(3/31) 吟行の締めのご褒美ラムネバー V 満開の桜に酔って道忘れ 噴水に立ちて祈りの鳩飛ばし 雪やなぎ連ぎょう足下に誇らしく 未来まで夢よ届けと春の空 昭和記念公園独り吟行 辛夷花に背中掻かせる雀かな 色鉛筆スミレの色はお出かけに 家移りの準備に追われ二輪草 (3/30) お久しぶり手を振って会うしでこぶし カタクリやポニーテールの一人っ娘 (3/29) 膨らみに心の騒ぐ春の土手 思い出のピアスさよならヒアシンス 陽に踊るベルの連なる土佐みずき (3/27) 目覚しの前に目覚める春の朝 侘寂を真似ても蛙の子は蛙 春はじけイチゲ連翹雪柳 (3/26) リニアーの切断模型春一番 探しもの見つかったかい福寿草 緋桜や初めて触れし唇((くち)の色 (3/25) サックスの調べに揺れる枝垂れかな 陽光に浮かれるヒュウガミズキかな 土佐ミズキ、日向ミズキは角川歳時記にはあるが、ホトトギスには無い。 (3/24) 桜咲く練習ショットは上の空 菜に釣られ帯を一本春の京 無宗派もつい拝殿に江戸彼岸 (3/23) 卒業子龍馬のやふな態(ナリ)をして (3/22) 春遍路極楽浄土へ渡る橋 《地階出てみらいへ走る春の風》 《東風に乗りみらいへ奔るTX》 TX:ツクバ・エクスプレス (3/21) 《春彼岸つくばみらいへ居を移す》 《無常とは骨と向き合う蜃気楼》 (3/20) 《春風や花冠の女の子》 《浮世絵の夢幻や江戸の春》 (3/19) 《カタクリや空へ翔ぶぞと胸反らせ》 《紅梅や空いっぱいにフォルテシモ》 (3/18) 《地蔵さま雛とミモザに囲まれて》 《地にミモザ空の鍵盤トレモロを》 (3/17) 「愛読書ページの進む春電車」 「春風のフォローに乗せて10ヤード」 《枝垂れ梅薄紅に頬を染め》 《仔ウサギの雛くるりメリーゴーランド》 (3/16) 「サンシュユや投句ハガキのプチ散歩」 《あと三日待ってねとカタクリの花》 《細く丸く時代を写す雛の顔》 《傘福や蛇の目の傘に雛吊し》 江戸時代から伝わる吊し雛(元祖)は、九州柳川の「さげもん」、山形・酒田の「傘福」と稲取の「雛の吊し飾り」の三つだけだ。 (3/15) 《陵に捧げる河津桜かな》 「失敗も一句に昇華暖かし」 《高速と鉄路見下ろす梅の里》 《前の席恋バナ囁く春の旅》 (3/14) 見とれいてスッテンコロリン枝垂れ梅 《陽に透ける一重の衣梅の蕊》 《万作や手形お調べ関所跡》 (3/13) ◆ 俳句大学・練習ネット句会(第2回)総括 【春雨】 献立は何にしますか春の雨 3点 思い出の話弾んで春の雨 0点 永田満徳選 佳作 あの頃に戻り逢いたい春の雨 0点 【卒業】 卒業子刀代わりの証書筒 1点 群れをなす馬子に衣装の卒業子 1点 ネイルアート茶髪の並ぶ卒業式 0点 「友」 友と来てかれこれ一刻春の酒 2点 諸子釣り当たりはどうかと友が聞く 0点 友垣をそろそろどうと誘う春 0点 9句中4句入選は44%で、全平均63句/141句=44%とほぼ同じ。 入選点数7点/4句=1.75 、全平均110点/63句=1.75 と同じ。 反省点は、私の句は典型的な俳句らしい品位に欠けること。 4点を取られたお三方の句を見習いたい。 ◆ 俳句大学・練習ネット句会(第2回)自分の選句(鑑賞力)総括 「選句」作業の基準は、 @ 句の完成度(季語、言葉遣い、切れ字など)を見定める。 A 句趣が自分の好みとあっているかどうか。 の二つだと考えている。 例えば一般論として無季の句は一歩劣ることになるだろう。 一方で完成度は十分でなくても、詠う内容、詠い方がとても気に入った場合は、選びたくなるし、 また完成度は高いのだが、自分はその内容に共感出来ない/関心が薄いという句も出てくる。 今回(第二回練習句会)で私の選んだのは次の五句だった。 69 卒園式ぜんぶひががなにて祝電 (十河かおり)(3) 139 夢でしか逢へぬ友あり春の雨 (小室千穂) (3) 8 春雨に枝垂れ伝ふ色しずく (牧内登志雄) (2) 19 助手席をいつ降りようか春の雨 (河本かおり) (2) 130 俳誌着く先ずは自句見て友の句へ (川岡末好) (1) 投票前に、随分と迷ったのは、次の句だった。 114 友達のやうな母娘や福寿草 (宮野緒幌) (4) この句は若々しい母と娘を可愛く咲いている二輪の福寿草に見立てと読みとても良い句だとおもったのだが、 あまりにも整い過ぎている/俳句の典型だと感じて敢えて外して、8牧内さんの句を入れた。 若しも逆に投票していたら、宮野さんの句は5点に昇格していた。 130川岡さんの句は無季だ?と気づいていたが、俳人の心理を巧みに表現されていたので投票した。 自分が選んだ句が他の多くの人の選句とも一致すれば、自分の鑑賞力が外れていない証拠だと思うので、 今回の結果はまずまず合格と考えて良いだろうと思っている。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 《甲州路駒木野宿やミモザの香》 《駒木野の地蔵に傅(カシズ)く黄水仙》 (3/12) 「赤貝で心尽くしのおもてなし」 「せせらぎに紅を映すや梅日和」 「望郷の神のいますや梅日和」 「関跡のサンシュユの花誇らかに」 《君の眸を待っていたのと仏の座》 【三界草(さんがいぐさ)】(仏の座) ・半円形の葉が茎を取り囲んでつくようすを 蓮華座(れんげざ)に 見立てた。 ・春の七草のひとつの”ほとけのざ”はこの花ではなく、正しくはキク科の「田平子」(たびらこ)のことを指す。 【田平子/かわらけ草】 ・野原や田畑に自生する。葉が仏の蓮華座に似ていることからこの名がついた。新年の季語。 (3/11) 「春怒濤逸ノ城攻め大金星」 (3/10) 「友と遇う思いがけない春の雨」 《風光るセーヌ河畔のカフェテラス》 《馬刀貝や巌流島の櫂の太刀》 (3/09) 「休み明けショット決まらず春愁い」 《雲雀笛インター脇のホテル街》 《春の海帆に風待ちの恋談義》 「春泥のホップステップ鬼ごっこ」 (3/08) 《俯ける稚児百合ほのか匂い立つ》 《鴬の姿は見えずケキョとのみ》 (3/07) 「月一の内科健診花の雨」 《飾り職技の光るや亨保雛》 《陋屋の木の間越しなる初音かな》 (3/06) ◆ 単線。つくし。菜の花。空き地。春野。孤独。空腹。春泥。余寒。三寒四温。春愁。ひとりごと。後悔。明日。 昨日。おととい。夢。煙る街。山桜。三人。パンジー。日向路。日向灘。日南線。レストラン。廃屋。春の雨。 皆さん。この言葉の中から二つを使い、俳句に仕上げてください。お願いします。宙虫は行き詰まっております。 《菜の花やひとりぼっちのレストラン》 《春の雨車窓の先に日向灘》 《パンジーの三人官女かしましく》 《 行きずりに三寒四温煙る街》 《つくし伸ぶ日南線の線路脇》 《おとといの夢を追いかけ春の宵》 ーーーーーーーーーーーーーーーー 《金箔の煌きまとう蒔絵雛》 木目込み人形のお雛様だが、衣装を着つけた後で、漆を塗り金箔を貼り付けて完成させる。作り上げるのにおよそ一年かかるとか。 《杣人は椎茸の声聞き分けり》 ⇒ 《杣人は春椎茸の声を聞き》 《春どんこ傷深きほど美味しとや》 TVで黄綬褒章?を受けた椎茸栽培の達人の話を見た。 この人は「(どんこ)椎茸の声を聞き、育ち具合や食べごろを知る」という。 寒い冬を耐えぬいた今ごろ(春先)、皮が大きく割けている物が一番美味しい(山のアワビ)と話していた。 歳時記では、椎茸=秋 と決めつけているが納得の行かないことだ。 椎茸が一番美味しい時期(春先)に採って旨さに感動して句に詠むの事のどこがいけないのか。 椎茸は秋だから、別の言葉に置き替えて詠むのでは、興が薄れてしまわないか。 歳時記墨守の方には不評かも知れないが敢えて投句することにした。 (追記)春椎茸、春子という季語(春)もあると教えてもらったので句も修正した。天宮さん、有難うございます。 (3/05) 【俳句大学・練習ネット句会 2月兼題 【春めく】 【春ショール】 【梅】】 《春ショール直すふりして矢を逸らす》 1点 《すれ違う眼が値踏みする春ショール》 1点 《ハイヒールカツカツコツと春めきぬ》 2点 《春めくや銀の匙立つ猫柳》 1点 《飛梅や東に下り匂ひ継ぐ》 1点 五島高資 佳作 《探梅や声に誘われ山深く》 0点 永田満徳 佳作 ーーーーーーー 「久々の打ちっぱなしに風光る」 《陶器雛ふと振り返る君の顔》 《剥き卵ぽろり転がる雛の段》 《一衣ずつ脱ぐ快さ木の芽どき》 (3/04) 《ちろり注ぐ肌の温もり春の宵》 稲田屋という店で食をした時、日本酒(燗酒)を頼んだら「ちろり」で出てきた。 江戸時代では、火鉢に立てて程よい温度を保ったようだ。 《春の闇人目を忍ぶ兄妹》 《獣交む都を追われ道後の湯》 第19代允恭天皇の長男・キナシノカルノ(木梨軽)王は同母妹キナシノ(木梨)大郎女(オオイラツメ)に恋をして契ってしまった。 周囲の人々はこれを咎め軽皇子を伊予の道後温泉へ追放した。妹の大郎女は皇子の後を追い、心中した。(古事記下巻) 木梨軽王の歌 《あしひきの 山田を作り 山高み 下樋を走せ 下どひに わがとふ妹を 下泣きに わが泣く妻を こぞこぞは 安く肌触れ》 (山田をつくっているが、山が高いので、地の中に樋をつくって、こっそり水を引く。 そのように、こっそり言い寄った恋人を、こっそり泣いたわが妻を、今夜こそ、思う存分愛撫することができる) 梅原猛訳 古事記に出てくる大王は何人もの女性を妻とし、沢山の子どもを生ませている。異母の男女の結婚は許されたが、同母は許されなかった。 【獣交む】(三春) 発情期を迎えた狸、狐、栗鼠などの獣が交尾すること。春に多いが、鹿のように秋から冬にかけて発情期を迎える獣もいる。 (3/03) 大学の友人四人で食事。稲田屋というのは鳥取と関係の深い店らしかった(場所は東京駅近く)。 《スサノオの髪に櫛さし鳴鳥狩》 【鳴鳥狩】(ナイトガリ)単に鷹狩なら冬の季語だが、春になって宵に雉が鳴いた場所を確かめ、 早朝にその雉を狩ることから鳴鳥狩といった。もちろん狩る物は鳥には限らない。 【須佐之男命】天照大御神の弟で乱暴者だったので、高天原から地上に追放された。 地上で大山津見神と出会った須佐之男命はヤマタノオロチ(八俣大蛇)退治を頼まれ、 クシナダヒメ(櫛名田比売・奇稲田姫)を霊力で櫛に変え髪に挿してオロチ退治に出かけた(古事記)。 《戯れに息吹きかける桜貝》 《波の磯揺り籠にして子安貝》 ⇒ 《荒波の磯の揺り籠子安貝》 (3/02) 「けつこう浮く格安の乱春嵐」 《春の陽やカフェに肘つき見つめ合い》 (3/01) 《朝挽きのモカは弥生のドビッシー》 《風光るジャノメエリカの囀りに》 |