ミニ遍路 落ち穂拾い                2012/05/27--30              トップへ


昨年5月に鳴門に転居して以来、小刻みに回るミニ遍路を続けてきた。
2周目ということもあり、順番通りに回ることには拘らず、天候を見定めて2〜4日ほどのミニ遍路を重ねた。
汽車を使い拠点まで行き、そこから歩き始めて、また汽車で帰る、という具合に。
回り終わったお寺を消し込み、残りを調べると下図のような虫食い状態となった。

残りの15寺 をどう回るかを考えたが、四国全域に渡るので、汽車は便利ではない。
また、残った寺の多くは険しい山の上が多い。考えあぐねた末に、今回は車で四国一周 とした。



今回の行程は、
(1日目) #31 竹林寺 →#32 禅師峰寺 →ホテル(高知)
(2日目) #40 観自在寺 →#41 龍光寺 →#42 仏木寺 →#43 明石寺 →ホテル(宇和島)
(3日目) #45 岩屋寺 →#44 大宝寺 →#46 浄瑠璃寺 →#47 八坂寺 →ホテル(伊予西条)
(4日目) #65 三角寺 →#67 大興寺 →#66 雲辺寺 →徳島道経由鳴門へ

(1日目)
朝、鳴門を出発して、徳島道ー高松道を経由、高松市に入り、ホテルに車とリュックを預け、市電(土佐電鉄)で文殊通駅へ。
駅から歩き始め、南方の五台山を目指す。日曜日で、小学校では運動会が開かれていた。
#31 竹林寺(チクリンジ)のある五台山は、ちょっとした小山、山道を必死で登る。
昔、竹林寺の若い僧侶・純信が好きになったお馬さんの簪を買うために、はりまや橋まで通ったのもこの道だろうか?

登り切ると、牧野植物園 に入る。花を見る観光客もたくさん来ていた。
植物園を通り抜けたところに山門があった。

     

竹林寺は五重塔もある、大きな寺だ。丁度旧暦の花まつりで、甘茶の接待が行われていた。
帰る時、境内で新婚の記念撮影をするカップルに出会った。
綺麗な海岸や神社での撮影は知っていたが、お寺でというのは初めて見た。

     

道を南東に向かい、#32 禅師峰寺(ゼンジブジ)へ向う。
四国は、五月の節句も旧暦が多いようだ。鯉幟と大漁旗?のコンビが空に泳いでいる。
2時間ほど歩いてようよう禅師峰寺に着く。遍路標識ではなく車の為の標識は広い遠回りの道を示すのでちょっと迷う。

お参りを済ませ、桂浜を目指すが、海岸沿いに 2時間以上の遠い道だ。

     

道端に大きな船の形のレストランがあった。カツオ料理が自慢のようだ、さすが高知!

大きな浦戸大橋を渡りようやく桂浜に着く。竜馬記念館で竜馬さんと握手
浜辺に降りると、たくさんの親子連れ、観光客で賑わっていた。

最近は自家用車などで訪れる人が大部分のせいか、バス、タクシーはとても不便。
タクシーを呼んだが来てくれず、結局1時間ほど待って最終のバスで市内のホテルへ戻った。

     

(2日目)

高知から#40 観自在寺までは、およそ160km。初めは海岸沿いに南へ下り、やがて山に入り中村、宿毛を通って行く。
山また山の道を走っていると、四国は山国だ!と思う。そんな道を遍路姿で歩いている人がいる。
バスもろくに通らず、店もない山道だ。ご苦労さまと頭が下がる。

     

本堂前に、「独鈷」(一本刃)と「三鈷」(三本刃)が飾られていた。
密教の仏具だが、どんな効用があるのだろうか?

境内に三匹の蛙(栄かえる)がいた。説明によると、
1。親子孫と三かえる。  2.お金がかえる。  3.福がかえる。  4.病気が引きかえる。

  

#41 龍光寺へは車で2時間ほど。宇和島の平地にある寺だ。
お堂は古いが、地蔵様や七福神は真新しい。

     

#42 仏木寺(ブツモクジ)へは車で5分ほど。
堂々とした白木の山門だ。仁王様も胡粉の塗が新しく汚れもない。

この寺にも七福神が七体揃って祀られていた。この辺りの人は、一寺で済ませるのだろうか?
可愛らしい男女の道祖神もあった。

     

八幡浜方向へ北上し、#43 明石寺(メイセキジ)へ。この辺りはかなり市街地という雰囲気となる。
古びた山門をくぐり、階段を登って行き本堂に着くと、屋根の修理中でシートに覆われていた。
境内には、「夫婦杉」という古木があった。どれくらいの樹齢だろうか。

     

時間があった(四国は日の入り時間が遅い)ので、八幡浜近くの諏訪崎へ行ってみた。
三陸のような地形で、漁業が盛んな様子が覗えた。
今夜は、宇和島へ戻り、クアホテルー温泉施設で夕食は宇和島牛のステーキだ。

     

(3日目)

昨夜、地元のTV放送で、明日の通り道にある大洲城で、地元の画家・茂木ヒデキチ氏のライブペイントが展示されているというニュース。
チャンスだからと立ち寄ってみた。気儘旅の嬉しさだ。
大洲城天守(19.1m)は、8年前に木造で再現されたそうだ。江戸城天守(44m)や姫路城天守(31.5m)には及ばないが、
高知城天守(18.1m)、松山城天守(15.4m)、宇和島城天守(15.3m)、丸亀城天守(14.5m)よりも高いと自慢していた。

     

大洲城を後に、高速道を使い、松山から#45 岩屋寺へ。この寺もかなり高い山にあり、歩けば大変なところだ。
カーナビに目的地をセットしていたので何も疑わずナビに従って走っていた。
かなり近づいた辺りで、道の上に「→岩屋寺」という標識があったが、無視してそのままナビに従って走ったところ、
とても細い山道に連れて行かれ、かなり遠回りをしたような感じでようやく駐車場に着いた。
駐車場に居たおばあさんが、「こっちの道から来る方が道も広くていいんだよ」と別の道を示した。
そして、「カーナビはこの道を教えんらしいが・・・・」とも。

駐車場から岩屋寺までは、かなりきつい登りが続く。 途中、道の両脇に千体地蔵 が並んでいた。
岩屋寺は、大きな岩の崖にへばりつくように立っている。

       

垂直の岩壁には目や鼻、口に見える窪みがありまるで顔のよう。梯子があり上に登って本堂を見下ろす趣向も。
帰り道にまた「極楽橋」を渡り、幸運を祈った。

       

岩屋寺からの帰りは、来た道とは別の道を選んだ。広い道ですぐに県道へ出ることが出来た。
#44 大宝寺 までそれほど遠くはない。
大宝寺の本尊は、十一面観世音菩薩。境内の青銅製の像もよく見ると十一面だった。

     

#46 浄瑠璃寺 のご本尊は薬師如来様
境内に、「籾(モミ)大師」像があった。農業の仏様だろうか?

     

#47 八坂寺 は、本堂の欄干が朱色でちょっと珍しかった。
境内に、「閻魔堂」があり、「閻魔さまのその前で、嘘をついても始まらぬ」と書かれ、極楽浄土への通行手形の案内が。
1000円で極楽保証なら安いものか?

     

3日目のお参りが無事に済んだので、松山から高速道に乗り、伊予西条まで。今夜は伊予西条ステーションホテル。

(4日目)

今日は、3ヶ寺を回るがいずれも山の上。帰りの高速道を、高松道にするか徳島道にするかを迷ったが、
徳島道経由の方が少し短いので、雲辺寺を最後に回し、山越えで徳島道へ出ることに決めスタートした。

ホテルを出て、#65 三角寺 へ。駐車場から長い石段を登ると立派な山門。
この山門にも、釣鐘が下がっていた。一突きし一礼して境内へ入る。
ご本尊は、薬師如来さま。
◆ 是でこそ 登りがいあり 山桜     (小林一茶) の句碑があった。

     

#67 大興寺 の辺りは、広い県道に大型店やコンビニもありかなり開けた場所のはずれ。
古びているが落ち着いた雰囲気の寺で、山門の仁王様も迫力がある。

◆ 右ひけた さぬき路となり へんろ笠   誰の句だろう?
境内に、三鈷の松 とい大きな松の木が。 枝ぶりを三鈷に見立てたのだろうか?

     

#66 雲辺寺 は900m級の山上だ。歩いて登ればここも難所の一つ。
幸いロープウエイがあるので利用することにして、ロープウエイ乗り場へ行く。

◆ 旅うれし 只ひとすじに 法の道   今回の遍路もお終いだと思うと感慨深い。

雲辺寺ロープウエイは、全長2600m、高低差 657mを秒速10m、約7分で登る。
山上は16度で下界より10度ほど涼しかった。


     

ロープウエイ山上駅から雲辺寺へ続く参道は、徳島県と香川県の境目となっていた。

  

長い参道の両側には、等身大の五百羅漢さまがずらりと並んでいる。
五百羅漢にもいろいろあるが、この羅漢さんたちは、明らかにインド人風の風貌をしていて、
しかも一人一人実際のモデルがいたのではないか?と感じさせるほどリアルに彫られている。
(どこの国のどんな彫刻師が彫ったものか聞きたい気がする)

    

雲辺寺の山門、ご本堂は最近建て直されたようで、木の肌も真新しかった。(屋根は銅板葺)

     

境内に、「おたのみなす」という銅造りのナスが置いてあった。
このナスに座って祈ると願い事が叶うという。さて、何を願おうか・・・・・

◆ 石佛 濡佛 それも秋雨     ◆ 瀬戸の 雲辺や 秋景ほしいまま

     

4日間のドライブ遍路で、13ヶ寺の参詣が終わった。(残りは2ヶ寺となった)
井川池田インターまでの山道は難しい道ではなく、インターに入ると鳴門まではひと走りだった。
4日間の走行は、約950km。給油1回。高速は燃費も良いのが嬉しい。