戻りそこでの写生句のつもりで詠みました。



赤い糸辿れば夏の三輪の山

(美しい娘活玉依姫の許へ夜な夜な男が通ってくることを知った両親は、
朝方男が帰る時に衣に赤い糸を付けることを教えた。
明くる朝、その糸を辿って行くと三輪山に住む大物主命だと分かった)





(7/04)

神々に想いを馳せる夏の夕

許されぬ蛍となるや軽の王(ミコ)

(19代允恭天皇の皇子・軽の王は同母妹軽の大郎女と契り道後温泉に追放された)


淡雪の胸に溺れしオオナムチ

(大穴牟遅神は大国主神のことで、須佐之男の娘・須勢理姫と契った)

木代 明子 淡雪の胸って、すてきな表現ですよね。すごく好き。
北野 和良 明子さん、有難うございます。男の憧れです(笑)
古事記の須勢理姫の歌に「・・あわゆきの 若やる胸の・・・」という言葉が出ています。



夏の夕鼻緒を濡らす通り雨

原孝之選  夏の夕、浴衣でのデート。突如の夕立ちで、鼻緒を濡らしてしまった。
登場人物の女性は若いと思われる。その若い女性の心の動きがよく伝わってくる。





(7/03)

投票が待ち遠しいと青蛙




(7/02)

【第七回俳句の広場ラセゾン句会】  テーマ「待ち遠しい」

@ 逢える日のメロンは君に厚く切る

北島 和弘 厚く切るはちょっと微妙ですが若さが有り今回の兼題にそってる気がします。

A 蛍狩り明日はあなたをひとりじめ

B 浴衣来て胸に小さな密かごと

C 何故なのか夏の睫毛に魅せられて

D 青蛙候補者の名に目を凝らし



捻り花恋と嫉妬は五分と五分




(7/01)

眼底の検査眩しくサングラス


焼きて食ぶイタリアンナス秋近し     


鑑賞に絆深まり七月来

【一日一句互選】の「鑑賞」に積極的に参加し始めて2ヶ月が経った。
拙い鑑賞ではあるが、それに対して作者の方々からのお返事も楽しいことだと知った。
《向瀬美音》 北野さんは私の心を読み尽くしているようです。
《片山和恵》 言霊たちが息を吹かえしていきます。
《平林 佳子》 ありがとうございます 信じられません!! 「ため息ぽ」が言いたかった句です*
また少し読み違えた鑑賞に対しても、
《山野辺 茂》 読み手のままに、です。読み違えはありませんよ〜。ありがとうございます。
と寛大な返事を頂き、ほっとすることもあった。
何よりも嬉しいのは、句の鑑賞とお返事のやり取りを通して、
作者の方々との距離がどんどん縮まっているという実感だ。
さらにこのような場を作って下さった俳句大学に改めて感謝したい。

(ご参考)鑑賞文記録ページはこちら⇒http://park.geocities.jp/kitano555_2006/kansho_16_06.html

永田 満徳 俳句大学投句欄に感謝していただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
北野 和良 熊本キャンパスの皆様方との交流も増えてきています。今後とも宜しくご指導下さい。








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