向島百花園                     2007/09/04

東京都の『向島百花園』に、「萩のトンネル」があると知って、出かけてみた。
この園は、江戸の町人文化が花開いた文化・文政期(1804〜1830年)に骨とう商を営んでいた佐原鞠塢が交遊のあった江戸の文人墨客の協力を得て、
旗本、多賀氏の元屋敷跡である向島の地に、花の咲く草花鑑賞を中心とした「民営の花園」を造り、開園した。

ミヤギノハギ、筑波のススキなど詩経や万葉集などの中国、日本の古典に詠まれている有名な植物を集め、 四季を通じて花が咲くようにした。
「百花園」の名称は、一説では、「梅は百花に魁けて咲く」または「四季百花の乱れ咲く園」という意味でつけられたもの。
現在は、国の名勝及び史跡の指定を受け、東京都が管理している。

隅田川、墨提通りの近くにあり、東武線・東向島駅からが便利。(入園料 300円)

  
(オミナエシ 女郎花)     (百花園入口)

  
(ハギ 萩)     (ススキ)

萩のトンネルは、まだ時期が早く花は咲いていなかった。やはり9月後半が見頃らしい。
  
(山上臣億良の七草の歌)     (萩のトンネル・・・まだ咲いていない ↑ )

万葉の時代、山上億良の歌では、「ハギ、オバナ(ススキ)、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオ」を 七草と呼んでおり、
アサガオ→キキョウ、ムクゲ、ヒルガオ、アサガオ などと推定しているようだ。

  
(ゴジカ 午時花)     (タマスダレ 玉簾)

ごしか(午時花)は、アオギリ科ゴジカ属の一年草で、午後になってから花が咲く ことからこの名前に。
タマスダレ(玉簾)は、彼岸花(ひがんばな)科。別名 「ゼフィランサス」 学名から。 サフラン擬(もどき)も同名。「カンジダ」 学名から。
「レインリリー」 雨のあとで一斉に咲きはじめるところから。

  
(オイランソウ 花魁草)     (ヒオウギ 檜扇)

檜扇 (ひおうぎ) ・文目(あやめ)科。・葉の並び方が、「檜扇」という扇子みたいなもの (ヒノキの薄い板をとじあわせた扇)に 似ているところから。

  
(トウテイラン 洞庭藍)     (ハナトラノオ 花虎の尾)

トウテイラン 洞庭藍 胡麻の葉草(ごまのはぐさ)科。 ・花の色が中国の洞庭湖の水のように美しいのが名前の由来。
ハナトラノオ 花虎の尾 紫蘇(しそ)科。  ・別名 「フィソステギア」 学名から。 「角虎ノ尾(かくとらのお)」。
角虎の尾 → 茎が角ばっていて、花が虎の尾に似ていることから。 さらに、花が美しいので 「花虎の尾」の名前も生まれた。

  
(ワレモコウ 吾亦紅)     (長穂の吾亦紅)

ワレモコウ吾亦紅 薔薇(ばら)科。 根にタンニンが多く、止血効果のある薬として利用される。
別名は「吾亦紅」、「割木瓜」。 ・花言葉は「愛慕」(吾木香)

  
(センニンソウ 仙人草)     (ダンゴギク 団子菊)

せんにんそう ( 仙人草 ) 葉が枯れた冬に白い種毛が長くのび、まるで枝に雪が積もった様子を 仙人の白いひげにたとえた。

  
(ナンバンギセル 南蛮煙管)     (芭蕉句碑)

南蛮煙管 (なんばんぎせる) ・浜靫(はまうつぼ)科。 ・別名 「煙管草(きせるそう)」
・葉緑体をもたないため自活できず、薄(すすき)や茗荷(みょうが)などの根に寄生する。
・花の形が、南蛮人(昔のポルトガル人やスペイン人)の用いたパイプの”キセル”の形に似ているところからこの名になった。

春もやや  けしき ととのふ  月と梅 』     芭蕉