俳句鑑賞文(復刻版)    2016 June        トップへ   



小説家は、「作品を発表した途端、主人公は一人歩きを始めてしまう」とよく言う。
読者が小説を読み、主人公に感情移入をし、更に主人公の性格に想像を膨らませて行くことを言うのだろう。
俳句は未完成な文芸で、読み手の鑑賞により初めて完成するという説がある。
作者の意図を感じ取ることは大切だが、十七音で提示される情報にはどうしても限界がある。
季語を頼りにし、作者の述べ切れなかった事を自分の想像で補うのが鑑賞だ。
とんでもない見当違いの鑑賞をしてしまうこともあるだろうが、それを恐れることはない。
百人が鑑賞すれば、百通りの句が完成するということだろうか








(6/30)    茅の輪へとくぐる黄泉より生還し  ぶせふ

陰暦六月晦日の夏越の祓の時に、人々は茅の輪をくぐり身についた穢れを祓い、無病息 災を願う。
この大祓の初見は、『古事記』第14代仲哀天皇の段に見られるほど古くからの伝統行事だ。
作者の言う「黄泉より生還」は次の古事記神話を指しているようだ。
『男神・イザナギと一緒に国造りをしていた女神・イザナミが亡くなり、
悲しんだイザナギはイザナミに会いに黄泉の国に向かう。
そこでイザナギはイザナミの醜く腐った姿を見てしまう。
イザナギは黄泉比良坂まで逃げのび、そこにあった桃の木の実を投げて追手を退ける。
イザナミは怒って、毎日人を1000人殺してやると言い、
イザナギは、それなら毎日1500人の子供が生まれるようにしようと返して、黄泉比良坂を後にする』。
古式にのっとり八の字を描きつつ茅の輪を三回潜る神事に、
遥かな国産みの神話へ思いを馳せる雄大な句である。

足立 光隆 北野さん お選び頂いた上に句を上回るご鑑賞ありがとうございます。
確かに神話と、日本の生活 風習は密接に繋がり いまに生きていると感じます





(6/29)    南風骨まで溶けてしまひさう   美音

おだやかな晴天の南風に身を任せると何とも言えない良い気持ちになる。
作者はこの気持ちよさを「骨まで溶けて」という言葉で表した。
「骨」という禍々しい言葉にこのような情感を最初に託したのは誰だったのだろうか。
私は「骨まで愛して」という歌謡曲を思い出したが、この唄の頃作者は生まれていたのだろうか?
「骨まで愛して」は、1966年(昭和41年)1月に城卓矢がリリースし、
同楽曲を原作・主題歌とした同年7月9日公開の斎藤武市監督による
日本の映画( 渡哲也、松原智恵子、浅丘ルリ子らが主演した)である。
唄の歌詞にこうある。
♪ なにもいらない 欲しくない あなたがいれば しあわせよ
 わたしの願いは ただひとつ 骨まで骨まで 骨まで愛して ほしいのよ ♪
中七下五は相愛の人に抱かれて夢うつつになっている気持ちの吐露のようにも受け取れる。
美音ワールド全開の恋句である。

向瀬美音 身に余るご鑑賞ありがとうございます!







(6/28)

三味の音のたどりついたる金魚玉  をがはまなぶ      テケテケとエレキギターや走馬燈   草民

今日はお二人の句を同工異曲と見て合わせて鑑賞したい。
金魚玉も走馬灯も涼しさを演出する道具である。
エアコン等の無かった江戸時代、蒸し暑い時期を乗り切るためこれらの小道具を部屋の中や窓際に置いた。
釣り忍も同様、また風鈴は風に揺れる微かな音で涼しさを感じさせた。
お二人の句で、おがはまなぶさんは芸妓さんの弾く三味線の音、
草民さんはエレキギターの音と取り合わせることで、
いっときの清涼感を詠まれそれが読者にも伝わってくる。
江戸の知恵は現代にも受け継がれているようだ。

山野辺 茂 北野さん、素敵な鑑賞ありがとうございます。
小川さんの句と同席させていただき光栄です。
今日はビートルズが50年前に来日した日ですが、そのことを思って詠んだ句でした。
北野 和良 ビートルズ!!それで走馬灯だったんですね。読み違え、お許し下さい。
山野辺 茂 読み手のままに、です。読み違えはありませんよ〜。ありがとうございます。





(6/27)    しつかりと茅の輪潜る奈良の鹿  亜仁子

陰暦六月晦日の夏越の祓の時に、人々は茅の輪をくぐり身についた穢れを祓い、無病息 災を願う。
作者は奈良春日大社の茅の輪神事で、鹿も茅の輪を潜るのを見てハッとし、句が浮かんだのだろう。
私も先日TVニュースで、笠間稲荷神社では、
巨大な茅の輪を作り、乗用車に乗ったまま茅の輪を三巡りする
のを見て驚いた。
運転の安全を願う車のお祓いは所々で行われているが、車と茅の輪というのは珍しい。
鹿を発見した作者の眼に敬服した。

Aniko Papp 私の俳句を選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございました。とても嬉しいです。





(6/26)   

☆荒南風の大英帝国沈没か  桑本 栄太郎

英国のEU離脱の国民投票の結果は、世界中の政治経済に激震を起こしている。
離脱派が望んだ大英帝国のプライドは果たして取り戻せるのか。
今回の投句には同様の視点の句が沢山あるが、ずばり「沈没か」と詠み切った桑本さんの句を頂いた。

桑本 栄太郎 北野さん・・・席題一句選にお選び頂き、素晴らしいコメントも頂戴しまして大変有難うございます。
イギリスの「国民投票」は世界中から注目されていて、
残留派が少し優勢と云われていたのにも係わらず、離脱と決定しました。
国の内外に激震が走るばかりではなく、これまでも燻ぶっていたスコットランド、
アイルランドの一部、ロンドン市などに独立の機運が再燃して来ました。
キャメロン首相の後任者はよほど舵取りを巧み行わなければ
、誇りある大英帝国の権威は消滅してしまいそうです。
北野 和良 仰るとおりイギリスの混乱は他人事ではなくなりましたね。
日本の政治経済もしっかりと舵取りをして欲しいと願っています。
桑本 栄太郎 そうですね!!。沖縄の独立の機運も以前からあるようです。
元々琉球国であったものを、薩摩に吸されてしまった経緯がありますからね!




自己主張わたしわたしと燕の子   わえ

自己主張という措辞にドキッとさせられた。
親ツバメが餌を咥えて帰ってくると、
巣にいる数羽の小燕は身を乗り出し大きく口を開いて我先にと餌をねだる。
私も先日こんな句を作った。〈燕の子顔いっぱいに餌を待つ〉。
だが、小燕の自己主張は、兄弟を蹴落としてでも生き延びようとする生存競争なのだ。
(ペンギンなどでも同じだが)親鳥は力強い子を優先して餌を与えるという。
ひ弱な小燕は餌を後回しにされ、やがて脱落する。親鳥は兄弟の争いを勝ち抜いた小燕に次代を託するのだ。
人間の感覚では、残酷とも思えるこの習性は自然淘汰の本質を見せつけている。

片山和恵 北野さんありがとうございます。
燕の生態ひとつとりましても、自然の厳しさ偉大さを感じずにはいれません。
また人間に当てはめてみますとわたし私との自己主張ばかりでは、人間関係が上手くいきません。
しかし人は、相手を思いやるという素晴らしい心を持っています。
だから物事もスムーズに進むのではないかと思ったりしています。




【第6回 ラ・セゾン プレバト句会選句】

(特選) 阿で生まれ吽で死にゆく星涼し   清一

読んだ瞬間、辞世の句のようだと思った。
人生に達観し、宇宙の総てを見通し運命に身を委ねる覚悟を感じた。

清水 憲一 北野さん 特選に選んで戴いて光栄です。今後とも人生を極めて行きたいと思います。ありがとうございます。




(並選) 香水や女はふたつ顔を持ち 美音

      釣りあげし鯰の顔は哲学者 今村 征一

     涼しげに河童屁をこき通りけり   ぐずみ

     二ノ腕にゆふがほゐちづと彫りてあり  加納 裕

     水出しの涼しかる音飲み乾せり  ぱそ夢

ぱそ 夢 北野さん、水出しの句、自分の句では一番好きな句でした。ありがとうございます。
北野 和良 ぱそ 夢 さん、多分水出しコーヒーだと思い、贅沢だなぁと感心しながら読みました。
ぱそ 夢 ハイ、そうです。ここひとつき、水出しコーヒーの旨さに、ひたっています。
香りも良くて、とても癒されます。でも二、三杯入れるのに、2時間もかかります┐(-。-;)┌





(6/25)    梅雨寒や人気のカフエに待ち時間  十河智

梅雨の時期だが今日は北風で肌寒い。街へ出たがショッピングにも疲れ一休みし暖まろうとカフェへ。
いつも馴染みのカフェだが今日は混んでいる。カウンターで注文しようとすると
「お客さま、先に席を確保してからご注文下さい」と言われた。
どこか空いているかなあ〜
何気ない日常の一コマを切り取った詠者の気持ちに同感した。

十河 トモ子 北野さん、鑑賞いただきありがとうございます。早く席に着きたい時ほど込み合うのです。智
北野 和良 トモ子さん、お気持ちよく分かります。





(6/24)    山笠の用意整ふ博多かな  孝之

博多祇園山笠(季語・夏)は、各町に十数メートルの飾り山笠が展示され、
締め込み、水法被姿で山笠と呼ぶ大きな山車を担ぎ「オイサ、オイサ」と勢い水を浴びて豪快に走る。
博多の人々にとって待ち望んだ夏祭。詠者は淡々と詠んでいるかに見えるが、
内心の興奮を抑えきれないでいる様子の覗える句だ。
原孝之 北野さん、素晴らしいご鑑賞有難うございます。北野さんはご覧になったことありますか?
昨年、私は追い山を見に行きました。ホテルオークラの部屋からはラストシーンが見れます。
北側の部屋からです。7月15日は予約でいっぱいだろうと思いました。
北野 和良 TVニュースなどで見て知っていますが、まだ行ったことはありません。またいろいろ教えて下さい。
原孝之 北野さん、ぜひ一度お出かけ下さい。中学の同級生3人が今でも山笠に出ております。頼めば詰所にも行けると思います。





(6/23)    清水湧くその賜物を与へたし 美音

森の奥の泉から清水がこんこんと湧き出している。
空から降った雨水が地中に滲み込み濾過されて泉に現れる。
山道を登ってきた岳人にとっては、まさに天の恵みだ。
”与へたし”の主語は天の神だろうか?

実は、今日の詠者が投句した3句は、セットになっているのではないだろうか。
合歓の花五十路に与ふ愛を知る〉     〈 押さえても膨らむ心夏の雲
”与ふ愛を知る”は、「愛は惜しみなく奪う」ではなく、与えるものだと言い切り、
”押さえても膨らむ心”と相手に対する愛情を吐露している。
この物語の流れから最初の句を読むと、主語は”私”となり”清水”も”賜物”も
”愛”のことを暗喩していると思われる。
自立した女性の自信に満ちた句だと敬意を表したい。 。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。北野さんは私の心を読み尽くしているようです。






(6/22)    甲斐の山揺らぎし蝉の鬨の声   正則

甲斐と聞けば戦国武将・武田信玄を思い浮かべる。
無敵の騎馬軍団を率い上杉謙信(川中島の戦い)や徳川家康(三方原の戦い)と
覇を争ったが、病に倒れ勝頼の代に滅亡した。
(私は現役時代に甲府に4年間単身赴任した経験があるが、)
山梨県人は今も郷土の英雄として信玄を崇拝していて、宴会ともなれば
武田節『♪ 甲斐の山々 陽に映えて〜 われ出陣に 憂いなし〜♪』が必ず唄われる。
詠者は甲斐の山に響く蝉の鳴き声と武田軍団の鬨の声とを重ね、在りし日の信玄を偲んだのであろう。
句を読んだ瞬間、戦国の世に意識をワープさせてくれる雄大な句だ。





(6/21)    流用の退職ボーナス夏旱 俊克

この句は時事俳句として鑑賞してみたい。
季語の「夏旱」は、『太平洋高気圧に覆われて、連日雨が降らずに日が照りつけることをいう。
旱魃とも言いい、地面は渇ききって草木は枯れてしまう。
農林災害はもちろん、人々の飲料水にも深刻な打撃を与える。』とある。
天の無情に為す術もなく、ひたすら慈雨を祈る気持ちの籠った言葉だ。
上五中七は、公金であるべき政治資金を私的に流用し、
その発覚によって辞職に追い込まれた人物に、規則はボーナスや退職金を出すという。
庶民の感覚では、何でそこまでするのか? と理不尽さを覚え、天の公正はどうなっているのだと嘆くしかない。
新聞の川柳に《どうでなら無給でやると言いなはれ》とあった。
退職金など要らぬと見栄を切り》といかないものか・・・・・





(6/20)

気持ち良き夢枕なるハンモック 亜仁子

庭の木陰にハンモックを吊るして、うたた寝をしているのであろう。
日差しは柔らかく、そよ風が頬をなで、鳥の声が聞こえてくる。
午後のひと刻を切り取った気持ちの良い句だ。
まどろみの中で詠者はどんな夢を見たのだろうか?

Aniko Papp 私の俳句を選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございました。とても嬉しいです。





(6/19)

梔子の香を纏ふ一夜かな   わえ



梔子は梅雨時に白い花を咲かせ遠くまで香りを漂わせる。
「香りを纏ふ」という措辞で真っ先に思い浮かべるのは、マリリンモンローのシャネルNo.5だ。
何を身に着けて眠るのか尋ねられた際、映画スターは「シャネルNo.5を5滴」と挑発的に答えている。
また官能的だが媚びない気品のある印象のゲランのミツコにも思いが翔ぶ。
作者は梔子の香りを纏い愛する人との一夜に備えているのであろう。
抑制の効いた官能的な句だ。

片山和恵 北野さん誠にありがとうございます。
北野さんの鑑賞によりこの句がも一度息を吹きかけたように感じます。
エロではなくエロスという俳句の文芸をこれからも詠み続けていきたいと思っております。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
北野 和良 私はわえさんの散文詩も大好きで、先日のコラボにも使わせて頂きました。
また次の作品を楽しみにしています。




【第5回 ラ・セゾン プレバト】  選句

【特選】 なにもかもイェスで通すアロハシャツ  征一

 南国(ハワイ?)へ観光に来て、現地で買ったアロハシャツに着替えてさっそく街の探検に出る。
 作者は英語があまり得意でない。店員と軽口を交わす訳にはいかず、イェス、イェスの繰り返し。
自分に置き換えてもそっくりなユーモアたっぷりの句だ。

(並選)
 夕焼けや詩に支へられ生く私  美音
  言霊のすっと抜けゆく夕焼雲  田巻光
  掃除婦や床に打ち水してジッポ  ぐずみ


Guzumi Yamasaki 北野和良さま 並選ありがとうございます。
ただご確認しておきたき件、拙句、中七・下五『床に打ち水しジッポ』とされていますが、・・・・。
実は小生、1)打ち水しジッポが第一感にありましたが字数の関係で
2)打ち水しいジッポ3)打ち水してジッポ、で迷って3)の案で投句したのですが、
やはり下五が字足らずでも、1)案が佳いということなのでせうね、・・・
以上、念のため すいません余計な確認をしたかもしれませんがお赦しを  ぐずみ
北野 和良 ぐずみさん、よく見たら私の写し間違いでした。 でも、字足らずも気にはなりません。
掃除婦のおばさんが、掃除の後で一服、愛用のジッポで火をつける景がお洒落に見えました。

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!
田巻 光 北野様☆おはようございます♪
並選にお選び下さいまして、どうもありがとうございます♪ とっても嬉しいです(*^_^*)





(6/18)

〈寄り添へる二人ハイビスカスの蜜  孝之〉      〈膝寄せて手花火そっと渡しけり  美音〉

今日はお二人の句を合わせて鑑賞したい。
夏の夜、恋人同士のプレリュード。
孝之さんは、傍らに咲いていたハイビスカスの蜜に逢瀬の高まりへの予兆を見た。
また美音さんは勢い良く飛び散る松から儚げな柳にかわる線香花火、
「あらっ、終わっちゃった。まだ次があるわよ」とそっと手渡す。
触れ合った手は、第三楽章への予感。夏の夜は第四楽章のクライマックスへと・・・・・

原孝之 北野さん、素晴らしい鑑賞有難うございます。
東京で北野さんのクアドラプル(今のところ!まだ上もあり)をお祝いする焼酎を下げて行きましょう!
北野 和良 原さん、有難うございます。今度の懇親会は盛り上がりそうですね。
向瀬美音 北野さん、素晴らしい鑑賞ありがとうございます^^





(6/17)

〈浮いて来い君と抱き合ふところまで   清一〉      〈浮いて来い優しき人に包まれて 美音〉



今日「浮いてこい」の句がお二人からあった。
「浮いてこい」は夏の季語、子供の水遊びの道具と歳時記の説明にある。
浮いてこいの本意とはかなり離れた句に
《文芸に近道はなし浮いてこい  鈴木栄子(春燈)》   がある。
お二人の句はいずれも恋人同士が水中で抱き合っている景を思わせる。
抱き合った二人も水中でゆらゆらと浮遊している。
清一さんは何に対して浮いてこいと呼びかけているのだろう?
美音さんの句は自分たち自身が浮いていこうとする意志も感じさせる。
解釈は横において、愛し合うふたりの気怠い情感の伝わってくる心地よい句だと鑑賞したい。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。ところでここで登場人物は何人ですか?
北野 和良 登場人物は多分二人ですね?
向瀬美音 そうかな?
北野 和良 作者と相手、さらに浮いてこいと呼びかけている第三者の三人でしょうか?
 清一さんに聞いてみないと分かりません。

清水 憲一 北野さん遅くなりました。非常に論理的な素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。
私の場合は明らかにこの君とはただ一人の人を示しています。
それはどのような人物かは読み手に委せますが、恋人或いは意中の人または近辺の人と考えて貰っても構いません。
美音さんの句は自分自身が浮いて来たい心境を表すとも読み取れますが、
私の句の場合は、対象は他の人にあります。これは強い願いの句なのです。多謝です!(^0^)

北野 和良 清水さん、解説を有難うございます。先日にもありましたが、
同じような句趣が同日に二つ揃って投句されるというのは、不思議な同期ですね。
お二人には何かご縁があるのかも知れませんね(笑)






(6/16)    王冠のやうなトマトをお裾分け   えり

王冠のようなトマト、ってどんなトマトだろう? 大きくて堂々として立派な輝き。
そんなトマトが沢山採れた。ご近所のお友達にもお裾分けしてあげよう、優しい気持ちに溢れた句だ。
作者の人柄が覗える楽しい句だ。

Ogushi Eli とても素敵な読みをありがとうございます! 恐縮すぎて、夕食が喉を通りません!





(6/15)    夏至の夜はキスも短く魚となり  室木 助樹

この句も一昨日の木代 明子さんの「子宮の句」と同じように句意を掴みにくいという点で選んだ。
季語は夏至だから特に問題はない。捕まえにくいのは「キス」の意味だ。
下五に「魚」があるので、一見魚のキス(鱚)を思い浮かべるが、それだと鱚が短くなるとはどういうことかと疑問が湧く。
キス=接吻」と読むと、「魚となる」の意味が妄想を膨らませる。
古来「だまし絵」という技法がある。(写真参照)
絵の中のある部分に注目すると魚に見え、別の部分を注目すると蛙に見える。
人の顔と盃の絵もよく知られている。どちらが正解という訳ではなく、どちらも正解だとも言える。
作者はこのだまし絵のような効果を狙ってこの句を作られたのだろうか?



人は愛の行為を表現するために、いろいろな暗喩を使う。
 《白シーツ明日白鳥になるつもり》   辻美奈子
  《夜の梅鋏のごとくひらく足》     柴田千晶

作者は雌雄の魚が身をくねらせ接触を繰り返し産卵受精する様に我が身を重ねたのだろうか?
室木さん、ぜひ自解をお願いします。

室木 助樹 キスを接吻と解釈していただくつもりで詠みました。夏至は一年でもっともよるが短い。
それゆえに、男女がむつまじく過ごす夜も短い。ゆえにあわただしく接吻して・・・・。
魚(うお)となるという表現については、俗に、ごろんと疲れ果てて眠っているさまを、
マグロなどと呼ぶ場合もあり、また、井上陽水のヒット曲リバーサイドホテルの歌詞中にも
「ベッドの中でさかなになった後・・・」というラブシーンの表記もあったので参考にさせてもらいました。
だまし絵ほどの深読みではありませんが、キスと魚が出てきての面白さはちょっと、狙ってはみました。

北野 和良 室木さん、詳しい説明を有難うございます。魚という比喩、なかなか味がありますね。

室木 助樹 ありがとうございます。直接的な表現は、どうも恥ずかしくてw





(6/14)    今ついた嘘の傷口蒲の花 のどか

嘘をついてその場を言い逃れたとしても、自分は嘘だと知っている。
悔恨の気持ちは自分自身をも傷つける。
「蒲」と聞けば、因幡の白兎の古事記神話が頭に浮かぶ。
優しい大国主の命は鰐鮫を騙し傷ついた白兎に、♪ 蒲の穂綿に包まって〜♪と教える。
大国主の命さま、私を救って下さいぃ・・・・某知事も同じ気持なのだろうか?

大関博美 北野さん 一日一句相互選に御選びくださって、ありがとうございます。
意図してませんでしたが、自治俳句?  やはり、蒲の花は、予定調和だったと反省\(_ _)。

向瀬美音 人間は嘘を付くだろう。可愛い嘘なら許されても、
嘘の傷口となるにはもうちょっと重い嘘をついたのかもしれない。
作者の心情の吐露の素直さと蒲の花との響き合いに共感を覚えた。

大関博美 美音さん ありがとうございます。嘘について、考えてました。





(6/13)    夏時雨車中を子宮に誘いけり  木代 明子

実に不思議な句である。正直言って何を詠まれたのかがさっぱり判らない。
ぜひ作者の自解を伺いたいと思って今日はこの句を選んだ。
車中とは自動車/電車だとして、まず男の私には、「子宮」という実感が無い。
一般的知識で理解するとして、下の「子宮に誘いけり」とどう結びつくのだろうか?
だが作者の気持ちの中では確かに結びつく事があるのに違いない。
飛躍を結びつけるキーは何なのか、ぜひ作者にお尋ねしたい。

木代 明子 こんにちは。
雨の日に、特に夜に車の中でじーっと静かにしてると、なんとも不思議な感覚になります。
外にいるような、中にいるような自分の内と外がくるりと回って、
境がなくなって水の中に浮かんでるような気持ちになります。

子宮にいた時ってこんな感じかなぁってよく思うんです。
全部の感覚を子宮にとじ込めて感じているような気もします。
雨の日に車にいると、いつもなんとも不思議な気持ちになるので、
その不思議な感じを表現してみたくて作りました。

向瀬美音 すごい感性ですね!

北野 和良 明子さん、自解を有難うございます。
生まれる前の自分がお母さんの子宮の中でまどろんでいると想像されたんですね。
やっぱり女性ならではの感性ですね。

明子さん、美音さん、ちょっと難しい話ですがお付き合い下さい。
メビウスの輪(Mobius loop)」は、帯状の長方形の片方の端を180°ひねり、
他方の端に貼り合わせた形状の図形(曲面)である。
この帯状の輪の片側を”表”と考えて長さ方向にどんどん辿って行くと、いつの間にか”裏側”に来てしまう。
メビウスの輪を3次元に拡張したものを「クラインの壺」という。
壺の表側からどんどん辿って行くといつの間にか壺の内部になっている。
明子さんが『外にいるような、中にいるような自分の内と外がくるりと回って、境がなくなって』と感じられたのは、
体内に子宮を持つ女性だからこそ感じられる感覚ーーつまりクラインの壺を実感されているのだと思いました。
子宮を持たない男性には到底無理ということでしょうね



向瀬美音 なるほど、勉強になりました。この大学には博識が揃っていて勉強になりますね。
科学、物理、数学、文学なんでも勉強になります。

木代 明子 北野 和良 さん  なるほどー。
どんどん辿るといつの間にか内部に入っているって、確かに子宮とイメージが繋がります。
みなさま博識ですね。とても勉強になります(*^_^*) 俳句大学入って毎日楽しいです。





(6/12)    梅雨晴間雲に名前をつけて呼ぶ のどか

(席題互選)梅雨の晴れ間に出てくる雲は、入道雲でみるみる内に成長し、流れていく。
その雲に名前をつけて呼びかけるというのが実に面白い発想だと思った。
恋人の名前、友達、或いは子供さんだろうか? 「お〜い、そっち行っちゃ駄目だよ〜」



小雨降り更に色濃し花ざくろ  栄太郎

小雨の降る中で柘榴の花を見ている。石榴の花の色が、晴れた日よりも色濃く感じたと読める。
だが何回か読みなおしている内に
肉感に浸りひたるや熟れ石榴  鈴木しず子》の句がふと浮かんできた。
石榴の花には女性自身を想起させる作用があるのだろうか?
作者はどんなエロスを詠みたかったのだろうかと思った。

桑本 栄太郎 北野さん・・・一句互選にお選び頂き、
作者本人も気づかない素晴らしい深読みも頂き、大変有難うございます。
梅雨の時季となり、身ほとりのみどり溢れる中に雨に濡れる花柘榴の朱色はひと際見事です。
エロスまでは気付きませんでしたが、何やら心惹かれる想いは確かにありますね!!。





(6/12)  【第4回 ラ・セゾン プレバト句会】テーマ(gift)

特選 白玉の笑窪のかたち母娘かな  平林 佳子

顔つきも笑窪までもがそっくり似ている母娘。
まさに天からの贈り物。笑窪を白玉に見立てたところが新鮮だ。

平林 佳子 北野さん ありがとうございます。思ってもいませんでしたから 凄く嬉しいです。
以前お財布の開ける仕草迄そっくりだと言われびっくりした事がありました(笑)


並選 〈もう一つ喧嘩治めのメロン切る  征一〉
   〈泉湧く天から受けし恵みかな 美音〉
   〈激坂を越へて泉の甘露かな  加納 裕〉




(6/11)

夏帽子落ちる恐れや初キッス 亜仁子

初キッスの平均年齢は幾つだろう?大雑把に言えば思春期。
ワクワクしながらデートに出かけた、お洒落な夏帽子を被って。
お喋りをしている内に「キスをしてもいいかい?」と彼の目が言った。
恥ずかしいけど目をつぶり顔を上に向けた。ふと、「帽子、落ちないかな?」と頭の隅に。
微笑ましい青春の一コマが切り取られた句だ。



体液も汗もいとしきあなたかな 美音

美音さんの艶句パワーが爆発したような句だと思った。
言葉通り読んでいけば、成熟した女性の実感がこもっている。
婉曲に述べるというポエムに欠けるとして、賛否両論あるだろうが、
私はこのような句も有って良い、枯淡ばかりが俳の道ではなかろうと思う。
またこのような句を通して交流できる「俳句大学」を好もしい場だと思う。
(推測だが、伝統俳句系の句座では受け入れられないだろう)

こんな句を思い出した。
 〈愛咬の前後溶けゆく時間の端 〉   上野ちづこ―――『黄金郷(エル・ドラド)』1990





(6/10)    今日は次の二句を頂きました。

〈宝石の目を持つあなた七変化  孝之〉      〈愛されて女体の神秘七変化  美音〉

この二つの句は季語として「七変化」を詠み込んでいる。
季語と解釈すると「紫陽花の別名=七変化」と理解すべきだが、
単に花の名前と理解しても(七変化⇒紫陽花と置き換えると)句の面白さは伝わってこない。
季語と字面が示す本義の働きを持つ七変化という言葉を斡旋したところが手柄だ。

七変化の本来の語義は次のようだ。 〈七変化の語源〉:
歌舞伎舞踊のうち,1つの題名のもとに,異なった人物を扱った
いくつかの舞踊を扮装を変えて連続して踊り分けるものを総称していう。一人立が原則。
元禄年間 (1688〜1704) の女方水木辰之助の「七化け」が最も古い。
(狗・初冠の殿上人、白髭の老人・禿の小童・若衆の六方・女の怨霊・猩々の七役を早変わりで踊ったのが始まりという)

性質の異なる七つのモノに次々と変化してこそ七変化となる。
孝之さんは"あなたの宝石のように光る目"に七変化を見た。
また美音さんは"愛される女体の変貌に神秘な"七変化を発見した。
女性(女体)は愛されることによって無限に変化するーー
そのことを男の視点と女の視点から詠ったものだと解釈したい。

先人の次の句とも共鳴するだろうか。
《撃たれても愛のかたちに翅ひらく》  中村苑子
《人体の自在に曲る蛍の夜》  寺井京子
《百合みだら五つひらいてみなみだら》  時実新子


ちなみにランタナ(花)の別名も七変化だが、歳時記には採られていない。
また七変化という言葉は、舞台、演劇、ドラマ、小説、コミックスなどに広く使われており、
紫陽花の別名(⇒季語)という意味は希少例に過ぎない。

原孝之 北野さん、ご鑑賞有難うございました。
しかも、恋句の達人の美音さんと並んで鑑賞して戴けるとはこの上ない喜びです。
九州男児の無粋者がこのように並んで鑑賞させて戴けるとは俳句の無名性といいますか?そんなものを感じました。
俳句には、老若男女、粋無粋なしですね。作品から救われるものありです。

向瀬美音 北野さん、素晴らしい鑑賞をありがとうございます。まさにその通りです。





(6/09)    蜜豆のひと匙ごとのエントロピー   平林 佳子

”エントロピー”という言葉を知っている人は少ないのではないか。
物理学の言葉で、物質世界の偏りの度合いを示す。部屋を整理整頓しても、
いつか乱れて行くーこれをエントロピーが増大したと云う。
鉢に盛られたみつ豆は色も形もシェフの心が籠っていて整然としているが、
ひと匙ごとに食べていく内に形が崩れていく。
この極く当たり前の現象に”エントロピーが増大していく”と詠んだところに感服した。

平林 佳子 選んで頂きありがとうございます。
少し観念的になってしまいがちですね。気をつけなくてはと反省もしています。
私が変人であるがためにこんな事を考えながら蜜豆を食べる。。。
こんな自分が可笑しくてつい笑いが出てしまう(^^;;
そんな私をもう一人の私が見ているようで出来た句です。





梅雨空の隙間を付いてブーケトス   室木 助樹

西欧にはジューンブライドという言葉がある。だが日本では生憎6月は梅雨の季節だ。
結婚するご当人も、周囲の人達も式の当日晴れてくれるかどうかとヤキモキする。
さて当日ラッキーにも梅雨の晴れ間となり滞り無く式を済ませた花嫁が、
待ち受ける招待客にブーケを投げる。幸せのリレーを受け取ろうと娘達が手を伸ばす。
結婚式の場面が鮮やかに浮かぶ楽しい句だ。





(6/08)    一服の新茶に酔ひてプロポーズ   keiko

「酔った勢いで、つい・・・」という言い回しがある。
平常ならば理性で抑制する言動でも、酔うとタガが外れて予想もしなかった思い切った言動に奔ることがあるものだ。
作者は”新茶に酔ひて”と詠むが、如何に”新”茶とはいえ酔うことがあるのか? と不思議がらせるところがうまい。
さらに”プロポーズ”(したのか、されたのか、は不明だが)、「酔った勢いで、つい・・・」プロポーズ??
プロポーズというものは、慎重に考えた末に一大決心をして申し込む/受けるものであるはずで、
酔った勢いでなどとは言語道断という常識をあざ笑う姿勢が実に愉快だ。

Keiko Nakai 北野さん、素敵なご鑑賞、ありがとうございます!
新茶をいただくといい気分になる私。この状態を「酔う」と言ってみたくて使いました (*^^*)
後でググったら、ウィキペディアの「中国茶」の解説に「茶酔い」という言葉が載っていて、ちょっとガッカリ・・・
久々の投句をお選びいただき、またパワーが沸いてきました!





(6/07)    秘め事のまたひとつ増へ手毬花 美音

「あら、うれしそうじゃない? 何かいいことあったの?」「うふふっ、ヒ・ミ・ツ!」
こんな会話が聞こえてくるような句だ。
秘め事には、軽重、楽哀といろいろあるが、誰もが胸の奥にいくつかを秘めている。
手毬花の木はたくさんの花を付ける。
人はこんなに枝から溢れるようにたくさんの秘め事を抱え持っているのだろうか。
作者は秘め事を楽しんでいるようだ。





(6/06)

我が恋や寄せては返す初夏の海   わえ

作者は寄せては返す初夏の海の波を見つめている。
打ち返す波の動きは単調なようでいてよく見ると毎回微妙に異なるものだ。
複雑系で言う揺らぎの効果だろう。恋の気持ちにも揺らぎがつきまとう。
勇気を振るって近づこうとすると逃げる。引こうとすると追いかけてくる。
このじれったい心をどうすればいいのか、と波に聞いてみる。

片山和恵 北野さん  素晴らしい鑑賞をありがとうございます。
言霊たちが息を吹かえしていきます




【席題:薔薇】

薔薇は芽にぽちと膨らむ吾子の胸   征一

庭に植えた薔薇のつぼみがほんのりと膨らみ始めた。後何日かで大輪の花を咲かせてくれるだろう。
そう言えば吾子(お孫さん?)の胸も少し膨らんできたように見える。
あの娘が花嫁のベールを被るのはいつかなぁ。

今村 征一 いつの間にか大きくなりました、早いものです、今は高3です。有難う御座います。





【第3回 ラ・セゾン プレバト】(手、息、鮎)

(特選)   帰ろうか鼻緒の蛍ため息ぽ   平林佳子

  恋人と蛍狩り、「ほら、あそこの草叢にも」「あっ、あんなに高く飛んでいるわ」
今年は思いの外たくさんのホタルが見られた。「そろそろ帰ろうか」、
心残りだがふと足元を見ると鼻緒にホタルが戯れていた・・・・・
ため息「ぽ」の措辞が可笑しく秀逸だ。

平林 佳子 ありがとうございます? 信じられません!! 「ため息ぽ」が言いたかった句です*゜


(並選) ぽくぽくとパセリの吐息二年目の   小酒井あゆみ
     水中花息を漏らして泡となり     向瀬美音
     友とても縄張り入れず鮎の陣     ぱそ 夢





(6/05)    子宮疼く遠くで花火響きけり 美音

「子宮」という大胆な措辞にまず敬意を表したい。
男の私には、虫歯が疼くとか疲れた手足が疼くというのは体験もあり実感できるが、
子宮というと全くの未知の領域。
遠くで響いている花火の音に合わせるように体内でそこが疼く、隠微な想像を掻き立てる句だ。
時実新子の川柳 〈はぐれるとズキンと乳房だけになる〉 を思い出した。





(6/04)    星に手の届く富良野のキャンプ村  正則

富良野と言えば、都会人にとって憧れのリゾート地だ。
夏にはラベンダーが咲き誇り、冬は視野一面に雪景色が広がる。
広大な原野から見上げる星空は、都会のような人工の明かりで邪魔されることなく、
明るい星は手の届くような近さに感じられ天の川や星座もくっきりと見ることが出来る。
作者は飽きることなくいつまでも星空を眺めているのだろう。





(6/03)   

片陰に男出来たといふ噂 
→推敲 片陰の女もぬけの殻となる 孝之

「片陰」という季語を知った。朝方、或いは夕刻に近く建物に陰が出来る時刻を言う。
作者は推敲句も挙げているが、私は原句の方を採りたい。
大昔で言えば井戸端会議の噂だろうか。季語からすれば日陰の立ち話。
ご近所の奥様方が顔を寄せあってヒソヒソと噂話をしている。
噂話は蜜の味、と言うが本人のいないのを確かめた上で
「あの娘、とうとう男が出来たらしいわよ」 「そうそう、近頃化粧が濃くなってきたわよね」
などと格好の話題を俎板に乗せる。
噂話でストレスを解消するのも主婦の知恵だ。
こんな鑑賞で良いのかどうか自信はないが、想像を掻き立てる面白い句だ。

原孝之 北野さん、素晴らしい鑑賞有難うございます。
私は単に片陰が消えたのを女性に喩えただけでした。
北野さんのご鑑賞では実のご婦人たちが出てきて、たいへん愉快ですね。
そのご婦人たちが北野さんの噂をしていたら、これまた愉快ですね。





(6/02)    短パンの女子を吐きだす地下出口  栄太郎

添書に<阪急京都線河原町駅>とある。
河原町駅の地下出口からたくさんの女子が群れながら明るい日差しの中へ出てきた。
吐き出すという措辞から小走りに元気よくおしゃべりをしながら出てくる様子を想像した。
短パン、体育会系のジャージそれともホットパンツだろうか?
いずれにしても露わにされた太腿が日差しの中に眩しく、これぞ青春だと感じる一瞬だ。

桑本 栄太郎 北野さん・・・一日一句互選にお選び頂き、
素晴らしいコメントもお寄せ頂きまして大変有難うございます。
阪急京都線の河原町駅は最終駅であり、地下に到着致します。
所要にて京都市内から戻り河原町駅に入ろうとすれば、ホットパンツ、ショートパンツ姿の
太腿も顕わな女性がどんどん出て来て眩しいほどです。





(6/01)    開くとき吐息漏らすや水中花 美音

水中花の乾いた花びらが、コップの水の中でゆっくりと開いてゆく。
作者にはまるで花びらが漏らす吐息が聞こえるように思えた。
ポルノ小説では花びらが女性自身の暗喩として語られることが多い。
吐息を漏らしながらゆっくりと開いてゆく女体を思わず思い浮かべてしまった。
女体は吐息で自らの気持ちを高めてゆくのだろうか?








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