自作俳句手帖(復刻版)    2014 September        トップへ                



(9/30)

 《秋 診療待つ間に凡句二つ三つ》    

    「秋灯に診療待つ間の二句三句」 玉手のり子




      《胸にさざ波の立ち秋の句浮かぶ》


《秋空へ羽ばたくエコの風見鶏》    


     《松茸の香り千両秋の山》



《ふちこさん女子体操の代表に》     《観客があっと驚く片手技》






(9/29)

《花野から彩り添える陶器市》    

「秋草の添へる一輪陶器市」    「花野より添ふる一輪陶器市」   玉手のり子


    《秋雲に感謝す無事是れ好日》


《立ち会いに遅れうっちゃる土俵際》   




(9/28)

「福耳に光るピアスや夕月夜」  阿部春代

《福助は男ピアスでにごり酒》


     《秋日和ひとりぶらりと陶器市》

《ポケットの財布さぐりつ目道楽》


《白雲の衆生引き連れ観世音》   

「爽籟や雲より降りる観世音」  高資




(9/27)

「そぞろ寒ふちこつまみをつまみ食い」  渡部 稲穂

なんか ふちこさん 危なっかし〜  「ふちこさんサスペンス好き崖っぷち」  阿部春代

《プル缶も任せなさいとふちこさん》    《スカートを下から覗く不埒な缶》



《ほろ酔いの千鳥足では開けられぬ》      《ほろ酔いで開けた缶跡千鳥足》


「白曼珠散らす想ひに未練なし」 小田千代子



《曼珠沙華白鵬と逸ノ城にらみ合い》 今夕の国技館天井カメラです。




(9/26)

「いい訳を探るポケット十三夜 」  阿部春代

《言い訳をいつもポッケに二つ三つ》
    《言い訳がポッケで出番待っている》


「鶏頭の燃ゆる怒りにメールなし」 高村典子

  《鶏頭の燃ゆるメールに返惑い》




(9/25)

「こちら見ぬ医師を見ている秋の海」  からさわ まり  【恋】こちら見ぬ医師をチラ見す小萩かな【歌】

《患者見ずパソコン睨む新米医者》
    《恋目線俯き避けるウブな医師》
           《再診を無理矢理カルテに悪い医者》




(9/24)

     《秋茜松帆の浦に疲れ果て》


《補陀落へ伸びる光道秋の暮》     




(9/20)

     《黒あげは羽ばたきのままくちづける》

黒揚羽は体が大きいので、花に留まってしまうと花が傾ぎ姿勢が不安定になるので、ホバリングしながら蜜を吸うようだ。
(下五、「蜜を吸い」ではただの説明になってしまうと思ったので・・・・)


《秘め事を覗きたくなる人の性》    


《目も耳も冥土の旅の一里塚》




(9/19)



《ブッシュセージに招かれて行く秋遍路》


   






(9/18)

     《新林檎能登から八王子までひとっ飛び》


《紅白の萩指差して道を聞く》  一路    ⇒  《紅白の萩で装う苫屋かな》

《鯛焼の表の顔と裏の顔》 (津野 利行)    ⇒  《鯛焼きと総理の顔を見比べる》


《シャボン玉ママのお叱言飛んでけ〜》   

(シャボン玉は「春の季語」ですが、ご容赦を。)




(9/17)

《くちびるを初めて許すあをあらし》

    《初めての口づけの味ラ・フランス》

FB津野 利行さんの記事で知った、
《親友と言ひ切る勇気あをあらし》(琴美さん/三重/高田2年)

の句で、「あをあらし」という季語を知った。
【あおあらし(青嵐)】(夏、天文)
万緑をゆるがして吹きわたる風、あるいは一般に五月から七月にかけて吹くやや強い風をいう。
清涼、爽快で、明るいイメージが本意だが、時にははなはだしく蒸した感じが伴う。(角川俳句大歳時記)

《君地獄へわれ極楽へ青あらし》 (高山れおな)

ネット記事に「キス経験者は、2005年には中学生2割弱、高校生で5割程度に増えている」とあった。
10年経った今、この割合はさらに増えているのだろうか?
琴美さんがもうすぐ作ると想像したのが掲題の句。



《むらさきの心映ろうくじゃく花》   

  (写真はクジャクアスター・・昭和記念公園にて)


《片意地を張らずただ咲け鶏頭花広大無辺の空が呟く》

《プリクラの機械をバッグに入れて逢い》

(最近のプリクラは、顔を若返らせる加工機能があるらしい!?)




(9/16)

    《お目当てのメールスマホに秋うらら》

  (写真は房藤空木と蝶、昭和記念公園)     《子規虚子に首傾げさす新語群》


《シンデレラ見送る鹿の憂い顔》     《あたくしの勝負はシャネルNo,5》




(9/15)

《秋祭り目尻のラメとへそピアス》   


◆ 敬老艶句(日本では八人に一人が75歳以上になったという)

《敬老と云うなワシャまだ百歳じゃ》    《眼歯腹どれも丈夫でまらも立つ》

       《敬老日祝い状より毛饅頭》

(毛饅頭は池波正太郎著『剣客商売』に詳しく出ている)


《ラベンダー噂話をひそひそと》   




(9/14)

     《コスモスや思い出話風に乗り》




(9/13)

《虫の音やすすり泣く声絶え絶えに》   




(9/12)

    《当ては目刺独り手酌の臥し寝月》

この句の上五は座りが良くない。「炙ったイカ」とでもすればリズムが良くなるがそれでは八代亜紀の唄になってしまう。
TVドラマの必殺仕置人が好きでよく見た。藤田まことや東山紀之が目刺しを焼く場面がいい。
殿様はどうなのか知らないが江戸庶民はやっぱり目刺でなくちゃぁ。




(9/11)

散歩道でいちごに似た赤い木の実を見つけた。山法師の実だ。(山法師の花は「夏」の季語)

      

・「山法師」の名前は、中央の丸い花穂を坊主頭に、4枚の白い花びらを白い頭巾に見立て、
 比叡山延暦寺の「山法師」になぞらえた。⇒弁慶を思い浮かべ弁慶物語にしてみた。ご笑覧ください。

《山法師男盛りの悲願かな》
  《一千の刀集める春の夢》
    《あと一太刀五条大橋に春疾風》

京の五条の橋の上 大のおとこの弁慶は 長い薙刀ふりあげて 牛若めがけて切りかかる;
牛若丸は飛び退いて 持った扇を投げつけて 来い来い来いと欄干の 上へあがって手を叩く;
前やうしろや左右 ここと思えば またあちら 燕のような早業に 鬼の弁慶あやまった.

《朧月夜嫋々響く笛の音》    《牛若の燕弁慶きりきり舞》



兄頼朝に疑われた義経は山伏姿に身をやつして陸奥へ逃れ、途中安宅の関の通過に苦難する。
歌舞伎『勧進帳』の名場面となる。

《山法師勧進帳の立役者》
  《炎天や山伏問答朗々と》
    《冨樫判官の情けを受けて流れ星》

弁慶の謡(うたい)に 「あれなる山水の 落ちて巌(いわお)にひびくこそ」とある。

《秋高し衣川にて立ち往生》   

   《弁慶無念の血玉実山法師》

衣川の戦いで全身に矢を受けながら身を呈して義経を逃がした故事から「立ち往生」の言葉が生まれた。
山法師の赤い実は、弁慶の胸に突き刺さった矢から流れる血玉のようだと思った。
無理矢理感はあるが夫々の句に季語を入れてみた。俳句らしくなっただろうか?


【萩原 まさ江】 弁慶物語、お見事です
【武藤 隆司】 衣川は、いつも思い起こします。
【末好 川岡】 いい試みですね。たまにはそういう課題を設けて作句するのもいいかもしれません。
【石川 順一】 いいですね、歴史物語。歌舞伎や能でもありそうです。




(9/10)

《おっぱいに似せてお月見団子盛り》    《月を待つすすきの穂先空を掃き》

      




(9/09)

《圭くんにキスされちゃった向日葵迷路》

    

「 写真提供:北竜町ポータル 」北竜町ひまわりの里(北海道)
http://portal.hokuryu.info/himawari/tourism



《月二つどちらに願いを託すやら》    

(写真は金沢・今村征一氏撮影)
(9/08は中秋の名月スーパームーンだったが、東京は曇で無月だった)





(9/08)

    《上り月肩寄せて聴くカンツオーネ》






(9/07)

《秋茜天紅の文疾く運べ》   


《携帯のメッセ見つかり修羅場かな》
   《偉人など肩が凝るわと井戸端で》




(9/06)

    《コスモスとウインク交わす昼の月》


《指揮者と交わす目配せ艶めかし》   




(9/05)


《ゴスペルがカラオケにない悔しさよ》    《垂乳根がちょっと気になる乗り手かな》


(絵は米倉斉加年(先日死去)作品)



    《ほろ苦い出会いと別れ秋の雲》




(9/04)

《実柘榴やふくれっ面の反抗期》   


《近頃は茗荷食わずともすぐ忘れ》
      《賢さと笑顔は断然負けません》
            《安心は無くても不思議と腹は減る》




(9/03)

    《ひと言が恋の始まり葛の花》




(9/02)

《そぞろ寒花鳥諷詠ババブブレ》

   

「パパブブレ」はスペインの金太郎飴と言われるキャンディ。
金太郎飴をネットで検索して見つけた(知らなかった言葉)。
俳人が古典を調べてあまり知られていない言葉を見つけ得々と使うのに似ているだろうか?






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