俳句鑑賞文(復刻版)    2016 Octorber        トップへ   




(10/31)

秋の蝶お前も句会に来たいのか   玉有良

句会へ行く道すがら、秋の蝶がひらひらと飛んできて後ろへ行ったかと思うとまた前へ。
まるで私と一緒に句会に出たがっているようだ。
今日提出する句は準備できているが、蝶の句も一つ追加しようかしら・・・・

小出有紀 まとわりついてきました。
写真撮らせて〜、と構えると、飛んで行ってしまいました。
是非、秋の蝶で詠んでください



シンフォニー心に響く今朝の冬  美音

強い寒気団がやってきて冬の訪れを感じる今朝。久しぶりにヴィヴァルディでも聴こう。
お供は大好きな紅茶、今朝は少しリッチなイングリッシュブレンドにしよう。
弦の音が重奏し心に響く・・・・

向瀬美音 北野さん、ありがとうございます!嬉しいです!





(10/30)

啄木鳥は心の闇を叩きけり・・・清一

啄木鳥が木に穴を開けようと突く音は独特の音である。
詠者はその音を自分の闇を抱えた心を叩いているように感じた。
詠者が抱える心の闇とはどんな事なのだろうか。

清水 憲一 和良さん ありがとうございます。また素晴らしい鑑賞で心の闇が少し晴れました。



はからずもはや一粒の実南天   孝之

真っ赤な実をびっしりと付けていた南天の枝、今日ふと見ると一粒だけになっていた。
そう言えばこのところ小鳥が頻繁に飛んできていた。きっと小鳥たちが食べ尽くしていったのだ。
ちょっぴり寂しい秋の風景だ。

原孝之 北野さん、おはようございます。
ご選句とご鑑賞有難うございます。嬉しい十月尽になりました。





(10/29)

真青なる空より木の葉時雨かな  征一

晴れ渡った秋の日、澄んだ青空がひろがり、冬の準備に落葉が始まった。
役目を終えた木の葉がまるで時雨のように降り注いでいる。
まもなく木枯らし一号も来るだろう。
青空と色づいた木の葉の対比が目に見えるようだ。

小出有紀 互選に選ばせていただきます
青空のタイルが敷き詰められたホールで、まるで木の葉のワルツのように思えました。
このコントラストがみられるのもあと1ヶ月くらいだと思うと、なんだか淋しい気持ちになる。
今村 征一 北野さん小出さん御選句並びに句評有難う御座います。



デバートの南瓜戦線あと三日   玉有良

初め南瓜の大安売りかと読んだが、中七下五はハロウィン商戦のことを言うのだと気がついた。
ハロウィンが子供だけでなく若者たちにも大騒ぎされ始めたのはいつからだろうか。
今や社会現象になり、東京渋谷の混雑ぶりがニュースとなり、
小池知事までもリボンの騎士で登場した。
しかし交通事故で小さな子供が亡くなったというニュースよりは、
コスプレで馬鹿騒ぎという画面の方がまだましだ。
詠者は古都京都にお住まいらしいが、
ここでも観光客を含めてハロウィン騒ぎなのであろうか?

小出有紀 ありがとうございます.
昨日、句会の帰りの電車で、仮装してる人を見かけました。
一年に一度くらいはっちゃけても文句は言われないだろう。
しかし、ここ数年で、ハロウィンの知名度があがり、
バレンタインの経済効果を上回ってるとは驚きだ



原孝之 山頂を撫でて行きたる秋の雲   孝之

北野 和良 互選は既に2句を選んでしまったので、鑑賞だけさせて頂きます。
この句では「秋の雲が山頂を撫でていく」という比喩が素晴らしいと思いました。
先日も「空は揺るぎなし」の措辞に感動しましたが、このような措辞が使えるようになりたいものです。
原孝之 北野さん、こんにちは。ご鑑賞有難うございます。嬉しいです。
福岡市の油山は592mです。この山の頂を雲が撫でるように西から東へ移動していました。
早く移動していたので撫でるが出てきたと思います。





(10/28)

秋うらら初イーグルに有頂天   玉有良

イーグルとはゴルフのプレイでパープレイよりも2打少ない数でホールアウトすることで、
ロングホールなら5⇒3、ミドルホールなら4⇒2で上がることで、
ゴルファーなら誰でもやりたいと思っても簡単には出来ない。
実力とラッキーが重なって始めて達成できる。私も長年のプレイで一度しか出来なかった。
そんなプレヤーにとってイーグルが達成できたら
有頂天になるのは当然、秋麗を天に感謝するだろう。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/ アルバトロスだとやり過ぎ
バーディーだと何回かはあるかもしれない
ゴルフ用語を使いつつ、季語を入れ、かつリアリティーある実現可能なラインを
探すに時間も労力も使い果たしました。選ばれて本当に嬉しい
北野 和良 私は長いことゴルフをやりましたから採らないわけには行きませんでした。



霧を見てスカイツリーの旅をへる  無鬼

わくわく期待しながら順番を待ちスカイツリーの展望台へ上がった。
だが生憎の天候で広々とした眺望とはいかず、霧に煙る景色しか見えなかった・・・・
期待はずれの寂しさが下五に凝縮している。

小林 広一郎 ありがとうございます。スカイツリーに上ったことは無いのですが、
函館山にケーブルカーで登った時は霧で何も見えず、そのまま下ってきました。
スカイツリーでも同じような経験をされる方も居るだろうなとの思いを詠んでみました・





(10/27)

浮草を道連れにして落し水   古閑 寛昭

季語の落し水は稲刈りをする前に田の水を用水路へ流すことである。
堰を外され田の水が勢い良く流れ出し、それにつられて浮草も流れていく様子を詠んでいる。
道連れにという措辞がユニークだ(時期的には少し前の句だろうか)。

古閑 寛昭 ありがとうございます。
そうですね、時期的に少し前の句になります。 ちょっと思い出して作りました。



秋深し晴れたる空は揺るぎなし  孝之

北野 和良 一日一句互選に頂きます。美音さんと同じく揺るぎなしの措辞に引かれました。

原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句、ご鑑賞有難うございます。





(10/26)

輝きも風も感じて秋麗  亜仁子

季語の秋麗は、春の麗らかな日を思わせるような穏やかで安らかな日のことである。
春とは違い空はすっきりと晴れ渡り、清明な日差しとそよ風に
身を任せている詠者の姿が見えるようである。

Aniko Papp 選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございます。とても嬉しいです。



役目終へもへじ安堵や捨案山子  栄太郎

稲刈りも終わった田に案山子が少し傾いで立っている。
顔は定番のへのへのもへじだが、その目も役目を終えた安堵感に満ちているように見えた。
ユーモラスな句で安堵の措辞が光っている。

桑本 栄太郎 北野さん・・・一日一句選にお選び頂き、
嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
今年は長雨の所為で稲刈りも遅くなっていましたが、
いまではほとんど終りあちこちで捨案山子が眺められます。





(10/25)

白樺の木々指す方の明の月  祐

夜明け時である。白樺の林、樹上に明けの月が見えている。
静まり返った高原の風景が目に見えるような句である。

牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。
軽井沢の白樺木立、残月の朝でした。



木々の空口紅直す紅葉茶屋  俊克

紅葉見物であろう。色づき始めた木々の葉っぱの向こうには澄んだ青空が広がっている。
途中の紅葉茶屋で一休み。茶菓子を食べお薄で咽を潤す。
さあ元気も戻った、もう一歩き。その前に口紅を直しておこう。

大久保 俊克 北野さん、ありがとうございます。嬉しいです。(*'▽')





(10/24)

金木犀いたんだ心につきささる  俊文

時季柄、木犀を詠んだ句は多いが、金木犀の香りが心につきささると感じた詠者に感動した。
いたんだ心、何に傷ついたのだろう。友情? 恋愛? 或いは親しい人との諍い?

河野 俊文 北野さん、選んでいただきありがとうございます。
金木犀の強い香りを詠んでみたかったのです。ふと思い浮かびました。



嗅覚を完全包囲金木犀   玉有良

嗅覚、完全包囲、どちらも固い言葉でおよそ俳句には似合わないようにも思える。
しかし金木犀のむせるような匂いが迫ってきて他の言葉が浮かばなかったのだろう。
強い匂いに圧倒されそうな句だ。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/
完全包囲されて幸せと思えるのは金木犀くらいですね(笑)





(10/23)

爽やかに樹上の烏ワンと吠ゆ  無鬼

一読して可笑しな句だと思った。カラスはカーと鳴くのが普通でワンと吠えるはずがない。
じっくり読むと、樹上のカラスを見つけた愛犬がワンと吠えた、と読めた。
(説明、報告的なら樹上に烏だろうか)
だが俳句ではあらゆる妄想も許されるからカラスがワンでもいいのかも知れない。

小林 広一郎 ありがとうございます。種明かしをしますと、
公園でテニスをしていた時に樹上からワンという鳴き声が聞こえ、
何事かと思ったら、なんと烏が犬の鳴き真似をしていました。
季語を眺めていて、烏も嫌われる地声より爽やかな犬を真似たかったのかと思い詠んでみました。
北野 和良 そうでしたか。烏も芸達者なんですね。有難うございます。



俳諧に国境はなし鳥渡る  征一

渡り鳥に国境はない。鳥の中には一万kmも渡りをする種類もあるという。
俳諧にも国境などあるはずがないと詠者は喝破している。
言葉の壁を破って俳諧の面白さを世界各国で共有出来れば嬉しいことだ。

今村 征一 向瀬さん北野さんご選句と句評有難う御座います。





(10/22)

詠み終へし文庫本とじ檸檬おく  俊文

新刊本を詠み始めた時はピチッとしていた本のページが、
詠み終わったときには、開き癖がついてしまった。
机の上に置いた本の上に重し代わりに檸檬を置いて癖を直そうとしたのだろうか
。 檸檬の清々しい香りとともに、読んだ内容を思い出し余韻に
浸っている様子が浮かんだ。 檸檬を置くというのが面白い。

河野 俊文 北野さん、素敵な鑑賞を賜り、嬉しく思います。
秋は、芸術の秋、読書の秋でもありますね。最近、時間の過ぎるのが、もったいない、気分です。



熱情を奏でる少女ななかまど  孝之

少女がピアノを弾いている。ベートーベンのピアノ・ソナタだろうか。
力いっぱい弾いている姿が、真っ赤に色づいたナナカマドと重なってくる。
季語がよく働いている。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句とご鑑賞有難うございます。嬉しいです。





(10/21)

足を止め暫し恍惚金木犀   玉有良

金木犀の薫りが漂ってきた。辺りを見渡すと大きな木があり見事な花を咲かせている。
思わず見入ってしまった。中七の恍惚がお手柄だ。

小出有紀 ありがとうございます(^-^)/




階段を踏みはづす夢秋うらら  大澤 徹也

階段を踏みはづしたと思ったら夢だった。愉快な句ですね。
この次は宝くじに大当たりして下さい。

大澤 徹也 しみじみかたじけのう存じます





(10/20)

紅葉狩をんなに潜む鬼神かな  孝之

平維茂の鬼退治を描く能の一曲である『紅葉狩』を下敷きにした句であろう。
能では、数人の鬼が美女に化けて酒盛りをしている所に
平維茂が出会い、酒を勧められ酔って眠ってしまう。
しかし人間界においても美女が心の中に鬼を潜めている例も多いと
詠者は嘆いているのだろうか。

原孝之 北野さん、おはようございます。ご選句とご鑑賞有難うございます。
能を題材にした句は二句目となります。幽玄の世界を句に出来ればと思いますが、
私には役不足かもしれません。




無花果の鼓動聴かむと樹に寄りて   直美

木の幹に耳を当ててよく聞くと樹液の流れる音が聞こえるという。
詠者も無花果の幹に身を寄せて木の呟きを聞こうとしている。
無花果はいったい何を呟くのだろう。自然への畏敬を忘れた
人間の愚かな諍いや無分別な行動を咎めているのだろうか。






(10/19)

リンドウの青が心を清くする  有働 あこ

竜胆の青紫の花を見ていると、心も清らかになってゆく気がする。
とても共感できる句だ。

有働 あこ 北野 和良 さん、どうもありがとうございます。とても嬉しく思います。




滝の道遍路の草鞋紅葉踏み  幸

お遍路で山道を歩いている。紅葉した木の葉が草鞋の脚に優しい。
もうすぐ瀧が見えてくるはず、滝についたら一休みしよう。
(歩き遍路を体験した私にはとても懐かしい風景で共感した)

Sachiko Yokoi Hayashi ありがとうございます
箕面の瀧から勝尾寺さんではお遍路さんと良く出逢います!





(10/18)

猩々の謡高らかましら酒   孝之

頂きます。(選んで鑑賞文をまとめている間にお二方に先行されてしまいました)
能の演目に「猩々」がある。酒売の高風から酒を買い求めて飲む者がいたのですが、
いくら酒を飲んでも顔色の変わることがありません。
高風が不思議に思い、名を尋ねると海中に棲む猩々だと名乗りました。
後に高風の夢に猩々が現れて、酒壺を残していき、 高風の家は栄えたという内容だ。
また 猿が木のうろや岩石のくぼみなどに蓄えておいた果実や木の実が
自然発酵して酒のようになったものをましら酒と呼んでいる。
詠者はこの二つの古典・伝説を踏まえ、猿酒を呑み猩々を舞っているのだろう。

原孝之 北野さん、こんばんは。ご選句と素晴らしいご鑑賞有難うございます。
猩々は、謡曲の中では、鶴亀、竹生島などと並んで初級の謡曲で母に習っていました。
謡曲の世界と俳句とを結びつけることも良いかと思います。 「足元はよろよろとなるましら酒」本歌取りです。



ぶくぶくと産声あげて新走  古閑 寛昭

詠者は酒蔵を見学して新酒が樽の中で発酵している様子を見ている。
発酵で生じるガスがぶくぶくと湧く音を産声に見立てた。新酒の香りの漂ってくる気がする。

古閑 寛昭 ありがとうございます。そうですその通りです。





   10月第3週 【俳句大学初心者句座】
【席題】季語有り:身に入む・火恋し・青蜜柑  季語無し:棒・ばくばく・テープ

雄鶏の声も身に入む夜明けかな  亜仁子

北野 和良 選びました。鶏鳴暁を告ぐ、の景色が浮かびます。


給食の思ひ出残る青蜜柑  Masayoshi Nishimoto

北野 和良 選びました。青蜜柑で給食を思い出す、懐かしい風景です。
Masayoshi Nishimoto 北野さん有難うございます。共感してもらって、うれしい限りです。



冬近し爆爆買いの幕降りて  Kohtaroh Dan Aoki

北野 和良 選びました。ばくばく⇒爆爆とは工夫されましたね。


早熟や君が手摘みの青蜜柑  木谷 有里

北野 和良 選びました。中学生の二人でしょうか?
木谷 有里 北野様??ありがとうございます。。その通りの情景を思いました
小5の息子の同級生でとても大人びた女の子がおりまして、
息子にはお母さんのように思えるようです。。笑



ばくばくと絡む指先月上がる  畝川晶子

畝川 晶子 直美さん、ありがとうございます!艶っぽいという程ではなく
、「心臓をばくばくさせながら初めて手をつないで歩いているうちに月が。。」
という句意なのですが、作句のあと自分でも別の解釈ができるなと感じていました。
読み手によって色々な解釈が生まれるところも俳句の面白さですね。
絵を描かれる直美さんだからこその感性でお読みくださり、ありがとうございました(〃'▽'〃)。
北野 和良 選びました。ご自解の通りの風景を想像しました。
畝川 晶子 北野さん、とても嬉しいです!ありがとうございます(*'-')。



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(10/17)

秋雲や綿飴のごと箸で巻き  直美

一日一句互選に頂きます。秋の雲は千変万化、不思議なほどいろいろな形・姿が現れる。
今日の雲は、綿菓子の機械の中でふわふわと浮いた飴の雲を箸で巻き取っているような形に見えた。
ほーら、いまたくさん巻き取って食べさせてあげるからね〜

高井 直美 北野 和良さん、ご選句とご鑑賞をありがとうございます。綿飴は私の好物ですw



長き夜に収まらぬまゝ腹の虫  祐

一日一句互選に頂きます。食欲の秋、ついつい夜更かしをしたら腹の虫が泣き出した。
うーん、サツマイモでも焼いて虫抑えするしかないか・・・・

牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。今もお腹空いてますが、ガマンガマンです。
腹の虫がグゥと鳴いてはいつかのこと、クゥと鳴いてはあの日のことなど思い出しながらの句作りです。





   10月第3週【席題】【秋深し】

秋深し南へ進路とるバイク  孝之

北野 和良 頂きます。バイクに乗るのが夢でしたが、未だに実現していません。


秋深し埋まらぬパズルピースかな   玉有良

北野 和良 頂きます。パズルがお好きなんですね。
小出有紀 皆さん、選句ありがとうございます。 心のパズルピースです。
秋の寂寥感にのせて、追悼句を作りたくなったので。
淋しさをパズルピースが埋まらないことで表現できたように思う
自分でも気に入っている一句なので、評価していただき嬉しいです。



秋深し足の小指の爪が似て   直美

北野 和良 頂きます。親子って思わぬところが似るんですよね。


秋深むアクリルたはし編む私  十河智

北野 和良 頂きます。ご自分で編まれるというのに感心します。


秋深しゴルフ場より大歓声   正則

北野 和良 頂きます。今日男子は松山が優勝し、花火も上がったようです


空爆の悲しき少女秋深む  俊克

北野 和良 頂きます。シリアの空爆のニュースに心を痛めています。


山々の羞じらふ如く秋深し   幸

北野 和良 頂きます。山々が羞じらふと言うのが素敵です。
Sachiko Yokoi Hayashi ありがとうございます凄く嬉しいです
そろそろ六甲の山々が恥ずかしそうに染まると思います


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(10/16)

秋曇り友達の声晴れとなり   亜仁子

曇りと晴れの対比が面白いですね。

Aniko Papp ありがとうございました。
3年間ハンガリーに住んで、帰国した日本人の友達からの写真ですから、
曇りから晴れていく空を拝見しながらこの友達を思い出して詠んだ俳句ですね。
この友達が帰国してしまって、寂しいですね。



黒鍵に触れる小指の秋思かな   美音

クラシックに堪能ではないので良くは知らないが、黒鍵が活躍するピアノ曲とは何だろう。
ショパン、リスト・・・いずれにしても小指で弾いた黒鍵の音が秋の寂しさを強調するのだろうか。






(10/15)

火の鳥の塒の辺り秋入り日  のどか

昔少年マガジンに連載された手塚治虫の『火の鳥』を夢中で読んだ。
火の鳥は永遠の命の象徴として現れ、火の中に身を投げるがそこからまた再生する。
真っ赤に染まる秋の入日を眺めた詠者には、そこに帰り再生する火の鳥が見えたのだろう。
塒という措辞に痺れた。

大関博美 佐野さま、北野さま ありがとう?ございます。
真っ赤に染まる西の空は、まるで火の鳥の塒さながらに感じました。(*^^*)



雲中の後の月とはいかばかり  征一

名月は秋雨前線のために見えない確率が高いが、後の月は晴れてよく見えると言われている。
それなのに今年は生憎雲に邪魔されてせっかくの期待を裏切られてしまった。
お天気の神様、いったいどうしてくれるんですかと天を仰いで呟く詠者に同情するばかりだ。

今村 征一 北野さん御選句並びに素晴らしい鑑賞有難う御座いました。





(10/14)

フィッシングリール投げたる秋の沼  俊克

詠者は秋の沼で釣をしている。釣れるのはどんな魚? ヘラブナ、鯉、鯰?
秋の日差しとそよ風を身に受けて浮きをじっと見つめるのは気持の良いことだろう。
時代劇TVを見ていると、釣は見せかけで実は密かに誰かを見張っているというのが多い。
だがこの詠者は真剣に釣っているのだと思う。

大久保 俊克 ありがとうございます。ヘラブナ、鯉、です。十代、二十代はブラックバス。いないと思います。




目録に付け加へたき秋の空  正則

目録に付け加える、とは由緒正しき、典型的、代表的などに相応しい姿なのであろうか。
秋の空の清々しさに感動して、それを目録に結びつけた作者に敬服した。

小出有紀 互選に選ばせていただきます
「秋の空」を目録に加えたい、とは新しい発想でした
こんな粋な贈り物をされてみたい
野島 正則 北野さん、選、鑑賞いただきありがとうございます。嬉しいです。
野島 正則 有紀さん、いつでも目録だけなら贈りますよ〜





(10/13)

秋桜は光を受くる小さかずき    勉実落

コスモスが元気に咲いている。よく見るとどの花も植えを向き太陽の日差しを受け取っているようだ。
その姿を下五で小さかずきと言ったところが実に面白い。

佐野勉 ありがとうございます。
日本酒を飲みにいくお店では、小さなさかずきをたくさん見せて、
お客にさかずきを選ばせるところがあります。
「みんなちがってみんないい」コスモス畑では花びらが赤・白・ピンクでの濃淡あり、
大小ありでどれ一つとして同じものはありません。 黄金の雨が降り注ぐわけではないですが、
さかずきに慈雨が降り注ぐ日本の里山の情緒を味わっていただけるのであれば、
至高の一夜の喜びと言えましょう。




晩稲田といふらし風の黄金かな  栄太郎

少し前から新米が店に並んでいるが、詠者が見た田んぼでは今黄金色に輝く稲穂が風に揺れている。
この稲は晩稲なのだろう。破調の句であるが、下の風の黄金という措辞に引かれた。

桑本 栄太郎 北野さん・・・おはようございます。
一句互選にお選び頂き、素晴らしいコメントも頂戴しまして大変ありがとうございます!!。
今年は長雨のせいで全般に稲刈りが遅れていましたが、挙句は酒米の栽培が多いい
高槻平野の晩稲他の光景です。 黄金色に輝く様子は見事そのものでした。
尚、「おくてだと いふらしかぜの こがねかな」と詠み、定型に収まっております。





(10/12)

目を覚ます阿蘇の寝仏天高し   孝之

最初に読んだ時、中七阿蘇の寝仏の意味が掴めなかったが、写真を見て納得した。
この地の人が一般的に寝仏と呼んでいるのか、詠者の発見なのかは分からないが
雄大な景色の中に寝釈迦を見るというのは有難いことだ。
天高しの斡旋も成功した句である。

原孝之 北野さん、おはようございます。阿蘇の寝仏は有名です。
私が初めて見たのは、52年前の修学旅行の時でした。ご選句とご鑑賞有難うございます。



相輪に秋突き刺さる東寺かな  祐

東寺の五重塔を見上げた。澄み渡った青空に突き刺さるような相輪。
まるで絵葉書のような景色が目に浮かぶ。中七秋を突き刺すが素晴らしい。

牧内 登志雄 北野さん、互選ありがとうございます。見たままを詠んだ句ですが、嬉しいです。





(10/11)

秋澄めりおさらい会の三味の音   玉有良

昼間の先斗町だろうか。三味線を伴奏にした芸事を習っている音が聞こえてくる。
小唄だろうか、それとも踊りだろうか。夜のお座敷に向けて熱心に練習をする風景が浮かんできた。

小出有紀 ありがとうございます。上七軒です。秋のおどりの発表会です。



秋深し釜の音聴きつ茶筅振る   幸

秋の茶室。詠者はシャッシャッと手慣れた動作で茶筅を振っている。
傍の釜では湯がシュンシュンと音を立ている。
正客は菓子を味わいながら詠者の手つきを見つめ、
大分上手になって来たわねと 言わんばかりに微笑んでいるのだろう。
静かな茶室に響く音だけが秋深しの季語とよく合っている。

Sachiko Yokoi Hayashi わぁ!  ありがとうございます
状況をしっかりと見て戴きました。
静かな夜に越えられぬ壁に挑む姿を読んでみました。





(10/10)

子らのこゑ無き集落や秋寒し   凛堂

数年前鳴門に住んでいて、TVでは徳島を中心としたローカルな話題が多かったが、
その中で胸を突かれたのは「限界集落」とい言葉だった。
山奥の小さな集落で若者たちが街へ出てしまい、残された老人ばかりでは
跡継ぎもなく集落が崩壊してしまうと危機を訴える内容だった。
詠者が憂いているのもこのような集落なのだろう。一言で表せば”子らのこゑ無き”となる。
詠者の思いを季語・秋寒しが如実に示している。
(追記:栗原さん、どうか鑑賞への積極的なご参加をお願い致します)

栗原 悠次 北野さま、互選いただき、深い鑑賞までありがとうございます。
矢部村のある地域では、完全に子どもたちの声が聞かれなくなりました。
冷え込みが厳しい昨今、寂しさがより深まるようになりました。互選、励みになります。
追記、ありがたく拝受いたしました。痛み入ります。
投句も多く、拝見しているうちにただただ時間だけが過ぎてしまっております。
多くの句を詠み、多くの句を読むことが上達の秘訣ですね。がんばります!
北野 和良 栗原さん、差し出がましいことを申し上げましたが、
この互選欄を盛り上げるためご協力頂けると幸甚です。
栗原 悠次 いえいえ、ありがとうございます。
互選、選評も上達への道と思います。がんばります!(^_^;)



萩や散る音ひめやかに白き蝶   藤倉浩正

(藤倉さん、初めまして)満開の萩の花が風に散り始めている。
そこへ白い蝶が戯れるように飛んできた。
花の紅色と蝶の白の対比が目に浮かび、花びらの舞い落ちる音さえ
聞こえてくるようだ。調べもよく優雅な句である。
(追伸:一句鑑賞にもぜひご参加下さい)

藤倉浩正 ありがとうございます。嬉しいです。これからも宜しくお願いいたします。





    【席題で一句】(竹伐る)


竹伐るを少し貰ひて花活けむ   直美

北野 和良 頂きます。竹筒を花器にして花を活けようとされたのですね。
高井 直美 北野さん、ありがとうございます。今住んでいる辺りは竹林が多く、
先月本当に竹伐る方に花器用に少し分けてもらいました



ふる里の竹伐る音の谺かな・・・清一@

北野 和良 頂きます。静かな山に竹伐る音が木霊する景色が見えました。


竹を伐る南無阿弥陀仏唱へけり   孝之

北野 和良 頂きます。竹にも命のあることを思う作者の気持ちに同感します。


口ずさむ与作のメロディ竹を伐る   玉有良

北野 和良 頂きます。北島三郎の与作を歌いながら竹を切る、愉快ですね。


竹を伐るツイと飛び立つ群雀   藤倉浩正

北野 和良 頂きます。お宿を荒らされた雀、迷惑な人間だと思ったでしょうね。


竹を伐りトンボ削りて秋の夕   室木 助樹

北野 和良 頂きます。子供の頃に竹トンボを作ったのを思い出します。


かぐや姫さはらぬやうに竹を伐る  美音

北野 和良 さわらぬようにの措辞が優しさを表していますね。


竹を伐る鳥獣戯画の寺の閑  征一

北野 和良 頂きます。鳥獣戯画の寺というのに感動しました。


壁土を食べる妖怪竹を伐る   ぶせふ

北野 和良 頂きます。壁土を食べる妖怪がいるんですか?
足立 光隆 北野さん 確かな記憶じゃないんですけど、m(__)m
北野 和良 妖怪「塗り壁」ですかね?
足立 光隆 あれは舐めるだけみたいですねぇ♪妊婦さんが壁土を食べる風習があったようですね
足立 光隆 私の妄想句だったようです。m(__)m 選らんで頂きありがとうございました。



竹刈るや竹皮香る塩むすび   草民

北野 和良 塩むすびを竹皮で包む、昔を思い出します。


野島 正則 2.小振りなる手斧一丁竹伐れり   正則

北野 和良 頂きます。手斧という措辞がリアルですね。
(席題を出された野島さんの句を取らないわけにはいきません)
野島 正則 北野さん、原さん、今村さん、トモ子さん、選をいただきありがとうございます。



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(10/09)

金木犀そっと袂に忍ばせり  祐

北野 和良 一日一句互選に頂きます。こんな心遣いのできる女性とデートしてみたいものです。
牧内 登志雄 北野さん、ありがとうございます。嬉しい心遣いですね。



うそ寒や阿蘇の社に積る灰   孝之

北野 和良 一日一句互選に頂きます。阿蘇山の噴火のニュースを見て心を痛めています。
原孝之 北野さん、おはようございます。互選下さり有難うございます。
阿蘇市の皆さんは地震と火山灰被害と2回の災難に遭われて心が痛みます。





(10/08)

秋暁や忽と鳴り出す冷蔵庫   満徳

8日午前2時頃、阿蘇山が爆発的噴火を起し噴煙は上空一万mに達し降灰は周囲320kmに及んだという。
阿蘇山の噴火は36年ぶりである。この地に住まわれる詠者の家では
噴火に伴う衝撃で冷蔵庫が鳴り出したのであろうか。
大地震に続く噴火の被害、無情とも言える自然に振り回される住民の皆さんへの同情を禁じ得ない。

永田 満徳 選んでいただきありがとうございます。
ご批評を読み、確かに音に敏感になっているのは余震のの影響かと思われてきました。




秋の燈ボヴァリィ夫人の八百頁   勉実落

『ボヴァリー夫人』は、ギュスターヴ・フローベールの小説。
田舎の平凡な結婚生活に倦んだ若い女主人公エマ・ボヴァリーが、
不倫と借金の末に追い詰められ自殺するまでを描いた作品で、写実主義文学の礎となった。
読書の秋、詠者はこの大作のページを開き読みふけっている。
ロマン主義的な憧れが凡庸な現実の前に敗れ去れる様を、自らの上に重ねているのだろうか。

佐野勉 ありがとうございます。フローベールを精緻に論じたのは蓮實重彦。
物語を覗く好奇心は804ページの評論になった。
小説は高校時代に読んでいたが、評論の文脈を追い、空想巡らす灯下の夜は楽しい。
舞台はノルマンディ地方の田舎町のトスト。
地主のロドルフがいった。  「ぼくたちの運命、一つになったのでは?」
侯爵夫人を装うエマがいった。  「いいえ! よくおわかりでしょ。それは かなえられないこと」
「いけないこと、あなたのおっしゃることを 聞くなんて、どうかしているのですわ」と。





(10/07)

神さびの仰ぐ大杉秋澄めり・・・清一

詠者は鞍馬寺の大杉を見て詠まれたようだが、私の住んでいる茨城・筑波山にも樹齢800年と伝えられる大杉があり、
以前いた高尾山にも杉の巨木があった。これらの木を見ると人間の寿命を遥かに超えて生きてきた木の生命力に感動する。
原始的な宗教心かも知れないがそこに神を見るのは不思議な事ではないのだろう。
神と仰ぐ大杉と秋澄めりの季語がよくマッチしている。

清水 憲一 北野さん ありがとうございます。
この大杉も樹齢八百年ですがこの様な杉が日本全国にありますね。
アミニズムの象徴かと思います。素晴らしいご鑑賞ありがとうございました。



ままごとは独り二役あかまんま   直美

今日は仲良しのミヨちゃんが来ないので、あたしはひとりでままごとするの。
あら、ミヨちゃんいらっしゃい。すぐに赤まんまのご飯を用意するわ。
サッちゃん、有難う。美味しく炊けたわね。ああ、美味しい、お替りしてもいい。
どうぞミヨちゃん、たくさん食べてね・・・・・

高井 直美 北野さん、ありがとうございます(*^^*)!
人見知りの激しい子どもだったので、独り遊びが多かったです。
北野さんが鑑賞してくださったような独り言を言ってました笑。励みになります





(10/06)

釣り人の竿引く釣瓶落としかな  亜仁子

秋の落日は一気に暮れていく。私は鳴門に住んでいた時に夕時を狙ってよく堤防釣に出かけた。
この時間になるとアジなどが回遊してきて、サビキ釣の針に一度に数尾がかかることもしばしばあり、
釣れたアジを取り外してはまた竿を投げると忙しい。だが陽はどんどんと沈んで行き、
周りが暗くなるともう諦めて竿を収まう。
釣果は時間との闘いだった。とても共感できる佳句である。

今村 征一 まるで釣人が沈む太陽を釣つているような表現が素晴らしい。一句選に頂きます。
Aniko Papp 皆さん、選んでいただき、素晴らしいご鑑賞、ありがとうございました。とても嬉しいです。



燕去ぬ手帳の余白目立ちたる  美音

燕が南へ渡るこの時季、書店には来年の手帳が並び始めた。
来年はどんな手帳にしようかと考えながら今年の手帳をパラパラと捲ってみる。
バカンスの旅行、コンサート、句会、女子会、映画、いろいろと忙しかった今年だが、
一つ一つを思い出すと充実して災難もなく良い年だったと思えてくる。
それでも余白がある。この日は何をしていたのだろう。日々是好日の作者が目に浮かぶ。

高井 直美 私も頂きます。 燕去るという季語には、秋の訪れと共に、何処となく寂しい雰囲気がいたします。
詠者は、この季節、ご予定が少なくなり、余白が目立つことに、
ご自身のふっとした寂しさを重ねておられるように感じ、共感しました。美しいお句だと思います。
向瀬美音 北野さん、高井さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!





(10/05)

柿熟れて悪童哀し高き枝   幸

柿が赤く色づき熟れてきた。子どもが木下に来て見上げるが枝が高いので手は届かない。
きっと甘くて美味しいだろうなあ・・・
イソップ童話流に言えばあの柿はきっと渋柿だ、食べてやるものか。
自分にもあったそんな子供の頃を思い出させる佳句だ。
(中七悪童哀しは悪童見上ぐなどの抑えた言葉の方が良いとも思った)

Sachiko Yokoi Hayashi 北野様 選んで戴きありがとうございます!
息子達が小さな頃「あれは烏の分」と話した思い出が有ります。
柿熟れて悪童見上ぐ高き枝」格調高くなりました!



風猛る日本海に鳥渡る  祐

直近の18号だけでなく今年も沢山の台風がやって来た。
南へ帰る渡り鳥の季節、鳥たちは台風の風を避けながら頃合いを見計らって飛び続けているのだろう。
鳥たちの中には熱帯の島まで1万キロも渡りをするものもいるとTVで見た。
鳥たちの冒険に拍手をしたくなる。
(追伸:祐さんの書かれる鑑賞文をぜひ読ませて頂き勉強したいと思っています)

牧内 登志雄 北野さん、互選にお選びいただき、また素敵な鑑賞をしていただきありがとうございます。
(追伸)の件、偶に鑑賞文は書かせていただいていますが、
お目に留まるような頻度ではありません。
先日は私の拙い鑑賞文に「感動」された投稿者が
「鑑賞文」全文を引用掲載していただき、まことに汗顔の至りでした。
これからも拙いなりに投句と鑑賞に参加していきたいと思います。
北野 和良 一日一句鑑賞を宜しくお願いします。





(10/04)

星生る天文台の虫の闇   草民

天文台という措辞から野辺山にある電波望遠鏡群を思い浮かべた。
沢山のパラボラアンテナが直線に並び遥かな宇宙を睨んでいる。
空を見上げると満天の星、宇宙では今も新星が誕生しているのであろうか。
足元では虫の大合唱。一晩中星空を眺めていたい気分になる秀句だ。

山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。



白桃を剥けばあらはるややの頬   玉有良

白桃を詠んだ句は多いが、ややの頬に見立てた句は新鮮に思えた。
詠者の赤ちゃんへの愛情の溢れる秀句だ。

小出有紀 ありがとうございます??嬉しいです(*´∇`*)
赤ちゃんを見てたら、その無垢な肌が白桃と重なりました。





(10/03)

燕去ぬ手元の時計狂いをり  美音

燕が南へ帰って行くのを見た。彼岸花が彼岸に合わせて咲くように、
鳥の渡りも実に正確に時を読んでいる。 ふと手元の時計を見ると時刻が狂っているようだ。
今時は一万円もしない時計ですら電波で修正して正確な時刻を保つが、
私のこの高級ブランド品は宝石で飾られているが
懐かしい機械式でチクタクと音は出すが時刻はアバウト。
でもそんな不器用な時計が人間ぽいあの人に似ていて私は大好きだ。

向瀬美音 北野さん、素晴らしいご鑑賞ありがとうございます!



金剛の杖の焼印山粧ふ  正則

私の手元にも金剛杖があり南無大師遍照金剛と書されている。
四国八十八ヶ所霊場を歩いた記念だ。
札所を一周するとおよそ1000km、その間に金剛杖は10cmほどもすり減ってしまう。
作者は今秋遍路を歩いている。山は紅葉に彩られ目を楽しませ、
歩を止めれば涼しい風が汗を引かせてくれる。
人は何故苦しい思いをして歩くのか、その答えを知るには・・・・・

野島 正則 北野さん、選、評いただき、ありがとうございますf^_^;励みになります。





(10/02)

遠ざかる一両列車捨案山子   草民

上五に遠ざかるとあるので、視点の主は作者或いは捨案山子であろうか。
実った稲田、役目を終えた捨案山子、その中を走り去る一両列車。
私の住む茨城でもかつて住んでいた鳴門でもよく見かける農村風景だ。
絵のような光景の中に電車のガタンガタンと鳴る音も聞こえてくる。

山野辺 茂 北野さん、ありがとうございます。励みにします。



白萩やをんなの嘘は生まれつき  栄太郎

中島みゆきの歌に〈女はいつも嘘が好きだね♪ 昨日よりも明日よりも嘘が好きだね♪〉がある。
作者は白萩の花を見てある女を想い、彼女のつく軽い嘘を可愛らしく、また疎ましく思い出した。

桑本 栄太郎 北野さん・・・「一日一句互選」にお選び頂き、
嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難うございます!!。 この句は女性蔑視するものでは決してなく、
良くも悪くも女性はある程度八方美人的なところがあり、女性の嘘の可愛らしさも思いながらの作句でした。





   第1週【席題で一句】(露)


露けしや観音粧ふマリア像・・・清一

北野 和良 頂きます。隠れキリシタンの墓が深大寺にもありました。


露の玉乳房の上を滑りけり  美音

北野 和良 頂きます。女性ならではの句です。


露の玉小さな妖精口にする  孝子

北野 和良 頂きます。露の玉を妖精に見立てたところが面白いです。


雨露の一つ一つに映る草  亜仁子

北野 和良 頂きます。一つ一つにの写生が効いています。


露の玉揺るる鐘の音寛永寺   正則

北野 和良 頂きます。寛永寺の鐘の音で露が揺れる、幻想的ですね。


露の世に出会ひしことの奇遇かな  孝之

北野 和良 頂きます。一期一会の精神ですね。


露葎崇徳上皇陵辺り  十河智

北野 和良 頂きます。お遍路でそのお寺にもお参りしました。


芋の葉に露はまあるくなりたがる  房子

北野 和良 頂きます。芋の葉っぱの上は無重力空間と似ているのでしょうか。

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(10/01)

石鹸のカタと云ふ音秋の音  祐

昨夜南こうせつのコンサートを聴いた。彼の最大のヒット曲は「神田川」。
〈小さなセッケン、カタカタ鳴って ♪〉を覚えている人も多いと思う。
この曲を歌う前の彼の語りに(観客の大部分は年配者だった)
『セッケンがカタカタ鳴るに共感して頂ける皆さんに感謝します。今時の若者は
〈俺たちはボディシャンプー世代だからタプタプって鳴るんだよ〜〉ですからね』。
詠者も(私も)セッケンはカタカタ鳴る世代のようで、文句なく共感できる句として取らせて頂いた。

牧内 登志雄 北野さん、私はまさしく“石鹸世代”ですね。
互選にお選びいただき、ありがとうございます。



騎馬戦の馬となりたる痩せっぽち   幸

学校の運動会の情景だ。騎馬戦は紅白に別れて相手の騎手の帽子を奪い合う。
背の高い方が当然有利となる。 この頃の子どもたちは成長期で
一年に10センチほども背が伸び、当然痩せっぽち体型となる。
詠者の見ている子どもさんも 背が伸びて馬の先頭役を任せられたのだろう。
頑張れ〜負けるな〜応援にも力がこもる。
痩せっぽちの措辞に子どもさんへの愛情が感じられる佳句だ。

Sachiko Yokoi Hayashi ありがとうございます
手のひらに乗る程の小さな子が小学校最終学年
騎馬戦の馬は頼りなかったですが涙で霞んで頼もしく見えました。