俳句鑑賞文(復刻版)    2016 November        トップへ   




(11/30)

襖絵に描かれし樹々裸木に   正則

この句を普通に読むと、襖絵に描かれた樹々が裸木になったとなる。
襖絵に描かれた樹々には葉っぱも描かれているはずで、絵に描いた樹の葉が散るわけはない。
だが襖絵を眺めていた詠者には、葉を落とした裸木が見えたことは間違いない。
冬を目の前にした詠者の心象風景なのだろう。

野島 正則 北野さん、選、鑑賞いただきありがとうございました。
実景の裸木。襖絵との対比のつもりでした。



風さそひ早やも冬芽の躍りをり  栄太郎

冬の冷たい風が吹き始め、樹々は葉を落とした裸木となり、厳しい冬に耐えようとしている。
ふと見ると木の枝に早くも冬芽が膨らみかけている。猫柳の芽だろうか。
下五躍りをりの措辞が木の命を感じさせてくれる。

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、
丁寧なる的確な鑑賞コメントも頂き、大変有難う御座います!!。
先日の散策では桜紅葉がすっかり落葉となり、桜の冬芽が北風に躍っていました。





(11/29)

懐手胸に一物ありにけり  亜仁子

詠者は懐手をしているため胸の辺りが少し膨らみ、何かを隠し持っているようにも見える。
しかし中七の胸に一物とは、品物ではなく心に思うことである。
昔ある落語家の作った名文句に「胸に一物、手に荷物」があった。
さて詠者は何を思っているのか。一物は読者の読みに任されていて、いろいろと想像の膨らむ句である。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいですね。



自転車のスカートひらり冬の朝  祐

久米の仙人(天平年間)は大和国吉野郡竜門寺の堀に住まって、飛行の術をおこなっていたが、
久米川の辺で洗濯する若い女性の白い脛(はぎ)に見惚れて、神通力を失い、墜落し、その女性を妻とした。
近年ではマリリン・モンローが路上地下鉄から吹き上げる風でスカートを乱され
慌てて裾を押さえるシーンが評判となったり、小学生のスカートめくり、パンチラという流行語できた。
文明や科学が発達しても洋の東西を聞かず人間の本姓は石器時代からちっとも変わらないようだ。
詠者は通学中の女子学生のスカートが危うくひらめくのを垣間見て、
自分もまた久米の仙人だと自戒しているのだろう。

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただきありがとうございます。
まったく久米の仙人の気持ちです。原句は「推敲句」でした。
「ひやり」ではちょっと仙人過ぎるかと「ひらり」としましたが、
やっぱり元の「ひやり」と正直な気持ちを表わしました。





(11/28)

教室に小春の匂ひつけて入る・・・清一

教室とあるが、この句は教室に入る教師かそれとも生徒を詠んだのか定かではない。
私は泳者を考え教師のことだと読んでみた。中七小春の匂ひからは、
普段の厳格で妥協のない姿勢ではなく生徒のミスやあら捜しはせず
自由な発言にも耳を傾けようと思いながら教室に入る教師の姿が見えた。
中七にいろいろと想像の膨らむ楽しい句である。

清水 憲一 北野さん 互選頂きありがとうございます。
近頃の生徒は特に数学の時間などは楽しい話の中で
それとなく数に纏わる話をして行かないと持ちません。
その楽しい話を小春に喩えて見ました。例えば新聞紙を持って行って
これ100回折ったら宇宙の果てまで届くやろか。などの話題を提供して
対数の問題に持って行くなどですよ。用意するのも大変ですけどね。(笑)



しぐるゝや反射炉濡らし桜島  寛昭

反射炉と聞くと伊豆韮山が有名だ。この句では桜島とあるので調べてみたら
、島津斉彬公が江戸末期に作らせた反射炉が桜島にあり、
名勝 仙巌園(磯庭園)にレプリカが建造・保存されているという。
時雨が反射炉を濡らしているという描写から、島津家別荘の見事な景色と
その後ろに聳える雄大な桜島の姿が見えてくる。

古閑 寛昭 北野さん、ありがとうございます。





(11/27)

曇りのち山茶花しぐれのち暮るる   由美

句の内容は、曇り後雨となり日暮れ、でまるで天気予報のようだ。
色が少ない冬に紅い花を咲かせる山茶花。そのけなげな花に
降りかかる時雨を山茶花しぐれと言うらしい。
この言葉は初めて知ったが、何とも言えない情緒のある言葉で、それに惹かれた。

嶽本 由美 ありがとうございました。
美しい言葉にたくさん出会えるも俳句詠みの喜びだと思います。 明日も頑張ります



横風に見飽きぬ揺れや枯芒   十河智

冬を迎え真っ白に穂を開いた芒の群れが風に揺れている。詠者は見飽きることなく枯芒を眺めている。
風に揺れる芒には「1/f ゆらぎ」がある。規則正しいゆらぎとランダムなゆらぎのちょうど中間部分、
それらがうまい具合に混ざり合ったゆらぎ、というわけです。
「1/fゆらぎ」には、人の心に癒しをもたらす効果があることが分かっている。
揺らぐ芒に癒やされている心情が見事に表された句だと読ませてもらった。

十河 トモ子 和良さん、征一さん、ありがとうございます。智





(11/26)

雪嶺の尾根に煌めく星一つ   征一

晴れた日の夜遠くに雪嶺が見えていて、その上に一つの星が明るく輝いている。
詠者は金沢の人、山は立山連峰、星は宵の明星だろうか。
一幅の画を見るような見事な写生句と読ませて頂いた。

今村 征一 御選句と御句評有難う御座います。



飲み屋では皆社長さんおでん酒  俊文

川柳に近い詠みである。下五からは屋台のおでん屋だろうか。街のスナックなどでもよくある風景だ。
社長さんと呼びかけられて、俺はそんな大物じゃないよと返しながらも、心のなかではちょっぴり嬉しくなり、
ついもう一品注文する。そんな庶民の気持ちが上手に詠まれている。

河野 俊文 北野さん、ありがとうございます。少しほろ酔いで、
「社長さん」と呼びかけられたら、もう一品となりますね。なんか、楽しい飲み屋でのひとこまです。





(11/25)

冬耕や堅き土壌の反抗期    幸

季語の冬耕は稲刈りの済んだあと田を鋤き起こす作業である。
冬の寒い時期土は凍って堅くなっており容易に鋤の刃を受け付けない。
この状態に反抗期という措辞を持ってきたところが秀逸である。
(今は機械化が進み作業はそれほど辛いものではなくなっているだろうが、
機械自体は反抗期に悩んでいるのかも知れない)

Sachiko Yokoi Hayashi 北野様 一日一句互選に選んで戴きありがとうございます!
ご推察の通り冬耕の硬い土から反抗期が浮かびました。



海のもの地のもの白く雪の舞  祐

先日関東・首都圏に初雪が降った。水戸などで11月の初雪は観測史上初めてだと報道していた。
川や海では気温と水温の差で蒸気霧という現象が見られ、大洗海岸では珍しい蜃気楼も観測された。
野菜農家が白く雪を被った畑を見回り、収穫の心配をしている様子もあった。
初雪と聞くと心躍る気持ちにもなるが、受け取り方は人それぞれ、悲喜交々が入り交じる。
そんな雪の風景をたんたんと写生した佳句である。

牧内 登志雄 北野さん、互選に選んでいただき嬉しいです。
雪のなか、干潟経由で海まで行ってみました。東京湾に静かに雪が舞っていました。
同じ雪が芝生の公園から街中まで、本当に「ただ、たんたんと」。
素敵な鑑賞もありがとうございます。





(11/24)

雪しまく逢ひたき時にしんしんと   美音

美音さんお得意の恋句と読んだ。雪がしんしんと降って来た。
大雪になるとの予報で、交通機関の遅延、運休のニュースもTVに映る。
せっかくデートの約束をしたのに、これでは足が心配で出かけることも出来なくなった。
スマホで連絡を取ろうとしたが何故か通じない。
降りしきる暗い空を見上げ嘆くことしか出来ない私・・・・

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!さすが恋句の鑑賞の達人!
しかしながらこれは車でしんしんと降る雪の中を走り迷子になってしまった過去のことです。
もちろう逢瀬のシーンです。



風呂敷の明治をみなや一葉忌  栄太郎

街で和服姿に風呂敷包みを持つ人を見かけた。多分美しい女性だろう。
風呂敷は古来日本で使い続けられてきた便利なものだが、
昨今は使う人も少なくなって残念だと思っていたので、
文化を守ろうとしているようで思わず見入ってしまい、
明治の代表的な女性・樋口一葉の姿が頭に浮かんできた。一葉忌にふさわしい佳句だ。

桑本 栄太郎 北野さん・・・一日一句選にお選び頂き、
丁寧なるコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
一昨日23日は明治の若くして夭折しました女流文芸家樋口一葉の忌日でした。
若い時からその文才が認められながらも家庭は貧しく、勉強にも大変苦労したようです。





(11/23)

牡蠣筏津波再び冬の漁   久美子

) 11/22未明、福島県沖を震源とするM7.4の地震が起きた。
5年前の3.11大震災の余震だという。福島県宮城県の海岸では津波も観測され、
大きな被害とはならなかったが、牡蠣筏などが壊されている映像が伝えられた。
詠者はこれを見て自然災害に難儀させられる漁業者の苦労に思いを馳せ
この句を詠まれたのだろう。詠者の優しい気持ちの現れた佳句である。

山田久美子 北野様、一句互選に選んで頂きありがとうございます。
お察しの通り、5年掛け沢山の方々のお力添えで 今年やっと出荷出来た矢先の地震。
又5年かかるのかと思うと、在り来たりの言葉でしか 詠めませんでした。私自身の、今後の力になります



善男と善女と掏りと熊手市  無鬼

今年の勤労感謝の日は二の酉市だった。
市には善男善女がお参りしてささやかな福を集めようと熊手を買い求める。
人の集まるところは掏摸の稼ぎ場になる。私は時代劇ドラマ・小説が大好きなのだが、
江戸時代には大規模な掏摸集団というのもあったそうだ。
近代でも電車の中で複数人が組んで掏摸行為を行う
ということがあったようだが、最近はあまり聞かなくなった。
昨今の小悪人どもは振り込め詐欺という利益の大きな詐欺行為に移ってしまったのだろう。
職人芸とも言える掏摸の手妻はもはや失われたのか。
詠者は掏摸を非難すると言うよりも懐かしがっているようにも感じた。

小林 広一郎 ありがとうございます。 酉の市の賑わう様子を見て、
善男善女がささやかな幸せを祈って集まっているのだろうなと、思うと同時に、
人ごみと言えば善人ばかりで無く、よからぬ人も混じっているだろうと、
この句が出てきました。掏摸が変換できなかったのが心残りです。





(11/22)

落葉掻きどなた様にも詰め放題  正則

祭りやセールなどでよく見かける「詰め放題」。
お茶の葉だったり、飴玉だったり、決まった大きさの袋に詰め放題。
少しでもたくさん詰めようと必死になるところが庶民魂だ。
この句は道に散らばった落ち葉掃きにそれを当てはめた。
詰め放題と聞くとついつい一杯にしようと反応する心理をユーモアたっぷりに表現した佳句だ。

野島 正則 北野さん、選に鑑賞いただきありがとうございました。
身に余る鑑賞文感激です。励みになります。



埋火や母に話せぬ恋をして   由美

(男の私には分からないのだが)母と娘という関係には特別の親しさ、
何でもあからさまに話し合うという事があるらしい。
だが詠者はその母にも話せぬ恋をしている。
上五埋火は表面は消えているように見えて芯は燃えていることを言い、
胸中の恋心の強さを伝えている。道ならぬ恋を想わせる句である。

(追伸。由美さん、初めまして。投句、互選欄への参加は初めてのようですが、
歓迎させて頂き、合わせてルールの補足をさせて頂きます。
一般投句欄では講師の先生の選の対象となり、
また他の参加者との句に対する自由な意見の交換が出来ます。
互選欄への投句は参加者相互の互選が目的で
、一日に2句以内を選句し鑑賞文を書きます⇒「互選に頂きます」などと明記。
それ以外(3句目以降、互選とはしない)には「好きな句です」
「共感しました」など自由な感想を書くことが出来ます。
今日の由美さんの書き込みは「選句ではない」と思われますが、
ぜひ選句とし、鑑賞文も書かれるようお勧めします)

嶽本 由美 ありがとうございます
最近入会させていただきました。投句は久しぶりです。
しかもこのような特殊な句会は初めてで、みなさまにはいろいろご指導いただき、恐縮しております。
詳しく教えていただき、ありがとうございました。
句評はまだまだと勝手に考えて、控えておりました。
私の意見ということで、今日から頑張ってみます。 今後もよろしくお願いいたします。





(11/21)

北窓を塞ぎさいはひ閉ぢこめん  寛昭

木枯しが吹き始めた。大陸高気圧からの北風が窓から吹き込んで来て寒い。
我が家の幸せをすら吹き飛ばすようだ。北窓を締めて、せめて幸せには残っていてもらおう。
幸せを守ろうとする詠者の強い意志を感じる句だ。

古閑 寛昭 北野さん、ありがとうございます。さいはひでございます。



死者生者紅葉且つ散る放生池・・・清一

仏教に伝わる放生会。供養のために、捕らえた生き物を池や野に放してやる法会。
殺生戒に基づくもので、奈良時代より行われ、陰暦8月15日の八幡宮の祭りに催され、
石清水八幡宮のものが有名。詠者は今この放生池を眺めている。
池の水面には紅葉が散り浮いているのだが、そこに重なる生者と死者の輪廻を見たのだろう。
深い洞察の句である。

清水 憲一 北野さんありがとうございます。素晴らしいご鑑賞ありがとうございます。





(11/20)

千両の凛と実の立つ龍潭寺  祐

龍潭寺(浜松にある古刹、創建は奈良時代、行基によると伝えられる)への吟行の句として読んだ。
千両の実はまっすぐ上に伸びる枝に付き(南天なども同じ)、万両の実は葉の下に垂れるように付く。
千両の実の付き方を凛と立つという措辞で表したところが手柄だと思った。

牧内 登志雄 北野さん、互選に選んでいただきありがとうございます。
龍潭寺は井伊家の菩提寺、来年のNHK大河ドラマ
「おんな 城主 直虎」で注目されているそうです。 鑑賞いただいたとおりの拙句ですが、
赤い実が凛と立つ姿を直虎と重ね合わせた句でもありました。



有終の美あかあかとして落ち葉焚き  藤倉浩正

詠者は落ち葉焚きをしている。集めた落ち葉は真っ赤に色づき、
役目を終えたことを誇っているようにも見える。
落ち葉の赤い色と炎の色とが重なり哀愁を感じる景色となった。
上五有終の美の措辞が秀逸だ。
(庭や空き地で落ち葉を炊くという行為は、以前はよく見られたが昨今
(市街地では特に)は消防などの指導で禁止され見られなくなった。
詠者が現実に体験されたことか、或いは追憶/想像でのことかは分からないが、
そのことは句とは無関係とした。)

藤倉浩正 ありがとうございます。嬉しいです。





(11/19)

飛行士はリスボン発ちて冬航る  勉実落

詠者が何の物語を詠もうとしたのかヒントは少ないが、
私は映画カサブランカのラストシーンを思い浮かべた。
フランス領モロッコの都市カサブランカから中立国ポルトガルを経て
アメリカへ亡命しようとするリックを恋人のイルザが見送る場面。
中七にリスボンの文字があるので、ここからアメリカへの飛行機に乗ったのだろうか?
リックはアメリカへ着き大戦後の国連創立に貢献したと覚えている。
歴史の始まりを作った飛行だった。



佐野勉 ありがとうございます。想像の翼をひろげていただき、感謝の極みです。
第二次世界大戦中、仏蘭西のヴィシー政権がドイツと講和し、
傀儡政権に。時に飛行士であったサンテグジュペリは
偵察隊の動員解除でフランス本土へ戻った後、アメリカへ亡命した。
1940年12月21日「リスボン」出航。12月31日ニューヨーク着。というエピソードでした。



窓といふ窓ことごとく小六月  征一

詠者の住まわれる金沢のこの時期は雪雲で暗い日も多いと思われる。
今日は久しぶりによく晴れて小六月の日差しが嬉しい日になった。
家のどの窓にも日が当たりまるで温室にでもいるようだ。
窓ことごとくの措辞が実に的確にその嬉しさを表現している。
日々是好日、を鋭く切り取った佳句で、このような句を私も詠んでみたいと思った。

今村 征一 御選句並びに御句評有難う御座います。





(11/18)

ビートルズ知らずに育ち冬すみれ   直美

季語の冬菫は、春の菫より心なしか小振りで、葉色が濃く見える。
辺りが冬枯れのなかに健気に咲く可憐な姿に心惹かれる。
この季語と上五中七のビートルズ知らずから、若い可憐な女性の姿が見えてくる。
詠者の若い頃の回想ではなく、お孫さんなのだろうか。
溌剌としたお孫さんの姿にかつてビートルズに熱中した自分を重ね、
でもあの娘はビートルズを知らないと世代の隔たりを儚んでいると読ませて頂いた。

高井 直美 北野 和良 さん、こんばんは。選んでいただき、ありがとうございます(*^^*)
夢のある素敵なご選評もとても嬉しいです。どうぞ素敵な週末を



散る紅葉無味乾燥の街飾り  十河智

山の古刹にお参りし、周囲の見事な紅葉に感動し目に焼き付けて街へ降りてきた。
商店街では紅葉まつりセールが行われ街灯に紅葉の飾りが揺れていた。
だが本物の紅葉と比べ何と白々しいことか。 脳裏に残る山の鮮やかな紅葉が蘇るばかりだ。

十河 トモ子 和良さん、ありがとうございます。智





(11/17)

ぱらぱらと落葉重なり万華鏡  小川 コウ

たくさんの落ち葉が散って重なり合って落ちている。
赤、茶色、黄色、色も様々で乱雑だが不思議な模様に見えることもある。
まるで万華鏡を覗いている時のようだ。万華鏡に見立てたところが素晴らしいと思った。

小川 コウ 一日一句互選に選んでいただきありがとうございます。



冬晴やナイフのやうな日の隙間   孝之

冬の晴れた日だが、ちょうど太陽の方向に少し雲がある。
その雲の隙間から陽射が漏れ出ている。
天使の階段だろうか。雲間から抜け出した光がまるでナイフのように見えた。
日差しの暖かさを有難く感じる冬ならではの光景を切り取った佳句だ。

原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句有難うございます。
冬晴の日、朝は影の中です。ただ、家と家の隙間に日が差して
ナイフのような造形を見れます。ご鑑賞有難うございます。





(11/16)

静寂を一人占めして紅葉踏む   玉有良

詠者は紅葉の散り敷く道を歩いている。寺院への参道だろうか、或いは公園の中だろうか。
明るい日差しが散り紅葉を明るく輝かせているが、他に人はおらず静寂が支配している。
足元の落ち葉がカサコソと小さな音を立てているだけ、
静けさが心に染み込んでくるような佳句だ。


小出有紀 ありがとうございます(^-^)/ イメージは、早朝の寺院ですね
根本 博子 選ばせていただきます。 冷えた静けさの中で、
カサッカサッと落ち葉を踏む音が聞こえて来そうです。
小出有紀 ありがとうございます(^-^)/贅沢な空間です。

北野 和良 山頭火の 「あさまいりは私一人の銀杏ちりしく」を思い出しました。

句碑:44番大宝寺     



野良猫の口元に霜柱かな  亜仁子

朝晩めっきりと寒さを感じるようになり、初霜のニュースも聞いた。
テラスで紅茶を飲んで寛いでいると野良猫が遊びに来た。
猫の口元を見ると何と霜柱が・・・そんなはずはない、無精髭だった。
髭を霜柱に見立てた処がユーモラスだ。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいです。



小春日の伎芸天女のやうな雲   征一

冬空に浮かぶ雲の形は千変万化、その雲の一つに伎芸天女を見たというとても共感できる句です。
今村さんのこのような句をいつか詠んでみたいと思っています。





(11/15)

静けさや玄界灘の冬落暉  美音

素直な客観写生の句と読んだ。夕方の玄界灘に陽が沈もうとし黄金色に輝いている。
風もない水面は静かに凪いでいるだろう。静けさだけが視界に広がり
詠者もまたその静けさの中に安らぎを噛み締めている。

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!これは率直に客観写生です。
北野さんの鑑賞の全くそのままです。北野さん、こういうのもうまいなあ。



焼芋を頬張る娘かしましく・・・清一

私の住む茨城県はさつま芋の生産が全国有数、
生芋の県外出荷はもちろん、蒸し芋、干し芋、菓子仕立てなどの製品も盛んだ。
好みにもよるが素朴な石焼き芋が一番だ。
黄色い声を交わしながら焼き芋を頬張れるのは成人前の娘だろう。
ダイエットも気になるけどこのお芋の美味しさには勝てないわよね、
とはしゃいでいる姿が目に浮かぶ佳句だ。

清水 憲一 北野さん ありがとうございます。北野さんのふる里茨城の
ご紹介を兼ねた素晴らしいご鑑賞ありがとうございました。(^0^)





(11/14)

登校の坂に木枯し一号か  十河智

冬が来て木枯らし1号が吹いてきた。朝の登校時、手袋を付けないと手も凍えそうだ。
だが学校へ向かう坂道を子どもたちは元気に駈けながら走っていく。
子供は風の子、元気な話し声が聞こえてくるような句だ。

十河 トモ子 和良さん、学校での教室の照度の検査をしに行ったのですが、
ちょうど登校時間でした。おっしゃる通りの感じで、子供たちが坂を上がっていきました。智



崖つぷち身を呈したる柿落葉  孝之

柿の落ち葉が崖の際にある。風に揺れ谷へ落ちそうだが、何故か落ちずに留まっている。
詠者は我が身を柿落葉に重ねて考えているのだろうか。
時代は若い世代へと移りつつあるが、自分はまだまだ頑張れる。
まだ落ちるわけにはいかない。人生はいつだってこれからなのだ。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句に素晴らしい鑑賞有難うございます。
今年の自宅の柿の実は1つも生りませんでした。
来年もこんなことになるなら切っちゃうぞ!と柿の落葉を脅しているのです。
柿の葉は崖っぷちに追い込まれています。これが、本意ですが、色んな鑑賞をして頂いて結構です。
北野 和良 柿の木は成り年と不作の年が交互に来ると聞いた覚えがあります。
柿農家では、摘花をして木に負担が掛かり過ぎないようにして、
毎年採れるように調整しているとも。でも素人には摘花は難しいですね。
原孝之 北野さん、コメント有難うございます。
柿の実の生り方には、表年と裏年があることは知っています。ただ、2年続けて不作でした。
樹齢60年、崖っぷちに立たされています。まるで私のように!(笑)





(11/13)

冬晴や風の色までからからと  祐

木枯らし1号も吹き本格的な冬がやってきた。
西高東低の気圧配置の北風、思わず首をすくめるほど冷たい。
下五からからとから、からっ風を思い浮かべたが、ふとペットボトルで作る風車を思い出した。
庭に来る小鳥も減ったが風車だけがカラカラと回っている。冬の到来を実感する句である。

牧内 登志雄 北野さん、互選のお選びいただきありがとうございます。
先週末から、自転車の時には手袋しました。この時期になると、
学生のころに北海道の彼女が「手袋を穿く」というので驚きました。
当時は手袋に「穿く」イメージがありませんでした。



北風や凛となる木々潔く  亜仁子

冬を迎えて葉を落とした裸木が凛と立っている。
大陸の寒気団から吹き下ろす北風は容赦なく吹き付けるが、木々はびくともしない。
冬を耐え抜き春に向けて新たな芽を育てているのだ。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、
ありがとうありがとうございます。とても嬉しいですね。





(11/12)

温石の朝の登校一つ入れ  俊克

温石(季語)とは、石を熱して布に包んで懐中に入れ腹部を温めるもので、江戸時代などで使われていた。
今は灯油を使う懐炉や酸化熱を利用するホッカイロなどに変わったが、
いまでも田舎では使われているのだろうか?
朝早い時間の登校の寒さを和らげるために温石を懐に入れ、
歩いて通うのは田圃道に違いない。 都会では考えられないが懐かしい風景だ。

大久保 俊克 ありがとうございます。嬉しいです。



出雲路へ添ひて行きたや神の旅  栄太郎

神無月になると全国の神々は出雲に集まられるという。
詠者は神々の旅に連れ添って出雲参りがしたいと願っている。
出雲の大神に何をお願いしたいのだろうか?

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、
嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
鳥取県の因幡地方出身の小生はお隣りの出雲へ神様の旅につき添い行けば、
懐かしい故郷への旅ともなるものを!!・・との願望です。





(11/11)

彼の国の亀裂深まる神無月・・・清一

時事句と読んだ。アメリカではおおよその予想を裏切りトランプ氏が次期大統領と決まり、
勝利宣言で国の統一を叫んだが、それでも氏の当選を不服とする多くの人々との分断が懸念されている。
イギリスでもEU離脱が国民投票で決まったものの、離脱に納得できない人が多くいると伝えられている。
宗教の面で人々を束ねるはずのキリストも無力、季語の神無月は将にこの状況に呼応しているようだ。

清水 憲一 北野さんありがとうございます。ご鑑賞ありがとうございました。
今回の大統領選挙は嫌われ者同士の争いでしたが、大衆を煽動したトランプが勝利しました。
EU離脱の時もそうですがそこにはポピュリズムの危険性が孕んでいます。
そこではキリスト教ばかりでなくあらゆる宗教が無力となります。
また更に危険なことにイスラム原理主義やキリスト教原理主義のような
組織の行動を正当化する似非宗教が蔓延して来ます。
それとナショナリズムが合体し全体主義が闊歩する時代へと連なる訳です。
今日の世界がそのようになりつつあります。これからの若者は
前途多難な世界をどう切り抜けて行くのか見守るしかないですが、
この世にいる限り若者にしっかり世界に目を開いて貰おうと
事あるごとに話しかけている日々を送っています。(^.^)



空港の抱擁ぬくし年惜しむ  美音

はじめ美音さん得意の恋句と読んだが、ふとテレサ・テンの「空港」を思い出した。
〈雨の空港 デッキにたたずみ〜どうぞ帰って あの人のもとへ〜私はひとり去ってゆく〉
この歌は不倫の別れ、悲しい歌だ。それでも別れの抱擁は暖かく、
去ってゆく彼と恋に燃えた今年が過ぎ去るという感慨が重なってゆくようにも読める。

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!北野さんはさすが恋句の鑑賞うまいなあ!





(11/10)

万物をモノクロにする時雨かな   孝之

季語の時雨は冬の初めに降る通り雨のことである。
この頃野山には秋の紅葉の名残があり、木守柿の赤い実も残っている。
そこへ降り出した時雨は、それら一切の色を消し
見渡す限りをモノクロの世界に変貌させる。 長く冷たい冬を予感させる雨だ。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句にご鑑賞有難うございます。
共感を得ることの素晴らしさを有難く思います。



冬帝の来し方よりの低周波  正則

季語の冬帝とは冬の異称でこの頃は西高東低の気圧配置が典型で
等圧線は縦に細かくなり、北方の寒気団から冷たい風が列島に吹き下ろす。
この句では下五の低周波が意外な効果を持っていると思った。
一般的には北風ピューピューなどと言われ、これは決して低周波ではなく
むしろ高周波成分を主に認識している。だが詠者は北風の中に重い基底音・低周波を聞いた。
地吹雪のような音は冬の寒さを一層感じさせたのだろう。
(野島さん、お願いがあります。投句と俳号を2段に分けて書かず、
他の方と同様一行に纏めて頂けないでしょうか)






(11/09)

凍りつくまさかまさかのどんでん返し  俊文

時事句である。アメリカの大統領選がどうなるかと固唾を飲んで見ていたが、
両候補の闘いは伯仲していて予想も難しかった。
今日結果が発表されて共和党トランプ氏の勝利が決定した。
選挙戦途中のトランプ氏の暴言が報道されていたので、
まさかと思った人も多かったのではないだろうか。
民主党クリントン氏の女性初の大統領に期待した向きもあったとすれば
まさにどんでん返しの結果である。字余りの句であるが、これはやむを得ないだろう。

河野 俊文 北野さん、ありがとうございます。まさかの結末でした。
時事句も詠んでいきたいと思っています。最近、いろいろと挑戦しております。
北野 和良 私もこのテーマを詠もうと思っていたので、一歩先んじられたと思いました。



いのち懸けいのちを繋ぐ鮭遡上   玉有良

川を下り大海に出て育った鮭が産卵のために生まれた川に戻り遡上する。
川では冬の食料を食べ溜めしようと熊などが待ち構えている。
熊を逃れて遡上するのは命がけの行為となる。それでも鮭は川を、瀧を登って産卵場所を目指す。
壮絶な命の営みがこの句には込められている。

小出有紀 ありがとうございます。嬉しいです





(11/08)

虎河豚は今朝を楽しく泳ぎけり   葉音

冬となりフグ料理の美味しい季節が来た。
街のふぐ料理屋の店先では水槽に虎河豚が泳いでいる。
いずれ河豚は水槽から取り出され捌かれて客のテーブルに供される運命にあるはず。
だが彼らはそんなことも知らぬげに楽しそうに泳いでいるのだ。
泳ぎを愛でるのも供養の一つだろうか。

根本 博子 丁寧なご句評ありがとうございます。



勝ち残る楊枝を挿せし木の実独楽  征一

拾ってきた団栗に穴を開け楊枝を差し込んで独楽を作る。子供にも作れる楽しい工作だ。
各々が作った独楽を回して、回転の時間を競う。子供の頃の楽しかった遊び。
たまたま上手く出来て勝ち残った。ボクの作ったこの独楽は本当の宝物だ!

今村 征一 御選句並びに嬉しい御句評有難う御座いました。
おっしゃる通り子供にとっては宝物です。





(11/07)

銀賞もすつくと立ちて菊花展  俊文

各地で菊愛好家の持ち寄った菊花展が盛んに行われている。
優れた作品には金賞、銀賞、銅賞などの栄誉が与えられる。
詠者は一本の銀賞の作品に目を引かれた。
中七ですくと立ちてと詠んでいるので三本立ち仕立てだろうか。
この菊を育てた出品者の苦労に思いを馳せながら、
改めて花を愛でている情景が目に見えるようだ。



知りたきは君の体温毛糸編む  美音

美音さんお得意の恋句だと読んだ。毛糸を編んでいる。
セーターかマフラーかクリスマスの贈り物だろう。
上五中七が何とも艶めかしい。体温を知るとは、肌を合わせたいという願望の表現だ。
クリスマスにはお互いに贈り物を交換しホテルでゆっくりと時間を過ごすのだろう。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!
さすが一生現役北野さんの鑑賞です!





(11/06)

氷上を鋭くえぐるエッジかな   玉有良

スケートのグランプリシリーズ。ロシア杯で新鋭の宇野昌麿君が健闘している。
彼は4回転ジャンプを切り札に高得点を。羽生結弦君を追う選手として確実に成長しているようだ。
ジャンプの瞬間、エッジで鋭く氷を抉る様子が見事に描写されている。

小出有紀 わかってくださるるる〜〜



日当たりて火焔とおもふピラカンサ  栄太郎

びっしりと実を付けたピラカンサが明るい日差しの中でまるで燃える火炎のように見えた。
上五で後ろにある青空が見え赤い実との対比が鮮やかに目に浮かんできた。
やがて山の木の実を食べ尽くした鳥たちが里に降りてきてついばみに来るのだろうか。

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一句互選」にお選び頂き、
まさに句意そのものコメントも頂戴しまして、大変有難う御座います!!。
「上五のうしろにある青空」もそのままであり、ピラカンサの緋色が燃えるような色でした。





(11/05)

かぼちゃ祭明けて聖夜の音あふれ  美枝

大騒ぎしたハロウィンが終わったと思ったら、
翌日からはクリスマス商戦に切り替わり、街にジングルベルが流れ始めた。
商売人のたくましさ、商売の厳しさと言うべきか。世相を見事に切り取った句である。

春原 美枝 北野 和良 さん、ありがとうございます!
はい、今日街に出かけたらすっかりクリスマスでした・・・(^〇^)



太陽の光を生かす紅葉かな  亜仁子

秋の山に色づいた紅葉も良く晴れた日と曇りの日では色合いが違って見える。
もちろんよく晴れて青空に映える紅葉こそ最高だ・・・
この感覚は主役は紅葉、光は脇役と決めつけている。
だが、詠者は主客転倒させて太陽の光こそが主役でそれを輝かせる脇役が紅葉だと断じた。
中七光を生かすに感動した。

Aniko Papp 北野さん、選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいです。





(11/04)

夜廻のきのね響きて三の酉   幸

今年は11月に酉の日が三回ある年に当たり、三の酉の祭りが始まった。
古くから「三の酉がある年は、火事が多い」と言い伝えられていて、
火の用心の掛け声をかけながら夜回りの杵の音が響いてきた。
夜も更けて寒さが深々と迫ってきた。こんな夜回りの風習はいつまで続くのだろう。

Sachiko Yokoi Hayashi ありがとうございます 7月に91才で亡くなった母から
三の酉が有る年は火事が多いと聞かされたのが昨日の事のようです。



紅除けて喉に流るるとろろ飯  葉音

子供の頃に母がとろろをだし汁で薄めた汁を作ってくれて、
温かいご飯にかけて食べるのが大好きだった。
街の食堂ではうなぎにとろろ、まぐろにとろろの丼も人気だ。
先日TV番組を見て焼き鯖にとろろを掛けるとこれも美味しかった。 詠者は上五で紅除けてと詠んでいるので、
きっととろろが唇に着くのを避けているのだろう。女性らしい悩みだ。

根本 博子 和良 さま とろろ、美味しいですよね。
ただ口の周りが痒くなるのが悩みです 口紅をつけていると尚更なんです
選と丁寧な鑑賞ありがとうございました。





(11/03)

日の丸を掲ぐ翁や文化の日  無鬼

以前(私が若い頃まで)は祝日に門前に日の丸の旗を掲げる習慣があった。
しかしこの習慣はマンションなどのぞうかもあってか、どんどん廃れ今は少なくなってしまった。
今も戸建住宅に住む老人だけが律儀に日の丸を掲げるだけになってしまったことを、
時代の流れとして嘆いている詠者の心情はよく分かる。

小林 広一郎 ありがとうございます。私の住む私鉄沿線も
、開発されて半世紀近くが経ち、世代交代が進んでいます。
門前に日の丸が掲げてあると、お年寄りの住まわれる家だなと思い見ていましたが、
近頃めっきり減ってしまいました。新嘗祭までに日の丸を用意しようかしらん。



席譲る真心みえた文化の日  美枝

混んでいる電車の中で老人に席を譲る若者を見た。
近頃の若者は礼儀を知らないと嘆いていた詠者は、これを見て
世の中まだまだ捨てたものではないと思い直したのだろう。
先日日本へ来た観光客が2000万人を超えたとのニュースがあり、
東京五輪の2,020年には4000万人を見込んでいるという。
五輪を見に来た外国人に、日本は礼儀正しい国だと思ってもらえるようになりたいものだ。

春原 美枝 北野 和良 さま、ありがとうございます。
こういうことの流儀が分からずですが、よろしくおねがいします。(^〇^)
北野 和良 美枝さん、初めまして。投句と合わせて、
他の人の句を読み共感した句の感想文を書かれるようお勧めします。
新参だからと遠慮される必要はありません。
鑑賞をすることで句作の力も磨かれると永田学長も言われています。
春原 美枝 北野 和良 さん、おはようございます。はじめまして。
(^〇^)アドバイスありがとうございます。やってみます。どうぞよろしくお願いします。





(11/02)

埋蔵の宝の如く甘藷掘る  葉音

茨城県はさつま芋の生産が盛んで全国有数。
TVひるブラでやっていたが芋を掘る時は畝の土を
優しく取り除け傷を付けないようにするのが肝心だと。
芋は温度管理をした倉庫で熟成させるとさらに旨味がますという。
詠者は中七で宝の如くと措辞しているがまさにそのような細やかさが必要な作業なのだ。
掘り起こしたさつま芋をきっと美味しく召し上がったのだろう。

根本 博子 和良 様選句いただき、ありがとうございます。
大きなさつま芋ばかりで、掘るのがなかなか大変でした(;^_^A
でも、たくさん採れて孫も大喜び、焼き芋にしましたが、なかなか食べごたえがありました。



明治てふルネッサンスよ紅葉山   孝之

一読してリズムの良い句だと思った。
上五明治と下五紅葉山から赤茶色のレンガ造りの建物、東京駅や横浜煉瓦街を思い浮かべる。
中七ルネッサンスに詠者は何を想ったのだろう。
私は子規に始まる新時代の俳句が芭蕉の功績を掘り起こしたことを思った。
また明治という時代が王政復古により京都の王朝時代を東京に復活させたとも考えられる。

原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句並びに素晴らしいご鑑賞有難うございます。
嬉しい文化の日になりました。今日は、大学陸上部の先輩が
唐津おくんちを見においでと言われて出かけております。
唐津おくんちというより酒宴です。(笑)
桑本 栄太郎 「一日一句互選」に頂きます!!。
幕府を倒し明治新政府樹立後、後わが国は急激な近代化を目指しました。
建物も洋風なしきたりも服装も一度に急展開です。
鹿鳴館時代とも言われる社交界まで発展しました。武士一辺倒の時代に決別をして、
わが国にとっては大変なルネッサンスの時代とも言われています
。揚句に明治時代の煉瓦の建物に映える紅葉の美しい光景を思い浮かべました。





(11/01)

実から葉へ葉から空へと七竈  祐

ナナカマドの実は真っ赤に色づき、視点を移すと葉も赤く燃えている。
その後ろは秋の空が茜色に染まっている。雄大な景色の中の赤の共演が目に見えるようだ。

牧内 登志雄 北野さん、その通りの見たまんまの句でした。
青い秋の空を赤く染める七竈は北国の秋の深まりを象徴していますね。



まだ歩く山を二人や秋遍路  俊克

お遍路は山道が多い。二人連れの遍路が行く。夫婦だろうか、それとも友達同士か。
山道のきつい勾配を登る時、あの坂を超えれば下りになるかと
期待しながら角を曲がるとさらに上りが続きあぁあと思う時がある。
しかし澄んだ空気の中、周りの木々の紅葉を眺めながら歩くのは気持ちのよいものだ。
宿に着くのはも少しかかりそうだ。(四国八十八ケ寺を歩いた私には共感できる句だ)

大久保 俊克 北野さん、ありがとうございます。