俳句鑑賞文(復刻版)    2017 January        トップへ   




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波の華あまねき宙と響き合ふ  美音

波の花は越前海岸などで冬の晴れて風の強い日に見られる現象である。
浪の穂先が白々と凍てつき泡沫状となって浜辺に打ち寄せ、また高く舞い上がる。
波の轟々と打ち寄せる音、舞い上がる波の花はまるで宇宙と響き合っているようだ。
荒々しくも美しい海岸の景色と波の音が聞こえ壮大な宇宙を感じさせてくれる句だ。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!
全くその通り、その感慨を読みました。嬉しいです!北野さんはすごいなあ。
北野 和良 こんばんは。今日の美音さんの句はどれも良かったけれど、
雄大さに共感してこの句を頂きました。



幽玄に染むる波間や鼓冴ゆ   玉有良

上五幽玄と下五の鼓から能舞台を想像した(間違っているかも知れないが)。
浅学の身で、能には詳しくないが、知っている能で海の波が聞こえるのは俊寛だ。
鬼界ヶ島に流された俊寛僧都、帝からの恩赦の便りに彼の名はなかった。
恩赦を受けた仲間が乗って都へ帰る舟が漕ぎ出し、岸辺で俊寛は悲嘆に暮れている。
ひときわ高い鼓の音と波の音が重なり俊寛の哀しみを表すクライマックス。
辺りは重苦しい幽玄に満ちている。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
NHKでやっていた「厳島観月能(羽衣)」の美しさに感動して詠みました。
先日は演目になぞらえたものを投稿しましたが、今回は鼓に焦点を絞りたかったので、
能かな?と思うくらいの世界観にしました。
厳島神社の能舞台で、波が舞台に煌めいて…。薪能とはまた違う幻想の世界でした。
いつか観に行ってみたいですね。
北野 和良 有紀さん、羽衣だったんですね。





(1/30)

撮り鉄の沿線あちこち冬列車  俊克

上五撮り鉄とは、列車の写真を撮るためには全国を走り回る熱烈な鉄道ファンのことである。
詠者は列車の旅でたまたまこの撮り鉄の群れに出会ったのだろう。
一枚の写真を撮るために列車の来る前から場所を定め、
カメラの三脚を据え、列車の来るのをひたすら待ち続ける。
ファンとはその一瞬に命をかける道楽者だ。




寒鴉愛想笑ひのごとく鳴く  紀宣

詠者は枯れ枝に止まる鴉の声を聞いた。その声を愛想笑ひのようだと思った。
鴉が人語を話すわけはないから声をどう聞くかは、
聞く人の心の有り様を示すのだろうか?
中七の愛想笑ひの意外性に驚き取らせてもらった。

つちたに jt 純一 北野さん、ありがとうございます。
鴉の鳴く姿を描写するのに、不意に思いついた描写です。とてもうれしいです。





(1/29)

新調の制服眩し春隣   幸

制服とあるので中高生だろう。進学して新しい制服を買ってもらい自慢げに着ている。
新品の制服と重なって子供さんの顔も眩しく輝いている。
詠者の見守る暖かい視線が見えるようだ。

Sachiko Yokoi Hayashi お選び戴きありがとうございます
ついこの間までの甘えん坊が急に大人っぽくなった気がします。



蝋梅の秘め事ひとつ包みをり  晶子

詠者は蝋梅の花を愛でている。薄い黄色、蝋のように透きとおった花びら、
その花はまるで何かの秘事を抱えているようだと感じた。
花の姿からの想像がいかにも女性らしい感性だと思った。

畝川 晶子 北野さん、選んでくださりありがとうございます!
凛とした蝋梅の花もやや下向きで、秘め事を包み込み、ずっと抱え込みながら
生きている奥ゆかしくもあり、強い女性のイメージを持ちました。
蝋梅の色合い・花びらの描写、そして「女性らしい感性」と評してくださり、
すばらしいご鑑賞をありがとうございました!(^^)!。





(1/28)

水の精気の精統べり大氷柱   草民

数日間続いた寒波で各地で滝が凍った。
当地茨城でも袋田の滝が数年ぶりに9割以上凍りつきニュースとなった。
垂直に落下する滝が凍ったところもきっとあるだろう。
それらは水の精や気(心)の精を集めて凍らせてしまったと詠者は感じている。
キラキラと煌めく大氷柱の中に、あらゆる精が閉じ込められていると思うと荘厳な気持ちになる。

山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。鑑賞文で句が引き立ちました。



梅三分俳句心は満開に  征一

梅の便りが届き始め、三分咲きほどになってきた。
詠者は便りを嬉しく聞き、梅を詠もうと心を満開にしている。
見習いたい俳人の姿勢だ。三分から満開へとの展開が素晴らしい。

今村 征一 御選句並びに鑑賞有難う御座います。





(1/27)

大寒波天岩戸の重きかな  久美子

古事記神話で天照大神が天の岩戸にお隠れになった場面と読ませてもらった。
天宇受賣命が神がかりして胸乳もあらわに狂喜乱舞され
神々がどっと囃したてる声に天照大神が何事かと天の岩戸の隙間から
覗かれようとした時に、手力雄命が一気に岩戸を開く。
神話には季節の記述はないのだが、詠者は大寒波の頃で岩戸も
さぞかし重かっただろうと空想の翼を広げられたようだ。
その空想力に驚いた一句だ。

山田久美子 北野様、素晴らしい鑑賞と互選ありがとうございます



行商の置き薬足し春隣   直美

行商の置き薬とは富山の薬のことだろう。(今もあるのかどうかは知らないが)
子供の頃私の家にも置き薬があり、風邪薬、胃薬、頭痛薬などがあり、
年に一回行商が来て減った分を補充して帰っていったのを覚えている。
またそのおじさんは紙風船などの景品をくれたので子供心に嬉しかった記憶がある。
行商人の来る頃がちょうど今頃(春隣)だったのだろう。
懐かしさを掻き立てる句だ。

牧内 登志雄 互選にいただきます。
富山の薬売り、東京でもやってきましたね。春と秋の年に二回くらい来たんでしょうか。
紙風船、大事に取っておくと薬の匂いが移るんですよね。
一番減ったのは赤い丸薬かな。あれ、何に効いたんだろう。

桑本 栄太郎 「一日一句互選」にいただきます!!。
子供の頃、鳥取の田舎にも富山の置き薬屋さんがやって来ていました。
父親はその人からあちこちの色々な話を聞く事が好きで、一晩泊まって頂いていました。
背中に背負う行李の中に、薬の他、子供のみやげに五色の紙風船が入っていて
とても楽しみにしていました。赤い丸薬は何にでも効く
「越中富山の反魂丹」又は、正露丸ではないでしょうか?

高井 直美 北野 和良 さん、おはようございます。
ご選句とご選評をありがとうございます!思い出を共有出来立てとても嬉しいです。
話し好きな祖母が富山の薬屋さんを楽しみにしていました
高井 直美 牧内 登志雄 さん、おはようございます。
ご選句とご選評をありがとうございます!
東京にも薬屋さんが来ていたとは!紙風船、懐かしいですね





(1/26)

舞妓てふ冬芽ほころぶ梅にも春   玉有良

端唄「梅にも春」〈梅にも春の色そえて 若水汲みか 車井戸・・・〉に合わせて
舞妓さんが日本舞踊を舞っている。中七冬芽ほころぶとあるのでまだ修行中の
若い舞妓さんなのだろう。艶やかな声の端唄、舞妓さんの華やかな舞が
新春の喜びとともに伝わって来る佳句である。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
曲名を必ず入れるというテーマを課したシリーズです。
これが結構自分の首を絞めているので(笑)、選んでいただきとても嬉しいです



等圧線歩幅ひろげて四温かな  寛昭

真冬のこの時期、日本列島の気圧配置は西高東低と言われ、
縦に並ぶ等圧線が狭いほど北風が強まる。
等圧線の間隔が広がると風も弱まり、南風が吹くと暖かくなり三寒四温を繰り返す。
この句は中七歩幅広げての措辞が言い得て妙である。詠者のお手柄だ。

古閑 寛昭 北野さん、ありがとうございます。





(1/25)

縁の下の人居て雪の日本あり   孝之

ここ数日列島に大寒波が押し寄せ、全国的に大雪となり観測史上初という記録も報道された。
幹線道路で数百台の車が立ち往生したり、山深い集落が孤立したというニュースもあった。
雪に慣れた北海道や東北はまだしも、そうでない地方では大雪への対応に追われた。
自衛隊や自治体、企業の人達は住民の安全を確保するため必死で雪の処理をしている。
詠者は華々しい報道の陰に働くこの人達に思いをはせてこの句を詠まれたのだろう。

原孝之 北野さん、こんにちは。ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
テレビのニュースで出ておられた除雪車の運転手さんは確か68才の方でした。
除雪作業はベテランでないと難しいようです。
例えば、電線に雪をかけると電線が曲がって切れてしまうこともあるようです。
雪対策を業者に任せるだけでなく、政府や自治体が
責任をもってやる必要があると感じました。
今村 征一 おっしゃる通りですね。一句選に頂きます。
原孝之 今村さん、こんにちは。ご選句有難うございます。
九州の人間には分からないことですが、今村さんにとっては切実なことでしょう。



寒風の誘なふ先に寄席囃子   梅薫

下五に寄席囃子とあるが、現代であれば落語の寄席だろうか。
寄せの周りには寄席文字の書かれた幟が立ち客を誘い賑やかな囃子も聞こえてくる。
寒風が吹き早く寄せに入って面白い落語を存分に堪能したいと足を急がせる。
そんな風景と囃子の音が聞こえてきた。

土岐 康 北野 和良 さん、ありがとうございます。
東京にある四軒の寄席では、実際に開場時(一番太鼓)と
開演時直前(二番太鼓)を鳴らします。
上野の鈴本演芸場では、前座さんが門前で実演いたします。





(1/24)

鮟鱇に美人不美人あるらしく   直美

人間には美人不美人がある。もっともそれは人それぞれの好みによるので絶対尺度ではない。
同じように鮟鱇にも美人不美人があるのだという説を詠者はどこで聞いたのか?
鮟鱇は吊るし切りで有名、だが切り身になってしまっては美人も不美人もあるまいに。
だが一読してひょっとしたらあるのか、と思わせる詠みっぷりが愉快な句だ。

牧内 登志雄 面白い句で、目に留まりますね。
鮟鱇はたぶん不美人で美味しいと思いますけど、鮟鱇のオスは哀れですね。
鍋になるのはメスだけ、オスはただただ生殖機能だけでメスに取り込まれてしまう、
悲しい運命ですから、せいぜい堪能してあげるのが供養になるでしょう。




二拍子の続く鈴の音神遊び  房子

垣遊びの季語が珍しかったので調べてみると、宮中で行われ天皇の前で
舞う御神楽のことでその原型は天宇受賣命の神がかりとされるとある。
私はTVでも見たことはないが、優雅なそして時には烈しい舞いなのであろう。
躍り手が鈴を持ちリズムは二拍子。そんな神楽の情景が浮かぶ句である。






(1/23)

トランプのジョーカーとなり冬深く   幸

ジャーカーと読んでトランプのババ抜きゲームを思い出した。
子供の頃、結婚してからも子どもたちとよく遊んだものだが、ババのジョーカーは嫌われ者で、
引かないように、引いてしまったら隣の人に渡すようにと工夫し祈ったものだ。
アメリカの新大統領トランプ氏の支持率は史上最悪だと伝えられ、就任式当日にも
国内を始め世界各国で反対のデモが起こされたと聞く。まさにジョーカーだ。
そんなニュースをさりげなく詠んだ時事句と読ませてもらった。

Sachiko Yokoi Hayashi 北野様。お選び戴きありがとうございます
やはり彼が画面に現れる度に胡散臭さを感じてしまいます。



酔ふてみたり泣いてもみたり燗の酒   百々寧

酒を飲む人は多いが、中に怒り上戸や泣き上戸がいる。
酔いが回るにつれて怒りや泣きの止まらなくなる人もいる。
周りの人は、まあまあと宥めるしか術がないものだ。
この句は詠者自身ではなく、お相手のことだろか。
リズムが良いが川柳に近い印象を受けた。

木谷 有里 北野さん,ありがとうございます!
お酒はあまり強くないので無理が出来ませんが、
ちょっと色々と苦しくなると沢山飲んでみたくなりますね。
でもやっぱりあとが大変なので、想像してこんなお酒に
なるだろうなぁと浮かべた時に一句詠めました。
私はまだまだこんな川柳みたいな句しか詠めませんが、皆さんの句を日々
拝見しているのでいつか秀句が出てくるのではないかなぁ、と期待しています
頑張ります!





(1/22)

技冴えて初優勝の賜杯かな   玉有良

初場所で14日目に優勝を決めていた稀勢の里が、
千秋楽で白鵬を転がし優勝に花を添えた。
茨城県民として稀勢の里を応援していた私には待ち望んでいた初優勝だった。
昨年の年間勝ち星もトップで、今場所の成績を加味すると
念願の日本人横綱の誕生が答申されるようだ。
句としてみると優勝と賜杯とは意味が被さる気味もあるが、
そんな些細な事には拘らず快挙を詠まれた詠者に敬意を表したい。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
ご指摘の通り、意味が被ることを懸念したが、やっとやっと手にした優勝。
しかも千秋楽に白鵬に勝ったとの報。めでたさ倍増良かった良かった!!
何重にもおめでとう、と叫びたい。
これで、ここ一番に弱い、なんて言われなくなるね!



冬すみれ特別な日と気づかされ   草民

一読して中七の特別な日に引っかかり気になって仕方がなかった句だ。
詠者は暖かな陽射しを浴びる冬菫を見つけ、
ふと今日が特別の日であることに気づいたという。
いったいどんな特別の日なのか、読者の想像にお任せしますと言うだけで
何のヒントもない。こんな作り方もあるということを教えられた句だ。
(草民さん、意地悪せずにどんな特別の日なのか教えて下さいよ〜)

山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。冬スミレに出会うこと、
それだけで平凡な日が特別な日になることもありますね。





(1/21)

文晁の図柄鶴亀達磨市  俊克

達磨市で鶴亀を描いた谷文晁の画を見つけた。
文晁は江戸時代の絵師で松平定信に寵され、
南画に北画風を加え、また大和絵にも長けていたという。
市で売られているのはきっと模写画だろうが、
画の好きな人には掘り出し物に見えるかも知れない。
詠者は買うか買うまいかと迷ったのだろうか。

大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。



天辺に切絵の如く寒鴉  祐

詠者は木立の中で天辺を見上げると、裸木の枝に寒鴉が止まっているのを見た。
青空を背景に黒い枝と鴉、それはまるで一枚の切絵を見るようだった。
中七切絵の如くの措辞が優れている。

牧内 登志雄 北野さん、互選のお選びいただきありがとうございます。
鑑賞いただいたように、まさに見たままの光景を詠んだ句です。
衒いなく素直に詠んだことが良かったのかな、と思います。





(1/20)

目印は赤い毛糸の冬帽子  正則

詠者はたくさんいる人混みの中から目当ての相手を探そうとしている。
いろいろな場面が想像される。スキー場、
ハチ公前のようなデートスポット、或いは競技場。
目印は赤い毛糸の冬帽子だ。無事に相手を見つけられるよう祈ろう。

野島 正則 北野さん、選、鑑賞いただきありがとうございました。
赤は、目立ちすぎたかも?



神さぶる鳥居染むるや雪の花  晶子

神々しい神社の赤い鳥居に雪が降り白く染めている。
赤と白の対比が鮮やかに目に浮かび、
雪のために辺りは音もなく静寂に満ちている。
上五から荘厳な神社の光景が目に浮かぶようだ。

畝川晶子北野さん、ありがとうございます!
またご鑑賞の文がとても素晴らしく二重にありがたく存じます。
写生の句が苦手なので、厳島神社の大鳥居を詠んでみました(^^)/。
Biyou Utashiro 一日一句互選頂きました(^^)
やはり、神を敬う心の素直さが感動を呼ぶのでしょう〜〜 キラキラ輝いていますね





(1/19)

雪山の神なる日本海の神    孝之

大陸の寒気団に覆われた日本海の蒸気が吸い上げられ
雪と化し列島に襲いかかっている。
秋田では242センチもの雪が一夜で積もったとのニュースを見て驚いた。
八百万の神々は日本海にも雪山にも居られ、
海の神が、久しぶりだのぉ元気にやっとるかい、
と山の神に挨拶し、ほうら土産の雪じゃとドカ雪を届ける、
そんな場面を想像した。

原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。
神話にお詳しい北野さんならではのご鑑賞に楽しくなります。大寒を乗り越えられそうです。



暖炉燃ゆスイングジャズの迸る  寛昭

暖炉を燃やしていると言うのは、北国か或いは山の別荘であろうか。
赤く燃える火から木のパチパチと爆ぜる音も聞こえてくるようだ。
詠者は揺り椅子に身を任せてスイングジャズを聴いている。
どんな曲だろうか。

古閑 寛昭 北野さん、素敵な鑑賞ありがとうございます。





(1/18)

風花やひかりは詩と音となり   玉有良

詠者は風花を見ている。風花とは風に舞い散る花のような雪の意だ。
暗い曇り空ではなく陽が差していて風花はキラキラと輝きながら舞っている。
煌めく雪は詩であり、そのフレーズは音となって頭の中に響いてくる。
眺めているだけで幾つもの句が生まれてきそうな楽しい情景だ。

(付記。原句では詩⇒ウタと読ませていると思う。だがそれだと
ウタトオトトとなりタ行が重なり少しリズムが悪いと感じた。
詩⇒シと読むことにして、詩となり音となり、とリフレインさせる方が
リズムは良くなるのではないだろうか。
ただしこうすると表現として少し通俗的な感じもする。
詠者の推敲の苦心が見え隠れするようだ)

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/  推敲句も素敵ですね。
た行のリフレインも面白いかな〜と。
「なり」のリフレインも違う雰囲気が出ていて良いですね。



剣菱を冷であてには寒蜆  俊文

剣菱とは摂津伊丹の銘酒。これくらいの酒は燗をせず冷で味わうのが通だ。
あてには寒蜆をつつき、酒を聴く。呑兵衛には至福の時間だ。

河野 俊文 北野さん、ありがとうございます。剣菱、うまみがありますね。
蜆の佃煮も美味です。ああ、まさに至福の時間です。





(1/17)

秒針の音だけ聞こゆ霜の夜  紀宣(土谷)

霜の降る極寒の夜、時計の秒針のカチカチと進む音だけが聴こえている。
音の響きと共に寒さと静寂が伝わって来るようだ。

土谷純一 北野さん、ありがとうございます。





(1/16)

冬珊瑚あどけなくなる花言葉  亜仁子

フユサンゴ(冬珊瑚)は秋から冬(10〜12月)にかけて、プチトマトより小さめの
可愛い実を鈴なりに付け、初めは黄緑の丸い実はだんだんとオレンジ色や赤へと変化していきます。
詠者はこの輝くような実を見つけ花言葉を思い出した。
花言葉:神秘的、あどけない、あなたを信じる、愛情。
詠者はこの花言葉の内で「あどけない」がお気に入りだ。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、
ありがとうございます。とても嬉しいですね。



繭玉や駆け落ちの過去よみがへり  美音

詠者は過去の駆落ちを思い出している。それは甘い思い出か或いは苦い思い出なのか?
上五季語の繭玉は、枝に餅や団子をくっつけた飾り物のことだが、
私は蚕の繭そのものを思い浮かべた。親の反対を押し切って駆落ちし、
二人だけで暮らした小さな部屋、神田川の世界の場所、愛する人と潜んだ繭の中のような世界。
あの頃二人は若く世間に恐いものなどなかった。ただひたすら見つめ合うだけで幸せだった。
駆落ちの結末がどうなったのかは想像するしかないが、
詠者の人生を決定したあの出来事を折りに触れ思い返すのだ。

向瀬美音 ククク、北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!
感動しました!本当は親の反対を押し切ってフランスにお嫁に行ったのでした。
ただひたすら見つめ合うだけで幸せ、なんてとんでもなくって、
もう大変で後悔しました。今となっては遠い昔話です^^
北野 和良 ご自身の実話だったのですか! 
ドラマチックな人生のスタートだったんですね。お話はポケットにまだまだありそうですね。
向瀬美音 溢れあふれてこぼれをり です。





(1/15)

列島の天空に坐す冬将軍  勉実落

1/15 日本列島は大寒気団に覆われ、全国的に大雪となった。
山形では240cmの積雪、名古屋から広島、徳島まで
雪となりセンター試験に臨む高校生の足を悩ました。
冬将軍が列島上空にどっかりと腰を据え安逸をむさぼる市民に戒めを告げているようだ。
中七の措辞が季語とよく響き合っている。

佐野勉 ありがとうございます。
新聞の小見出しのような句になってしまいましたが、
ウェザーリポートの結果系としては成功だったかもしれません。余談になりますが、
かくいう私は日本気象協会を始め、各局の気象予報士(当然女子)のファンの一人です。



乙女駆くたすき阻まむ吹雪かな  風葦

京都で行われた全国女子駅伝のTV中継の景と読ませてもらった。
前夜からの雪を除雪してレースが始まったが、途中からまた激しく雪が降り始めた。
中継の画面にも大粒の激しい雪が映され、
選手の襷リレーも雪に邪魔されて選手を悩ませていた。
厳しい条件の中で優勝した京都チームに拍手を送りたい。
レースの緊迫した状況を見事に切り取った佳句である。

Masayoshi Nishimoto 北野さん、選んで頂いてありがとうございます。
まさに北野さんのご鑑賞のとおりです。選手の前頭部にも
雪が積もっていましたね。私も全出場メンバーに拍手を送ります。





(1/14)

それぞれに香り忍ばす女正月  祐

女正月に女子会をやろうと言うことになり、親しい仲間で集まった。
皆さんそれぞれが精一杯おめかし、着物姿で帯には自慢の根付。
お久しぶり〜の声も賑やかに袖には香袋を忍ばせ、馥郁とした香りが漂う。
華やかな女子会の始まりを詠んだ佳句だ。

牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。場面はいろいろですが、
女性は幾つになってもそれぞれの「女」の香りを忍ばせていますね。



初場所や満身創痍の四股踏めり   玉有良

初場所もいよいよ後半戦に入った。土俵の力士の激闘をハラハラしながら見ているが、
何人かの力士は膝、太腿、足首などにテーピングをして痛みに耐えながら立ち向かっている。
解説によれば、これくらいの怪我で休むようでは将来は望めないという
力士魂から無理は承知で土俵に上がっているようだ。
今場所は誰が優勝するのか、新進の若手に負けるなと応援すると同時に、
満身創痍の力士には怪我に負けるなと思わず応援に力が入る。
土俵の緊張感を見事に切り取った佳句である。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
今のところ全勝は白鵬と稀勢の里だけみたいです。
大一番に弱い稀勢の里には、最終日まで頑張って欲しいですね
北野 和良 有紀さん、お早うございます。私はいま茨城県民ですので、
牛久市の稀勢の里、土浦市の高安を応援しています。稀勢の里には終盤の白鵬戦まで
勝ち続け、白鳳を破って優勝することを望んでいます。





(1/13)

その色を恥じらひながら冬芽吹く  征一

寒い冬に耐えながら冬芽がおずおずと顔を出し始めた。
何の木の芽か、どんな色の花が咲くのか、想像が膨らんでくる。
だが芽の様子はまるで少女がはにかんでいるようにも見える。
冬芽を見守る詠者の優しい気持ちが溢れている句だ。

今村 征一 御選句並びに鑑賞有難う御座います。
Biyou Utashiro 一句互選頂きました(^^)



俊寛の嘆き孤島に寒九郎   孝之

季語・寒九郎の是非はおいて、一日一句互選に頂きます。
鬼界ヶ島に流された俊寛僧都を詠んだと読ませて頂いた。
謀反の罪で島に流された俊寛の物語は、能・俊寛になっている。
島に清盛大赦の朗報をもたらされるが、赦免状には、俊寛の名前だけがなかったのです。
驚き、絶望の淵に沈む俊寛に、周りの皆は、慰めの言葉もありません。
嘆き悲しむ俊寛を残して船は出ていってしまった。
俊寛の悲嘆と季語寒九とが響き合っているようだ。

原孝之 北野さん、ご選句と素晴らしい鑑賞有難うございます。
実は、亡き中村勘三郎が俊寛に思いを寄せていて、
鬼界ヶ島で嘆きの場面を演じたことがありました。中村勘三郎の幼名は勘九郎でした。
それを懸けたお遊び俳句なのかもしれません。感謝以外に言葉がありません。





(1/12)

初場所やきのふ金星けふ金星   草民

初場所の序盤戦で若い力士が横綱を破る金星が相次いでいる。
御嶽海は日馬富士、鶴竜を、松鳳山は日馬富士を、高安は鶴竜を破った。
三横綱をモンゴル勢が独占する土俵に、日本人力士の横綱誕生を誰もが望んでいる。
横綱の金星配給は彼らの力の衰えを予感させ、若い力士の台頭が頼もしい場所となった。
相撲ファンであろう詠者の快哉の思いを吐き出した句である。

山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。
新しい人が出て来て今場所は面白いですね。三役あたりは古びて見えます。
北野 和良 山野辺さん、私は県人として稀勢の里と高安に期待しています。



池の端色放ちたり寒の木瓜  風葦(西本)

池の端に寒の木瓜が咲き始めた。赤か白かだいだい、どんな色だろう。
中七で色放ちたりとあるので瑞々しい光を放っているのだろう。
春の訪れ間近を思わせる嬉しい景を切り取っている。

Masayoshi Nishimoto 北野さん、有難うございます。感激です。
北野さんのご鑑賞のとおりです。日頃の散歩コースの途中、家の近くに小さな池があります。
他には目立つ色がない中で、小さな黄色い木瓜の花が咲きかけていて、目を引きました。





(1/11)

ひそひそとをんなのたはこと水仙花   晶子

水仙の花が群れ咲いている。時々風に揺れて花と花が近づいたり離れたり。
これはまるで女性たちの話し合っている姿とそっくりだ。
「あら奥さま、お聞きになりました?ほら」
「えっ、誰のこと? あの人の噂なら聞きましたわよ」
暖かい日差しを受けて話は途切れることもない、
中七をんなのたはことの措辞が良い。

畝川 晶子 北野さん、選んでくださりありがとうございます!
とても励みになります。女性の特徴をよく捉えた素晴らしいご鑑賞もありがとうございます(*'-')。
別所でご指摘を受けましたが、女性の「ひそひそ」は実は丸聞こえの声だったりします(笑)。
別のイメージで恋の句を書いていましたが、いつの間にかこの句に行き着きました!
励ましの1票と受け止め、がんばります



見晴るかすはるか鞍馬や雪催ひ  栄太郎

よく晴れた日、遠くに見える鞍馬山は今にも雪が降りそうだ。
上五見晴るかすと中七に重ねたはるかが軽快なリズムを奏で景を引き立たせている。
鞍馬という地名が効いていると思った。

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、大変有難う御座います!!。
京都市内に出かけますと、四条大橋から彼方の鞍馬山の様子をいつも眺めています。





(1/10)

朝日影ドレミドレミの軒氷柱  コウ

寒気が来て夜の間に雨が降り雨水が軒の氷柱になっていて、
朝日が差し始めるとキラキラと輝いていた。
氷柱はどれも同じ長さというのではなく、長いもの短いものなど不揃いだ。
それを中七でドレミドレミと措辞したところがお手柄だ。
朝日に輝く氷柱が歌う曲が聞こえてくるようだ。

小川 コウ まあ!一句互選に選んで頂きありがとうございます。
皆さまの俳句を拝見させて頂き日常が俳句で神話が物語で中々追いついて行くのが大変です。
毎日が勉強です。これからもよろしくお願いします。



十年後のけふに後悔冬ざるる   玉有良

上五十年後とは、成人式を終えてからの年月を指していると読んだ。
そうであれば詠者は今年三十歳になる。成人となったあの日、
希望に燃えて大きな目標を立て社会へ漕ぎ出した。
だが十年を振り返ると未だ大きな成果もなく日々の暮らしに埋没している自分を悔やんでいる。
だが考えてみれば三十歳はまだまだマラソンの折り返し地点の前だ。
遅咲きの桜という言葉もある。 初志貫徹の言葉を胸に前向きに歩んで欲しい。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
この句は、自分のことではなく、成人式でやんちゃするニュースを聞くたびに、
「今はいいけど、10年後に後悔絶対するわな〜??」と思う心境を詠みました。
北野 和良 有紀さん、そうだったんですね。見当違いもまた良しとお笑い下さい。





(1/09)

成人式母の形見の帯根付   百々寧

帯根付は和服の帯に付ける飾りで、男性の場合は印籠、
煙草入れなどを下げる留め具となるが、女性の場合はアクセサリー。
成人式を迎えた娘さんが、母の形見の帯根付を帯に挟んだという句だが、
中七母の形見の解釈が難しい。娘さんから見ると母はアラフィフ世代の
はずでその方が亡くなられているというのは悲しすぎる。
詠者が娘さんの母親だとすると、句の中の母は娘さんのお祖母さんに
なり亡くなられていても不思議ではない。
ならば母の形見ではなく、娘さんを基準として祖母の形見となるべきか?
いずれにしろ親から子へと大切な帯根付を受け継いでいくという所に愛を感じる句だ。

木谷 有里 ご鑑賞ありがとうございます
私の母は健在です。着物のこともよく教えてもらったりしています。
この句は震災の支援の時に浴衣をプレゼントした少女を思って作りました。
津波でご両親を亡くしてお爺様との2人暮らしをすることになりました。
今は元気にしているかしら。。おめでたい成人式も人それぞれの生い立ちがあり、
決して恵まれた環境ばかりではないと思います。。
そのような中でも一所懸命生きる新成人たちを応援したいですね
北野 和良 有里さん、ご説明有難うございます。震災でお母さんを
亡くされた娘さんが成人式を迎えたという場面だったのですね。



貝鳴りて寒中托鉢始まりし   久美子

修行僧の寒中托鉢が始まり、法螺貝の音も聞こえてきた。
小さい頃の記憶に、僧が行列を作り団扇太鼓をドンドンと
叩きながら寒修行をしているのを覚えている。
寒い中での修行が信仰を高めて行くのだろう。都会では
見かけなくなった風景が今も残っている詠者の街が羨ましい。

山田久美子 北野様、一日一句互選ありがとうございます。
寒中修行の始まりになり、こちらの方が緊張致します。
丁寧なるご鑑賞、ありがとうございます





(1/08)

江戸文字のはためいてをり寒四郎   草民

今日から相撲の初場所が始まった。国技館には天皇ご夫妻も観覧に来て居られ、
館前にはたくさんの幟旗がはためいていた。江戸文字には芝居文字、寄席文字、籠文字、
髭文字、相撲字、提灯文字、角字などがあるようだが、この句の場合は当然相撲字のことだ。
日本人力士の綱取りを誰もが望んでいる。今場所また力を発揮して
綱取り候補が出るかどうか、毎日の勝負から目が離せない。

小出有紀 互選に選ばせていただきます。 最近、新たに知った季語の一つが「寒四郎」だ。
「寒四郎」がなんだかわからなくても「はためく」でなんとなく、寒い風なのかな、とわかる。
そこには江戸文字。計算しつくされたような佇まいの句だ。北野さんのおっしゃる通り、
初場所の句なのだろうが、それを連想するに難くない。お見事の一言だ。
山野辺 茂 北野さん、丁寧に鑑賞いただきありがとうございます。
両国の幟旗がはためく風景はいいですよね。



どの巫女の破魔矢を受くかちと迷ふ   正則

神社の破魔矢やお守札を授ける所に何人かの巫女さんが待ち受けている。
巫女さんたちの顔を見てどの娘から貰おうかと迷うーー男の浅はかな性。
それを自覚しながら茶化すように下五にちと迷ふと措辞しユーモアに転じたところが秀逸である。

野島 正則 北野さん、選をいただきありがとうございます。
ちょと俗な表現となってしましました。





(1/07)

和を遊び和を学び取り松の内  亜仁子

詠者は北欧にお住みのようだが、日本語と俳句を学び俳句大学にも参加して投句や鑑賞をされている。
外国語としての日本語、特に古語を学び理解することは大変な努力が必要だと思う。
だが詠者は弱音を吐かず、和を遊びと悠然と構えて居られ実に頭の下がる思いがする。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいですね。



七草や五島の灘の塩少し  房子

七草粥は塩味と決まっている。だが人工食塩では味気ないと五島の塩を使われた。
昔ながらの製法を復元しミネラルのたっぷり含まれた塩は海辺の各地から発売されている。
私は赤穂や鳴門の塩が好きだが、詠者は五島の塩を選ばれた。何か深い繋がりがあるのだろうか。
(追記)房子さん、鑑賞にもぜひご参加下さるようお願いします。

野島 正則 一句相互選にいただきます。松の内は、母の煮しめ、お餅、
お雑煮で過ごし、七草粥をいただく。こんな昔を思い出します。
熊谷房子 はい。実は、最近ある方が私のコメントの仕方が気に入らないと言って来ました。
どの様に表現して良いのかとても悩んでおりました。まあ私の教養の無さがその方の
機嫌を損ねたみたいです。スミマセン愚痴ってしまいました。
めげずに鑑賞させて頂きます?ありがとう御座います。
今回の私の俳句は、たまたま沢山売っている有名な塩の中で
「五島の灘のしお」が光って見えこれを買って来て使用しています。
北野和良 房子さん、コメントを有難うございます。
句は作者の手を離れた瞬間から、どのように鑑賞しても読み手の自由だと聞いています。
私も鑑賞させてもらった後で、作者の方から自分の思いはこうだったと返事をもらい、
見当違いの鑑賞を恥ずかしく思ったことが何回もありました。でもそれは
全く別の鑑賞を誘発する広がりのある句だったということではないでしょうか。





(1/06)

幼子の福茶ふうふう赤ほっぺ   幸

福茶は元旦に若水を沸かして飲む茶のこと。真っ赤な頬っぺの
小さな子どもさんがふうふう吹きながら真剣に飲んでいる景色が目に浮かぶ。
ふうふうの措辞がよい。それを眺めている詠者の優しい気持ちのこもった佳句である。

Sachiko Yokoi Hayashi 北野様 お選び戴きありがとうございます!
赤ほっぺの子は今はなかなか居りません



あめつちのめでたきを積む宝船  勉実落

宝船は宝を載せている。どんな宝か。詠者はあめつちのめでたきものと壮大に想像した。
類句もあるかと思うが、リズムよくめでたい気分を十分に感じさせてくれた句である。

佐野勉 ありがとうございます。「宝船」には、北野さんに倣い、
言の葉を積んで。銀河を航ってみたいですね。「めでたき」はうらやましく、
すばらしき言の葉、「願い文・表・ものの序」(枕草子)なり。
注)@願い文:神仏祈願の文章。願主・施主が願意を記した草稿を、
文章博士や僧侶・神官が添削して、立派な文章に仕上げる。
A表:臣下から天皇に奉る文書。賀表。辞表等があり、これも文章博士が代作する。
Bものの序:立派な書物とか、歌会・詩会・遊宴等の晴れの行事の記録につける序文。
これも、碩学(せきがく)の者の名誉ある筆業である。





(1/05)

初セリで目玉飛び出る鮪かな   久美子

今日のニュースで築地市場でクロマグロが一尾7000万円余で競り落とされたという。
重さは220kg、一体何人分の寿司ネタになるのだろうか。
詠者もこのニュースを見られ瞬間に浮かんだ句だと詠ませて頂いた。

山田久美子 北野様ありがとうございます。
お察しのとうりですが、平和な年の幕開けと思えない高値にただただ息をのみました。



うつし世に希望と大志筆始・・・清一

詠者は書初めに「希望」と大書した。この言葉は小中学生の書初めのテーマとしてもよく使われる。
だが詠者がキリスト者だとすると、パンドラの箱から最後に出てきたという希望のことだろう。
全能の神ゼウスがパンドラに託した人間への贈り物。不安に満ちた現世を導く光ーー希望。

清水 憲一 北野さんありがとうございます。ゼウスはギリシャ神話の最高神、
ローマではジュピターですね。キリスト教は元々ユダヤ教のパウロからのもので
ゼウスとは関係ありませんが、キリスト教でも、信仰と希望と愛と言いますね。
ご鑑賞ありがとうございました。





(1/04)

初日の出荒波神輿染め始め  俊克

中七の荒波神輿をネットで調べたら、次の記事が見つかった(TVのニュースでも見た)。
高萩市の高浜海岸で1日、1年間の無病息災を願って
神輿(みこし)が荒波の太平洋に繰り出す「神輿渡御」。
夜明け前、担ぎ手たちは海岸近くの津明(つみょう)神社に参拝。
合図の花火とともに「オイッサ、オイッサ」と威勢の良い掛け声を響かせて出発。
2基の神輿は海岸を練り歩き、初日の出が海面を明るく染め始めると
気合を入れて荒波の中へ繰り出す。新年の願いを込めた勇壮な行事を活写した佳句だ。

大久保 俊克 ありがとうございます。



御一統はんお手を拝借大発会  俊文

新年の大発会の様子を詠んだ句だ。この句は詠者が得意とする
口語調がよく現れていて、リズムもとても良いので取らせて貰った。

河野 俊文 北野さん、ありがとうございます。大発会の華やかな雰囲気は良いですね。
晴れ着姿の御嬢さん方も晴れやかですし、手締めも新年らしく素敵です。今年は株価も上がりそうですね。





(1/03)

巫女の髪束ねし檀紙初詣    正則

檀紙(だんし)とは、楮を原料として作られた縮緬状のしわを有する高級和紙のこと。
初詣の神社でお守りや破魔矢を渡す役の巫女は髪を真っ白な檀紙で束ねている。
清浄な白と言っているが清楚な娘の姿が自然に想像できる。
巫女の赤い袴と白との対比が目に浮かぶ。

野島 正則 北野さん、選、鑑賞いただきありがとうございます。
清楚な巫女さんでした(^ω^)



仔猫には毛糸の玉のお年玉  大津留 直

正月には子どもたちにお年玉をあげるが、詠者は仔猫にも毛糸玉のお年玉をあげたという。
仔猫はお年玉の意味は知らなくとも詠者の優しい心遣いを十分感じ取っただろう。
大津留さん、初めまして。互選欄へようこそ。二つお願いがあります。

@ 俳号をお決めになって句の後ろに署名して下さい
(俳号は実名でも良いし、自分の好きな号を自由に決めて良いそうです)。
A 投句をするだけではなく、ぜひ選句・鑑賞にもご参加下さい。ご遠慮は要りません。

大津留 直 ありがとうございます。大変嬉しく拝読しました。
不慣れのため、不調法をいたしました。これから気を付けます。多謝。





(1/02)

言霊の幸ふ(さきはう)国や初句会   晶子

幸ふは豊かに栄えるという意味で、日本語の豊かな語彙のことだろう。
日本人が育んできたたくさんの言葉を覚え理解し存分に
使いこなしたいと詠者は望み努力しているようだ。
勉強の成果を初句会で発揮されるよう祈りたい。

畝川 晶子 北野さん、選んでくださりありがとうございます!
とても、とても励みになります。まだ句会に参加したことがないので
今年はぜひ東京か熊本か(両方?)参加できればいいなと思っています。
特に新年の初句会では、参加者の皆さんの新たなお気持ちと、
紡ぐ言葉に宿る力が結集して素晴らしい会になるものと拝察しています。
私はまだまだ自由に言葉が出ず不勉強ですが、苦手ながらも日本に生まれて良かったと思っています。
いつか句会でお目にかかれるのを楽しみにしております(^^)。



楪や何れに行くも憂ひなし   孝之

この句を取らせてもらった理由の一つは「楪」が読めなかったこと。
楪:ゆずりは:新しい葉が成長してから古い葉が譲って落ちるのでこの名がある。
そうであれば、楪を詠者自身のことと読むと、子供さんが成長しもう安心、
自分は譲ってどこへ行くのも自由気ままだという中七下五の措辞がよく理解できた。
どうか人生の後半を謳歌して頂きたい。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素敵なご鑑賞有難うございます。
楪の葉が何れの方向にも生えているので、正月はどこへ行こうが、
楪を持てば幸運みたいな気持ちで詠みました。
私のことに帰結されるとは思いもしないことでした。俳句をして若返りもいいですね!(笑)





(1/01)

極彩の御廟を仰ぐ初詣   満徳

神社仏閣には極彩色の賑々しいものとモノクロームのものとがある。
だが神さび、荘厳さを覚えるのに色は無関係だ。真新しく塗り直された社殿を良しとする人や
塗りも剥げ古色蒼然とした社殿の方が趣があると感じる人もいる。
詠者が詣でた御廟は色鮮やかでそこに古の神が今もなお居ますように感じたのだろう。
静かな境内と極彩の色との対比が目に浮かぶ句である。

永田 満徳選んで頂きありがとうございます。
加藤清正を祀ったこの御廟は安土桃山様式を受け継ぎ、
肥後の民の清正に対する讃仰の様を物語っています。



大空に鳶の高舞ふ淑気かな  征一

初夢を見るなら、一富士二鷹三なすびと言われている。
環境破壊が進み今は鷹を見かけることは難しくなったが鳶はまだまだよく見かける鳥のひとつ。
詠者は鳶が悠々と舞うのを見て新春のめでたい気分が天地あまねく満ち満ちていると感じた。
今年が平穏な年であることを泳者とともに祈りたい。

今村 征一 北野さん桑本さん御選句並びに句評有難う御座います。