俳句鑑賞文(復刻版)    2017 Octorber        トップへ   




(10/31)

霧晴れて牛は牛たるさまで立つ   満徳

人間界の混乱を傍目に悠然と立ち草を食む牛の姿が見える。
永田 満徳 グループ管理者 ありがとうございます。
堂々とした牛の姿は阿蘇に似つかわしいですね。



(並選)

月夜茸魔女の寝床となりにけり  直

月夜茸を魔女の寝床と空想したところがとにかく面白い。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。



奥に入る陽の柔らかさ冬はじめ  百々寧

冬に入り太陽が低くなり西日は部屋の奥まで日足を伸ばすようになってきた。
夏のギラギラした陽射しではなく柔らかく優しい光だ。
木谷 有里 ありがとうございます。
猫のレオ君がいち早くその日差しを見つけてはゴロンとなります



天高し道見つけたり十五歳   真波

論語の「吾十有五にして学に志す」を下敷きにした句だと読ませてもらった。
息子さんが十五となり将来はこんな人間に成りたいと立志されたのだろうか。
しかし人生百年の長寿社会に突入し、今の十五歳の少年は立志とは程遠い
幼さの中にいるとしか思えない。日本の社会を若返らせるにはどうすればよいのだろうか。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
高校受験を控えて娘の突然の決意表明で、とても驚きました。
予想だにしなかった事です^ ^成長を感じ、意外でもありました。
親としては、全力でバックアップする覚悟もできました^ ^





(10/30)

熟柿落つ弁証法的着地かな  祐

熟し柿が自然に落ち地面にぶつかりべちゃっと潰れた。
弁証法とは哲学用語で素人の私には意味がよく分からないのだが、
柿の潰れた様子を弁証法的着地と断じたところに俳味を感じた。
牧内 登志雄 北野さん、特選ありがとうございます。
何故に「弁証法的」かは、読者にお任せしたいと思いますが、
渋柿が甘い熟柿になるところにヘーゲル弁証法的を少しお借りしました。



(並選)

木枯らしを一刀両断二人乗り   真波

高校生の男女が自転車の禁止の二人乗りをして風を切って走っている。
これが青春だ!一刀両断が効いている。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
若い子の無謀さ、羨ましくもあり、ハラハラもし、特権ですよね!



海よ海よ混声の波澄みゆけり  陽子

全国の学校の合唱コンクールの優秀校の放映を見た。
きっとそんな混声合唱のステージだろう。
澄んだ歌声とハーモニーが聴こえてくるようだ。
播磨 陽子 北野さん、ご選句ご鑑賞ありがとうございます。
次女の中学生活最後の合唱コンクールでした。
歌声を聞いている間に浮かんだ句です。



洛北の空わがものに山装ふ  美音

京都洛北の山の紅葉。空わがものにの措辞が素晴らしい。
向瀬美音 北野さん、ありがとうございます、
洛北、いなくて寂しいですね。





(10/29)

何処より来たる若木櫨紅葉   孝之

庭の片隅に櫨の若木を見つけた。気温も下がり一丁前に紅葉している。
植えた覚えはないが何処から種が飛んできたのだろう。
原孝之 北野さん、こんばんは。特選と素晴らしい鑑賞有難うごさいます。
嬉しいです。今日も句にならずに苦労してました。



(並選)

皇帝も男爵も濡れ秋すさぶ   百々寧

説明がないのでよく分からない難解句として読ませてもらおう。
男爵はじゃがいもだと推理したが
ネットで調べた60種類ほどの品種図鑑に皇帝はなかった。
ならば皇帝ダリアのことだろうか? どちらも雨風に濡れて可哀相だ。
木谷 有里 北野さん大正解です。ありがとうございます!!
あまりに雨が多くて花も作物も朽ちてしまったという話を聞いて。。
せめて句に詠んであげなくちゃと!



野の色に染まるキャンバス迷い筆   幸

野の花を写生しているが、思ったような絵の具の色が作れず迷っている。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様 お目を止めて戴きありがとうございます。
秋は色彩が溢れ最初の筆を置く事に逡巡が……!



2杯目のcafe苦し秋の長雨   林子

長雨でどこにも出かけられず、つい2杯目のコーヒーを。
コーヒーも苦いが、閉じ込められた私の心はもっと苦い思いだ。
鈴木 玉恵 和良 さん。 ありがとうございます





(10/28)

長き夜のかき起こされし熾火かな   真波

熾火を心の中に燻っている恋心と読ませてもらった。
それをまた掻き起してじっと見つめている。
切ない恋だ。火はまた燃え上がるのか、それとも消えてしまうのか・・・
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
燃えつきないよう、消し炭にならぬよう、コントロールが難しいものです^ ^



(並選)

藁塚や午後の光を呼吸する  直

藁塚が明るい光を浴びて立っている。光を呼吸するという措辞が新鮮だ。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。
モネの絵を思い浮かべて作りました。



葦手文字まるで小鳥のいくやふに  陽子

葦手文字とは『装飾文様の一種で、文字を絵画的に変形し、
葦・水鳥・岩などになぞらえて書いたもの。平安時代に始まり、
中世を通じて行われた。葦手書き』のこと。まるで
絵、象形文字のようにも見える。詠者はそれを小鳥のやふにと感じた。
この句で葦手文字を勉強させてもらった。多謝。
播磨 陽子 北野さん、ありがとうございます。嬉しいです。





(10/27)

秋光を分け合ふ空と海の蒼  美音

澄み切った青い空と蒼い海。燦々と降りかかる光を分け合っていると感じた。
取り合うのではなく分け合うというのが良い。
向瀬美音 ありがとうございます。博多湾みたいでしょう。



秋薔薇の一味違う香の色  俊克

秋薔薇を愛でる。下五の措辞が絶妙だ。
大久保 俊克 石井さん、北野さん ありがとうございます。
とっても嬉しいです。(*^_^*)



いびきさえかわいく見えて長き夜  紀宣

惚れてしまえばアバタも笑窪。いびきだって可愛く感じてしまう。
つちたに jt 純一 北野さん、並選に選んで頂きありがとうございます。
その通りです(笑)



雨しとど縄文遺跡に真弓の実   正則

縄文遺跡の発掘で真弓の実が見つかったのか、
それとも遺跡公園に真弓が植えられていたのか。
なんだか訪れてみたくなった。
野島 正則 北野さん、選、鑑賞ありがとうございます。
自分では気づかなかったことがいろいろと想像できるのですね。





(10/26)

頭から足の先までもみぢ晴   征一

見事に紅葉を通る光が全身を覆う。秋日和だ。
今村 征一 北野さん播磨さん原さん御選句と鑑賞有難う御座います。



(並選)

決定の時待つ大器石蕗の花  孝之

ドラフト会議で抽選結果を待つ選手。
原孝之 北野さん、有紀さん、陽子さん、有里さん、おはようございます。
ご選句と鑑賞有難うごさいます。清宮選手は日本ハムで良かったのでしょうかね?
王さんの指導を受けて欲しかったのですが、、。



椋の實に姦しきこと椋の鳥  祐

椋の木の実は人間にも食べられる。それを狙って食べに来た椋鳥。
椋と椋を重ねたところが作者の狙いだろう。面白い。
牧内 登志雄 北野さん、並選ありがとうございます。



とろとろとトロッコ列車の紅葉狩り  久美子

黒部峡谷のトロッコ列車を思い出した。
とろとろと(走る)という措辞が合っている。
山田久美子 北野 和良 様、ありがとうございます





(10/25)

秋日和風の誘ひに来るテラス  寛昭

涼やかな風の吹く日当たりの良いテラス。風の誘いという気持ちよさ。
古閑 寛昭 北野さん、選句頂きありがとうございます。嬉しいかぎりです。



(並選)

藁塚の名無し地蔵のごと並ぶ  紀宣

名無し地蔵に見立てたところが面白い。
つちたに jt 純一 北野さん、並選に選んで頂きありがとうございます。
嬉しいです。



秋雨にネオン揺らめき夜の更ける  俊文

ネオン煌めく飲み屋街に秋の雨。これぞ演歌の世界だ。
河野 俊文 北野 和良 さん、ありがとうございます。
雨にネオンが映えますね。趣があります。



笊持ちて飛び出す朝の新豆腐   幸

昭和のサザエさんの世界。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様
拙句に寄り添って戴きましてありがとうございます!
少し下町を意識して見ました。





(10/24)

初鴨の一声ありて郷の湖  寛昭

湖に初鴨が渡ってきた。静まりかえった湖面に鴨の声が高く響き、
また静寂を取り戻す。
古閑 寛昭 北野さん、選句頂きありがとうございます。嬉しく思います。



(並選)

白塗りのうなじ乱して野分過ぐ   玉有良

舞妓さんの情景だと読ませてもらった。台風は通り過ぎたがまだ風は強く、
うなじの髪を乱す。でもお座敷へ急がなくちゃあ。私はプロだから。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



鴨ゆくや首で風切る大落暉  祐

夕日を受けて鴨が飛んでゆく。首を前へ伸ばした様子はまるで
首で風を切っているようだ。首で風切るのの措辞に納得させられた。
牧内 登志雄 北野さん、古閑さん、並選ありがとうございます。嬉しいです。





(10/23

炉火恋し方言語り民話かな  俊克

囲炉裏を囲んで古老が民話を語り聞かせている。
方言混じりの語り口が懐かしい感情を掻き立てている。
大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。



(並選)

折れし枝道にはみ出す野分あと  孝之

台風で折れた木の枝が道路にはみ出し横たわっている。
まるでTV報道画面のような写生句だ。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
自宅の桜の木が今朝見たら折れて道路にはみ出していました。
高い所にあり、脚立を出してやっと届くかな?という位置にあり
そのままになっています。福岡市では、幸いなことに木が倒れて
大通りを塞ぐような事例は少なかったようです。但し、東区で
病院建設現場の足場が倒れて、歩いていた方が亡くなられました。
痛恨の被害者が出ました。



水筒の代わりの新高梨ひとつ   陽子

新高は大ぶりの梨の品種。水筒代わりに
子共さんのリュックに入れているお母さん。
播磨 陽子 北野さん、ご選句とご鑑賞、ありがとうございます。
実家から1ダース届き、本当に子どもたちに持たせたいくらいです。



割れそうな玻璃にワインを秋の宵   玉有良

秋の宵にワインを嗜む。割れそうな玻璃(グラス)とは?
思い出のこもったグラスでヒビが入りかけているが捨てられないのだろうか?
小出有紀 北野さんにありがとうございます。
台風接近の最中、素敵なワインバーに行ってました。
飲んだのはブルゴーニュではありませんが、
ブルゴーニュ型ワイングラスという形のものでいただきました。
持ち手も薄さも繊細ですぐ割れそうで緊張しましたf(^_^;)
北野 和良 そうでしたか。恥ずかしながら
ブルゴーニュ型ワイングラスというのは知りませんでした。
小出有紀 私も初めて知りました(笑)





(10/22)

空瓶になれば同じや新酒古酒   正則

日本酒は新酒・今年酒が珍重され、洋酒は年代物に値打ちがあるとされる。
だが中味を飲んでしまい空瓶となれば新酒も古酒もない。
こんな戯れ歌を思い出した
天子さまでも乞食でも風呂に入るときゃ皆裸
野島 正則 北野 さん特選いただきありがとうございます。
戯れ歌も、楽しい鑑賞、ありがとうございます。



(並選)

秋雨やけぶるプレハブ投票所  陽子

プレハブの投票所、被災地だろうか。近くの小学校の立派な校舎を有難いと思った。
播磨 陽子 北野さん、今村さん、ありがとうございます。



栴檀の実やすくすくと学ぶ子ら   孝之

栴檀の実は二葉より芳しいという。教師の生徒に対する愛情が溢れている。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
私の出身の小学校にある栴檀の大木を思い出して詠みました。



大空にもの云っている木守柿  流伴

梢にポツンと残された木守柿、大空に向かって何を訴えているのだろう。
柿の実に託して詠者は何かを言いたいのだろう。
流 伴 過分な鑑賞ありがとうございます 励みになります





(10/21)

イヤホンを二人分け合ふ冬隣  百々寧

恋人同士がiPodのイヤホンを片耳ずつ分け合って聴いている。
なんとも微笑ましい風景だ。
木谷 有里 北野サーーーン?ありがとうございます!
今日都内へ出かけるときにあと一句が出てこずに電車に乗ってました!
そうしたら目の前の若いカップルが二人でイヤホン分け合ってました!!
実況中継みたいな句になりました!



(並選)

新米やねんごろに研ぎ水控え  真波

ようやく新米が手に入った。
いつもより丁寧に研ぎ水は少しだけ少な目に。
美味しそうなご飯の香りが漂ってきた。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます
新米の美味しさは格別ですね^ ^



べつたらの市にケバブの異邦人 祐

浅漬け大根を売る伝統のべったら市。
いまや中東料理ケバブの露天も大威張りで並んでいる。
国際化は逗まることを知らない。
牧内 登志雄 北野さん、並選ありがとうございます。
現役時代には歩いて五分とかからない市だったのに、忙しくて回る
ことが出来ませんでした。ここ数年、やっとゆっくり回れるようになって、
いろんな発見があるものだと思っています。ただ、
当時の路地が無くなっていくのは寂しいですね。



宵闇や自由と希望のなじり合い  夢酔

今回の衆議院選挙を皮肉った句と読んだ。明日の投票には行くぞ。
室木 助樹 ありがとうございます





(10/20)

絹糸のレースを纏ふ藤袴   孝之

藤袴の花は白い髭のようなものが出てくる。
原さんはそれを絹糸のレースと見られた。
卓見である。ちなみに平安時代の女性は、
これを干した茎や葉っぱを水につけて髪を洗った。
また、防虫剤、芳香剤、お茶などにも利用したと言う。
原孝之 北野さん、こんばんは。特選と素晴らしい鑑賞有難うございます。
藤袴ですから、女性に見立てて、絹のレースを纏う麗人にしてみました。
半信半疑な出来栄えかとも思いましたが、ご共感下さり嬉しいです。



(並選)

水琴窟かそけき音の身に沁みて   林子(玉恵)

水琴窟に水の落ちるかすかな音、寂しげで季語とよく合っている。
鈴木 玉恵 和良 さん。ありがとうございます。嬉しいです。



天辺の雨に色づく庭の柿  栄太郎

天邊の雨の措辞に惹かれた。柿も色づきまもなく収穫の時期だろう。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
ここ数日秋雨の日々ですが、それでも柿の実が天辺から色づいています。
自然界はどのような条件の下でも受け入れ、子孫に繋ごうとしていますね?



容赦なき雨の礫や捨案山子  祐

捨案山子に激しい雨の礫が降っている。秋の寂しい風景だ。
牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。励みになります。





(10/19)

初鴨や柿色の脚の遊ぶ沼   真波

鴨の足の色が柿色という発見。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
鴨の羽ばかりに目が行って、先日ふと気がつきました。
アヒルと同じに橙色だと^ ^濁った水の中、とても鮮やかでした。



(並選)

秋雨のコキアの丘は染まる傘  俊克

コキアの丘と言えば国営ひたち海浜公園が有名。
雨の日もコスモス畑と合わせて風情がある。
大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです



青瓢日がな一日欠伸かな   百々寧

青瓢の形を欠伸と見切ったところが愉快。
木谷 有里 ありがとうございます!!
実はおととい一日中働きすぎて昨日は全く動けませんでした。
欠伸ばかりで思わず詠めました!!





(10/18)

連山のまぶたは重し霧襖  玉有良

京都盆地を取り巻く連山に深い霧が立ち込めてる。
その様子をまぶたは重しと措辞したところが新鮮だ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



(並選)

粧ひて山は日に日に変はりつつ  亜仁子

山の紅葉が始まり、日ごとに色を深めている。
日々の時間の経過を上手に詠み込んでいる。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、
ありがとうございます。とても嬉しいですね。



雨降ればあめに明るき泡立草  栄太郎

泡立草は外来植物で花粉がアレルギーの素になると嫌われる。
だが花は明るい黄色で華やかさもある。雨にぬれても明るさを失わない花だ。
桑本 栄太郎 北野さん、野島さん・・・大変有難う御座います!!。
背高泡立草の花が盛りとなって来ました。この花は雨模様の暗い中でも
透き通るような黄色を誇っていますね?



乱舞する健児の鼓動天高し  孝之

投句欄を見ると旧制高校の学生の像の写真があった。
詠者は理想と世間知との狭間に揺れた自分の熱い情熱を思い出しているのだろう。
原孝之 北野さん、こんにちは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
旧制高校に通い一年で廃校となった人も最早87才になります。殆どの健児たちは、
天国に旅立ったと思います。旧制高校は遠くなりにけりですね。





(10/17)

千年のらせん階段実紫   孝之

紫式部の実がびっしりと成り秋の日に輝いている。
まるで螺旋階段のように見えた。この階段を登っていくと
千年先の世界まで繋がっているのかもしれない。
千年と大風呂敷を拡げたところに俳味がある。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
らせん階段で私たちは紫式部と繋がっているかもしれませんね。
最初は、生命のらせん階段にしようかな?と思いました。
すると、渡辺格さんのモノマネになると判明しました。モノマネは俳句ではありません。
本歌取りが忌み嫌われるのも宜なるかなです。新しい表現にこそオリジナルがありますね。



(並選)

烏賊縮み芋煮崩れて夫婦かな  真波

烏賊と里芋の煮物を作っている。ぐつぐつと煮込むほど味がでるが、
その間に烏賊は縮み芋は煮崩れていく。破れ鍋に綴じ蓋のような私たち夫婦も
年を経て味のある関係になってきたようだ。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
味わいのあるご夫婦は素敵です^ ^



実朝の海へ芒のなびきけり  正則

実朝の海とは鎌倉の近く、由比ヶ浜辺りだろうか。
芒がなびいているのを見ると実朝の悲劇が心に蘇る秋だ。
野島 正則 北野さん、永田校長、選をいただきありがとうございます。
「実朝の海」の表現は俳句ならではの省略の仕方で、誰もが実朝の
箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ」の歌を思う。
実朝の海あおあおと初桜』 高橋 悦男
  句集『実朝の海』所収が特に有名ですね。



播磨灘一筆に染め月光の青   ひらいみつる

播磨灘の措辞で取らねばならぬと思った(私の故郷は姫路)。
昔「月がとっても青いから〜?」という歌があったなぁ・・・・
平井充 ありがとうござんす。たいした句ではないので申し訳ござりませぬ……





(10/16)

秋霖や乳房しとどに裸婦の像  祐

公園か湖畔か広い街路だろうか。裸婦像の乳房が秋雨に濡れている。
裸婦像と言えば珍しくはないが、男の私にはじっと直視するのが
何だかためらわれるものだ。女性はどう感じるのだろうか。
牧内 登志雄 北野さん、特選ありがとうございます。
たしかに、美術館でもない限り裸婦像を見詰めている男性は
妖しい感じがしないでもありませんね。でも、雨の中では周囲に
人もなく乳房から流れ落ちる雫を不思議な感じで見ていました。
雨の中、バラ園はさすがに閑散としていました。



(並選)

造成地ただ一本の楓かな   真波

造成地にぽつんと一本の楓が植えられているのを見た。
建物はこれからのようだ。
気の早い買い主が庭木だけを先に立てたのだろうか?
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
森を伐採したところに、一本だけ楓が残ってました。
何故残したのかわかりませんが。かえってそれが 、悲しい気持ちに
なりました。雉やイタチ、野ウサギを良く見かけた森だったので。



東より朗報ひとつ秋燈す  玉恵

どんな朗報なのかとても気になる。季語が暖かさを伝えている。
鈴木 玉恵 和良 さんありがとうございます(*^^*)もうすぐ分かります。
北野 和良 えっ、どこかの句会で入賞された?



月の街アンドロイドの歌ふこゑ   悦子

ロバート・A・ハインラインによるSF小説『月は無慈悲な夜の女王』を思い出した。
地球の植民地である月が独立を目指して革命を起こす話。
この中には、知性を獲得したマイクと呼ばれるコンピュータも登場する。
アンドロイドとはマイクをイメージしているのだろうか。
柳堀 悦子 北野 和良 さん ありがとうございます。
SF小説のことは知りませんでした。都会の持っている人工的な感覚を
表現してみました。勉強になります。ありがとうございます





(10/15)

紅葉の鉄路を走る一両車   悦子

稲刈りも終わり、山里は紅葉に彩られるようになった。
そこをローカル線の一良列車がのんびりと走っている。旅情をくすぐられる句だ。
柳堀 悦子 北野 和良 さん特選と御講評ありがとうございます。



(並選)

柿紅葉一つだに実を生らさずに  孝之
柿は成り年と不作の年を繰り返す。原さんは先日鈴なりの柿の枝を詠まれたが、
今日は不作で実の付かぬまま紅葉を迎えた柿の木を詠まれている。
来年はきっと豊作となるだろう。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
自宅の柿の木は樹齢60年かそれ以上です。この数年実を付けません。
植木屋さんの剪定の時期が悪いのか?老齢のせいなのか?分かりません。
しかし、自宅の金木犀も咲かなくなってきました。自宅は父が昭和29年に建てたので、
63年目となります。洞爺丸台風の日に引っ越して来たと姉が言ってました。



秋うらら舞妓の真似をする少女  玉有良

最近浅草などでも観光客が和服・浴衣に着替えて街を観光するのが流行っている。
京都へ来た少女は舞妓さんの姿になり祇園情緒を楽しんでいるのだろう。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



秋味の定置網漁銀の肌  俊克

鮭の定置網にたくさんの鮭が入り込み銀色の肌を煌めかせている。
今日は大漁、漁師さんも大喜び。



鳩胸に潜り込みたる黒真珠   真波

*無季です
北野 和良 感想です。エロスの香りの漂う好きな句です。私は黒真珠になりたい!
石井 真奈美 北野さん、ご感想ありがとうございます! ぜひ、大粒の黒真珠に!^ ^





(10/14)

雨音に靴音を待つ夜長かな   真波

外は雨。帰ってくる/訪れるはずの人を待ち、雨音に紛れる靴音に耳を澄ましている。
待つ時間はひとえに長く感じられるものだ。
石井 真奈美 北野さん、ご選句恐れ入ります。嬉しいです。
ぼんやりと待つ夜、否が応でも耳だけが鋭くなります。



(並選)

街路樹の思い切りよく冬支度  流伴

落葉の街路樹の葉が、冷気の訪れとともに散り始めた。
さあ、私も木に負けずに冬物を用意しなきゃあ。
流 伴 北野 和良 さん いつも拝見させていただいています
 ありがとうございました。



錦木の早やも盛りや照紅葉  栄太郎

残暑と思っていたのに急に寒さがやって来て錦木の葉も真っ赤に色づいてきた。
冬もすぐそこまでやって来たのだろうか。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
紅葉も樹木によって遅速があります。錦木の紅葉は早くも緋色に染まり、照葉しています。





(10/13)

擽れど蛤操堅固なり   幸

年頃の娘は箸が転げても笑うというが、ハマグリは擽っても口を開かない。
それを操堅固なりと措辞したところが何とも面白い。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様お選びいただきありがとうございます!
拙い句ですが頑張ります!



(並選)

大空を蹴散らすごとく百舌の鳴く  真波
百舌の鳴き声はけたたましい。それを大空を蹴散らすと措辞したところがお手柄だ。
石井 真奈美 北野さん、お褒めの言葉ありがとうございます。
百舌の気の強さ、気性の激しさを感じる鳴き声ですね!



秋麗パットラインは朝光る  白と玉

朝霜の降りたグリーンには球の転がった後がクッキリと残り、
フックかスライスかがよく見えるものだ。
露の光を頼りにさあっバーディだ!
木野本伸行 北野 和良 さん。ありがとうございます。



肉眼で見へぬものあり筆竜胆   百々寧

北野 和良 こんばんは。角川歳時記で調べたら、
筆竜胆は春咲きのリンドウの一種(春の季語)とありました。
何か意図があって詠まれたのですか?
木谷 有里 筆竜胆、春でしたね(°▽°)
私の歳時記には秋になっていたのでそのまま使っていました。
この花が曇りの日には花を閉じると言うところにとても興味が湧きました^_^
次からは竜胆と区別して春に使わせて頂きます!
ご指摘ありがとうございます
北野 和良 改めて並選に頂きます。
肉眼で見えなくとも心眼でなら見えるものがある。
春に咲く竜胆ですら心を澄ませば見えてくる。
木谷 有里 恐れ入ります。頑張ります!





(10/12)

松茸やせめて酢橘は四國産  祐

スーパーに松茸を見つけ手頃な値段と思い買ったがよく見ると中国産だった。
焼き松茸にかける酢橘だけは四国・徳島産にしようという庶民の意地に共感した。
牧内 登志雄 北野さん、まさにその通りの句です。
山形の義父が存命中は山で採った大きな松茸を送ってくれましたが、
今ではスーパーで「やっぱり季節ものだからなあ」と、見栄えがよくて
値段が安いものを。せめて酢橘は徳島産、秋刀魚にも使えるし。
北野 和良 私は少し前に二年間ほど鳴門に住んでいたので
徳島の酢橘の大ファンです(笑)



生きる術足りてはをらず木賊刈る   百々寧

木賊の茎は固いので物を研ぐのに使うという。
詠者は自分の未熟を自覚しもっと自分磨きをせねばと心に誓っている。
木谷 有里 ありがとうございます(о´∀`о)
トクサという言葉は三味線と関係があるらしいのです。
仕上げ磨きに昔はトクサを使っていたのかもしれません。
民謡の子守唄の歌詞にも出てきます。漢方薬にもなると!
つぶしの効く女を目指してます(≧∇≦)



面影のすでにあらざり芙蓉の実  栄太郎

芙蓉の実は艶やかな花とは似ても似つかぬ姿をしている。
小野小町の歌
花の色は移りにけりないたずらに我が身世に古る眺めせしまに
と相通じるものがある。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
植物は辛夷の花、藤の花、蘇芳の花などなど、花姿と実の容が大きく変わり、
驚かされる場合がありますね?芙蓉の実はまるで鬼瓦のようであり、
あの可憐な花からは想像も出来ない程です。



柿の実の鈴生り着地したる枝  孝之

今年は成り年で沢山の実がたわわに実りその重みで枝も撓み実が地面に着くほどだ。
着地という措辞がその景をよく捉えている。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
昨日、互選がなく、今日もか!と諦めていた時のご選句!嬉しいです。
今年は成り年なんですね。私の自宅の柿は老木のせいか?
剪定の時期を間違えたのか?一つも生りませんでした。
北野 和良 苦あれば楽あり、明日はきっとトリプルが!(笑)
原孝之 北野さん、今月はトリプルが少ないことないですか?
私は俳句脳の枯渇です!(笑)
北野 和良 今月は互選への参加人数が不作でそのせいかトリプルも
少ないです。なんとか以前の勢いを取り戻したいですね。








(10/11)

日矢撥ねて宝石となる実紫   玉恵

秋の明るい陽射しに紫式部の実が輝いてまるで宝石のようだ。共感できる句だ。
鈴木 玉恵 和良 さん。特選ありがとうございます(*^^*)



(並選)

薄紅葉青さも残る淡き色  亜仁子

紅葉が始まったが、まだ葉には青い部分も残り赤は淡い色合いだ。
あと何日だろうと本格的な紅葉への期待が膨らむ。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、
ありがとうございます。とても嬉しいですね。



木犀や散って地上の星となり   玉有良

木犀の花が散って地面いっぱいに落ちている。
まるで地上の星のようだという比喩が素敵だ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



手のひらに未知の音色やひよんの笛  美音

ひょんの笛とは、イスノキの葉に出来る虫?のことで、
虫が出た後空洞となった部分を吹くと「ひょうひょう」と鳴る。
このひょんの笛は俳句を始めてから知った。一度ぜひ聞いてみたいと思っている。
向瀬美音 ありがとうございます。好きですか?
北野 和良 美音さん、お早うございます。
悔しいけれどまだ実物を見たり音を聞いたことはありません。
そもそもイスノキがどんな木なのかも分かりません。
そんなマイナーな事柄を知っている(振りをする?)俳人って凄いですね。





(10/10)

誰一人凡人でなし仏手柑   百々寧

聞き慣れない「仏手柑」を調べると、写真のように2種類あるようだ。
高知の名産で柚子や酢橘と同じく酢の王様と言われるのは
手仏手柑(ぶしゅかん)のようだ。それはともかく、上五中七は、
人間は誰もが何か良いところを持っていて凡人などはいないという
哲学的な考察を詠っている。金子みすずの詩 「みんなちがって みんないい」を思い出した。
木谷 有里 北野さん。ありがとうございます!
ぶっしゅかん!初めて使ってみました(о´∀`о)
みなそれぞれ顔も体違いますよね!
眠っている才能もまだまだあるのでしょう!
あまり推敲せずにさらっと出来ました





(並選)

サイフォンの珈琲の落つ蔦の家  真波

外壁に蔦の絡まっているカフェ。注文を聞いて一つ一つサイフォンで落とす。
お客のためではあるが如何にもコーヒー好きのマスターの顔が浮かんでくる。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
近頃、ゆっくりと時が流れて行く、落ち着いた珈琲のお店が少なくなりました。



肩寄せて女歌聴く秋思かな  祐

上五肩寄せてからは男女のカップルが想起されるが、さて女歌とは誰の歌だろう。
私なら中島みゆき、藤あや子を聴きたいが果たして女房はどう言うだろう?
牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。
私が二人で聴いた歌は中島みゆきでした。まだカセットテープの時代です。
ウォークマンの一つずつ耳に入れながら、お互いに結ばれない
「愛のカタチ」に冬の入る前の、秋の気配を感じていたのですね。
ちなみに、これが家人だと私の場合は俳句になりません。





(10/09)

紅一点山の粧ひ始まりぬ   玉恵

山の紅葉が中腹の紅一点から始まった。始まりの一瞬を捕えた視点が素晴らしい。
やがて紅葉は全山に広がっていくことだろう。
鈴木 玉恵 和良 さん ありがとうございます(*^^*)
超嬉しい。久しぶりの特選



(並選)

幾何学のやうな模様の刈田かな  栄太郎

三角、四角、円形など刈田の遠景を幾何学模様に見立てたところが面白い。



錦絵の眼下広がる山紅葉  俊克

山紅葉を山頂から俯瞰するとまるで錦絵のように見えた。
大久保 俊克 ありがとうございます。



まぐはひの女山男山の秋高し  直

二つの峰の並ぶ山はたくさんある。筑波山もその一つ。
私の故郷・姫路には男山、姫山と呼ばれる山がある。
泳者が見たのはどこの山だろうか。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。
高千穂にもあったように思います。





(10/08)

SLの通過してをり実紫  正則

秩父鉄道だろうか。懐かしいSL列車の傍に
紫式部の実が陽射しを浴びている景が見える。
詠者が得意の写生句だ。
野島 正則 北野さん、選に鑑賞いただきうれしいです。



(並選)

秋天をマッハの音の突き抜けし  房子

マッハの音とは超音速ジェット機の音。
詠者は自衛隊航空基地の近くに住んでおられるようだ。
抜けるような青空とジェット雲が見えるような句だ。



ポンポンと破れた恋を告げる菊  亜仁子

ポンポンダリアとよく似た形のポンポン菊がある。
その花が恋は破れたと告げているという。
破れた恋と菊の花の対比が面白い。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。「破れた恋」は、ポンポン菊の花言葉の一つですね。





(10/07)

風まかせ散るも咲かすも山の萩  浩正

花をつけた萩の長い枝が風に揺れている。咲くも散るも風まかせ。
そんな萩のように私も生きたいものだ。
藤倉浩正 北野 和良 さん 特選なんて嬉しいです。
自分もこんな風に生きていきたらと思いました。



(並選)

稲架かける嫦蛾おりたつ宮のごと   玉有良

嫦蛾(ジョウガ)とは中国神話の月の女神。
稲架の形を女神が降臨される宮に見立てた。
刈り取りが終わり月光の明るい田んぼの景色が目に浮かぶ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



びょうびょうと原生花園秋深し   真波

原生花園とは釧路湿原だろうか。草紅葉の鮮やかな風景が見えるようだ。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
網走の原生花園です。9月はもうこちらは終わりで、寂しい感じですが、
サンゴ草は凄かったです。青と赤に世界が分かれてました。





(10/06)

するすると喉の喜ぶ走り蕎麦  征一

新蕎麦は喉で味わうという贅沢。中七の措辞が面白い。
今村 征一 北野さん御選句と鑑賞有難う御座います。



(並選)

千年の時は違へど月今宵  玉有良

今宵の月を見上げ、平安の貴人もきっとこの月を眺めたのだろうと感慨にふけっている。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



名月や爪噛む君を照らしをり  真波

何かの歌に「爪を噛むのは良くないよ〜」というのがあった。
君が爪を噛む理由が知りたい。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
爪を噛むのはお行儀悪いと叱られますよね^ ^
理由はご想像にお任せいたしますが、私はちょっぴり、病的な含みももたせたつもりです。



錆鮎や命繋ぎて果つる旅  幸

鮎などの川魚は命を繋ぐため必死で川を遡上し産卵を終えると斃死するという。
それが分かっていながらなお遡上する川魚の哀れさ。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様お選び戴きましてありがとうございます!





(10/05)

連雀の薔薇色に鳴く並木道   真波

連雀は秋に渡って来る小鳥。それが並木の上で薔薇色に鳴いている
と感じた詠者の心の中には何か希望に満ちた楽しいことがあるのだろう。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます。
可愛らしい連雀、眺めてるだけで楽しくなり、楽しい事が更に楽しくなります^ ^



(並選)

空からのルビーの涙石榴かな   わえ

割れた柘榴の実の中はまるで空から降ってきたルビーで満たされているようだ。
片山和恵 北野さん原せんせ、誠にありがとうございます。
石榴の木を見上げると、石榴の実が割れた中からこぼれ落ちそうで、
それはキラキラ光った涙のように見え、それを空とルビーで詠んでみました。



雲の衣なびかす嫦蛾今日の月   玉有良

嫦蛾(ジョウガ)とは中国神話の月の女神。
月にかかる薄雲はまるで女神の衣のようだ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



揺るぎなき一枚桜紅葉かな  孝之

真っ赤に色づいた桜の紅葉葉、強い意志を持って自己主張しているようだ。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
風に吹かれる桜の葉。桜紅葉だけは、動かないように見えました。
仰るように強い赤ということかもしれません。





(10/04)

いっぽんの木道一色の枯野  流伴

尾瀬ヶ原の草紅葉の風景を思い浮かべた。いっぽんと一色のリフレインが効いている。
流 伴 北野 和良 さん 過分なお言葉はげみになります 謝々



(並選)

きれの良き地酒一升望の月  正則

美味しい地酒を酌みながらのお月見。さぞかし美味かろう。
野島 正則 北野さん、選をいただきありがとうございます。
月光に酔いしれます。



手鏡に映し十五夜愛でにけり  悦子

手鏡に映しの情景が素敵。まるで浮世絵を見るようだ。
柳堀 悦子 北野 和良 さんありがとうございます



長編を終えて涼しき虫の声  美音

一冊を読み終え余韻に浸る耳に虫の声。しみじみとした秋の夜。
向瀬美音 北野さんありがとうございます





(10/03)

金星を永遠の指輪に十三夜  真波

明けの明星、宵の明星として明るく輝く金星を指輪にしてしまう。
何と豪華なプレゼントだろう。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます!
何も貰わなくとも、金星を見ながら、あほ星を指輪にしてあげるよ、
なんて、囁かれたら、もうダメですね?



(並選)

夜半の秋返事不要のメール来る  満徳

友人からのメール、返事は要らないという。
どんな内容か気になる句だ。
永田 満徳 選んで頂きありがとうございます。
申し訳ありませんが、故意に謎めいた句したまで、深い意味はありません。
読み手にお任せします。



秋湿だれの言葉を信じれば  玉有良

衆議院が解散し選挙戦が始まった。しかし政界は混迷している。
句の言葉通りで、気持ちは迷い秋湿そのものだ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



口紅の濃さ増す女や秋袷  百々寧

口紅を差す女性の気持ちは(男として)よく分からないのだが、
季節が変わると色を替えたくなるものなのだろう。
木谷 有里 ありがとうございます。大変光栄でございます!
私はあまり色を変えたりしない方ですが、少し派手なものにした時には
いつもより顔が上を向くのではないかと思います。
女心は意外に単純かもしれません





(10/02)

古の歌になぞらふこぼれ萩   百々寧

咲き乱れる萩の花を見て古の歌を思い起こして。古人も萩に恋心を託したのだ。
秋萩の咲き散る野辺の夕露に濡れつつ来ませ夜はふけぬとも
  (万葉集・秋相聞・寄露・よみ人しらず・2252)
木谷 有里 ありがとうございます。光栄です



(並選)

空に飛べ水に遊べよ放生會  祐

放生会は日頃の殺生を悔い、鳥や魚を逃してやる行事。
せめてこの日は大空へ、広い水に帰って命を全うして欲しい。
牧内 登志雄 北野さん、並選嬉しいです。励みになります。



喚声のまだ幼かり運動会  栄太郎

運動会の子供たちの歓声が聞こえてくる。
姿は見えないがまだ幼い子供たちのようだ。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
近在に幼稚園、小学校、中学校があり、中学校の運動会のようでしたので、
散策の途中に立ち寄って見ました。物凄い喚声にもかかわらず
まだ声が幼く感じ、思わず微笑んでしましました。



銭湯が馴れ初めとなり衣被  直美

読み解くのがとても難解だが、それでいてどこか惹かれる句だ。
銭湯という言葉からは、石鹸がカタコトとなる神田川を思い浮かべるが、
あの歌は好き合って同棲した若い恋人同士で、馴れ初めではない。
馴れ初めとは恋人達の初めての出会いという意味だが、
そこが銭湯だったというのが不思議だ。
衣かつぎは古くは小袖を被って顔を隠す、江戸期だと
御高祖頭巾をイメージするが、これも銭湯とは響き合わない。
作者の自解をぜひ伺いたいものだ。
高井 直美 北野 和良 さん、こんにちは。ご選句ありがとうございます!
何処か惹かれるというご選評、とても嬉しいです。
実は・・その昔の両親の馴れ初めです。父の家には風呂が無く、銭湯通いでした。
母はたまたま近くの病院に入院中で、症状も良くなり、気分転換に
その銭湯に出かけて父と会い、付き合うきっかけに?(*´?`*)
衣被は小ぶりの里芋を茹でた素朴な料理で、父母の好物です
北野 和良 直美さん、句の背景のご説明、有難うございます。
直美さんの懐かしい思い出、そういう出会いもあるのだなと納得できました。





(10/01)

鳴き急ぐもののあはれや九月尽  孝之

詠者の聞いた鳴き急ぐものとは虫か鳥か?
 いずれにしろ一際ものの哀れを感じる秋となった。
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき〉 (猿丸太夫)
原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
一昨日、九月尽の日のツクツクボウシの鳴き方が鳴き急いでいるように感じました。
蟋蟀もそうです。季節の変わり目を悟っているようでした。猿丸太夫の歌は良いですね。
百人一首にありましたかね?これから、動物たちの鳴き声にも注目ですね。



(並選)

欲望に忠実であれ長き夜  真波

詠者の言う欲望とは何なのか、欲望を解き放つことにはとても勇気が要りそうだ。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
秋の長い夜は、いろんな想いや違う自分が浮かんでは消え、です。



バスロープあとは嵐と月光に  美音

この句の三つの名詞には一見何の繋がりもない。
だが三つのピースを並べるとどんなストーリーでも作れる気がする。
私ならバスローブを脱いで愛の嵐に身を委ねているのを
月光が静かに見守っていると解いてみたい。












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