俳句鑑賞文(復刻版)    2016 July        トップへ   



鑑賞に絆深まり七月来

【一日一句互選】の「鑑賞」に積極的に参加し始めて2ヶ月が経った。
拙い鑑賞ではあるが、それに対して作者の方々からのお返事も楽しいことだと知った。
《向瀬美音》 北野さんは私の心を読み尽くしているようです。
《片山和恵》 言霊たちが息を吹かえしていきます。
《平林 佳子》 ありがとうございます 信じられません!! 「ため息ぽ」が言いたかった句です*

また少し読み違えた鑑賞に対しても、
《山野辺 茂》 読み手のままに、です。読み違えはありませんよ〜。ありがとうございます。
と寛大な返事を頂き、ほっとすることもあった。
何よりも嬉しいのは、句の鑑賞とお返事のやり取りを通して、
作者の方々との距離がどんどん縮まっているという実感だ。
さらにこのような場を作って下さった俳句大学に改めて感謝したい。

永田 満徳 俳句大学投句欄に感謝していただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
北野 和良 熊本キャンパスの皆様方との交流も増えてきています。今後とも宜しくご指導下さい。








(7/31)

日輪の光遍く蓮華かな  十河智

広い蓮池に蓮の花が咲き競い、明るい日差しが照りつけている。
日輪の光遍くの措辞が見事に情景を捉えていると思った。

十河 トモ子 和良さん、鑑賞と写真、ありがとうございます。
上野や京都花園のお寺の広い蓮の池等、夏の陽射しも蓮が和らげてくれる感じを出したいと考えました。
ご鑑賞大変嬉しいです。智





(7/30)

あと八日青春燃やす夏野かな  孝之

高校野球夏の甲子園大会まであと八日、高校球児の熱い戦いが始まる。
勝って泣き、負けて涙する、全国から選ばれた球児たちの熱い闘いが待ち遠しい。
中七青春燃やすの措辞、季語夏野の斡旋で熱気に包まれた球場風景が目に浮かぶ。

原孝之 北野さん、おはようございます。互選有難うございます。この句が!?という嬉しさです。
北野 和良 高校野球は大好きで、私もこんな句を作ってみたかったと思い選ばせて頂きました。
原孝之 北野さん、素敵なご鑑賞有難うございます。
高校野球のことは全く頭にありませんでした。読み手により引き上げられた句です。
夏野が甲子園のこととは!しかし、甲子園は青春の夏野ですね。
北野 和良 今年の大会は8月7日(日)からです。
だからあと八日だと読みました。本当は何があと八日なんでしょうね?
原孝之 北野さん、あと八日は昨日を含めて暦の上での夏の日数のことでした。
今年の甲子園は立秋に始まるのですね。例年のことでしょうか?コメント有難うございます。





(7/29)

出土して古墳の埴輪夏の天  俊克

関東、東北にも縄文の遺跡がたくさんあり、土器や埴輪、土偶が発掘されている。
出土した埴輪は遥かな古墳時代の息吹を感じさせてくれる。
埴輪に託した古代人の魂は、この二十一世紀の夏空を見てどんな感慨にふけるのだろう。

大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。





(7/28)

艶やかに熟れた粒あり青葡萄  美音

青葡萄は熟する前の葡萄の実の意、小さな房で独特の青みがかった緑色が美しい、と歳時記にある。
そんな葡萄の実の中に「艶やかに熟れた粒」を作者は見つけた。早熟。
人間で言えば思春期の少女、アイドルや女優でなくともこの時期の女の子はキラキラと輝いて見えるものだ。
熟れ始めた葡萄の粒を見て、作者は自分にもこんな時期があったと振り返っているのだろうか。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。残念ながら私は遅咲き組です〜





(7/27)

競ひ合ふ最終レース蝉時雨  わえ

作者は何の最終レースかを述べていないが、私は競馬場を思い浮かべた。
考えに考え抜いて買った勝ち馬投票券を握りしめ、最終レースが出走した。
レースはもつれ、第三コーナーを曲がりホームストレッチへ。
中ほどに抑えていた馬に鞭が入り 一気に抜けだそうとスピードを上げる。
自分の買った馬を応援する客の喚声が観客席に轟き
それがまるで蝉時雨のようだ。

片山和恵 北野さん ありがとうございます。まさに競馬レースのイメージです。
そこに我が息子のトラックレースも重ねてみました。
最終コーナーで鐘が鳴り断トツ一位の息子にかぶりつきの位置から
ありったけの声を張り上げて息子の名前を叫んだものでした。
しかし思い込みとは怖いもので…その断トツ一位はよその子で (//∇//)
我が子は大きな集団の中に吸い込まれていました トホホ (;´д`)





(7/26)

ことさらに晩夏の雨の降る宵は  征一

俳句は詠者と読者とで完成させるものだという考え方がある。
この句はまさにそのような句である。
場面は晩夏の雨の降る宵であり、詠者は何かを思っているのだが、
「ことさらに」とだけしか言わない。
晩酌の酒が旨いのか、それとも相手のことを愛しく思うのか、
ただ雨音がうるさいのか、百人百様の読者任せ。
読者の読みに任せきるという作り方にも勇気が要ることだと改めて知らされた。

今村 征一 御選句並びに御句評有難う御座います。冒険をしてみるのも楽しいですね。
北野 和良 今村さんのような句を作りたいとは思うのですが、なかなか真似が出来ません。
きちんと述べないといけないという思い込み/性格がじゃまをするようです。





(7/25)

リュック背負ふ少年旅へ夏休み  栄太郎
乗り換えの駅のホームや蝉の果つ  栄太郎

(2句は連作と見て合わせて鑑賞する)
昔「初めてのお使い」というTV番組があった。主人公は幼児だった。
今回作者が詠むのは「少年の一人旅」だ。
夏休みに入り少年の親は少し離れた親戚の家と綿密に連絡を取り少年を一人旅に送り出す。
ちゃんと予定の電車に乗り、乗り換え、降りる駅を間違えないだろうかと気が気ではない。
少年はリュックを背負い切符を握りしめて、大丈夫だよと胸を張って出かけていく。
途中の乗換駅は、都会に近づいたせいか、実家の周りのような蝉の鳴き声が聞こえなくなってきた。
ひと夏の冒険を終えた少年は、一回り成長して帰ってくることだろう。

桑本 栄太郎 北野さん・・・一句互選にお選び頂き、大変ありがとうございます。
今の時季何処へでかけても駅のホームで旅行に出かけるリュックを背負った少年をよく見かけます。
桑本 栄太郎 北野さん・・二句を一日一句互選にお選び頂き、
素晴らしいストーリーのある少年の夏旅を表現して頂きまして、大変うれしく有難うございました。
今でも「初めてのお使い」とのテレビ番組はあり、よく観ています。
子供達は休みの度に色々な経験を積み、大きく成長してゆくようですね!!。
「蝉の果つ」の句は句会へ出かける途中の乗り換え駅、芦屋駅のホームで実際に見かけました。
油蝉が白い腹を見せ、駅のホームに横たわっていて盛夏を実感しました。
遠い昔の嬉しい夏休みがいつも思われます。





(7/24)

◆ 7月第4週   週末は席題で一句 【風鈴】傍題季語は、【風鈴売】

風鈴を鳴らして帰る家族連れ   孝之

北野 和良 席題一句に頂きます。夜店で買った風鈴を鳴らしながら帰る仲良し家族の様子が目に浮かびます。
原孝之 北野さん、おはようございます。互選有難うございます。嬉しいです。類句類想句がたくさんあると思います。



子がねだる風鈴めがけ風送る  太三

北野 和良 席題一句、頂きます。生憎風が止まってしまい風鈴が鳴らず
小さいお子さんが落胆しているのを見て団扇で風を送る作者の優しさがよく写されています。




宿題を三日で終える夏休み  穗坂 俊一

私も小学生の頃は宿題が大好きだった。問題を解くのが面白くてたまらなかった。セミ採りも宿題も好奇心の対象だった。
少年の頃の作者、(或いは作者の身近におられる少年も、)そのような気持ちで夏休みの宿題を三日でやってしまったのだろう。
十で神童十五で才児二十歳すぎれば只の人と謂うが、少年の行く末に注目しよう。

穗坂 俊一 ありがとうございます。
先日、終業式から帰宅した小1の孫がシャカリキで……。ふと、60年前の自分に…ですね。(^∇^)
穗坂 俊一 ありがとうございます。全く、おっしゃる通り。今では、駄馬にも劣ります。
北野 和良 言わば言え駄馬にも駄馬の夜の秋 和





(7/23)

餡蜜や甘味処でほっと息  亜仁子

大暑を迎えいよいよ夏は本番だ。ウインドショッピングにも汗をかく。
甘味処を見つけ飛び込み餡蜜を注文する。ほっと一息ついて甘党には至福の時間。

Aniko Papp 私の俳句を選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいです。





(7/22)

サンダルの似合うせんせい夏休み  楊

小学生或いは中学生の女の子の気持ちを詠んだ句だと思った。
夏休みに入り外で憧れの先生に出会った。先生の履いているサンダルが素敵だった。
私も早く大きくなって先生のようなサンダルの似合う大人になりたいと思ったのだろう。
(男の子は男の先生に出会っても決してそのようには感じない、女性ならではの句だと思った)

Youko Iwasaki  ひゃっありがとうございます。 一日一句互選に選んでいただいたのは初めてです。
向瀬美音 北野さんの鑑賞に大賛成です





(7/20)

ちぬ狙ひ瀬戸の波見る親子かな  正則

瀬戸内海は魚の種類も多く豊かな漁場が点在する。
チヌ(黒鯛)は刺し身よし、煮てよし、焼いてよしの高級魚だが、アジやイワシのように易しくは釣れない。
波も穏やかな日にチヌを狙っている親子を見かけた。子どもに釣り方を伝授しているのかも知れない。
作者は親子を見て、自分も釣りに加わりたいと思ったのだろうか。楽しい写生句だ。
チヌは海の魚だが、汽水域の川にも登ってくるそうだ。
かつてお遍路を歩いた時に四万十川河口でチヌ釣りをしている人を見かけたことを懐かしく思い出した。





(7/19)

秘密基地とは兜虫ゐる処  征一

子どもの宝物はその子その子によって異なる(大人の価値観では測れない)。
この子の場合は兜虫の捕れる林こそが秘密基地なのだ。
小学校時代の自分にもそんな場所があったことを懐かしく思い出した。

今村 征一 おっしゃる通りです、御選句並びに鑑賞有難う御座います。





【埋め字で一句】(とりあえず、〜には〜の、はじまりぬ)選句

とりあえず香水纏ひ向ふ駅  美音

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。女性は楽しみがおおいですね。
清水 憲一 埋字で一句いただきます。



箱庭や都知事論戦始まりぬ   清一

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。都民でなくとも気掛かりですね。
清水 憲一 北野さんありがとうございます。



夏休み校門を出てはじまりぬ  太三

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。子どもたちの歓声が聞こえてきます。
Aniko Papp 頂きます。夏休みの始まりの雰囲気ですね。



夏の恋フェイスブックではじまりぬ   孝之

恋多き夏には夏の乳房あり   孝之

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。
原孝之 北野さん、有難うございます。
山野辺 茂 おっぱい俳句いただきます。
原孝之 山野辺さん、有難うございます。慚愧です。三鬼です。(笑)
清水 憲一 埋字で一句いただきます。
原孝之 清水さん、こちらも有難うございます。



寝苦しき夜には星の涼しかな  亜仁子

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。夜空の星を眺めて涼をとる、いいですね。
清水 憲一 埋字で一句いただきます。
渡辺 すすむ 頂きます!星の涼しさが強調された佳い句です。
Aniko Papp 皆さん、選んでいただき、ご鑑賞、ありがとうございました。とても嬉しいです。



とりあえず試食してみる一夜鮓  房子

永田 満徳 選びました。一夜酢はこういう感じです。
向瀬美音 頂きます。
北野 和良 埋め字で一句、頂きます。
熊谷房子 永田先生 有り難うございます嬉しいです(*^▽^)/★*☆♪
熊谷房子 美音さん有り難うございます(*^^*)
熊谷房子 北野さん 有り難うございます(*^^*)嬉しいです\(^-^)/
渡辺 すすむ 頂きます!「試食してみる」に脱帽です(笑)「いいね!」
熊谷房子 渡辺さん有り難うございます(*^^*)



とりあへずビールに喉を潤して  征一

北野 和良 埋め字で一句、頂きます。初めはビール、その後はやはり日本酒でしょうね。
清水 憲一 埋字で一句いただきます



コンチキチン祇園祭りのはじまりぬ  栄太郎

北野 和良 埋字で一句いただきます。祇園祭のニュース羨ましく見ています。
清水 憲一 埋字で一句いただきます。同感の一句
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変ありがとうございます!!。
コンチキチンの祇園囃子の音を聞けば、いやが上にも背中か辺りが熱くなって来ます。
桑本 栄太郎 清水さん・・・大変ありがとうございます!!。
今年も祇園祭となり、京都は愈々炎熱の街になりますね?
熊谷房子 栄太郎さん、埋字で一句頂きます



とりあへず季寄せ片手の夕端居   草民

向瀬美音 頂きます。
原孝之 頂きます。草民さんは俳句大学の鏡!
北野 和良 埋字で一句いただきます。とりあへずと謙遜しつつ名句産む!
山野辺 茂 美音さん、原さん、北野さん、ありがとうございます。
田中 由美子 頂きます!とてもわかります(^o^)/
山野辺 茂 由美子さん、ありがとうございます。



天の川静かに初夜の始まりぬ  美音

北野 和良 埋字で一句いただきます




(7/18)

☆両手振り歩幅拡げて夏帽子  幸

梅雨も開け、日差しが強い。お気に入りのブラウスを着て真新しい夏帽子を被ってお出かけ。
頭を上げ、元気に両手を振って歩くと自然に歩幅も広がり、体に当たるそよ風も心地よい。
作者の颯爽と歩く姿が浮かんでくる楽しい句だ。

Sachiko Hayashi 北野様 母の死を乗り越えるぞっ!
の気合いと空元気を選んで戴き嬉しいです。





【席題で一句】(蝉、晩夏)  選句

とほく鳴く蝉に古里甦へる  征一

遠くに鳴く蝉の声が、故郷と子供の頃の思い出を鮮やかに浮かび上がらせる。
向瀬美音 席題一句に頂きます。
今村 征一 北野さん向瀬さん御選句有難う御座います。



またけふも雨かと紛ふ蝉時雨  十河智

梅雨明けの頃、蝉が元気に鳴き始める。まるで雨音のようだ。


荒村寺ツクツクボウシの音楽会   幸

村の荒れ寺でツクツクボウシが賑やかに。まるで音楽会の合唱のように。
Sachiko Hayashi やっほ〜っ!北野様 席題で一句 ありがとうございます。
鬱々とした日々に光が差し込んだ気持ちになりましたぁ!!



一匹に始まり千匹蝉しぐれ   栄太郎

初めは一匹だけ、やがて数を増し千匹の大合唱となる。ピアニシモからメガフォルテへ。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難うございます!!。最初の一匹が鳴けばあとは一斉に鳴きだします。



人を恋ふ夜鳴く蝉の憐れかな  穗坂 俊一

陽は落ちたのにまだ蝉が鳴いている。まるで人を恋うように、いや私の気持ちを代弁するかのように。
穗坂 俊一 ありがとうございます。
何故か、無性に人恋しく想う時があります。歳のせいかなぁ?
桑本 栄太郎 今はまだですが、そのうち夜の街灯の明かりの下でも鳴きますね!!。



蝉時雨不動明王立剣    ぶせふ

山寺の境内に火炎を背に剣を立てる不動明王。周りの木立から蝉時雨が。漢字ばかりの措辞が力強さを伝える。


ひぐらしにもののあはれを任せをり  美音

王朝の時から伝えられ続ける「もののあはれ」。ひぐらしよ、お前だって知っているの? 私も負けないわ。
桑本 栄太郎 「席題一句選」に頂きます。
夕方の茜空にひぐらしの鳴き声を聞きますと、胸を掻き毟られるような哀切を覚えます。






【第八回 俳句の広場ラセゾン句会 選】

(特選) 足立 光隆 白南風や海なき美濃に波の音   ぶせふ

作者は海のない美濃に住んでいるが、海への憧れは強い。
白南風に頬をなぶられ波の音を、潮の香りを感じたのだろう。


(並選)

 玻璃越しの光の粒や夏の海  美音

 幼子の大きなピアス泳ぎけり  岡本 美智子

 夏帽子押さへて走る渚かな   征一

 「こーんなに大きな鱚」と小さき手  ぱそ 夢

 タッキングの声涼かる少女スキッパー 呆菜


(次点)

船虫の噂話に誘われる  佐藤 直路

少年の夢溢れ出す夏怒濤    清一

サイダーのストローからの潮香り あゆみ

夏の雲海の境界分けにけり  穗坂 俊一

はかなしや瓶につめたる夏の海  桧鼻 幹雄




(7/17)

ソースの二度漬け禁止やで青唐辛子、 俊文

串揚げ屋の風景である。「ソーズの二度漬け禁止」というのがいつ、どこから始まったのかは知らないが、
関西発であることは間違いないようだ。東京の串揚げ屋でも店先に大書しているし、ドラマにも登場する。
〜やで、という関西弁が面白い。季語の青唐辛子で思わず食欲をそそられる句だ。




這ひ上がる木の天辺へ蝉の声  孝之

夜に地中を出た幼虫が木の葉に位置を決め、ゆっくりと脱皮していく。
小学生の頃、脱皮を観察したことを懐かしく思い出した。脱皮して徐々に羽根を伸ばしていく。
最初は透き通った羽根でクマゼミか?と期待させるが
時間とともに茶色に色付けされ、あぁ油蝉だったとがっかりした。
(私の住んでいた播磨ではクマゼミは少なくて貴重だった)
明け方になるとすっかり姿も整い、木の頂上を目指して登っていく。
樹液をたっぷりと吸い、恋を目指して飛翔するのだ。

原孝之 北野さん、素晴らしいご鑑賞有難うございます。
北野さんが幼少の頃より自然に親しまれていたことがよく分かります。
この観察力が北野さんのコンピューターの世界で生きてきたのだと実感します。
北野 和良 原さん、こんにちは。地震や長雨で苦しめられている九州ですが、
セミが元気に鳴いているようですね。
原孝之 北野さん、お見舞い有難うございます。
福岡は2005年に大地震を経験したとはいえ、被害は少なく、今回の熊本大地震とは被害の程度が違います。
今日は梅雨明けを思わせる晴天になりました。
北野さんも熊本句会に一度お出かけ下さい。永田先生も大歓迎されると思います。
北野 和良 原さん、有難うございます。熊本キャンパスの皆さんともお知り合いになれたので、
機会があれば伺いたいと思っています。
原孝之 永田先生の行かれる小料理屋さんはいい感じですよ!是非、お出かけ下さい。





(7/16)

カンナ咲く一途といふは美しき  美音

カンナという花から松島トモ子の歌(映画)を思い出した。
♪ カン、カン、カンナの花咲けば〜 赤いカンナの花咲けば〜♪
私の少年時代、少女雑誌の表紙には毎月彼女の写真が出ていた。
カンナの花には赤、黄色、オレンジなどがあるがやはり赤が印象深い。
炎暑に真っ赤に咲き誇る様を一途と捉え、作者はその一途さこそが美しいのだと詠んだ。
金や利に惑う世間に対して、もっと大切なものを忘れていませんか、という問いかけのようだ。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。さすが私の心をお見通しで。





(7/15)

浴衣着る娘に巾着男かな  をがはまなぶ

中七下五の「巾着男」を見て、何のことだ? と疑問が湧いた。
ネットで検索して謎は解けた。巾着とは、手提げ袋のことで安いものから高級品まで様々。
浴衣姿の男が小物いれとして使うもの、浴衣の男と共にいまや絶滅危惧種候補だろうか。
作者は浴衣の男女を見かけ古き伝統に共感したのだろう。巾着に目をつけたところが秀逸だ。





(7/14)

白雨来る雲の破れ目真青なる  のどか

白雨(夕立)の雲の流れは速い。たちまちやって来て激しい雨を降らし、さっと立ち去る。
こちらはまだ降っているのに、あちらでは雲が切れ青空が戻りつつある。
中七「雲の破れ目」の措辞が作者の発見だ。そこには真っ青な青空が覗いて見える。

大関博美 北野さんそのとおりなんですね。昨日の雨。
素敵な鑑賞ありがとうございます。





(7/13)

大団扇折れんばかりの野球場  祐

全国の各都道府県で夏の甲子園の代表を決める試合が始まっている。
各高校のチームは、県大会を勝ち抜き代表になろうと懸命に戦っている。
応援団にも熱が入り、大漁旗のような大きな団扇で自分のチームを応援しているのだろう。
中七の折れんばかり、が情景を見事にとらえている。

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。
これを励みに頑張ります。まさに鑑賞いただいたとおりの光景です。
12日に始まった千葉県大会初日、目の前の高校の応援に行きました。
真夏日に近いスタンドでの応援も熱いです!





(7/12)

烏賊の身が白くなるまで睦み合う  室木 助樹

烏賊は身の方が美味しいか、下足の方が美味しいかはその人の好みだろう。
下足は固いのでよ〜く噛まないといけない、学力=顎力がつくんだというダジャレがあった。
作者は身が白くなるまでと詠んだ。口の中で納得の行くまで噛み、転がし、身から出る汁を味わう。
そのプロセスはまるで男女の睦み合い(性交)のようではないか。
納得の行く下五の比喩である。あぁ、スルメが食べたくなった・・・・





(7/11)

宿酔と言ふに言はれず暑気中り  征一

昨夜は調子に乗って少し飲み過ぎた。二日酔いと正直に言えず、暑気中りだとごまかす・・・・

今村 征一 鑑賞されたとうりです。務めていたころよくありました。有難う御座いました。





(7/10)

哀しみの自由を抱へ天使魚  美音

この句を読んだ瞬間、脳裏に『悲しみよこんにちは』という言葉が浮かんだ。
フラソワーズ・サガンの小説で、ジーン・セバーグ、デボラ・カーなどの出演した1957年の映画。
17歳の私と恋人のフィリップ、父と愛人のエルザ、エルザの友人でバツ一のアンヌに
父は心を移してゆくのだが、アンヌは自動車事故で亡くなる。
束縛のない自由は、何故か悲しみを伴ってやってくる。そんな天使魚は作者自身のことだろうか?

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。
またまた私の心をお見通しで、でも今回はもっと人間の孤独にまで考えました。





(7/08)

日盛りに火を噴くやうな口ごたえ   ぶせふ

季語は日盛り(夏)。夏の一日の生活を大きくとらえながら、
その中のひとこまととして感じている言葉だ。
小気味良いまでの日差しの中で、中七下五がドラマを伝えている。
激しい口喧嘩、相手は誰なのか、家族、友達、近所の知人などいろいろと想像させる。

足立 光隆 北野さん、ありがとうございます。
ちょっとしたことを言われて口ごたえできないので、
俳句で爆発させてみましたw俳句とは有り難いものですねぇ^^。
北野 和良 そういった出来事を俳句に詠めるというのが凄いです。






(7/07)

目合ひて七夕の夜祈りをり   わえ

上五「目合ひて」にドカンと衝撃を受けた。
〈まぐあい(目合ひ)〉とは、情交。性交。
「唯その弟(おと),木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)を留めて
一宿(ひとよ)−したまひき/古事記 上訓」 のことで現代語としては殆ど使われない。
また、「俳句にふさわしくない 題は どんなものがありますか」とネットに質問が出る言葉の部類である。
だが、現代俳句に用例がない訳ではない。
〈まぐはひのしづかなるあめ居とりまく 鈴木しず子〉
〈初時雨魂まぐわう愛の中  詠人不知〉
〈天と地の神のまぐはひ野火駆ける  詠人不知〉
ただ、この俳句大学としては初出ではないだろうか。
俳句大学に平成の鈴木しず子現る!!!
わえさんの脱皮を祝し、今後に期待したくなった記念の句である。

片山和恵 北野さん 素晴らしい鑑賞をありがとうございます。
このお句がひとり歩き、いや 北野さんと二人歩きしているようです(笑)
神聖に体をかさねることも素晴らしい。
まぐあひは見つめ合っただけでわかりあえる魂の世界
言葉も体も超えてしまう魂の世界    そしてそれは七夕の夜だから…





(7/06)

旅に買ひ旅に忘れし夏帽子   征一

北野 和良 いい句ですね。昔スイスに行った時、女房がさっき買ったばかりの帽子を
何処かに置き忘れ泣いたことがあったのを思い出しました。
今村 征一 有難う御座います。私も何度かあります。傘は何十編も
小川 学 一句互選にいただきます。置いてきた帽子も旅の思い出。
今村 征一 御選句有難う御座います・





◆ 【埋め句】(もう一度)(たったひとり)

麦吹いてたった一人の下校班 のどか

頂きました。どの部活にも入らず、授業が終われば真っ直ぐ家に帰る下校班。
下五で納得。 同級生にもそんな子がいました。



浪人生たつたひとりの夏の陣    田中 由美子

頂きました。浜辺で、山で遊びたいのをこらえて一人参考書に取り組む。頑張れよ〜浪人生!
田中 由美子 北野さん、ありがとうございます!
ひとりで必死に頑張ること、貴重な経験になると信じて見守ります!(^o^)



もう一度君の乳房と蚊帳の中  ひさを

頂きました。嫌な蚊に邪魔されず、思いっきり戯れたい・・・・
Hisao Mogi ありがとうございます。青春時代の夢をもう一度ですね。



もう一度君と口づけ遠花火    清一

頂きました。部屋の窓から見える遠花火、ほらまた揚がったよ〜


もう一度我が人生に青嵐  美音

頂きました。枯れるのにはまだ早い。あの夏の嵐のような情熱を取り戻し・・・・
向瀬美音 さすが、北野さん、私の心をお見通し。北野さんの人生にももう一回青嵐を。



『もう一度名前を呼んで』と夏帽子  あきこ

頂きました。アキコさん、それはまるで言霊のように私を包み込む・・・・
木代 明子 北野 和良 さん ありがとうございます。夏帽子の季語の力のおかげです



もう一度訪はん橡の実熟るる頃  征一

頂きました。逢引きの後、次の日を約束するのは男のエチケット。


青葉木菟たつた一人の能の舞   草民

頂きました。「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」(敦盛)




ジュピターの天より垂れる蜘蛛の糸   清一

先日、アメリカの探査衛星が木星に到着して衛星軌道に乗ったというニュースが流れた。
今後、衛星が観測した木星のデータが、順次地球に送られてきて
太陽系の成り立ちについての貴重なデータとなることが期待できる。
木星からの電波はまるで細い蜘蛛の糸のように地球と繋がるのだ。
宇宙科学に期待する作者の思いの籠った句だ。

清水 憲一 適切なご鑑賞ありがとうございます。
幼い時から天文学に憧れていたものですからこの様な事になると直ぐに句になります。
人間関係の心理描写ばかり描いていては疲れますからね。(笑)
北野 和良 植物にもお詳しいと思っていましたが、
天文学にもとは!的が外れていなくて良かったです。
清水 憲一 物理学や数学、生物学、天文学、地学、化学皆理学部では習いますから
大学の学部程度の知識はどの科目についても持っていますよ。(笑)





(7/05)    骨までも食べたき男明易し  美音

季語の明易しは、夜の短さを惜しむ気持ちを表している。
愛し合う二人は恍惚の時間がいつまでも続いて欲しいと願うのに、無情にも夜は明けていく。
貴方のことをこんなにも深く愛してる、骨までも食べてしまいたい・・・
そう言えばカマキリは交尾の後で雌が雄を食べてしまうのだと聞いた。
作者は先月〈南風骨まで溶けてしまひさう〉と詠まれた。究極の愛は骨までも。
ここまで愛されたなら、男たるもの潔く食べられてしまうのが宿命かもしれない。

向瀬美音 素晴らしい鑑賞ありがとうございます!





(7/04)

捩花や潮の香のする髪を結ふ  祐

海水浴に来て浜辺で遊んだ後、身だしなみを整えお下げの髪を結う。
髪の毛に潮の香りが残っている。
捩花という季語から長い髪を三つ編みにする様子、
健康な少女の姿が思い浮かぶ。

牧内 登志雄 北野さん、これはずいぶんと悩んだ句なので「互選」に選んでいただき、
素晴らしい鑑賞をしていただき、嬉しいです。ありがとうございます。





(7/03)

美容師の主夜釣りに行つたきり  満徳

『記事に必要なのは5W1H』と言われているが、俳句の十七音で総てをカバーするのは不可能に近い。
だが情報不足の分だけ疑問が生まれ想像が膨らむのも事実。
夜釣りが夏季語であり、大まかな状況理解は十分だが、
美容師の主、普通なら女主人だろうがひょっとしたら髪結いの亭主かも知れない。
この句で一番気になるのが下五だ。「行ったきり」とは帰ってこないということか。
不漁で粘ったいるのか、大漁で時間を忘れているのか、それとも事故にでも遭ってしまったのか・・・・
「それを言っちゃ、おしまいよ〜」。俳句の真髄を心得た作者の抑制に脱帽するしかないと思った。

永田 満徳 選んで頂きありがとうございます。
美容師のご主人が釣り好きで、釣りに行けば釣り果があるまで帰らないと言ったのが面白いと思いました。
北野 和良 そうでしたか。私も以前一時住んでいた鳴門では、
小アジや小鰯をよく釣りました。海辺に近い方が羨ましいです。





【第7回 ラ・セゾン プレバト句会選句】

【特選】 大穴の一点を買ひ黒ビール    桧鼻 幹雄

競馬の重賞レースで思い切って大穴の一点買いをした。
出走を待つ間、ドキドキしながら黒ビールを飲む。
結果が出るまでの僅かな間だが、夢は大きく膨らむ。さて結果は?


(並選) 指触れて花火子宮に響きけり  美音
夏休み日程表に絵文字貼り   陣内 良輔
授かりし呱々の声待つ半夏かな  今村 征一
妹をねだるおさなの笹飾り    北島 和弘
白地図の野山を夏が染めゆきぬ   加納 裕
(次点)  五ヶ月と微笑む女(ひと)の白日傘  平林 佳子
白靴を磨き揃へて旅支度   草民




(7/02)

夏暁や東の国へ旅立たん   孝之      梅雨闇を高速バスのスプリング   ぶせふ

虚子は、日常そのものが俳句であり、「寒くなりました」
「暖かくなりました」というような、挨拶そのものが俳句であると述べた。
お祝い事やその他の行事に招かれた人が、その時の気持ちを述べ挨拶をするーそれが挨拶句となる。
お二人はこの日東京キャンパス句会に、
遠路福岡から新幹線、岐阜から高速バスで上京し句会に参加された。
句会へ参加の意気込みと、句友に対する挨拶を詠んで頂いたと見た。
句会でのご活躍と懇親会での楽しかった歓談に感謝したい。

足立 光隆 北野さん ありがとうございます。
北野さんが古事記を語る眼の光は少年でした。(笑) 私も恋の歌を詠わねば♪
原孝之 おはようございます。小5まで一緒だった横浜のパン屋さんの社長さんと昨日も飲んでました。
互選のお礼が遅くなりました。有難うございます。





(7/01)    水を打つより茶屋町のゆふべかな  征一

作者の住まれる金沢の茶屋町だろうと調べてみた。
『卯辰山山麓を流れる浅野川の川岸には、
今でもキムスコ(木虫籠)と呼ばれる美しい出格子がある古い街並みが残り、
昔の面影をとどめています。灯ともし頃にもなれば、
今でも軒灯がともる茶屋から三味線や太鼓の音がこぼれてきます。
五木寛之著「朱鷺の墓」の舞台としても知られています。
また、平成13年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、
「街並みの文化財」として保存策が進められています』。
夏の今頃は打ち水をして涼をとる習わしが今も続いている。
地元の人が誇りにしている町の風情が鮮やかに浮かぶ句だ。
上五水を打つの措辞に痺れた。

今村 征一 御選句並びに的確な御句評有難う御座いました。








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