学生街の殺人          東野圭吾著     講談社文庫  2009(1990)       2010/08/14

 学生街のビリヤードで働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。
 「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して・・・・・
 第二の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。
 奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実!

  登場人物など

 津村光平  春に大学を卒業したが、就職せずに町の喫茶店『青木』でアルバイトをしている。(実家には大学院に通うと嘘を)
         年上の女性・広美と恋人関係にある。

 有村広美  町のスナック『モルグ』で働いている。毎週火曜日には休みを取り、何処かへ出かける。

 有村悦子  広美の妹。短大生。

 沙緒里   去年女子高を中退して、喫茶店『青木』でアルバイト。彼女を目当てに通う客が何人かいる。

 松木元晴  喫茶店『青木』のビリヤード場を任されている。馴染みの客と賭けビリヤードをすることも多い。
         以前は会社(セントラル電子)勤めをしていた(本名は杉本潤也)が、脱サラしてこの街に来た。
         だがこの街から脱出したいと考えている。

 香月    刑事。昔、広美に求婚したが断られた。

 ハスラー紳士(井原良一)  ビリヤードの馴染み客の一人。いつもダークブラウンの三つ揃いを着ている。東和電機・開発室長。
 助教授(太田)   ビリヤードの馴染み客の一人。
 武宮      沙緒里を目当てに通う客の一人。光平の同期生で今は修士課程。成績は優秀で将来の教授候補。

 日野純子  スナック『モルグ』の経営者。同い年の広美と二人で店を。
 時田     スナック『モルグ』の常連。書店を経営。
 斎藤     スナック『モルグ』の常連。レザージャケットを着ている。医者で純子と結婚しようとする。
 堀江     身障者養護学校『あじさい学園』の園長。
 佐伯良恵   保険外交員。

 喫茶店『青木』  一階が喫茶店、二階は雀荘、三階はビリヤード場。光平のアルバイト職場

 スナック『モルグ』  純子が経営する。

  第一の殺人
 松木元晴(杉本潤也)が自分のアパート『南部荘』の部屋で死んでいるのが見つかった。登山ナイフで胸を刺されていた。

  第二の殺人
 広美がアパートのエレベータ(6階)で死体で発見された。登山ナイフで胸を刺されていた。第一発見者は光平だが、犯人の姿は見ていない。密室殺人の一種。

  第三の殺人
 堀江園長が殺され、学園通りのXmasツリーの下に置かれていた。胸に果物ナイフが刺さっていた。後頭部に打撲痕がありこれが致命傷らしかった。

 ◆ 緻密に計算された殺人ストーリー。著者の代表作の一つになるだろう。
  二つの殺意が、偶然に交錯し、ストーリーを複雑化し、推理を混乱させるように作られている。