俳句鑑賞文(復刻版)    2017 February        トップへ   




(2/28)

目を引きて心に残る鬼縛  亜仁子

鬼縛という花を知らなかったので、ネットで調べた。
沈丁花科で樹皮が堅く、「鬼を縛ることもできる」とのことから、この名前になった。
「夏坊主」の別名もあり、春に黄緑色の4弁花が咲きいい香りがする。(写真参照)
地味だが印象に残る花を見て詠まれたのだろう。



Aniko Papp 選んで頂き、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいです。お写真もいいですね。



一尾一尾に生きし日々あり白子干  俊彦

白子干しが夕食に出た。小さな白子がぎっしりと。
この一尾一尾もさっきまで生命を持っていたのだなと感慨に浸る。
食の連鎖を思いながら、美味しく頂きます。

鎌田 俊彦 北野さん、互選有り難うございます。
食の連鎖の頂点にある人間として、有り難さを感じつつありたいものですね。





(2/27)

奴の国や古今東西山笑ふ   孝之

魏志倭人伝に書かれた奴の国、金印の発掘された志賀島が
有力だがそこが何処なのかの比定は未だ決着が付いていない。
だが古代確かにあった国、そしてそこを取り巻く山々がいま春を迎えて
笑っていると詠者は詠む。長い年月と広大な景色を思わせる句だ。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。
金印の発掘が志賀島ではないという説もあるのですね。知りませんでした。
しかし、奴の国が那珂川が流れ込む博多付近にあったのは間違いなかろうと思います。
山々はそんな悠久の歴史を見てきました。北野さん、一度博多にお出かけ下さい。



一升餅背負ひあゆむや風光る  栄太郎

子供さんの一歳の誕生日に、一升餅を背負わせて健やかな
成長を祈る儀式があるとTVで見たことがある。
詠者のお孫さんが実際にこの儀式をされたようだ。元気に育たれるよう祈りたい。

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、
うれしい鑑賞のコメントも頂戴しまして大変有難うございます。
京都に住まいの小生の実家は鳥取であり、山口にいます次男の妻は下関出身です。
両方の土地のしきたりでしょうか?孫が一歳になれば米・筆・
そろばん・辞書、お金などを並べ自由の取らせ将来を占います。
そして子供の健やかな成長を願い、一升餅を風呂敷に包み背負わせ歩かせます。
中には重い餅を背負っても走る程の子も居り、その場合早く歩く子供は
親から早く離れるとも言われ、背中を押して転ばせます。何とも愉快なしきたりです。





(2/26)

遠野火や胸のほむらは消えぬまま・・清一

詠者は遠くの野焼きを見ている。火は消えそうでいてまた燃え上がる。
詠者の心のなかでもあの人への想いがまるで炎のように燻り続けている。
消しても消しても消えない想いが・・・・

向瀬美音 互選に選ばせていただきます。ほむらにぐっと惹きつけられた。
遠野火がまたいい雰囲気を出している。こんな恋をしてみたいものだ。
清水 憲一 北野さんありがとうございます。





(2/25)

踏まれても益々強く薺かな  亜仁子

春の七草の一つの薺。野性味に溢れ踏まれても挫けること無く芽を伸ばし葉を広げていく。
そんな薺のように力強く生きていきたいという詠者の願いも籠もっていると読ませてもらった。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。私もできるだけ、薺のように力強く生きていきたいですね。



女雛(おんなびな)右とやんわり京女  藤倉浩正

内裏雛の並べ方は関東と関西では違う(逆)と言う。
女雛を左側に置こうとしたら「だんはん、それは違いますえ。女雛は右側どすえ」と
京女がやんわりと教えてくれた。言葉は柔らかいが厳しい指摘なのだ。

藤倉浩正 北野 和良 さん ありがとうございます。
仰る通りですね。公家文化と武家文化の違い、今日までですよね。





(2/24)

地を砕く力眩しき蕗の薹  直

春を待ちかねたようにいろいろな草が大地を割って芽を出し始める。
繊細な植物の芽にあんなに土を砕き持ち上げる力があるのかと不思議に思う。
その様子を地を砕く力と措辞した所に感動した。
芽を伸ばし始めた蕗の薹の景が目に浮かぶようだ。

大津留 直 北野さん、ありがとうございます。
ご丁寧なご鑑賞をいただき、感激しております。



吊し雛背ナに書かれし一茶の句  紀宣

つるし雛と言えば犬猿や野菜などが一般的だが、
詠者の見た吊るし雛の背には一茶の句が書かれていたと言う。
一茶のどの句だろうかと想像力が膨らむ。

つちたに jt 純一 互選に選んで頂きありがとうございます。
北野さんのおっしゃる通り、野菜(人参や大根)の吊し雛でした。
僕が見た吊し雛の背には、季節は少し違いますが、
是がまあつひの栖か雪五尺 という一句が書かれていました。
味わいがありました。写真がなくてすみません





(2/23)

北窓を開く心はすでに旅  征一

清水 憲一 互選に頂きます。
冬長き北陸の鉛色の空にも春の訪れを知らせる鶯や梅の香り、
それに誘われるかの様に北窓を開ける詠者、さあこれからは
家に篭っていないで花を愛でに行こうと心は旅の用意をする。
その様な日常の心理描写を17音に見事に切り取った佳句である。
つちたに jt 純一 こんばんは。一日一句互選に選ばせて頂きます。
窓を開き、さあ、気持ちよく旅に出ようという思いが伝わる一句です。
原孝之 こんばんは。「一日一句互選」に頂きます。
「北窓を開く」の季語を用いて定型にするのは難しい。
今村さんのようなベテランになるとスラスラと出来る。
掲句は、旅心を詠ったもの。春の旅が始まる。
牧内 登志雄 互選にいただきます。清水さん、純一さん、原さんが
すでに素晴らしい鑑賞をしていますが、開け放たれた窓にふと感じる春。
その風の向こうに旅をしてみよう、そんな気にさせてくれる御句ですね。
北野 和良 一日一句互選に頂きます。雪に閉ざされた北国の方の
春を待つ気持ちが季語とよく合っています。勉強になりました。



嬬恋の香り漂ふ沈丁花   孝之

上五は嬬恋となっているが、音で妻恋い或いは夫恋いと読ませてもらった。
沈丁花は香気の強い花でその香りにはセクシーを感じることがある。
沈丁花の匂いを嗅いで愛する人のことを強く思ったという述懐の句だ。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。
妻恋にしようかと思いましたが、古風な嬬恋にしてみました。
歳時記に日本の沈丁花には、男木しかなく実がならないものが多いとありました。
中国の女木を恋い焦がれているのではなかろうか?というアイデアでしたが、
人間に当てはめてもらっても構いません。(笑)





(2/22)

百段の階段軋む雛人形   正則

茨城県大子町にある十二所神社参道の通称百段階段に
毎年1000体の豪華絢爛の雛人形が飾られる。
この句はその光景を詠んだものと思うが、
見事さ豪華さを言う言葉に階段軋むと措辞したところがお手柄だ。

野島 正則 北野さん、選に鑑賞いただきありがとうございます。



エンジンの青き息吐く春の海  祐

春の海へ漁に出て行く漁船のエンジンの煙が蒼い息を吐くように見えた。
煙を青きと措辞したことで、軽快な音を響かせている様子が目に浮かぶ。
天候もよく豊漁が期待できそうだ。

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。
スズキの水揚げが日本一という船橋漁港の朝の風景です。
朝日に青い排気がきれいに見えます。





(2/21)

立ち漕ぎの少女ら競ふ風光る  栄太郎

下校時の女学生たちの風景が浮かんだ。
場所は川の土手道だろうか。立ち漕ぎをし競いながら話も弾んでいる。
風光るの季語がピッタリと合っている。光と音が溢れている句だ。

牧内 登志雄 互選にいただきます。「風光る」の季語がとても効いていますね。
女の子たちが自転車を「立ち漕ぎ」してアッという間の遠離る。
少女らの白い足がすっくと伸びてペダルを漕ぐ。
できれば白いブラウスを着ていると、「風光る」イメージがより膨らむ。
桑本 栄太郎 北野さん、牧内さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き
それぞれの方に嬉しい鑑賞のコメントを頂戴しまして大変有難う御座います!!。
この句の背景は学校が休みの土曜日に、小学校4〜5年の仲の良い少女達が
自転車で坂道を立ち漕ぎ競争を行って遊んでいました。
若い人、特に女性が元気な姿はとても心の弾みを覚えます。



セザンヌの絵筆のごとく春動く  直

春が近づくと人間は誰しも期待感でそわそわした気持ちになる。
詠者はそれをセザンヌの絵筆に例えた。ポスト印象派、近代絵画の父と
言われるセザンヌの絵は独特の力強さがあり、詠者の例えは説得力がある。

大津留 直 北野 和良 さん、ありがとうございます。大変うれしく思っております。





(2/20)

ミッフィーの生みの親逝く余寒かな   玉有良

ウサギのキャラクター「ミッフィー」の作者ディック・ブルーナさんが
2月16日、老衰のため死去したことへの追悼句。
1955年に「ミッフィー」シリーズ第1作を発表。
日本では石井桃子さんの訳で64年に『ちいさなうさこちゃん』というタイトルで翻訳された。
2011年に、「ミッフィー」シリーズ最後の絵本を発表し、東日本大震災では
涙を流すミッフィーのイラストに「日本に祈りを捧げます」というメッセージを送った。
世界中で愛された作家の冥福を祈りたい。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
東日本大震災に寄せたらミッフィーのイラストは知りませんでした。
嬉しい心遣いですね。



陽炎やコンタクトひとつ付け忘れ  俊文

詠者はコンタクトレンズを使っていて、片方を付け忘れたという。
片目は焦点がぼやけるので、景色が陽炎のように揺らいで見えた。
私はメガネを掛けているがコンタクトの経験はない。そもそもコンタクトを
付け忘れるということが本当にあるのか? と疑問に思ったが
なんだかユーモアに溢れた句だと思った。

河野 俊文 北野さん、嬉しい鑑賞をありがとうございます。
実際には付け忘れはありませんが、風の強い日にはよくほこりが入り、
片方のレンズをはずします。その時には焦点がぼやけて、陽炎を観るようです。



(2/19)

冬羽織四十年の居飛車党  夢酔

将棋の戦法は居飛車と振り飛車に大別される。
居飛車党では加藤一二三、米長邦雄などが有名である。
詠者は四十年来将棋を嗜み居飛車党であるらしい。
今日も将棋仲間と盤を囲み、冬羽織に腕組みをして先を読んでいる、そんな景が浮かんできた。

室木 助樹 ありがとうございます



四光年先の惑星草萌ゆる・・・清一

昨年8月に地球から4光年ほどの宇宙に地球とそっくりな
惑星プロキシマbが発見されたニュースが流れた。
私も【鈴虫の移住計画四光年】という句を詠んでみた。
清水さんの揚句は、そのプロキシマbが春を迎え
草が萌えだしたと想像された。とても壮大で好きな句だ。

佐野勉 互選にいただきます。プロキシマbから春の句が送信されていました。
遊星の寝返る下に春の宵」作られたのは、昭和50年だったみたいですね。
どなたかかの惑星からほかの句を受信された方がおられましたら、
お知らせ願います。地球グレゴリオ暦2017・2・19 送信終了。
清水 憲一北野さん ありがとうございます。四光年との距離もそうですが、
地球と同じ様な環境にあることが分かって大変感動しましたね。
私も北野さん同様色々なことを想像させられました。ここでは草萠ゆるの季語としましたが、
草があれば水もありまた種々の生物の存在も確認されるのではとの期待句ですね。





(2/18)

雨水聴く小首傾げし池の亀  藤倉浩正

雨水の候、春雨が降っている。
池を見ると岩に登った亀が首を傾げて雨音を聴いている。
雨音を春の到来と感じて楽しく聴いているのは詠者自身なのに違いない。
擬人化の要素を上手に取り入れた佳句である。

藤倉浩正 北野 和良 さん ありがとうございます。



梅よりも愛されてをり滑り台   直美

公園の滑り台の横に梅の花が咲いている。大人は梅を眺め花の香に一時を忘れる。
だが子どもたちには梅の花よりも滑り台が興味の中心で喜々として滑りを楽しんでいる。
この句では子供を表す措辞がないのに子供の姿が見えてくるところが秀逸だ。






(2/17)

枝先の赤き潤みや春きざす  栄太郎

花木の芽が膨らみ始めほのかな赤い色が見える。何の花だろう。
ようやく春だなあ、早く蕾を開いて見事な花の姿を見せてくれ。
春の到来を待っていた詠者の喜びが目に見えるようだ。

小出有紀 互選に選ばせていただきます
「枝先の赤き潤み」とはなんと瑞々しい表現だろうか
春は「水の春」という季語もあるように、万物が潤っているんだなぁと実感させられた。
桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、
嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
今朝は雨予報備中、ゴミ捨てに戸外にでました。家の周りに植えられている
楓の若枝が赤く潤み、芽吹きも近い事を実感しました。





(2/16)

号令や紅白梅の立ち上がる   孝之

上五号令やでハットさせられた。紅梅白梅の枝が空へ向かって真っ直ぐに伸び、
花の蕾がまさに開こうとしている。それはまるで誰かに号令を掛けられ
一斉に目を覚まし飛び出していくようだ。生き生きと花開く様子が目に浮かぶ句だ。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。
こんな私ですが、有難いことです。



水仙花流儀の形に活けられて  十河智

詠者は水仙の花を活けている。生花にいろいろな流派があるとは知っているが、
同じ花でも流派によって行ける形に違いがあるとは知らなかった。
が詠者は自分の学んだ流儀に従って活けようとしている。
どんな形が完成するのかいろいろと想像できて楽しい句だ。

十河 トモ子 和義さんありがとうございます。
水仙は、私の流義、池坊では、活け方の決まっている大切な花材で、
今年、私は活けてないのですが、綺麗に形通りに活けられているのを
ぐうぜん拝見することができて、感動しました。智





(2/15)

鶯のゆとり生活生き生きと  亜仁子

早春の花が咲き始め、鶯も飛んで来て蜜を吸っている。
世界は混沌を極め息苦しいが、この鶯はそんな人間界を知らぬげに
生き生きとしている。わたしもいっそのこと鶯に生まれ変わって
蜜を吸うゆとりの生活をしてみたいものだ。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。
とても嬉しいですね。



ハタハタや尾で競ひたる男前   百々寧

ハタハタは主に日本海側で食用にされ、秋田県の県魚である。
煮魚や焼き魚に調理されるほか、干物、塩蔵、味噌漬けなどにもされ、
しょっつると呼ぶ魚醤にも加工される。ハタハタの取れる地方では
とても好まれていて、市場で目利きをする人の姿が目に浮かぶ。
新鮮さや脂の乗り具合をを測るのと同じように、美味しいハタハタは、
尻尾を見ることだとこの句は言う。関東人にはあまり分からないが、
尾で競ふの措辞でドキリとさせるところが面白い。

木谷 有里 北野さん。ご丁寧なご鑑賞をありがとうございます!
今日はハタハタを食べましたよ! 大好物なのです?(*´?`*)
尾っぽが焦げて反り上がり美味しそうにやけました!
皆で競い合っているようでした!





(2/14)

紫木蓮をんなの業のなまめかし  美音

紫木蓮の措辞を見て、〈戒名は真砂女でよりし紫木蓮〉(真砂女)を思い出した。
詠者はをんなの業に着目した。男は浮気者と決まっているが、女も又貞節とは限らない。
生物学によれば雄はより多くの雌に精子をばらまくことを運命づけられており、
雌(の性器)は多くの精子の中から一番優秀な精子を選ぶ機能を有しているという。
キリスト教の言う死が二人を別つまでというのは、社会を穏便に保つためのスローガンでしかない。
そんな雌の本質ををんなの業と見破り、なまめかしの措辞で肯定していると読ませてもらった。

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます。嬉しいです!鑑賞も鋭いです。
紫木蓮の花を見る生の女に見えませんか?
桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!
紫木蓮は白木蓮の花の後ですので、もう少し先の感じながら、
田舎の屋敷内に咲く紫木蓮をよく眺めて育ちました。
小生の6歳の時に亡くなった母の箪笥に紫色の矢柄の着物は入っていて、
時折引き出しを開けて眺め、母を偲んでいました。その紫木蓮の
色柄が亡くなった母の着物の柄に重なるのです。子供の頃の哀しい想い出は、
何時までも甘く哀しく残るようです。「女の業」とは遠い鑑賞ながら、
優しい女性を想わせる紫木蓮ですね!!。
向瀬美音 栄太郎さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!嬉しいです!



ぶをとこの破顔一笑金縷梅の花  俊文

金縷梅が解らなくて調べたら、マンサクのことだった。
あの花びらとも思えない紐状の花は梅の時期に咲き珍しい趣がある。
詠者はその花の姿を、をとこの破顔一笑に例えた。
花といえばその美しさ、可憐さを女性に例えることが多いが、
をとこに見立てた句は初めて見たので、この句を取らせてもらった。

河野 俊文 北野さん、素敵な鑑賞をありがとうございます。
ぶをとこは、味があり、やさしいひとが多く、私は大好きです。
そのぶをとこの笑顔もまた一際、滋味深いものがあります。
ぶをとこを詠むシリーズを計画中です。
小出有紀 互選に選ばせていただきます。
二通りの読み方ができる句だ。
@バテレンの祭なんざ、俺には関係ないね〜??と笑い飛ばしているか
A思いもよらず、チョコをもらって、ニヤニヤが止まらないのか。
「まんさく」も初めて知った季語 だ。身近にみたことがないので
写真だけしかみてないが、ユーモラスな姿をしてますね。
ぶをとこでも、愛嬌があるキャラなのでしょう。
私はAだと信じてあげたいですね。
河野 俊文 有紀さん、素敵な鑑賞をありがとうございます。
ぶをとこの笑顔は、なんとも味があり、私は大好きです。
ひとの痛みを知る大人の風格があります。普段は女性に縁のない
ぶをとこにも春が訪れたのでしょう。Aがぴったり、ですね。





(2/13)

春泥や足跡分の青き空  祐

昨夜の雨の後、青空が戻ってきた。ぬかるんだ道を足元に気をつけながら
歩いていたら、誰かの靴跡に水が溜まり、そこに青空が写っていた。
普通は空を見上げて青空を確かめるのだが、
詠者は足元に青空を見つけたというのが発見だ。

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。
寒い朝でしたが、足跡に映り込んだ青い空が印象的でした。
素敵な鑑賞をしていただき嬉しいです。



清濁を併せ紅梅枝垂れかな   孝之

清濁併せ呑むとは、善悪の別け隔てをせず、来るがままに受け入れること。
度量の大きいことに言う言葉だ。
詠者は咲き誇る紅梅の枝垂れを見てふとこの言葉が浮かんだ。
梅は見る人を選ばない、老若男女、善人悪人の全てにその姿を現し香りを届ける。
振り返って自らもそのような人になりたいと思ったのではないだろうか。

原孝之 北野さん、おはようごさいます。
ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。今、出張で熊本、
人吉に向かう高速のサービスエリアにおります。元気を頂きました。





(2/12)

人心の荒べど山河菜の花忌   俊彦

二月十二日は司馬遼太郎の忌日。たくさんの名著を残した司馬は
この国を愛した人であった。
いま経済の低迷もあり、人の心は荒れているように思える。
山河という措辞から杜甫の詩『春望』の冒頭の句
「国破れて山河あり、城春にして草木深し」を思い出す。
有為転変の世の中と変わらない自然とを対比し、感慨深くいう言葉。
だがその自然さえもが地球温暖化の影響で穏やかな四季の移りを脅かされている。
菜の花忌に因んで希望に満ちた穏やかな日々を
取り戻したいという詠者の祈りを句に見た。




やきもちを隠し通して木瓜の花   keiko

実は私も今日「木瓜の花」で二句一章の句を作ってみた。
取合せの句を作ると、季語が動かないかどうかの判断が
とても難しいが、揚句では成功していると思った。
木瓜⇒ボケ⇒呆けるという連想がどこまで通じるかだ。
内心のヤキモチを隠して素知らぬ顔でと思わせるところがとても面白い。

Keiko Nakai 北野さん,選んでいただいた上に,
素敵なご鑑賞文をありがとうございました!とてもうれしいです。
おっしゃる通り,木瓜とぼけるをかけたつもりです。あともう一つ,
木瓜の枝の鋭い棘が,やきもちを隠し通した本当の心を表せたらなぁと
思いました。ちょっと欲張りですね(*^^*)





(2/11)

紅梅に唐の時代の姫映す   有働 あこ

揚句の唐の時代の姫という措辞だけでは、具体的に誰という推定が出来ないので
鑑賞がとても難しい。唐の三代皇帝高宗の皇后で後に初の女帝となった則天武后は
自ら聖神皇帝と称して帝位に登り詰め、国号を「周」に改めるほどの
女傑だったので、姫というイメージにはあまりそぐわない。
中国の唐、日本が遣唐使を送ったのは奈良時代。
この頃日本にはまだ梅の木は伝わっていなかった。従って万葉集に梅を詠った歌はなく、
平安時代になってから菅原道真の飛梅などが現れる。
つまり唐の時代の姫は日本の姫ではありえない。
理屈はさておき、詠者は梅の花の咲くのを見て、
千年以上昔、梅を愛でたであろう姫の気持ちに自分を重ねて見た。
詠者の心にいた姫とは誰だったのだろうか?
(有働さん、互選欄には初登場ですね。選句・鑑賞にもぜひご参加下さい)




日本の臍にたつぷり春の雪   正則

大寒波が押し寄せ列島は思わぬ大雪に見舞われている。
だがこの句の眼目は日本の臍だ。一体何処のことだと思わず調べ始めてしまった。
気になる話題アラカルトによると、候補は6箇所あるらしい。
群馬県・渋川市、栃木県・佐野市、山梨県・韮崎市、
長野県・辰野町、岐阜県・関市、兵庫県・西脇町。
それぞれの地域は我こそは日本の臍なりと自称しているようだが、
正式のものではない。詠者はどこをイメージして詠まれたのか謎だ。

野島 正則 北野さん、身に余る鑑賞いただきありがとうございました。
詠み手に、いろいろ想像をしていただけると、嬉しいです。





(2/10)

雪割草越後意気地の駒子かな   俊彦

川端康成の小説「雪国」の登場人物、駒子は上越の温泉場の芸者。
はじめてであった舞踊評論家の島村に清潔な印象をあたえる。
妻子のある島村をいちずに愛するようになるが,けっして成就することのない恋に苦しむ。
そんな駒子の気持ちを意気地と断じ、その姿を雪割草に重ねたのはとても共感できた。

鎌田 俊彦 北野さん、有り難うございます。
この句は、自分でも気に入りだったのですが、案外受けなくて、
何故何故という心境でした。読み取りいただいて嬉しいです。



落つるとき堕ちてしまへと猫の恋  美音

恋に落ちるという言い回しがある。恋という感情は用意周到に準備をして始まるのではなく、
まるで予期しなかった道の穴に落ちるように突然にやって来るからだ。決して理性ではない。
あっ、落ちたという実感はあるが、先行きは予想もつかない。甘い期待、希望がある一方で
どうなって行くのだろうかという恐ろしい未来への不安で胸が一杯にもなる。
堕ちるとは、抜き差しならぬ状態になることをいう言葉だ。詠者はどうせ落ちたのなら
とことん堕ちてみようではないかと心を決めた。(このような腹の括り方は思春期の若く
人生経験の薄い者には難しくある程度以上の人生経験のある者にしか出来ないのではなかろうか)

桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!
人を恋すると言うことは「後先見境のなくなる事」ですね?
人は物心がついてからは、自己のすべての言動に於いて「理性」を働かせようとします。
しかし「恋心」は理屈ではなく感情であり、理性で抑えようとすれば、いつか爆発して
しまうものでもあります。「猫の恋」のように本能に従って生きる事へも、強い憧れを感じている作者です。
向瀬美音 北野さん、栄太郎さん、互選及び素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!
私はいつもこんな感じです。





(2/09)

先達の揺るがぬ背なや梅古木   玉有良

俳句など何かを習う者について、先達(先輩)の背中は逞しくまた厳しく見える。
揺るがぬ背なの措辞がそれを的確に表している。凛と花を咲かせる梅枯木のようである。
美しい花を咲かせたいと思うなら、修行を重ねいつか私を追い抜いてみろと、
励ましてくれているようにも見える。梅古木の比喩がよく効いている。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
今村さんのように重厚な句を詠めるようになりたいです。
誕生日に贈る俳句の試みは最近始めたばかりですが、
季節と相手の雰囲気を詠みこむのは難しいかなと思いましたが、
意外なほどにスッと降りてきてくれた一句です。



いばらの芽ひとつ残さず雨が研ぐ   直美

いばらの芽が雨に濡れて光っている。その様子に下五雨が研ぐという措辞を
持ってきたことに感服した。みずみずしい芽の様子が目に浮かぶようだ。
(いばらの芽が季語かどうかが気になり調べたが、歳時記には無いようだった。が、
春先に出てくる芽ということで十分季語の役割を果たしていると鑑賞した)

高井 直美 北野 和良 さん、おはようございます。
ご選句とご選評をありがとうございます!
「いばらの芽」は「薔薇の芽」の傍題季語として、角川歳時記に載っていたので
使ってみました。実際には、昨日氷雨の中で薔薇の芽が濡れている様子を詠みました。
・・包丁を丁寧に研ぐことが好きなので、「研ぐ」という表現にしてみました。
褒めて頂いてとても嬉しいです。
北野 和良 野いばらの芽ぐむに袖をとらへらる(水原秋櫻子)
の句などもありました。





(2/08)

これからが青春二月八日かな  征一

一読した時、二月八日が俳史上の特別の日なのか? と疑問に思ったが、
実は詠者今村さんの誕生日だと気づいた。75歳の誕生日おめでとうございます。
誕生日を迎えた気構えが上五中七のこれからが青春だと納得した。
ますますのご健吟を期待しています。

今村 征一 御選句並びに鑑賞ありがたく厚く御礼申し上げます。



梅古木矍鑠として忍を説く  直

年を経て幹には苔を乗せた如何にも老木の佇まい。
それでも枝には花をつけ馥郁の香を漂わせていると矍鑠の措辞は言う。
どうしてそんなにいつまでもお元気なのですか、と問うと「忍」じゃと答える。
世の荒波に負けずひたすら花を咲かせ続けるには忍耐あるのみだと、
哲学を説く梅の木なのだ。

大津留 直 北野さん、ありがとうございます。
いよいよ濁世の観を強めている世の中、たんかとはいくで「忍」を行じて
ゆくほかはないのだと思います。北野さんのお言葉に励まされております。
桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!
梅の古木は幹に白い苔が張り付き、姿形も如何にも風雪に耐えた貫禄ですね!!。
それでも時が至れば趣のある花を咲かせます。人も老いて尚、
風雅を忘れたくないものです。「忍を説く」の措辞が好いです!!。
大津留 直 桑本さん、ありがとうございます。
お言葉を大変嬉しく頂きます。励まされます。





(2/07)

如月と描きて落款そっと押し   幸

落款とあるが、書だろうかそれとも俳画だろうか。
最後に如月と描き、仕上げの落款を押し、晴れ晴れと出来栄えを眺める。
墨の黒と朱色の落款の対比が鮮やかに浮かび上がる句だ。

Sachiko Yokoi Hayashi 丁寧なご鑑賞ありがとうございます
拙い書と俳画をお勉強させて戴いております。
どちらも劣等生ですがコツコツ続ける勇気を戴き有難うございます。



一枝を挿して待ちたる春の色  祐

床の間の一輪挿しに花の一枝を活けた。
花があるだけで辺りにはたちまち春の雰囲気が漂い始める。
まだ咲ききらぬ花かまたは凛と満開に咲く花か。
何の花だろう、匂いはどうだろうと想像の膨らむ句だ。

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。
午前中の月イチのクリニックが終わって帰ると梅が一輪。
外の風が冷たかっただけに、ちょっと嬉しい気持ちでした。





(2/06)

亀鳴くやなんと東芝迷走す  俊文

新聞によく出てくる新作四字熟語のようで、思わず笑ってしまった。
東奔西走⇒東芝迷走という訳だ。このアイデアを俳句らしく仕立てるために
季語亀鳴くを持ってきた機知に敬服した。
このところかつての大メーカーの転落話が多く、日本経済の先行きに不安を覚える毎日だが。

河野 俊文 北野さん、ありがとうございます。あの名門の東芝がなんたることか。
土光さんや石坂さんを輩出した老舗の東芝が、、、。そんな想いを句にしてみました。
北野 和良 そうですね。私が長年加入しているBiglobeも
NECから切り離されとうとうKDDI傘下となりました。



謝肉祭仮面の奥の目は虚ろ  美音

仮面を被って集う謝肉祭の場面はTVや映画でしか見たことがない。
男女が仮面を被りコスプレをして楽しみようだが、仮面は無機質である。
仮面の目も当然のこと丸い穴が開いているだけでそこに情緒はない。
それを詠むのなら〈謝肉祭被る仮面の目は虚ろ〉となるだろうか。
だが、詠者は仮面の奥の目に焦点を当てそれが虚ろだと気づいた。
つまり被っている人の目が虚ろということ。周りの皆が仮装して楽しんでいるのに
その人だけは虚ろな目をして楽しんではいない、恋人が他の人に夢中になっているのか?

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!嬉しいです!
さすが視点が鋭い!ところで今日はこれから青山の句会で帰ってくのが4時になるので、
くれぐれも埋めじは進めないこと!私は選句中にどっさり考えてきます!





(2/05)

島津揚げ暖簾に春の匂かな    孝之

上五島津揚げに一瞬はてな?と思ったが薩摩揚だと気づいた。
九州ではこうも言うのだろうか? 暖簾を誇る薩摩揚げの店先に揚げる匂いが漂っている。
食欲をそそる匂い、そしてそれは春の匂いでもある。
この匂いを嗅いだら買って帰るしかあるまい・・・・

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句に素晴らしい鑑賞有難うございます。
丸に十の字を付けたさつま揚げはここだけだと思います。徳永屋本店です。
今日も食べましたが、これまで鹿児島中央で買ってたものとモノが違います。
魚がいいのと味付けでしょうか?



蔵元の地酒の試飲や雛飾り  俊克

老舗の蔵元で新酒の試飲会をやっていると聞き駆けつけた。
この店の自慢は純米吟醸だ。他に山廃仕込もある。
どうぞどうぞと勧められついつい二杯三杯と。
ふと横を見ると、もう早々と雛飾りが並んでいる。
代々伝えられ飾られてきた豪華なお雛さまの顔は今風ではないが優美なものだ。

大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。





(2/04)

雪うさぎ盆に残りし葉の二枚   久美子

雪兎を作ってお盆に飾っていたのに、陽射しを浴びて雪が溶け、
跡形もなくなってしまい、お盆には耳に差した葉っぱが二枚だけ残った。
あの元気な兎はどこへ帰ってしまったのだろう。お母さんに会えたかなぁ・・・・

山田久美子 北野様、一句互選ありがとうございます。
立春なのに、あえて雪うさぎの季語を持って来たのも 東北はまだまだ雪深いです。
気持ちに逆らって、春の句は詠めなかっのです。励みになりました。



政治家は戯れ言ばかり亀鳴けり  紀宣

亀鳴くというのは不思議な季語だ。生物学的には亀は鳴かない。
この語の発祥は藤原為家の歌にあるという。俳句を始めたばかりの頃は
理屈に合わないと反発を覚えていたが、飽くまでも空想の中の諧謔
という意味で違和感はなくなってきた。揚句は政治家は戯言ばかりと詠んだ。
昨今の世界の政治家はツイッターとやらで発信し応酬を繰り返している。
そんな風潮を亀鳴くに託した詠者に大いに共感した。

つちたに jt 純一 北野さん、ありがとうございます。
北野さんのおっしゃる通り、亀鳴く、という季語は、実際にないことで、
僕もほとんど使えなかった、というのが、正確かもしれません。
しかし、社会風刺をする俳句も増え、又、政治家や、実業家にとんでもない方が増えています。
滅多に社会風刺の句を作らないですが、挑戦ということで作りました。
素晴らしい感想、解釈ありがとうございます。





(2/03)

策略にのせられ食うや恵方巻   平井充

節分の日に恵方を向いて食べると良いとされる恵方巻だが、元々は関西発祥だと聞く。
コンビニの策略に乗せられて食べるのは関東人だと思うが、
関西人の詠者も同様に感じていると知り、ちょっと怪訝に思った。
ところで、恵方は新年の季語だが、恵方巻はまだ歳時記には採用されていないようだ。
だが、この句を嚆矢としてきっと歳時記に載る日が来ると思っている。

平井充 ありがとうございます。





(2/02)

山寺に蒼い眼のひと梅ふふむ  俊文

山寺に探梅に来た人を見た。その人は蒼い眼をしていた。きっと欧米人・女性だろう。
近頃の外国人観光客は日本の情報に詳しく、4月の花見目当てに来る客も多いという。
詠者は徳島に棲む人だ。私も以前鳴門に住んでいたことがあり、
大麻比古神社や阿川・梅の里を訪れたことがある。
そんな田舎に欧米人観光客が来たらさぞかし眼に立つことだろう。
膨らみかけた梅の花とそれを鑑賞する美女、一幅の絵になる風景が浮かんできた。

河野 俊文 北野さん、素敵な鑑賞ありがとうございます。
ここ徳島では、外国人のお遍路も増えてきています。よく見かけます。
その中には、若い欧米の女性も交じっています。
山深いお寺にも金髪に蒼い眼のひとは目立ちます。
日本人と同じようにお遍路しています。みな敬虔なひとばかりですね。



春待つや告白したるジャズ喫茶  紀宣

下五のジャズ喫茶に惹かれた。私の若い頃は、音楽喫茶やジャズ喫茶が流行りだった。
コーヒーを注文してついでに曲をリクエストする。クラシックだったりジャズの曲だ。
自分がリクエストした曲が流れるまで辛抱強く待ち、曲を聴いたら引き上げる。
上五中七からは詠者がそんなジャズ喫茶でお相手に告白したと想像できる。
さて、結果はどうだったのであろうか?

桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!
小生も嘗てジャズ演奏を行っていましたので
(ニューオリンズジャズのバンジョー演奏)、ジャズ喫茶に入り浸りでした。
「Jazz」の本来の意味は「騒々しい」「喧しい」との意味もあり、
クラシック喫茶より気後れする事なく、軽いノリで告白出来るようですね!!。
季語「春待つ」の明るさが効いています。「あのさ〜、これからも付き合って呉れる?
・・えっ!何?」などの会話が聞こえて来そうですよ!!。
つちたに jt 純一 北野さん、桑本さん、ありがとうございます。
ジャズ喫茶は、なかなかなく、偶然見かけてジャズ喫茶に入りました。
お二人のおっしゃる通り、楽しく過ごしました。告白の結果は、
ご想像に、と言いたい所ですが、うまく行きました。(笑)





(2/01)

うたかたの恋と知らずや名残雪   孝子

下五なごり雪を見た途端にイルカの歌が蘇ってきた。
〈♪ 東京で見る雪は これが最後ねと さみしそうに きみはつぶやく〜♪〉
うたかたの恋の措辞はいささか手垢の付いた言葉かも知れないがこの句の場合は
下五なごり雪⇒名残雪と硬い漢字としたことでバランスが取れていると感じた。

上野 孝子 ありがとう御座います。(*- -)(*_ _)ペコリ
まだ若い女性が年上の妻ある男性に恋心を抱き、でもきっと
いつか恋は実ると信じている儚くも純粋な愛を詠いたかった句です。



待春やマネキンだけが似合ふ服  俊彦

街のモールやデパートは春物セールで賑わい、今年の流行ファッションがマネキンに着せられている。
あら素敵な柄とデザインと見えたけれど、あの服はあのマネキンだから着られるので私には・・・・
お客の女性の悔しがる顔が思わず浮かんでくる愉快な句だ。

小出有紀 互選に選ばせていただきます。すごくわかる?共感の一句です(笑)
桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!
一月に入りますと、ファッション界は未だ寒くても
「梅春もの」と言って春先の様相になります。
スタイルの良いマネキン人形が春の装いとなり、春のファッションを提案しています。
しかし、まだ季節は冬の真っ最中であり、見ているだけでも寒そうです。
そのあたりの諧謔の味の「マネキンだけが似合ふ」との措辞に窺え見事です!!。

鎌田 俊彦 北野さん、小出さん、桑本さん、ありがとうございます。
マネキンを見ると、ついついこのような思いが浮かんできます。