(5/31) 嘘言ふとふくらむ小鼻サングラス 俊彦 人にはそれぞれ癖があり、嘘をついたりする時に表情や手の動作などに現れるという。 TVドラマなどでは心理分析官がそれを見破り事件を解決する手がかりとなる。 詠者は嘘をつく時に小鼻を膨らませる癖があるらしい。 せっかくサングラスを掛けて表情や目を隠そうとしても、小鼻で嘘がバレてしまう。 意外性にハッとさせられる面白い句だ。 鎌田 俊彦 北野さん有り難うございます。 (5/30) 紅顔の公達の笛かぜかほる 玉有良 紅顔の公達とは、牛若丸のことと読ませてもらった。 京の五条の橋の上大の男の弁慶が、待ち受けるところへ牛若丸が 笛を吹きながらやって来る。1000本目の太刀を奪おうと弁慶が 襲いかかるが、牛若丸はひらりひらりと躱し弁慶を懲らしめる。 歴史の名場面を優雅な句にまとめている。 小出有紀 北野さん、ありがとうございます。 モデルは平敦盛ですが、限定していないので、 いろんな人物にあてはめてもらえて楽しいです(*´∀`) 北野 和良 平敦盛でしたか。笛の名手でしたね。 一の谷の合戦で破れ熊谷直実に首を打たれる。能や幸若舞の題材となり 「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。 一度生を享け滅せぬもののあるべきか 」 (5/29) 空と海溶けてプールはコバルトに 孝之 学校でもプール授業の始まる季節となった。プールの水がコバルトに煌めいている。 それを空と海が溶けていると感じた詠者の感性に敬服した。 原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。 一昨日、海の中道は快晴でした。ホテルのコバルト色のプールは 空と海の青の合作では?と思える青さでした。 (5/28) パラソルや空にすがりて歩く杖 直美 地面に突いた杖にすがって歩くのではなく、空に突いたパラソルにすがって歩くという 逆転の発想が面白い。少し前に男の営業マンの間にパラソルが流行ったという 社会現象があったが、パラソルと言えばやはり女性の独壇場だ。 高井 直美 北野 和良 さん、おはようございます。 ご選句とご選評を頂き、ありがとうございます(*^^*)! とても嬉しいです。 今日も晴天、パラソルが手離せない一日となりそうです (5/27) 雨降ればあぢさゐ描く子の手紙 栄太郎 雨に濡れる紫陽花を描いた子共(孫)さんの絵手紙をもらったのだろう。 梅雨の雨を見るたびにその絵手紙を思い出している。 子どもさんへの愛情が伺える句だ。 原孝之 おはようございます。特選に頂きます。 お孫さんからの紫陽花の絵手紙をもらった感激が伝わってくる。 雨の日に届くのだ。紫陽花を眺めながらいつもお孫さんのことを思い浮かべる。 桑本 栄太郎 北野さん、原さん・・・特選句にお選び頂き、 大変有難う御座います!!。男の子の孫も4歳となり少しづつお絵かきが出来るようになり、 母親の手紙の隅に紫陽花を(つもり?)描いてよこしました。 (5/26) 麦の秋一面パッチワークかな 孝之 麦の秋は稲の田植えと重なる。早苗を植えたばかりでまだ黒い田んぼ、 苗が育ち始めて緑になった田んぼ、そして収穫を間近に控えた黄金の麦畑。 それらが乱雑に入り混じりまるでパッチワークのようだという発見が素晴らしい。 原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。 ネットで調べたところ、麦の秋とパッチワークの句はたくさんありました。(泣) 〈近江路をパッチワークや麦の秋〉 どちらがいいでしょうか?(笑) 北野 和良 そうですか。固有名詞を入れたほうが確かに景に現実味が増しますね。 (5/25) この先はあなたに任せ水着脱ぐ 美音 佐野勉 並選でいただきます。裃を脱いでこそ、夏物語がはじまります。 向瀬美音 ククありがとうございます。この漢字が読めません、恥ずかしい? 佐野勉 かみしも です。 北野 和良 特選一句に頂きます。美音さんの恋句全開! 鑑賞を詳しく書くのが恥ずかしいので省略します。 向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!嬉しいです。 北野さんの鑑賞があるともっと深くなるのに 桑本 栄太郎ククク!!・・ほら!バスタオル持って来たよ!。 (5/24) 早苗饗や老いも若きも泥化粧 玉有良 早苗饗(さなぶり)とは、田植えを手伝った人を招いて行う祝宴のこと。 手伝ってくれた人たちは着飾るわけではなく老いも若きも泥化粧だと。 大事な仕事を終えた人たちの喜び、酒盛りの歌声がが伝わってくる句だ。 小出有紀 北野さん、ありがとうございます(^-^)/うれしいです。 後半は最初、「落とす間もなき泥化粧」でしたが、説明っぽいのでやめて推敲したのが上手くいきました (5/23) 優しさに溢れし君の泉汲む・・・清一 揚句も下五をどう読むかにもよるがエロチシズムの香りがする。 句全体としては君(女性)に対する愛情に溢れていると感じた。 最近清水さんの句は恋句が多いように思う。私は花鳥風詠よりもこちらが好きだ。 清水 憲一 北野さん 特選に選んで頂き嬉しい限りです。 私もどちらかと言うと人間の心情を季語に託す句の方が写生句よりも好きですね。 ありがとうございました。 ーー5/23より選句ルールが変更(特選一句、並選3句以下)となったので 特選句評のみ掲載するーー (5/22) 幾星霜山削りつつ滝落ちる 紀宣 (推敲句) 詠者は大きな瀧を見上げている。轟々と流れ落ちる水は山を削っているかに見えた。 この瀧の流れは遥か古代から絶え間なく落ち続けてきたのだろう。 瀧を見た感動の中に瀧の音が聞こえ、悠久の時間、瀧の営みを感じる大きな景の句だ。 つちたに jt 純一 北野さん、互選に選んで頂きありがとうございます。 また素晴らしい鑑賞をして頂き、とても嬉しいです。北野さんの鑑賞の通りの一句です。 また、北野さんのご指摘にて、出来た一句です。ありがとうございます。 仙人掌の花の如くに君開く・・・清一 世界のサボテンは2000種類もあるという。どれも棘に守られ人を近づけないように見える。 そんなサボテンも条件が整えば可憐な花を咲かせ見る人を感動させる。 詠者は驚くような綺麗な花を咲かせたような女性を見てこの句を詠んだのであろう。 サボテンの棘から花へと読者の目を誘う展開が見事だ。 清水 憲一 北野さん 互選頂きありがとうございます。 また素晴らしい鑑賞に感激です。綺麗な花を咲かせた様な女性を見ると和みますね。 (5/21) 夏場所や横綱を食ふ紙相撲 亜仁子 夏場所も中日を迎え、毎日激しい星争いが続いている。 白鳳、日馬富士は横綱の貫禄を見せて中日まで無敗。一敗の高安が追いかけている。 平幕が横綱を倒すと金星となり大きな勲章だ。揚句を中七まで読むと誰のことかなと 思わせて下五で紙相撲と落ちが来る。とても諧謔味のある句だ。 Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。 とても嬉しいですね。 湯の滾り少し緩めて新茶点つ 幸 詠者はお点前をしている。釜の湯が滾り過ぎたので少し緩めてから新茶を点てる。 新茶を美味しく点てるため湯温にまで気を配る茶人の心得がよく分かる句だ。 さぞかし美味しく点てられたことだろう。 Sachiko Yokoi Hayashi 北野様 一句互選にお選び戴き有難うございます。 茶釜の滾る音と新茶の薫が好きです。 (5/20) 花茨刺の一片ほどの嘘 房子 嘘とは何か、を考えさせる句だと気づいた。 悪意による大きな嘘は世の中を乱す元となる。 一方で小さな嘘は人間関係の潤滑剤となることもある。 詠者の措辞・刺の一片ほどの嘘とはほんの小さな嘘という意味だろう。 そんな小さな嘘でも、嘘をつく側はそれを知っていて胸に痛みを覚えている。 今村 征一 すごく好きな句です。 桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!。どんなに小さくても人のつく嘘は、 嘘をついた方も、つかれたほうも大きな痛手となる事があります。 小出有紀 互選に選ばせていただきます。すごく好きな句です(*´∀`) 熊谷房子 いいねの皆さんコメントありがとう御座います。 父に付いた嘘がずっと心に引っ掛かっております ある筈の見付からぬシャツ衣更 宇鷹 更衣をしようとして、去年確かに来たはずのお気に入りのシャツを 探したが見つからない。はて何処に行ったのか。 衣装ケースの中をひっくり返して探し回る。 私にも経験のある風景で共感した。 菊池洋勝 北野先生の互選ありがとうございます。 夏物と言っても僕はパジャマやTシャツばかりですが一度気に入ると同じものを何年も着ています。 木綿のパジャマもユニクロのTシャツも今は馬鹿にできなくて丈夫な生地で裁縫も 良くできていますから繰り返し洗っても切れることはまずありません。 あそこに入れた筈のシャツが見付からない時のイラゝとモヤゝは急の暑さと混じって不快です。 母も七十を過ぎて衣替えに使う体力がなくなりました。 RE 北野 和良 (5/19) 葉桜の中の素粒子色めけり 孝之 物理学では分子⇒原子⇒素粒子というように分解を進めていく。 すべての物質は素粒子の集合・塊だとも言える。 花が散り葉桜となり、若葉が勢い良く伸び始めていて色も日に日に緑に変わっていく。 葉の目まぐるしい成長の様子をその元となる素粒子が 色めき立っていると想像したところがユニークだ。 原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。 科学俳句は俳味に乏しくなるのですが、素粒子が色めけりにして少し良くなったかな? とは思いました。光の短波長側と長波長側を「素粒子」が吸収し、 その補色が緑となりますね。どうして緑以外の光を吸収するのでしょうね? (5/18) 謙虚さの欠けらもなきや麦の秋 平井充 畑の麦が実り一株一株が元気に空へ向いている。どの実った穂も我先にと空へ向かう。 その様子を謙虚の欠けらもないと措辞したところが面白い。 稲の穂は実るほど頭を垂れる稲穂かなと言われ、 成熟した人ほど謙虚になれと教訓にも使われる。 麦はそんなことも知らないのか、と詠者は言いたかったのだろうか。 牧内 登志雄 互選にいただきます。天に向かって伸びる、盛りの麦の秋を 「謙虚さも欠片もなき」と表わしたところに妙味がありますね。 こういう着想の仕方が非常に勉強になりました。 平井充 ありがとうございます! 鳴神や子らの駆け入る駅舎かな 幾子 急に天候が変わり雷が鳴り雨も降り出した。 下校の子どもたちは驚き慌てて駅舎に逃げ込んで雨宿り。 空の黒い雲や激しい雨と雷の音も聞こえてくる緊迫の状況の写生句だ。 つしま いくこ 互選と、丁寧な鑑賞をありがとうございます。 急な雷は本当に神様が通ってるみたいだな。 連休季語、すごいなと思って作りました。うれしいです! (5/17) ギンヤンマ番ひたるまゝ水の影 祐 ギンヤンマの雌雄が番いながら水辺を飛んでいる。子供の頃から トンボはどうしてあんなアクロバチックな姿で飛ぶのだろうと不思議に思っていた。 爽やかな写生句、水の影が場面を活き活きとさせている。 牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。 まさしくアクロバチックな生命の交接ですね。「水の影」ありがとうございます。 吉報の届きし朝や風薫る 玉有良 朝、吉報が届いたという。どんな良いしらせなのだろうと想像が掻き立てられる。 吉報が来るなら朝が良い。外の風も爽やかに感じられるだろう。 季語がよく効いている。 小出有紀 北野さん、ありがとうございます(^-^)/ 今朝は眞子さまの御婚約の報が飛び込んできましたね。 それ以外でも通じるように言葉を選びました。選んでいただき嬉しいですね (5/16) 街の蟹横断歩道で手をあぐる 勉実落 有明海などに生息する潮まねきというカニがいる。 雄の一方の鋏は大きく、その鋏を振る様子がまるで潮を招くようだとしてこの名が付いた。 そんなカニが街に現れるとは思えないが、子どもたちが横断歩道で手を上げて渡る姿と 重ねて詠者が想像した句だと読ませてもらった。上五ではて?と思わせるところが上手だ。 佐野勉 ありがとうございます。横断歩道は旗を上げてわたりましょう。 という子供達と、蟹を重ねてみました。 (5/15) ナイターの喉を潤す琥珀色 正則 ナイターを観に行った詠者は、試合の合間にビールで喉を潤している。 ナイターが夏の季語だと知った。そこでビールとの季重なりを避けるために 琥珀色と置き換えたのだろう。巧者の技を見せてもらった。 野島 正則 北野さん、選、鑑賞ありがとうございます。 ナイターはやはり、屋根など無い方が良いですね(о´∀`о) (5/14) 母の日やせんべい好きの母とお茶 紀宣 母の日に詠者はお母さまとお茶を飲み話をしている。お茶うけはお母さまの好きなせんべいだ。 私の母は(もう居ないが)晩年は入れ歯で固いものが苦手だった。 夕食時にたくあんが硬くて噛めず若い時は平気でポリポリと食べていたのにと 嘆いていたのを今でも思い出します。 おせんべいを食べられるお母さまとご一緒の幸せが伝わって来ました。 つちたに jt 純一 北野さん、ありがとうございます。 とても嬉しいです。また、素晴らしい鑑賞ありがとうございます。 (5/13) ひかがみの白きを愛でし夏の雨 祐 ひかがみとは膝の後ろのくぼんでいるところのこと。 夏の激しい雨は地面を跳ねて足を濡らす。 ショートスカートを穿いた女の子のひかがみに思わず目を向けた。 健康なエロチシズムを感じる句だ。 牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。偶々のことでした。 一瞬のことでしたが、雨の中の眼福でした。やはり、若さというのは、それだけで際立っています。 ジメジメとしない夏の雨の感じが感じてもらえれば嬉しいです。 点ひとつ線香花火に家族の目 流 伴 線香花火は始め松葉が激しく散り、次に柳となり、最後は点となって消えていく。 子どもさんが持つ線香花火にご家族みんなが注目しているそんな景が見えてくる微笑ましい句だ。 最後に点となる瞬間を詠んだところがユニークだ。 (流さん、初めまして。他の皆さんと同じように句の後ろに名前/俳号を書くようにして下さい。 よろしくお願いします) 流 伴 ありがとうございました。・励みになります、 ご注意も気付かずにおりました。ありがとうございました。 (5/12) サングラス外して妻に戻りけり 直美 何とも謎めいたストーリー性のある句だ。 サングラスをして外出したが、帰ってきてサングラスを外して(貞淑な)妻に戻る。 サングラスをして普段の自分を隠し変身していったい何処へ誰に会いに行ったのか。 服装も化粧も普段ではない特別のお洒落だったのだろう。単なる女子会であろうはずがない。 牧内 登志雄 互選にいただきます。男も女もサングラス一つで行動が変わるといいます。 しかし、そのサングラスを外した時、男は「夫に」は戻りませんが、女は「妻に」戻る。 非日常から日常へ戻る女の心の変化をサングラス一つで上手く表わした一句だと思う。 高井 直美 北野さん、こんばんは。ご選句とご選評をありがとうございます(*^^*)。 サングラスをかける時よりも外す時の方が微妙な心理なのかもしれないと思いながら読みました。 素敵なご選評を頂いてとても嬉しいです。 桐の花庭に三本三姉妹 寛昭 昔は娘が生まれると庭に桐の木を植え、娘が嫁入りする時の箪笥にしたと聞いたことがある。 詠者の見た家の庭には3本の桐の木がありきっと三姉妹がいるのだろう。 桐の花が満開となっている。三姉妹も花のような娘さんに育っていることだろう。 古閑 寛昭 北野さん、素晴らしい鑑賞ありがとうございます。 自分も同じ思いで詠みました。ありがとうございます。 (5/11) しなる背の妲己(だっき)もかくや紅薔薇 玉有良 妲己(だっき)は殷の紂王の寵姫で淫楽・残忍を極めたといわれる伝説の美女である。 詠者はバラ園で背の高く咲く紅薔薇を見て、妲己が背を反らしているようだと感じた。 妲己を思うならやはり紅薔薇で、淡いピンクや黄色は似合わない。 小出有紀 北野さん、ありがとうございます。 紅薔薇の赤黒さは、包絡(ほうらく)、たい盆(たいぼん)などの残忍な刑の 犠牲になった人々の血の色なのかもしれませんΣ(゜Д゜) 木漏れ日を大きく揺らす若葉風 孝之 若葉を広げ始めた大木に風が吹き葉がそよいでいる。 強くなり始めた陽射しが木漏れ日となり地面に影を落としている。 気持ちのよい五月の風、揺れているのは木の葉だが、 木漏れ日を揺らすと措辞したところが素晴らしい。 原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。 昨日は句にならずに四苦八苦してました。 木漏れ日が句にせよ!と言ってくれました。励みにします。 (5/10) ボール蹴る幼子の笑み夏帽子 勉実落 幼い児がボールを蹴り上手に出来て嬉しそうに笑っている景が浮かんだ。 サッカー少年にはまだ届かない幼い子どもは夏帽子を被っている。 青空と傍で見守る親御さんの姿も見える。 このような直裁的で平易な言葉だけの句は佐野さんには珍しく読むのに何の苦労もなかった。 佐野勉 ありがとうございます。 「笑み」はボールを買ってもらい喜んでいる幼子の景です。 今は庭先でボール転がしに興じています。易しい措辞を選ぶことと、 季語と措辞の距離を工夫することを、工夫しました。 板前の声よく通り初鰹 美音 寿司屋のカウンターでのやり取りを想像した。 「今日のお薦めは何?」「へい、初鰹が入りました。沼津から直送ですぜ」 板前は自信をもって薦めてくれた。中七の声で、如何にも美味しそうな鰹が見える。 向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!嬉しいです。 (5/09) 夏場所のまわし新調北斗の拳 玉有良 春場所で優勝し横綱に昇進した稀勢の里が新しいまわしを披露した。 絵柄は彼の好きな北斗の拳だ。茨城県人としては稀勢の里の五月場所での優勝を祈っている。 詠者もきっとそう想いながらこの句を詠まれたのだろう。 小出有紀 北野さん、ありがとうございます。 ラオウを選んだところが何とも言えなかったですね。 北斗の拳は一応女の子でしたので(笑)??そこまで詳しいわけではありませんが、 流行った時代にアニメは見ていました。 稀勢の里、頑張れ〜 香水や小悪魔となる勝負の日 晶子 何時の頃からか勝負下着・パンツという言葉が流行るようになった。 恋に落ちた女性は自分から積極的に男に働きかけることに躊躇しなくなったようだ。 詠者も今日を勝負の日と決め小悪魔となる覚悟をし香水を選んでいる。 そんな気持ちを揚句のように詠むようになった平成という時代をつくづくと感じた。 畝川 晶子 北野さん、ご選句とご鑑賞をありがとうございます! ただ、これは半分希望的な内容です(笑)。私は普段全く香水を使用しません。 ただ好みの香りのものを2、3置いてあります(何年前のものかな 笑)。 精神的にリラックスしたい時にアロマのように自分のために少し使う時と、 好きな人に会う時等、他人を意識して使う時。 少し甘い香りがすればいいかな〜というぐらいなので、 「小悪魔となって少しは人を惑わせてみたい」と願望を句にしました。 期待外れでごめんなさい m(__)m 。ああ、もっと色気がほしいものです! (5/08) 駐在のつつじに繋ぐ迷い犬 幾子 駐在(交番)の前のツツジの木に迷い犬が繋がれている。 きっと仔犬で親切な人が交番に預け、お巡りさんは必死で持ち主を探しているのだろう。 ふと犬のお巡りさんの童謡を思い出した。なんとものどかな景である。 つしま いくこ ありがとうございます! 迷い犬って困るんだけど、ちょっと楽しいですよね。 小学生が集まったりして。そこまでは俳句に入れられなくて断念しました。 君もまたシャネルの5番夏はじめ 祐 シャネルの五番と聞けばマリリン・モンローの逸話がピンとくる。 詠者が言う君はモンローに匹敵する美女に違いない。 なんとも羨ましいことだ。モンローの本名がノーマ・ジーンだということを もう一つの句で教えてもらいちょっと物知りになった。 牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。 わたくし的にはマリリン・モンローよりもノーマ・ジーンの方がちょっと好きです。 (5/07) ビルの窓席巻したる薄暑光 湧雲 何時の頃からか外壁全面ガラス張りのビルが増えてきた。 夏の太陽がビルの外面に当たりキラキラと輝いている。 そんな様子を中七席巻したるが上手に表していると思った。 薄暑光の季語ともよく響き合っている。 亀山 美雪 北野さん、ご選句ありがとうございます! ご鑑賞も素晴らしく、たいへん光栄で嬉しいです! 新緑やスマホ鏡に紅をさす 藤倉浩正 スマホの表面は滑らかで鏡の代わりもなる。 コンパクトを出すのを省略してスマホに映しながら紅を直す。 彼女はきっと急いでいるのだろう。都会の風景の一シーンを巧みに切り取った句だ。 (藤倉さん、お願いがあります。他の方と同じように句の後ろに名前/俳号をご記入下さい) 藤倉浩正 北野 和良 さん ありがとうございます。名前の件了解です。 (5/06) 夕焼を呑み干してゆく鯉のぼり 陸沈 夕焼けの空に鯉幟がまだ元気に泳いでいる。 大きな口を開けてまるで夕焼けを呑み干しているように見えた。 明日もきっと良い天気になるだろう。上五が雄大な景色を彷彿とさせている。 緒方 順一 北野さん、ありがとうございます。 呑み干して満足したように、夜の鯉のぼりはおとなしくしていました。 (5/05) 初夏の風龍ならむとて鯉登る 湧雲 初夏の風をはらんで鯉幟が勢い良く泳いでいる。 それはまるで天に昇って龍になろうとしているようだ。 中七龍ならむとての措辞は、龍にならむとでも良いのではないだろうか。 亀山 美雪 北野さん、ご選句とご評価、そしてアドバイスをくださり有り難うございます! 中七は口に出して詠むと仰るとおり龍にならむとの方が淀みなくスッキリしますね。 晴天の汽笛鳴らして初夏走る 俊克 よく晴れた山間を蒸気機関車が汽笛を鳴らしながら走っている風景が浮かんだ。 勢い良く走る姿を初夏走ると措辞したところが素晴らしい。 大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。 (5/04) 蝌蚪泳ぐ鼻のよく似た子沢山 草民 上五の季語で蝌蚪泳ぐとなってはいるが、詠者が言いたかったのは 子沢山の子どもたちの目鼻立ちがそっくりだということだと思った。 眼や鼻や耳、口許などはどこか親に似るものだ。 鼻はきっとお母さんに似たのだろうか、とそんなことを思わせる楽しい句だ。 山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。 愛憎の風雨凄まじ春の雷 孝之 先日、列島の上空で南の高気圧と北の寒気団とが衝突して烈しい雷が発生し驚いた。 詠者はこの現象を見て愛憎のぶつかりを想像したのだろう。 男女の愛はそれが強いほど裏切られた時の憎しみも大きくなるものだ。 だが夫婦喧嘩は犬も食わぬの例えどおり第三者はただ見守るのみだ。 向瀬美音 クク、さすが北野さん! 原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。 5月になり初の互選です。3日間足踏みしました。昨日の雷は久しぶりに激しいものでした。 愛憎入り混じる風雨でした。愛するほど憎みあう、そんな春の雷雨でした。 原孝之 美音さん、こんばんは。恋句の女王は目を光らせてますね!(笑) (5/03) スーパーの巣掛けの鳥に皆優し 直 スーパーの天上に燕が巣を作り子育てに入り、雛に餌を運ぶため忙しく出入りしている。 時には糞を落とすので、下にいる者は迷惑する。けれども 子育ての期間だけと分かっているので優しく見守っているのだろう。 鉄道の駅などでもよく見る風景だが、糞避けのダンボールを吊るしたり 注意書きを置いたりしてして皆さん優しく見守っている。 それを見る詠者の気持ちもまた優しい。 大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。 母の手を払うを覚え鯉幟 宇鷹(五月三日) 上五中七から、ようやく自分の意志を持ち始めた幼児を想像した。 鯉幟とあるから男の子だろう。大きくなったら立派な男になってくれよ、 という親御さんの気持ちが分かる。 菊池洋勝 北野先生のご記帳ありがとうございます。 僕は物心のつく以前に股関節脱臼があり整復治療のため足を釣られたり 長い間装具を着けていたので人よりもハイゝや歩き出すのも遅れていた子供でした。 生まれつき手足の筋力が萎えていく先天性の病気があったので、 その影響もあったんだろうと思います。やっと歩けるようになっても 母や父の手を繋いで歩くことが多く自我が芽生え 母の手を振り払う行為は僕の最初の反抗だったかも知れません。 当時の母の気持ちは分かりませんが一抹の寂しさや 目が離せない心配もあったと思います。お陰様で暫くの間は 病気の症状も緩やかで自分で歩くことができ十代は普通学校に入学して通いました。 自宅には中庭があり父が物干し台を拵えて柱を立て鯉を上げました。 小学校に行くと国旗と共に鯉幟が上げられた思い出もあります。 今は特別なことはしませんが柏餅は食べたいです。良い連休を過ごして下さい。菊池拝 北野 和良 こんにちは。菊池さんにお書きのような辛い幼少期があったとは 知りませんでしたが、今は良くなられたようでよかったです。 (5/02) 春の月プリンのような柔かさ 花恋 少し黄色みがかった春の月を見て、プリンを思い起こすのは如何にも女性らしい。 月を柔らかいと感じるところも柔軟な思考の故だろうか。 そんなプリンを私も食べてみたいものだ。 上野 孝子 北野さん、ありがとう御座います。ファンタジータッチ〜 大藤の光と香りのシャワー浴ぶ 正則 一日一句互選に頂きます。シャワーという措辞から大藤の咲き誇る姿が浮かんできました。 野島 正則 北野さん、選に鑑賞いただき、ありがとうございます。 (5/01) 躑躅咲く源氏平家の布陣めく 玉有良 詠者は紅白が見事に区分けされた躑躅の群生を眺めている。 それがまるで源氏平家の陣立てのようだと見立て、平安の昔に思いを馳せたのだろう。 牧内 登志雄 あら、北野さんに先を越されましたが、互選にいただきます。 なかなか見事な躑躅の盛りが景として浮かぶ句ですね。 小出有紀 北野さん、牧内さん、ありがとうございます(^-^)/嬉しいです(*´∀`) 雨ならば泳いでみせよ五月鯉 祐 鯉のぼりの季節となりあちらこちらに真鯉緋鯉が建てられているが、生憎の雨となり しょんぼりと垂れ下がり雨に打たれている。それを見た詠者は、水は得意なはずだろう、 雨の中でも元気よく泳げよと励ましている。 (頭の雨と尻尾の鯉を入れ替えても句になると思った〈鯉ならば泳いでみせよ五月雨〉) 牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。 まさにご鑑賞いただいたとおりの鯉のぼりですか。 で、ご指摘の「鯉ならば泳いでみせよ五月雨」、とても参考になります。 ありがとうございました。 |