My 俳句手帖(復刻版)    2016 May        トップへ   

                                               ⇒  一日一句鑑賞文(16-05)



(5/31)

胸奥のしのぶもじ摺半風子

(漢字パズルで半風子:シラミ:夏の季語を知ったので使ってみた)


ラベンダー恋の仲立ちするように     


ごきぶりに託つけ母に甘える子




(5/30)

嗜みは五分前ぞと時計草       時計草遅れ許さぬ人のゐて




      時だけが静かに流れ花菖蒲




(5/29)

【席題:梅雨】

静寂が息をひそめて梅雨の入り

落着いた確かな歩み梅雨始まる

迎へ梅雨別れた人の面影に






(5/28)

カワセミのさっと反転ダイビング      銭湯で富士の絶景独り占め   (川柳)


【第二回 プレバト:テーマ〈〉】

@ 露天風呂若葉風をもひとり占め

A せせらぎはリストの調べ夏座敷      (ぱそ 夢選)

B 待つ間使いなさいよ水団扇

C シャワー浴ぶ間ももどかしき夕蛍

D 草叢に光溢れて夢幻




(5/27)

若葉風鹿の混浴許そうか      鈴蘭や四十八手のどれにする


雨空を睨んで恨む夏ゴルフ      雨空を恨んで睨む栗の花






(5/26)

紅薔薇や過去も未来も脱ぎ捨てて     


伊勢志摩は厳戒態勢箱眼鏡


緑陰や近頃流行りのおにぎらず

田中 由美子 一日一句互選に頂きました。
ご飯を握らずに具材やタレを挟んで海苔で巻く。半分にカットすると和製サンドイッチのように見栄えも良い。
今や主婦にとっては何とも手軽で定番のあるおにぎらずですが、知らない方も多いのかもしれません。
緑が茂る公園の木陰できっと初めて食べるおにぎらず。
妻の作ったものをひとり「へぇ?、これが流行りの?」なんて思いながら頬張る。
もしかしたら妻も一緒なのかもしれない。
大げさなお弁当を広げるよりもかえって親近感のある相手の存在を感じる。
木陰の涼しさを感じつつ、微笑ましくほっとするお句だと思います。

北野 和良 由美子さん、素晴らしい鑑賞をして頂き、有難うございます。
私自身先日TVの番組で見るまで「おにぎらず」という言葉を知りませんでした。
コンビニ等まだなかった頃遠出する時には妻がおにぎりを作るというのが定番でしたが、
最近はコンビニに頼りっ放し。おにぎらずでまた自家製へ復帰するのでしょうかね。





(5/25)

      若夏や風の余白に麦撫子

麦仙翁 (むぎせんのう)(アグロステンマ、 麦撫子(むぎなでしこ))
・撫子(なでしこ)科。 ・明治時代初期の頃に日本に渡来。
・葉っぱは細長く、 「麦」にたとえられる。
・うすいピンク色の花が、 5月頃に咲く。
・ヨーロッパでは ”麦畑の雑草”として たくさん生えてくるらしい。



お暇かしらメールで誘う麦わら菊     


      庭石菖気づきの力内に秘め




(5/24)

      群れポピーはるか紫峰は霞たり


新樹光都市型野菜工場に     


心太生存する知一突きに

平林 佳子 佳子選   きちんと鑑賞出来ていると良いのですが。。。
心太を突く作業をもって人類の生存する知恵をも一突き!!と理解しました。
奢っている私達など心太の様なものだ もっと真摯になりなさい と言う事だと思います。
しっかりしなくてはいけませんね。叱られた気持ちです。

北野 和良  佳子さん、素晴らしい鑑賞をありがとうございます。
仰るとおり人類は知を誇っているが、それは心太の一突きで崩れ去るような脆いものだとおもいます。

平林 佳子 北野さん 私の方がお礼を言わなければ。少しずつ勉強させて頂いてます





(5/23)

ソーダ水飲みてボケからカムバック     


      聖五月壊れた脳に森林浴




(5/22)

木下闇ヘラオオバコの宇宙船      


      ぼうたんや新たな出会ひ匂はせり


シャワー浴び余韻にひたる夏館     




(5/21)

【筍】 席題

筍のえぐ味を愛でて半世紀

真竹の子十二単を脱ぐやふに

筍の飯と刺身と筑前煮





鳳仙花耳に弾けるイタリア語


      芍薬や恋の予感に色づいて



【第一回 ラ・セゾン プレバト】

狙い撃ち落としてみせる黒揚羽   今村征一選  入選

薫風に髪を靡かせまっしぐら   清水憲一選   秀逸

髪切ってわたしの恋も衣替え   北島和装選   入選



夏期講習センセ虜にこの髪で    朝シャンの髪を乾かす夏セーラー

セーラー服脱いで今日から夏女    この恋に命をかけて髪を切る







(5/20)

靫葛毒蛇踊らすサキソフォーン     


      十薬も蓼食う虫の好き嫌い





熟メロン香も味もまるであの     

高橋 亜紀彦 「一句互選」   あのとはどの何なんだろう?などととぼけていても仕方ないが、
自由な行動(熟れたメロンを味わうような)が、制約されている我が身には、なんとも狂おしく悩ましい一句である。
(あ〜、喉から手が出そうである!)





(5/19)

うつぼかずら夏に元気な肉食系

   

(ウツボグサ/靫草は夏の季語にあるが、  ウツボカズラ/靫葛は季語にない)


      夏の空みらいを食べる雲もくもく


夏の浜アンドロイドが恋敵     

十河 トモ子 十河智選 この頃は、電車のなかだけではないようです。
泳ぎに来ていたり、二人の語らいの場であるはずの夏の浜でも、アンドロイドに向き合う姿があるのですね。
現代を捉えていて、益々恋のできない若者が増えそうで、お婆さんは心配です。





(5/18)

      草食系じれったいわと百合の花


車窓から夢を読み解く夏帽子     


      水滴にバラの宇宙を閉じこめて




(5/17)

鰹潮ふと口に出る高知弁

壁ドンの至近距離からはたた神


あの丘で卯の花崩しの別れかな     

(卯の花崩し:旧暦四月に降り続く長雨のこと。旧暦四月は卯の花の月。
この頃 の長雨が美しく咲く卯の花を腐(くだ)す、つまり腐らせるので はないかと気遣いから、こう呼ばれる。)

本屋で適当な本を見つけてその題名から句を作ってみるという試みに挑戦してみた。





(5/16)

夏木立ポップカラーのキスの味


      ヒロインのパセリの苦味癖になり


石楠花や命の領分心得て     


AIが心を持つ日夏木立


      ブラシの花磨いてみたいカバの口




(5/15)

【席題:青葉潮 3句】

ほろ苦きブラジルショコラ青葉潮

「席題一句互選」 十河智選 とさせていただきます
青葉潮の感じられるところ、岬の展望だろうか、浜の渚打つところだろうか、
取り合わされたほろ苦いチョコレートが最高に思われる。
絶対に甘いものではいけないと思ってしまう。
しかもブラジルチョコレート、うん?、これってどんなものか知らないけど、
またとてもビターなチョコなんだろうな、と思ってしまう。楽しい。智



青葉潮空手少女の型の冴え

青葉潮鰹のぼりの泳ぎをり





万緑に裸身恥らふエヴァの像     




(5/14)

句敵の一人が欠けて五月闇

      芍薬やアイドル歌手と生電話


日曜の朝は金色山法師     


ドローンや親の真似する燕の子

十河 トモ子 「一日一句互選」十河智選とさせていただきます。
時事を含んだ俳句で、親の真似しつつも、この子の巣立つ空にはドローンが飛び、
親の飛んだ空より危険の多い環境なのだ。人間界にも通じるものが感じられた。





(5/13)

      枝豆や乗合バスに行儀よく




(5/12)

「和」良しと父の名づけて喜寿の夏   (佳子さんの句を真似て)


ムギナデシコの群れ咲いて五月晴れ     


群れ燕金髪野郎のオランダ語


      ひなげしや風の誘いを知らぬげに




(5/11)

夏霞千里の道も一歩から     


      羽根のなき蟻の行列若冲展

足立 光隆ぶせふ選 【一日一句互選】若冲は江戸時代後期の天才画家である。
細密かつ大胆な絵には昨今人気が上がるばかり。展覧会には引きも切らない人の列。
北野さんは羽をもたない蟻に天才への憧れをあますことなく描ききった。私もまた同じ蟻です。





(5/10)

迸る命のあかし藤の花

今村征一選     山から湧いて垂れ下がっている藤の花。


マスクの子目を点にして星見つめ     

渡部 稲穂 審査は各自で行ってください。ざっくりプレバト風
ドボン人
@この画像=木星の説明に終わったなぁ〜って方
Aポエムになってない=報告=何かの説明になっちゃったなぁって方。
凡人
@木星を詠んじゃった〜って方
A発想は良いけど、ポエムが少し足りないかな〜って方。
才能あり!
@木星の画像から木星を詠まなかった方。

A木星の句だけど、ポエム満載な方。

あまり基準を設けてもつまらんので、
稲穂が夏井いつきの気分で採点するならこんな基準でするかな?的独断と偏向かもしれませんが、
みなさんそれぞれで採点してみてください。





(5/08)

エアコンの試運転する薄暑かな



      軽暖や水田に植える小さき詩

今村征一選    俳句はポエムだと云う見本のような句です。「小さき詩」が好き!


田植時水田に並ぶ小さき詩(ウタ)




(5/07)

軽暖やミニスカートの色選ぶ     


      肉弾のぶつかり合って弾け夏
(筑波大学セキショウフィールド)

フィールドの場所を間違え夏の雲     


ソーダ水泡の弾ける君が好き       ソーダ水ほどの軽さの君が好き

見栄を捨てシャイな心に衣替え




(5/06)

夏立つ日一番風呂の至福かな

オハヨーのキスで目覚める多佳子の忌

(月光にいのち死にゆくひとと寝る  橋本多佳子)



【北島さん主宰のしりとり俳句に嵌って】
4/29   7
4/30   7
5/01  11
5/02  13
5/03  26
5/04  12
5/05   8
(合計 84句)

全投句は500句を超えたようだが、その一割以上をカバーした勘定だ。
駄句ばかりだが、瞬発力の訓練にはなったと感謝している。

清水 憲一 此の手のしりとり俳句は私も以前稲穂さんと一緒で夏井先生のいつき組の連中とやっていました。
その時は、主催者が最初句を出しその句の末尾の2・3文字を最初に持って来て丸一日出句し
その中で一番好評だった句を次の日の最初に持って来ると云うものでした
そうなると選ぶのが大変なのでこのような形式になったのでしょうが、
どうしても時間ばかりを競うと推敲がなくなり未完成の句となります。
あくまで瞬発力を鍛えるためのゲーム感覚の遊びですね。
取り分け北野さんは語彙が豊富で瞬発力がお有りの方ですね。
今度は推敲の集中力を鍛えるしりとりを期待しますよ。!(^0^)





(5/05)

改憲のラッパの響き青嵐

おじいちゃんそれ違うでしょこどもの日

風を食べ草と格闘こどもの日



【しりとり俳句】

(初夏に列)⇒ 二裂して収拾つかぬ飛燕草

(夏立ちぬ)⇒ 茅渟(ちぬ)の海魑魅魍魎の皐月波

(旧制大阪高等学校寮歌
夕陽沈む茅渟(ちぬ)の海にこれを叫ばゝ 魑魅魍魎も影を潜めん。)


(夏めけり)⇒ ケリをつけ刀を収め夜鷹抱く

(若葉風   征一)⇒ 風を食べ草に寝ころび夏の雲

(こともあり)⇒ 有明袋に入れるあれこれ夏の旅  (有明袋:旅行に携えた袋)

(語らぬが華(はな)⇒ 花移りはしゃぎ声満つ子供の日

(雨蛙)⇒ Lサイズやっと見つけた夏衣

(五月かな)⇒ つかないと賭場をぬけ出す五月闇




(5/04)

オルガンの響き五月の風に乗り

Aniko Papp おめでとうございます。このお句を一日一句互選に選ばせていっただきました。
このお句の基底部は、【オルガンの響き風に乗り】です。
風が吹き、オルガンの音が遠く響いているんですね。
干渉部は、【五月】であり、このお句の季語です。
五月の暖かくて爽やかな風に乗るオルガンの響きは耳に楽しいであるわけです。
季語がよく働き、五月の上旬の季節感がよく伝われているお句です。



あの言葉本気だと知るみどりの日


【席題篇】

その夢は風に任せて目借時    【今村征一選「入選」】

初夏のうたた寝の膝暖かし

光る汗情事の後は竹の秋

土砂降りの雨の被災地春愁    【桑本栄太郎選「入選」】



【しりとり俳句】

(香水を)⇒ イオン水飲んでデートの夏帽子

(突入す)⇒ 薄物に着替え仕上げの香水を

(夏の旅)⇒ 旅土産あれこれ迷い甚平を

(十二社)⇒ 社会人そろそろ来るか五月病

(ねぶの花)⇒ 噺家が身振り手振りで水鉄砲

(心です)⇒ 手すりから身を乗り出して夏布団

(網をふる)⇒ 故郷へ思いを馳せるみどりの日

(梅雨の路)⇒ 未知数をXと置き水中化

(つばくらめ)⇒ ラメ入りと玉虫の衣装自慢

(般若湯)⇒  野党らの共闘模索夏選挙

(松囃子)⇒ ヤジロベエ右か左か夏念仏




(5/03)

【しりとり俳句】

(時計塔)⇒ 透視術使ってみたい山椒魚

(せんけつ=鮮血)⇒ 血統は由緒正しき釣り忍

(鵺ぞ鳴く)⇒ 泣く子にはアイスクリームをご褒美に

(手には汗)⇒ 焦らずにじっくり攻める夏の恋

(春の宵)⇒ 宵宮に人が総出の夏祭

(逞しさ)⇒ 仔細あり打ち明けられぬ美女桜

(女房)⇒ ボウフラが泳いでいるよソーダ水

(夏の山)⇒ 山からの木霊を連れて麦の秋風

(夏祭)⇒ 釣り銭を熊本地震へ夏の朝

(夏に入る)⇒ 入る時に要らぬ風呂蓋夏の宵

(祈る春)⇒ 春団治歌にも残る浮気者 (川柳)

(青葉闇)⇒ 闇に咲くハンカチの花見上げをり

(風薫る)⇒ オルガンで五月の風を吹き鳴らし

(強さあり)⇒ ありありと瞼の裏に鯉のぼり

(目玉出る)⇒ 出る出るとパチンコにはまる聖五月

(昼下がり)⇒ がりを載せ一気に貪る初鰹

(夏暑し)⇒ 対馬より海峡超えて夏の海

(番う蝶)⇒  酔うほどに言葉湧き出て茄子の花

(夏きざす)⇒ キザ過ぎる誘い言葉にてんとう虫

(本気)⇒ 本気だと思わせ嬲る嫌なやつ (川柳)

(月朧)⇒ ボロボロのハート繕ふ砂糖水

(夏別荘)⇒ 素麺は揖保乃糸よと夏の夕

(旦那逃げ)⇒ 逃げまわる子供追いかけ夏座敷

(夏の山)⇒ やましいと足が震えるアブラムシ

(ロードショー)⇒ しょーもない句でもひねって雲の峰

(秦山木の花)⇒ 離れてもまたついてくる糸トンボ




      ひなげしや風の便りを知らぬげに


憲法記念日バカ売れのカップ麺




(5/02)

半袖を恋に着替えて街は夏



【しりとり俳句】

(やり直し)⇒ 押花に命の形見姫女苑

(蕗の薹)⇒ 当落の花びら占い桐の花

(より来たり)⇒ タリバンの影のほの見ゆ蜃気楼

(春愁い)⇒ 「りぬ」と来てはたと停滞椎落葉

( 春愁い)レイモンドチャンドラー読む蜘蛛の囲

(野遊びす)⇒ ビスマルク髭をひねって牛蛙

(如何に)⇒ かにかくにしりとり続く夏の暮れ

(中華です)⇒ デスティニーひなげしの花と心中す

(春の暮)⇒ 紅のひなげしの花風に揺れ

(聖母月)⇒ つきのない勝負に掛けて五月闇

(黄金週間に)⇒ 堪忍はしても手の出る初鰹

(冷奴)⇒ 奴凧ギョロリ目を剥き改憲ならぬ

(闇の中)⇒ 野中より浜辺でしよう夏の恋




(5/01)

【しりとり俳句】

(山腰村)⇒ 村雨を遣らずの雨と勘違い

(暇もなし)⇒ なしくずしに気持ち溶けゆくアイスクリーム

(シャワーかな)⇒ 「かな」はもう種切れですと巣立鳥

(夏きざす)⇒ 座睡する鎌倉大仏夏浅し

(素足かな)⇒ カナブンに導かれゆく恋の闇

(聖五月)⇒ 語学校金髪野郎に一目惚れ (無季)

(朝の夏)⇒ 夏向きの恋に着替えてジキタリス

(衣替)⇒ モガ笑みし大正の街風薫る

(汗光る)⇒ 光る汗情事の後の青蛙

(柏餅)⇒ もちもちとムチムチとは違う風薫る

(五月祭)⇒ 幸先の良き知らせあり風光る



      五穀入りサンドさくさく五月晴れ


青空を呑み込み泳ぐ鯉のぼり

【原孝之選】:景が大きい。「青空を呑み込み」の措辞が雄大ですね。これで、子供の成長も間違いなし


メーデーや肩の児も鉢巻をして   (席題:メーデー)

【原孝之 】こんはんは。席題互選にいただきました。
【野島 正則】 席題選にいただきます。肩の子も一体感のある景。
現代では、一つのお祭りのような感じになているという感じも出ているとおもいます。



ヨーグルト一つ付け足し五月祭

【向瀬美音】 政治色がなくてヨーグルト!、バランスが絶妙だと思っていただきました。ほんわりさせられる作品です。









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