俳句鑑賞文(復刻版)    2017 September        トップへ   




(9/30)

白帝を招き善き日の祝い膳  玉有良

慶事があり秋の佳き日を選び皆で寿ぎ祝い膳を囲むことになった。
上五季語の斡旋がとても良くリズムも良い句となっている。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。とても嬉しいです



(並選) 楽しみは季語に逢ひ詩や九月尽  亜仁子

毎日句に呻吟し季語の斡旋に迷うが、新しい季語と出会うのもまた楽しいものだ。
俳句にのめり込んでいる詠者の気持ちが素直に現れている。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、
ありがとうございます。とても嬉しいですね。



まず一献ヒョイと抓みし月見豆 浩正

親しい友と卓を囲みまずはビールで乾杯。つまみはもちろん枝豆だ。
軽妙な詠いぶりがよい。
藤倉浩正 北野 和良 さん ありがとうございます。
励みになります。枝豆とお酒いいですよね〜〜^^v



藤の実や君の面影果てざりき  栄太郎

藤の細長い莢果は冬には音を立てて開裂し種子を飛散させる。
だが私の胸の中にある君の面影は永遠に消え去ることはない。
桑本 栄太郎 北野さん、野島さん・・・大変有難う御座います!!。
五月にはあの艶やかな藤の花が、今では棚の下に豆の莢のような実が垂れさがっています。
その光景を見ますと何時までも忘れられない愛しい人の面影が思われます。





(9/29)

民衆の「馬鹿にしないでよ」と秋の声   久美子

衆議院が解散し選挙戦に突入した。
各党は公約を叫び始めたが今回の選挙の大義が見えない。
庶民は「馬鹿にしないでよ」と思いつつも候補者選びに頭を撚る。
中七が破調だが、プレイバックの歌が耳に響く。
山田久美子 北野 和良 様、過剰な評価おそれ入ります。
鑑賞の通り、国内外の問題山済みの中 国民は振り回され 税金が使われていく…
国民は一言言ってもいいと思いました。
上品に詠める力が無い非力、もっと勉強します。



(並選)

秋うらら待ちくたびれるのは男   孝之

デートの時間の五分前に行くのは男のマナー。
男を待たせ焦らすのは女のテクニックの常套手段。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と
懇切なる男のマナーのご指導有難うございます。
昨日、大学院の学生たちからLINEが来て、「昼ご飯ご馳走して下さい。
今から行きます。」というので直ぐに待ち合わせの場所に行きました。
しかし、現れたのは、何と10分以上後のことでした。
この間に、この俳句が出来ました。(笑)
北野 和良 原さん、実話でしたか! 
もう少し待たされれば2,3句できましたね(笑)
原孝之 北野さん、ほど良い待ち時間だったので一句になりましたね!
20分遅刻なら、怒り心頭になり、俳句にならずだったかもです。廃句です。(笑)



積読の山を崩してみる夜長  正則
秋の夜長は読書しかない。積んである本を読み崩しにかかろう。
積読の山が面白い。
野島 正則 北野さん、ありがとうございます。うれしいです。



毬栗の弾けて覗く郷遥か  幸

毬から顔を覗かせつやつやと光る栗を見ると懐かしい故郷を思い浮かべる。
さあ茹でて食べるか栗ご飯にしようか。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様お選びくださいましてありがとうございます。
こつこつと精進して行きたいと思います。





(9/28)

一湾の空を抱へて鱗雲  美音

湾全体を覆うような鰯雲、空の青と白い雲の雄大な景。
空を抱えての措辞が素晴らしい。
向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!
今日の句会で一湾という言葉を覚えてきました!



(並選)

高台の家より紅のこぼれ萩   孝之

高台の家の庭に萩の花が咲き誇っている。萩の枝が懸崖のように垂れながら。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
今日も俳句が湧いて来ませんでした。嬉しいです。



蚯蚓鳴き不可解なこと数多く  亜仁子

蚯蚓は動物学では鳴くはずがないのに俳人には鳴き声が聞こえるらしい。
世の中にはこのような不条理がたくさんある。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。



くずかごへ投げたき夜の秋思かな   真波

嫌なものはさっさとくずかごへ。悲しさ寂しさも思い切ってくずかごへ捨てよう。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
はい、ケ・セラ・セラ、で^ ^





(9/27)

残る虫せいいっぱいの別れ唄   百々寧

鳴く虫の季節も終わりに近づいた。虫の声はまるで別れを惜しんでいるように聞こえる。
木谷 有里 北野さん。感激でございます。。
我が家の裏は他人の広い敷地ですが毎日毎日飽きもせず虫たちが大合唱です(*≧∀≦*)
でもさすがにここのところ元気が無くなってきているような鳴き方です。。
またいつか会いましょうと別れの曲を歌っているのかもしれないと思いました?(*´?`*)



(並選)

組体操笛の合図に空高し  わえ

ピーッという笛に合わせて組体操の形が決まった。秋の運動会の緊張が伝わる句だ。



運動会借り物に美女見当たらず  夢酔

運動会の借り物競争、紙に書かれたのは「美女」。さあ、美女はどこにいる?
室木 助樹 ありがとうございますw





(9/26)

月光を纏い貴方に逢いに行く  玉有良

とても素直な句、月夜のデート。月光を纏いの措辞に感服した。
この衣はどうやって脱がせるのだろう?
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
彼女と向き合う気持ちが真実ならば、彼女自身が脱いでくれるでしょう。



(並選)

出来秋や一筆書きの雲走り   幸

豊作を喜び空を見上げると一筆書きの雲。
どんな形だったのだろう。飛行機雲なら一直線だ。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様
拙い句をお選びくださいましてありがとうございます!
伊丹空港が近くにあるので一筆書きに遭遇する機会が多いです。



手に取りぬ一葉桜紅葉かな  孝之

桜紅葉が始まった。落ちた一枚を手に取りつくずくと秋を感じたのだろう。
私も今日、科学万博記念公園で桜紅葉を見つけた。
原孝之 北野さん、おはようごさいます。ご選句とご鑑賞有難うございます。
昨日は、句にならずに苦労しました。昼休みに桜の木の下で
思いつきました。実際に一枚の桜紅葉に手を触れてみました。



鰯群れ粒子波動となりにけり  亜仁子

まるで科学実験のレポートのような句だ。
たくさんの鰯の卵が波に浮かんでいる様子が目に浮かぶ。





(9/25)

転げ来し賜杯がっちり秋の場所  双葉

秋場所で一時は星三つも離された日馬富士が千秋楽で豪栄道を破り追いつき、
優勝決勝戦で賜杯を手にした。横綱の意地と執念を見せた劇的な勝利だった。
それを転げ来しと楚辞したのに異論はあるかもしれないが・・・・



(並選)


爽やかに石畳ゆくおこぼかな   玉有良

おこぼとは舞妓さんが履くこっぽり下駄のこと。
石畳にカランコロンと音を立て爽やかに歩く姿が目に浮かぶ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます



鎧戸を開けるや霧と鳩の声  美音

鎧戸のある窓、由緒あるお屋敷だろうか。
霧と鳩の声を聞いているのはどんな麗人だろうか。
向瀬美音 ありがとうございます!ど田舎の小屋のくくーという声でした。



空の蓋開きて眩し菊日和   ひらいみつる

燦々と光を浴びる菊日和。空の蓋という措辞が面白い。雲を言ったのだろうか。
平井充 ありがとうございます。
雲でも夜の帳でも便器の蓋でもご想像にお任せいたします





(9/24)

宵待の湖に李白と酌み交はす  直

宵待は夢二忌(秋)のことを指しているようだ。
夢二の甘美でモダンな画を思う内に李白と酒を酌み交わす幻想に陥ってしまった。
「山中にて幽人と対酌す」
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。
素晴らしくも楽しい鑑賞をいただき、励まされます。



(並選)

婚活と検索してゐる竜田姫   草民

竜田姫とは秋の野山を統べる女神。その女神が契る相手を求め
婚活をしているという。実に愉快な想像だ。
山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。



月光るフルスロットルで君のもと  真波

月の明るい夜のデート。早く君のもとへとフルスロットル。どうか安全運転を。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
はやる心を抑えて、ですね^ ^



お役目を果たせてほつと曼珠沙華   孝之

秋彼岸の墓参りを済ませてほっと一息。ふと見ると周りに彼岸花が咲いている。
この花はどうして彼岸にきっちりと咲くのだろう。ご先祖の魂に共鳴するのだろうか。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
今日、墓参りに行って来ました。草取りに時間を費やしました。
墓には曼珠沙華が多いですね。今年の曼珠沙華は彼岸に入って咲き始めました。
曼珠沙華も何とかお役目を果たせたかな?と思います。





(9/23)

百花園萩のトンネル時間旅行   正則

向島百花園には見事な萩のトンネルがある。
以前私が訪れたときは少し時期が早すぎて花はちらほらだったのだが。
トンネルと言えば昭和42年頃タイムトンネルという
SF時間旅行ドラマがあり毎週熱心に見ていたおぼえがある。
萩のトンネル⇒タイムトラベルという発想が面白い。
もう一つの歌碑とは、山上臣憶良の歌碑。
ここには芭蕉句碑もある〈春もややけしきととのふ月と梅〉。
野島 正則 北野さん、特選ありがとうございます。
私は、向島百花園、初めてでした。今日は、カメラを持った人とか
俳句手帳を持った人が目につきました。(o^^o)

     



(並選)

伸し棒の捌きも輕ろし走り蕎麥  祐

手打ちそばをお客に実演する名代の店がある。
職人さんの軽やかな捌きを見ると生唾が出てきそうだ。
牧内 登志雄 北野さん、並選ありがとうございます。
新蕎麦、美味しいですね。ぬる燗の日本酒がいいです。



哀しみの畦の火焔や彼岸花  栄太郎

法事の帰路、悲しみに浸るバスの車窓に見えた彼岸花が
まるで火焔のように見えた。亡き人の思い出が蘇るようだ。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
帰路のバスの車窓から稲田に映える彼岸花を沢山見かけました。
哀しいほどの緋色でした。



秋晴れや五臓六腑の深呼吸   真波

清々しく晴れた日、全身で深呼吸をした。五臓六腑の措辞が素晴らしい。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
とても気持ち良い一日でした^ ^





(9/22)

枕絵を知らず石榴を見てをりぬ  美音

今日の美音さんの句は三句とも恋句だが、この句を取らせてもらった。
鈴木しず子の句にあるように石榴にはなぜか官能的なイメージが強い。
肉感に浸りひたるや熟れ石榴》 《実石榴のかつと割れたる情痴かな
江戸時代、嫁ぐ娘の性教育用に枕絵を持たせたと聞く。
さてこの句はどう読み解くのだろうか。
向瀬美音 北野さん、ありがとうございます。
実はさっき北野さんのフィールドで枕絵を見て衝撃を受けました。
江戸時代はすごいですね!私も枕絵を知らずに駆け落ちしたので
まだまだ初心者だなあと思いました。



(並選)

亡き友をワインで偲ぶ秋彼岸   孝之

言葉通りに読ませてもらった。親友はいつまでも心の友だ。合掌。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
6月30日に亡くなった同級生の偲ぶ会をやってます。
二次会に来ました。30人集まりました。ワインを嗜む粋な歯医者でした。
北野 和良 そうでしたか。亡くなられたお友達も天国で喜んでおられるでしょうね。
原孝之 北野さん、おはようございます。有難うございます。友の和歌を一首
六十余年互ひにむつみし友どちよこの世去りても共に笑はむ
北野 和良 ご自分の定めを悟っての素晴らしい歌ですね。



仁義切る仕草も様に村芝居  征一

今日私も村芝居の句を入れたが、拙句はマイナスイメージだったが
今村さんの句はポジティブだ。
今村 征一 北野さん野島さん桑本さんお便り有難う御座います。



ナナカマド十和田の空と湖に燃ゆ   真波

空の青と湖の碧、ナナカマドの真っ赤に燃える様、十和田湖の雄大な景が目に浮かぶ。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます





(9/21)

露けしや恋の成就も殉教も   美音

露けしとは、露が多い、湿気が多いから転じて涙っぽいという意味もある。
寂しい、悲しいという気分だが、詠者は恋の成就もそれだという。
多くの恋を経験するとそういう境地に立てるのだろうか。
向瀬美音 クク、北野さんほどでは?



(並選)

古都の道上がる下がるや秋日和   玉有良

京都では御所へ向かうことを上がる、その反対を下がるという。
秋日和にのんびりと散策している様子が覗える。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます
地名(通り)と、西入ル東入ルとかを入れたほうが良かったかも。
丸太町上ル西入ル秋日和〉   玉有良
こちらのほうが良かったかなぁ?
先日、梨木神社と御所をぶらついてきました。



手刀の峰打ち利かぬ鶏頭花   正則

大学の頃田舎の友達の家に遊びにゆくと、
もてなしとして庭で遊んでいる鶏を捕まえ
首を切って捌き夕食に供してくれたことを思い出した。
確かに峰打ちでは首は落とせない。
野島 正則 北野さん、選をいただきありがとうございます。








(9/20)

見晴るかす伊吹の嶺の天高し  栄太郎

伊吹山にはヤマトタケルの伝説が残っている。
タケルは山の神の化身・白い猪と闘い破れ後に亡くなったとされる。
詠者は雄大な伊吹山を車窓に眺め遥かな神話の時代に思いを巡らせたのだろう。
桑本 栄太郎 北野さん・・・特選にお選び頂き、
かなり専門的な解説も頂き、大変ありがとうございます。
近江の伊吹山山系、比良山系には遠い昔から、古代史の謂れが残っていますね?



(並選)

姥捨の山まで三里女郎花  孝之

姥捨民話は全国、あるいは世界中にあるそうだ。
詠者の家の近くにも姥捨の山があり、山への途に女郎花が咲き始め、
親子の悲しい物語が頭に浮かぶ。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
姥捨と衰えゆく女郎花を重ねてみました。女郎花もそろそろ終わりの頃です。



ペディキュアの色を変へるや秋時雨   わえ

お出かけしようとペディキュアを新色にしたのに生憎の時雨・・・・
片山和恵 北野さん。ありがとうございます。
ペディキュアを夏色から秋色に変えました。
秋の色
落ち着きと愁いを感じます。
秋の時雨
静けさともの悲しさを感じます。
そんな中 ちょっとお洒落して出掛けてみましょうか。



灯台の先にあるのは大花野   美音

灯台の立つ海の側から見た絶景が目に浮かぶ。
先にあるのは⇒先に広がるでもよいのではないだろうか。
向瀬美音 さすがの北野さんも、これを景とみましたか?
鈴木 玉恵 私は「灯台の先にあるのは」海原だと思っていたのですが、
和良さんの鑑賞を読んで納得したのですが、、、
えっ?ではどのように読んだらいいのかしらσ(^_^;)
北野 和良 二句一章とは読み難い。大花野を暗喩に使ってる?





(9/19)

太陽の伸び伸びとして野分あと   真波

台風18号の去った後、素晴らしい快晴となり多くの方がその様子を詠まれた。
この句は太陽の伸び伸びとしての措辞がとても新鮮だ。
石井 真奈美 北野さん、ご選句ありがとうございます!
鬱陶しい分厚い雲がなくなって、太陽も私も晴れ晴れ、と言う感じです^ ^



(並選)

歩む秋カメラ片手の華の園  窓辺

秋の花々が咲き乱れ、花好き、写真好きには絶好の季節。
心の 窓辺 北野さん並選に選んで頂き有り難う御座います。



青空を楽しむが良し秋の雲   孝之

台風一過の青空。雲に楽しめと言いつつ、楽しんでいるのは詠者自身だろう。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。
昨日、私は自然の雲と同化していたと思います。(笑)素晴らしい青空でした!





(9/18)

ティーラテにシナモンふって秋深し  玉有良

私は毎朝珈琲豆を挽いてドリップするのが日課で、
卓上にシナモンシュガーと蜂蜜を常備している。とても共感する句だ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
発酵させた紅茶は特に身体を温める効果があります。
香辛料たっぷりのチャイを心置きなく飲める季節になってきて嬉しいです



(並選)

さかずきに女の揺るる今年酒  流伴

盃に女の顔が揺れている。お隣はどんな女性なのだろうか。
流 伴 北野 和良 さん 絵盃でした ザンネン



秋澄むやチェロの音色の秘色なる   美音

(原さんの鑑賞で)秘色(ひそく)という言葉を勉強した。


氷頭膾こりこり噛みて手酌かな  直

北野 和良 教えてください。
氷頭=鮭の鼻先の軟骨部、で季語(秋)となるのですか?
大津留 直 角川俳句大歳時記に
「氷頭膾」で秋(仲)の季語として記載されています。
つまり、季語は「氷頭」ではなく、あくまでも「氷頭膾」です。
北野 和良 分かりました。有難うございます。
北野 和良 お早うございます。改めて並選に頂きます。
(「氷頭膾」の季語を教えて頂いた)
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。
このような御馳走の季語がわりとありますね。これからも挑戦してゆきます。





(9/17)

秋田の四隅小鳥の分け前に  夢酔

アルコール類の製造は役所によって厳しく管理され、数量をごまかすことは許されない。
それでも若干の量のばらつきは「天使の分け前」と言って黙認されていると聞く。
稲田の四隅をわざと刈り残し小鳥の分け前とするのは農家の優しさなのだろう。



(並選)

野分けあとそしらぬ顔の空の青   美音

台風一過の抜けるような青空。素知らぬ顔の措辞が面白い。


雄蕊には重い血潮か彼岸花   蝦蟇6

彼岸花の雄しべを重い血潮と措辞したところが新鮮だ。



峠道トンネル抜けて霧中かな  玉恵

あちこちに山一つ超えると天候の変わる場所は多い。
トンネルの前は青空だったのに、トンネルを抜けると濃霧。
私もドライブでよくこんな天候に出会ったものだ。
鈴木 玉恵 和良 さん。ありがとうございます(*^^*)





(9/16)

右の鬼左の魔女と菊の酒  直

左に鬼女、右に魔女を侍らせて菊の酒を嗜んでいる剛毅な男。
ここは魔界なのだろうか。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。天国ですよ。(笑)



(並選)

晴明の術か桔梗を揺らす風   玉有良

桔梗の花が風に揺れている。陰陽師、安倍晴明の妖術だろうか。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
先日久しぶりに晴明神社に行って来ました。
五芒星の家紋は、晴明桔梗ともよばれます。
余談ですが、フィギュアの羽生結弦選手が晴明をテーマにした時の
衣装にも、この晴明桔梗の刺繍がされていました。



台風の前座務める煙雨かな  孝之

台風18号がまたまた九州を窺っている。
この霧雨は前座でやがて激しい本降りが来るだろう。
前のような豪雨にならなければよいが・・・・
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
九州は台風の巣ですから仕方ないですね。今回は、秋雨前線と台風のダブルパンチです。
今、福岡市は嵐の前の静けさです。



武骨なる甲州稲架の丸太ん棒  正則

刈り取った稲を干す稲架、甲州では太い丸太ん棒が使われる。
上五無骨なるが活き活きとしている。
野島 正則 北野 さん、遅くなってすみません。ありがとうございます。





(9/15)

細胞に想ひ沁み入る秋の雨   真波

人間の身体には無数の細胞がある。その細胞の一つ一つに
寂しさが沁み入るというミクロとマクロの融合だ。
石井 真奈美 北野さん、ご選句、ありがとうございます。
たまに、身体全体が何かを感じてる、と言う時、ありませんか。
自分じゃ何ともないと思っても、心を通り越して身体が影響を受けてる、
というか。その感じ、見過ごせないのです。



(並選)


蜜月のたやすく壊れ花木槿   玉有良

最初読んで男女の蜜月かと思ったが、詠者の解説では秀吉と利休を思ったという。
そう言えば米国では就任間際の大統領の言動は蜜月として甘めに採点するという。
しかし今や蜜月も過ぎ国民の目は厳しいようだ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
トランプさんはマイナスが多かったから、今さらマイナスになってもどうなんでしょうね?
北朝鮮との矢面に立ち、大統領としての真価が問われるのでは?



秋場所や満員御礼虚しくて   幸

この秋場所は3横綱2大関の休場となりこんな事態は99年ぶりだという。
異常な秋場所を詠んだ句は多いが、
満員御礼の垂れ幕に目をつけたところが秀逸だ。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様
稚拙な句をお選び下さいましてありがとうございます。
淋しい秋場所にも満員御礼のありがたい事。
良い取組みが見られますように!





(9/14)

咲き初めの白萩秘めし片思ひ   孝之

秋の彼岸が近づき白い萩の花が咲き始めた。
秘めし片思ひは青春の思い出と読ませてもらった。
萩のように清楚な女性だったのだろう。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
白萩の花言葉を参考にさせてもらいました。白萩の咲き初めは、
昨年8月15日に見ましたが、今年は何と一月遅れになりました。
自宅の白萩も今日確認しました。写真を撮りたいのですが、蚊が多いので躊躇しております。
片思いの白萩は少女らしいですね。



(並選)


涙腺のゆるくなりたる濁り酒   百々寧

世の中には笑い上戸あり泣き上戸あり。 詠者は泣き上戸なのだろう。
木谷 有里 北野さん。光栄ですありがとうございます!
実はどちらもでございます。最近は泣き笑い両方で息子に笑われております



白菊の白は極まり夕月夜   悦子

夕月夜の光の中で白菊の白が一層際立って見える。中七が素晴らしい。
柳堀 悦子 北野 和良 さんありがとうございます



甘き柿もぎたて旬の直売所  俊克

詠者は農村部に住まわれているようだ。直売所の品は新鮮で値段も安い。
もぎたての柿も一段と甘いことだろう。
大久保 俊克 ありがとうございます。





(9/13)

鴨川の堰のきらめき水の秋  栄太郎

鴨川の堰を越えて流れる水がきらめいている。TVやドラマなどでもよく見かける風景
京都の秋の静かな佇まいが見えるこれぞ俳句だ。
桑本 栄太郎 北野さん、原さん・・・特選一句にお選び頂き、
過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
四条大橋からの眺めです。四条大橋の上では誰でも足を止め、
鴨川の光景を愛で清々しい光景を写真に撮っています。



(並選)

恩恵のやうな光や秋の晴  亜仁子

秋の爽やかな光を浴びるとそれはまるで神の恩寵のようだ。
Aniko Papp 選んでいただき、ご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。



秋澄むや文春砲のまた響く  玉有良

文春砲とは週刊誌が暴くスキャンダルのスクープと読ませてもらった。
文春が社会の木鐸かどうかはさておき、
また一人生贄となって失脚する議員がでるのか?
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
豊田まゆこ議員の新たな音声が朝のワイドショーでやってました。



爽やかや腕時計やや進ませて  美音

今の腕時計は安物でも電波で自動修正し、時間は正確だ。
デートの時間に遅れないようにとやや進ませる事が出来るのは
何百万円もする機械式腕時計の持ち主だけだ?





(9/12)

鬼怒川のダムの放水新松子   正則

二年前北関東豪雨災害があり鬼怒川の氾濫で常総市は大きな被害を受けた。
堤防の強化工事が今も続いているがようやく復興へ歩み始めている。
新松子は〈しんちぢり〉と読み今年できた松毬のこと。
復興の希望と響き合う季語の斡旋が良い。
野島 正則 北野さん、特選、鬼怒川の復興までの鑑賞をいただきありがとうございます。



(並選)

秋憂ひアップルパイの焼き上がる   美音

秋の実り、栗、薩摩芋などなど食欲の秋が来た。
詠者は新リンゴでパイを焼いたようだ。ご馳走さま。
向瀬美音 ありがとうございます。
紅玉でした?集計の仕方私と全く一緒!!ネット句会のこと



雨粒のうす化粧して白木槿  祐

白木槿の花に雨粒が光りまるで薄化粧をしているようだ。
牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。
見たまんま、ちょっと工夫がなくてすみません。



袖振れば風は飛鳥へ竜田姫  玉有良

額田王の歌〈茜さす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖振る
を彷彿とさせる。とても好きな景だ。
小出有紀北野さん、ありがとうございます。
額田王の歌とならべていただいて恐縮です





(9/11)

口開けて尾ひれを跳ねて鰯雲   孝之

旅の番組で急流の瀧をジャンプして上っていく鱒を見た。
瀧を乗り越えた穏やかな流れの場所で産卵をするためだという。
詠者の見た鰯雲はまさにこのように跳ねて飛ぶ魚に見えたようだ。
青空に見る壮大な命のドラマだ。
原孝之 北野さん、こんばんは。特選有難うございます。
また、素晴らしい鑑賞も!9月9日、10日と互選が貰えずに沈んでいました。嬉しいです。



(並選)


筑波嶺の秋の滑空パラグライダー   真波

つくば石岡にパラグライダースクールがあり、
ベテランの人は筑波山上空まで飛行するらしい。
穏やかな風の日の飛行はきっと気持ちがいいだろう。
石井 真奈美 北野さん、御選句ありがとうございます!
若い頃、ビジターで筑波山から飛行しました^ ^
ホームエリアは千葉の海飛びでしたから、山飛びで幾度か登りました。
遮るものはなく、眺めは素晴らしく、遠く新宿都庁、富士山、八ヶ岳まで見えたものです^ ^



古暖簾くぐり新蕎麦長談義  夢酔

あそこの店は古いけど、亭主のそば打ちの腕は天下一品だ。
蕎麦にも十割、八割と好みが別れるが俺はやっぱり十割だなぁ。



銀河見て悩み忘るる一個人  亜仁子

銀河を見ていると、小さなことでくよくよと悩むのは馬鹿らしいことだと思えてくる。
Aniko Papp 選んでいただき、ご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。





(9/10)

風つつくとんぼの群れの赤きかな  栄太郎

風上に頭を向けて赤トンボの群れが飛んでいる。秋の風景。
風つつくの措辞が新鮮だ。
桑本 栄太郎 北野さん・・・特選一句にお選び頂き、
嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難うございます!!。
風上に向ってつんつんと赤とんぼの群れの編隊飛行です。すっかり秋を感じます。



(並選)

無花果の熟れて笑顔のおちょぼ口   幸

熟れた無花果の割れ目をおちょぼ口に見立てたところが面白い発見だ。


黄落の走り根つづく奥の院  流伴

銀杏の大木の走る根が地上をくねくねと這っている。
どこの寺院なのだろうか。
流 伴 北野 和良 さん ありがとうございます 励みになります



校庭の「マイムマイム」や空高し  祐

運動会の風景と読ませてもらった。フォークダンスのマイムマイム。
私も中学生の頃に踊った記憶があるが、今でも続いているのだろうか。
牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。
向かいの高校の体育祭の練習風景。
昔は中学の頃からフォークダンスをしていたように思いますが、
最近は先生の指導がないと踊れないんですね。
でも、本番では「マイムマイム」が気持ちよく響き渡っていましたよ。





(9/09)

秋場所や四本の綱背負ひ立つ  双葉

今年の秋場所は白鵬、鶴竜、稀勢の里の三横綱が休場し、
日馬富士のみの出場という異例の場所となった。
日馬富士は休場した三横綱の分も含め四本の綱の責任を背負うことになった。
下五の措辞が秀逸だ。
新名勝之 ありがとうございます。
仰った下五の「背負ひ立つ」で綱の責任感を表現してみました。
初日から3横綱休場という異例中の異例の場所ですが、
最後の砦となった日馬富士にはいつも以上に頑張ってもらいたいです。



(並選)

漱石もすすりし茶屋のとろろ飯   玉有良

ここの店のとろろ飯は美味しいでしょう。昔漱石もこの店で食べて絶賛したそうよ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
川魚は微妙だったらしいですが(笑)



高原のコスモス揺らす峰の風   悦子

以前黒姫高原のコスモス畑を見たことがある。高原の風に揺れるコスモスを思い出す。
柳堀 悦子 北野 和良 さんありがとうございます。



お腹みて二の腕をみて芋を見る 真波

私は一読して景の読み取れる句が好きなのだが、
この句は大きな謎掛けを仕掛けているようだ。
上五下五を読むと、美味しく煮えた芋を見ながら、
食べるとまた太るし〜と躊躇している様子が浮ぶ。
だがそれに対して中七の二の腕は何を暗示しているのかが分からない。
さあ解いてみてくださいと挑戦しているようだ。
それとも女性は二の腕のふっくらも気にかかるということだろうか。
せっかくの美味しそうな芋煮、思い切って食べましょうよ。
石井 真奈美北野さん、ありがとうございます。
悩んだのはチラッと、欲望にはあっさりギブアップです。 美味しかった





(9/08)

朝霧の晴れて深まる空の色  孝之

山上での景と読ませてもらった。
朝霧が消えて行くのと合わせて青空がきらめきを増す。
清々しい空はどんどんと深みを増していく。紺碧の空、実に雄大な景だ。
原孝之 北野さん、こんばんは。
ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。山上での景色と読んで下さり、
嬉しいです。我が家の窓から覗く青空を見ながらの作句でした。
霧が晴れると快晴になるとは驚きました。



(並選)

「わぁ、きれい」園児集まりななかまど 俊克

真っ赤なななかまどの実を見上げて感嘆する園児の姿が微笑ましい。
大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。



ピンヒール十一センチ秋の空   正則

11センチもあるピンヒールを履く娘。秋の空も近づくだろう。
どんな服装、どんな娘さんだろうと想像が膨らむ。
野島 正則 北野さんありがとうございます。
少しでも空に近づきたい気持ちです。



晩鐘の祈りに和して稲穂垂る 直

一読してミレーの晩鐘の絵を思い浮かべた。
稲穂というからお寺の鐘だろうか。夕日の風景が美しい。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。





(9/07)

鈴虫に薫る薄茶に瞑目し   幸

薄茶を点て薫りを楽しんでいるとかすかに鈴虫の鳴く音が聞こえてきた。
秋の静寂のひと時だ。
Sachiko Yokoi Hayashi 北野様、特選!
お選び下さいましてありがとうございます。
茶室での鈴虫のすだきとお薄の泡に秋を感じます!



(並選)

丼に大盛りにする今年米  紀宣

新米はことのほか美味しい。存分に食べようと
丼に大盛りにするご飯好きの気持ち、よく分かる。
つちたに jt 純一 北野さん、並選に選んで頂きありがとうございます。
また素晴らしい鑑賞ありがとうございます。大のご飯好きです



養殖と小さくありぬ鮎の札  祐

鮎の季節だ。天然鮎と大書して客を呼ぶ店もあるが、
詠者の見た店の主は正直者なのだろう。
牧内 登志雄 北野さん、並選ありがとうございます。
ま、わざわざ書かなくても値段を見れば値段を見ればわかりますよね。
たしかに「正直」なのかも。



ほゝ紅の肩を怒らせ案山子立つ  栄太郎

高く角ばった肩を怒り肩というのだが、
案山子を作るのに十字架型の骨組みに顔を乗せ服を着せると、肩はまさに怒り肩となる。
怒っているのかと思うと頬紅の可愛らしい女。怒り肩が発見だ。





(9/06)

道行きの音頭取るかや鐘叩  栄太郎

この句の場合の道行きは恋の逃避行と読ませてもらった。
夜に紛れてこっそりと駆け落ちをする男女に
鉦叩が道はこちらだよ〜と教えてくれている。
普段は五月蝿いほどの虫の音も今夜だけは親切に聞こえる。
桑本 栄太郎 北野さん・・・大変有難う御座います!!。
虫の音の集く宵季節となりました。鉦叩は「チンチンチン」と
当方の足並みの音頭を取るように覚え、愉快ですね?
恋の駆け落ち逃避行とは、とても憧れます。



(並選)

湯の宿のをんな二人や萩たわわ  玉有良

女友達の二人連れ。湯の宿の庭には萩の花がたわわに咲いている。
花はきっと美女と競っているのだろう。
小出有紀北野さん、悦子さん、広川さん、ありがとうございます



極彩色の天井絵ある秋思かな   楊

お寺の天井に極彩色の絵が描かれている。
だが年月が経ちところどころ色も落ち、それが哀れを誘う。秋だ。



方丈の間の正面の木槿かな  正則

方丈の間とは四畳半ほどの小部屋のこと。どこかの茶亭なのだろう。
その部屋の正面に木槿が咲いているという詠者得意の写生句で、
静かな佇まいが目に浮かぶ。





(9/05)

露草の青増す雨のひとしきり  孝之

露草の花が雨に濡れて、花の青さがひときわ鮮やかになっている。
花の横にしゃがんでじっと見つめている詠者の姿が見えてくる。
原孝之 北野さん、こんばんは。特選有難うございます。嬉しいです。
この句で気を付けたことは、濁音を入れないできれいに仕上げることでした。



(並選)

川音や塔の真上の秋の雲  直

直立する塔の上に秋の空が広がっている。
傍の川のせせらぎが静けさを際立たせている。
大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。



始まりは零余子一粒詩を詠みて  美音

零余子は蔓性だ。一粒を見つけ手繰っていくと次々と新しい実が現れる。
詠者は最初の言葉を見つけ次々と
言の葉を手繰り詩に練り上げて行くのだろう。
向瀬美音 北野さん、ありがとうございます。





(9/04)

爽やかや「太陽のよう」「月のよう」  双葉

秋篠宮眞子さまの婚約が発表されテレビはこのニュース一辺倒だった。
インタビューで話されたお言葉を織り込みお二人の爽やかなご様子を見事にまとめた句だ。
新名勝之 ありがとうございます。時事句は難しいと言いますが、
一番理解してもらえるのは今なので敢えて詠んでみました。
台詞を並べたのが良いか悪いかはわかりませんが、
評価して頂けて大変有難いです。



(並選)

今年米真珠を愛でるやうに噛む   玉有良

新米の出回る時期となった。中七真珠をめでるようにという比喩が秀逸だ。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
粒の立った炊きたてのご飯は、どんな宝石にも負けません



青潮に追はれ干潟へ鯔の群  祐

波間から干潟へ追われるように泳ぐ鯔の群れ。 さあ獲った鯔はどう捌こうか。
牧内 登志雄 北野さん、並選ありがとうございます。
干潟には東京湾からいろんな魚がやってきますが、自然環境保護地域なので、
魚をはじめすべての生き物の採取が禁止されているんです。
魚なんかは長い網で掬えば採り放題なんですけどね。
北野 和良 牧内さん、干潟がそういう場所だとは知りませんでした。
鳥も含めて自然観察には最高ですね。
牧内 登志雄 そうなんです。魚も鳥も研究・学習用以外には採集できないんですね。



秋桜so in loveと嘘ぶいて   真波

この句をひと目見て、英語のso in love、と嘘ぶいてという措辞に引っかかった。
コスモスが風に揺れながら「そう私恋をしてるの」と言っているように読めるが、
「うそぶいて」は普通は「嘯いて」と書くのだと思うが、
なぜか「嘘」という文字を使っている。
コスモスの告白は嘘だよ〜と読むのだろうか。謎めいた句だ。
石井 真奈美 北野さん、ご指摘ありがとうございます。
ごめんなさい、私の誤字です♀。嘯く、が、正しいです。
意図するところは、とぼけて「so in love」などと言う、です。
ちょっと微妙なニュアンスです。





(9/03)

水澄むや人の優しさやはらかさ  美音

秋に入り周りの水全てが澄んできた。人の心も澄んで優しくやはらかくなって欲しい。
優しさを求める詠者の心の叫びだろうか。



(並選)

金髪の名残る黒髪休暇明く   玉有良

夏休みに入り、アバンチュールを期待して脱色金髪にしてみた。
恋の季節は終わったが、髪の毛にはまだ金髪の名残がある。
ああ早く自慢の黒髪に戻りたい。冬まではショートボブにでもしようかしら。
小出有紀 北野さん、素敵な鑑賞ありがとうございます(*´∀`)



踊り子の幻想劇や風の盆  亜仁子

風の盆の踊り子たちはゆっくりとした優雅な舞いぶりだ。
闇に浮ぶシルエットを見ているとそれはまるで幻想劇を見るようだ。
Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。



窓越しにまだまだ白き酔芙蓉   孝之

酔芙蓉は午前の日の弱い内は真っ白だが、昼の日差しを浴びる内に
酔ったようなピンクに変わる。詠者は花を詠んでいるように見せかけていて、
その実窓越しに深窓の令嬢を詠んでいるのではないだろうか。
その人はまだ無垢で成熟の日を静かに待っているに違いない。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
北野さんらしい想像力逞しい鑑賞に感服です!(笑)
本日、ピンクになり始めたのは、午後2時頃でした。





(9/02)

田水落つ音に熟れゆく稲穂かな  栄太郎

夏の太陽をたっぷりと浴びて稲穂が実り始めた。
まもなく始まる稲刈りのために田の水を落とす音が響いている。
収穫への期待が高まる時だ。中七の措辞が素晴らしい。
桑本 栄太郎 北野さん・・・特選一句にお選び頂き、
素晴らしい鑑賞文を頂戴しまして大変有難う御座います!!。
京都洛西の近在にはまだ田園に囲まれ、日毎に稲が熟れて来ました。
溝川に落ちる田水の音はとても心地良く、
稔りの光景は他所の田圃ながら我が事ように嬉しくなります。



(並選)

秋蝉の去りし公園親子連れ  正則

秋蝉もいなくなった公園で静かな時を過ごす親子。のどかな景色が目に浮かぶ。
野島 正則 北野さんありがとうございます。急に涼しくなりましたね。



石仏にそっと散り落つこぼれ萩  Haruyo Yoshida

萩の花びらが石仏の上にハラハラと散っている。実に風情のある景だ。
Haruyo Yoshida 選んで頂きありがとうございました。
俳号記入しなくて失礼いたしました。宜しくお願いします。



洋梨を置いて整う構図かな  蝦蟇6

静物画であろう。いくつかの物を置き最後に洋梨を。
これで構図は決まった。さあデッサンに取り掛かろう。
広川 雅人 並選に選んでいただきありがとうございます。
イメージはセザンヌの静物画です。
俳号書くのを失念していました。書き加えました。
北野 和良 広川さん、有難うございます。





(9/01)

的を射る眼の澄むや水の秋  玉有良

弓道場だろう。射手は弓を引き絞り静かに的を狙っている。
澄んだ射手の眼と静寂の射場の空気が水の秋に象徴されている。
小出有紀 北野さん、ありがとうございます。
この季語との組み合わせを評価していただき、嬉しいです。
袴が着たくて弓道部に入るつもりが、
何故かアーチェリー部に入ってしまったのは私です(笑)
同じ弓矢でも、アーチェリーでは「水の秋」という連想はできなかったと思います。



(並選)

スーツ着て颯爽と行く九月かな   孝之

新学期が始まった詠者は心を引き締めスーツ姿で出勤する。
学生たちとまた会える喜びを胸に秘めて。
原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます!
クールビズも終わっていい季節になってきました。



灯台の空睨みたる野分かな   真波

夜空を貫くように照らす灯台の光。
その遥か先には列島の東海上を北上する台風がある。
列島を守るように睨みつけるかのような灯台。中七の措辞が秀逸。
石井 真奈美 北野さん、ありがとうございます。
沖にいる船にとっては、命の明かり。 荒れた時ほど、頼もしいはずです。
今はGPSの発展と老朽化で灯台は少しずつ減っているらしいです。



朔日の三々五々や稻雀  祐

二学期が始まった。日に焼けた顔で
宿題を抱え三々五々と登校する子どもたち。
それがバラバラと飛んでくる稲雀と重なってくる。季語の斡旋が見事。
牧内 登志雄 北野さん、並選にお選びいただきありがとうございます。
そして、とても素敵な鑑賞をいただき、とても嬉しいです。